[2021.03.15]ゼブラ サラサR追加
[2021.03.10]ゼブラ ライトライトα追加
[2021.03.02]PILOT アクロ500追加
文具マニアの夢とロマンをもにょもにょと詰め込んで書いた短編小説「文具沼への招待」を、カクヨムにて公開しております。表面的には日常学園生活モノですが、文具好きならきっと楽しめるんじゃないかと。扱っている題材はシャーペン初級編みたいな感じで、ボールペンじゃないですが。
参考までに、私が現在、主に使っているボールペンを紹介。
■ゲルインク
エナージェルトラディオ軸 + UMR-38S 0.38mm(ロイヤルブルー・ブラウンブラック)
サラサスティック軸 + UMR-38S 0.38mm(ブルーブラック)
サラサスティック軸 + UMR-8xE(黒) 0.38mm/0.5/0.7mm
スリッチーズ3色軸(ブルーブラック・赤・緑) 0.3mm
■低粘度油性
スラリ300軸 + BRFV-10EF(改) 0.5mm
■加圧油性
パワータンク スマートシリーズ 0.7mm
■主に使用しているノート
ツバメノート セクション・クリーム A5
カ・クリエ A4/3
ダイヤメモ(M)方眼罫(ツイストリング化して使用)
ダイソー D-98 メモパッド 11 5mm方眼 B7
キャンパスダイアリー(マンスリー・方眼罫タイプ) A5
リフィル一覧表
ボールペンのインクの分類
耐水/耐アルコール実験
上向き筆記について
修正液・修正テープについて
ボールペン復活法
低粘度油性インクの経年劣化について
※H芯やJF芯といった分類は、サイズの近いものを便宜上まとめただけで、互換性を保証するものではない。実際の互換状況については各ボールペンの項目を参照のこと。
名称 | 全長 | 軸径 | 主要な使用ペン | 備考 |
H芯 | ||||
ゼブラ H芯 | 139.0mm | 3.0mm | ニューハード ジムニー |
|
ゼブラ ZA芯 | 139.0mm | 4.0mm | Z-1 | リフィルの販売無し |
K芯 | ||||
ゼブラ K芯 | 98.0mm | 3.0mm | ジムノック | |
ゼブラ UK-0.7/1.0 | 98.2mm | 3.0mm | ジムノックUK | |
ゼブラ UK-1.2/1.6 | 98.2mm | 3.0mm | ジムニースティック | バネ留め無し |
ゼブラ プレフィール | 98.0~98.2mm | 3.0mm | プレフィール スラリ3C/4C スラリ2+S/3+S |
|
三菱鉛筆 スタイルフィット | 98.6mm | 3.0mm | スタイルフィット woodnote |
|
ぺんてる スリッチーズ アイプラス |
98.0mm | 3.0mm | スリッチーズ アイプラス |
|
ぺんてる BPS | 98.0mm | 3.0mm | ローリーノック式 | |
PILOT BKRF | 98.5mm | 3.1mm | ダウンフォース | |
PILOT BSRF | 98.5mm | 3.1mm | REXGRIP | |
PILOT BVRF | 98.5mm | 3.1mm | アクロボール3 | |
ぺんてる BXM | 116.5mm | 3.0mm | ビクーニャ | |
SA | ||||
三菱鉛筆 SA-5/7/10/14CN | 143.5mm | 3.0mm | VERY楽ノック | |
SJ-7 | ||||
三菱鉛筆 SJ-7 | 108.0mm (栓を外すと90.6mm) |
4.8mm | ピュアモルト | |
三菱鉛筆 SJP | 90.6mm | 4.8mm | パワータンクスマートシリーズ 細軸 | |
低粘度油性 | ||||
ゼブラ EQ芯 | 111.0mm | 4.4mm | スラリ | |
PILOT BRFV | 115.0mm | 4.0mm | アクロボール | |
JF芯 | ||||
ゼブラ JF芯 | 111.1mm | 6.1mm | サラサ | |
三菱鉛筆 SXR | 111.5mm | 4.4mm (バネ留め径6.0mm) |
ジェットストリーム | |
三菱鉛筆 UMR-8 | 112.0mm | 6.0mm | シグノRT シグノRT1 |
|
ぺんてる LR/LRN | 112.0mm | 6.0mm | エナージェル | |
ぺんてる KFRN | 112.0mm | 6.0mm | ハイブリッドテクニカノック | |
ぺんてる KLR | 112.0mm | 6.0mm | ハイパーG | |
LG2RF(JF芯と形状はほぼ同じだが互換性無し) | ||||
PILOT LP2RF | 110.5mm | 6.2mm | Juice | |
PILOT LG2RF | 110.5mm | 6.2mm | G-knock | |
パワータンク | ||||
三菱鉛筆 SNP | 111.5mm | 7.95mm | パワータンクスタンダード パワータンクスマートシリーズ |
|
UMR-1 | ||||
三菱鉛筆 UMR-1 | 119.0mm | 6.0mm | ジグノ極細 | |
PILOT LGRF | 128.0mm | 6.5mm | G-3 | |
PILOT LPRF | 123.7mm | 6.2mm | チューズ | |
ハイブリッド | ||||
ぺんてる KF | 138.0mm | 4.0mm | ハイブリッド | |
ぺんてる KFGN | 127.5mm | 4.0mm | ハイブリッドテクニカ | |
ぺんてる スリッチ | 113.0mm | 4.0mm | スリッチ | リフィルの別売り無し |
ハイテックC | ||||
PILOT ハイテックC | 116.0mm | 6.0mm | ハイテックC | リフィルの別売り無し |
ボールペンの分類は、主にインクの種類によって成されている。
●油性/水性
使用している溶剤によって決まり、有機溶剤を使用しているものを油性、水を使用しているものを水性という。
エマルジョンインクは、水性インクと油性インクを混ぜ合わせた(乳化させた)インクで、油性でも水性でもあるのだが、本ページでは油性ボールペンに分類している。
油性インクは粘度が高いのが特徴だが、粘度を低くしたものを俗に「低粘度油性」「新油性」などと呼ぶ。
●染料/顔料
使用している塗料による分類で、水溶性で繊維の中に入り込み、染めることで発色するものを染料と呼び、不溶性で、対象の表面に塗りつけて定着することで発色するものを顔料と呼ぶ。
染料は発色がいいものの、定着するのに時間がかかり、定着した後でも水がかかると裏抜けしたりすることも多い。顔料は定着が早く、経年劣化に強いが、不溶性のためにインク詰まりやかすれ等を起こしやすい。
●ゲルインク
インクをゲル状にしたものを指す。「中性」と呼ぶこともあるが、油性/水性の区別とは全く関係ないので注意。ゲルインクの多くは水性だが、油性ゲルインクを使ったボールペンも少数ながら存在する。
●筆記後24時間後の耐水実験
リヒトラブのツイストリングノートのリフィル(この紙は、たいがいのボールペンで普通に筆記する分にはほとんど裏抜けしないが、コクヨのキャンパスやモレスキンの紙よりも若干裏抜けしやすい)に各ボールペンで筆記後、24時間放置し、その後水で紙をよく濡らしてこすった結果。左が実験前、中央が実験後表、右が実験後裏。
油性ボールペンは0.7mm黒、ゲルインクボールペンは0.5mm黒を用いているが、ジュースはコーヒーブラウン、エナージェルユーロは0.35mm、スリッチは0.4mm、Hi-TEC-Cは0.3mmのブルーブラックを用いている(手持ちにないため)。
滲みや退色が見られたのは、ジェットストリーム、ビクーニャ、G-3、G-Knock、エナージェルユーロ、スリッチ、ハイテックC。
やや裏抜けしたのはジェットストリーム、ビクーニャ、ハイテックC。この三銘柄の裏抜け具合は、実用上はさほど問題ないレベル。裏抜けしたのはG-3、G-knock、エナージェルユーロ、スリッチ。
なお、ジュースは水性顔料だが保湿成分のせいで定着が遅く、放置時間12時間での実験では水性染料のような裏抜けが起きている。
スリッチ、ハイテックCは、12時間の放置では字が定着せず、水をかけるとインクが流れてしまい、書いた字が消えてしまう。
●筆記後24時間後の耐アルコール実験
リヒトラブのツイストリングノートのリフィルに各ボールペンで筆記後、24時間放置し、その後、アルコール除菌スプレー(フマキラーのキッチン用アルコール除菌)を吹いてこすった結果。純粋なアルコールではない点に留意。左が実験前、中央が実験後表、右が実験後裏。
油性ボールペンは0.7mm黒、ゲルインクボールペンは0.5mm黒を用いているが、ジュースはコーヒーブラウン、エナージェルユーロは0.35mm、スリッチは0.4mm、Hi-TEC-Cは0.3mmのブルーブラックを用いている(手持ちにないため)。
若干色が紫がかったのは、REX GRIP、アクロボール。
滲みや退色が見られたのは、Z-1、パワータンクスマート、ジェットストリーム、スラリ、ビクーニャ、G-3、G-Knock、エナージェルユーロ、スリッチ、ハイテックC。
裏抜けしたのはZ-1、パワータンクスマート、ジェットストリーム、スラリ、ビクーニャ、アクロボール、G-3、G-knock、エナージェルユーロ、スリッチ、ハイテックC。
アルコール実験は、実際にアルコールなどがかかった場合の耐久性や、インクが付いてしまったときにアルコールで落とせるかどうかを試す目的もあるが、油性ボールペンが、どの程度経年劣化しやすいかを擬似的に確認するという目的もある。
油性ボールペンは、時間が経つと字が滲んだり、裏抜けすることがある(黎明期のボールペンによく起きた現象で、そのためしばらくの間、公文書への使用が認められなかった。現代の国産油性ボールペンではまず起きないが、低粘度油性ボールペンでは起きることがある。おそらく低粘度にする過程で有機溶剤が揮発しにくくなるなどの理由があるものと思われる)。これは油性ボールペンに使われている有機溶剤が原因なので、アルコールを吹くことで、擬似的に「最悪の状況」を作り出すことができるわけである。
上向き筆記とは、ペン先が重力に対して水平以上の角度で筆記することを指すもので、たとえば、壁に掛かっているカレンダーに対して筆記するのも「上向き筆記」となるし、手に持った手帳などに書き込むときも、ちょっとした加減でペン先が水平以上になることはよくある。
ボールペンは、ペン先が何かと触れているときだけインクが流れる構造になっている。そのため、筆記中にペン先を水平以上の角度にすると、リフィル内に空気が入り込んでインクが出なくなったり、芯の中でインクが分離したり、インクが渇いたりする原因となる。
インクが残っているボールペンが途中で使えなくなる最大の原因はこれで、次がキャップの閉め忘れ(ノック式の場合はペン先のしまい忘れ)。ボールペンは構造上、キャップをしなくても長期間インク詰まりしないが、ペン先にホコリその他が付くことでインクが流れ出し、それが固まってインク詰まりの原因になる。あとは、筆記以外に使用するなどしてペン先を壊すケースもありがち。保管方法がしっかりしていれば、わりと長期間保管していてもインクはちゃんと出る。
というわけで、ボールペンは基本的に机の上でのみ使用するようにし、壁掛けカレンダーに何か書き込んだり、手に持った紙に何か書いたりする場面では、上向き筆記できる筆記具を使うようにした方がいい。シャーペンとボールペンを両方持ち歩くなどすると、状況に応じて使い分けられて便利だし、ボールペンの寿命を無駄に縮めなくても済むようになる。
意外と「修正液」のワードで検索されることが多いので、それ用に項目を作ることにした。
修正液や修正テープは、1.0mmや0.7mmの油性ボールペンが主流だった頃はほぼ問題なく使用できたが、0.5mm以下のペンが好まれるようになってきた現代においては、使用に注意を要する文具となっている。修正した上から細いペン先のボールペンで筆記すると、ペン先が尖っているため固体化した修正液を削りやすく、それがボールに付着し、詰まってしまうからである。
修正した部分に筆記し直す際は、0.7mm以上のボールペンを使用するのが好ましい。どうしても細字で書き直したい場合は、書けなくなることを覚悟した上で、よく乾かした上で力を入れずに書けば壊さずに済むかもしれない。
私は修正後の筆記に0.4mm以下のボールペンを使用して3本ダメにしたため、今では修正後には必ず油性の0.7mmを使うようにしている。
買った直後からすでにインクが出ない、もしくは長時間放置して出なくなったボールペンは、基本的に復活させようと努力するよりはリフィルを買って入れたほうがてっとり早い。ペン先が壊れているかインクが劣化しているかしている可能性が高く、無理に復活させても調子が悪く、すぐに出なくなるのが目に見えているからである(特に、変に筆記感がカリカリしていて、かつインクの出が悪いボールペンは、ペン先が壊れていることが多い)。
そもそも長期間放置していたボールペンは、今後も使わない可能性が高いのだから、手間を掛けるだけ無駄とも言える。今後本気で使う気があるのなら、リフィル代くらいケチるべきではない。
また、製造年から3~5年経過したリフィルはすでに寿命であることが多く、書けなくなった場合はやはり新品リフィルに交換したほうがてっとり早い。
ただし、普段使っているものが突然出なくなった場合や、キャップの締め忘れ等に早期に気付いた場合などは、以下の方法で復活する可能性がある。
●リフィル内に空気が入った
キャップ式ならキャップを締めて、振る(ボールペンはペン先に何かが触れていないとインクが出ることはないので、ペン先が壊れていなければインクが飛び散ることはないはずだが、いちおう注意すること)。粘度の低いボールペンの場合は復活しやすいが、油性は諦めたほうがいいかもしれない。
そもそも上向き筆記や、ペン先にゴミが付くような保管方法はすべきではない。
なお、キャップ式ボールペンの場合、キャップに不具合があったり、非純正リフィルを使っていたり、純正リフィルでも入れ方等に問題があると、キャップとペン先が触れて空気が入ることがある。
●ペン先にゴミが詰まった・インクが固まった
ティッシュで拭く。ペンを垂直に立てて、折ったティッシュに試し書きしてみる。ペンを垂直に立てて、紙の上で試し書きする。ペンを垂直に立てて、軽く濡らした紙の上で試し書きしてみる。
濡らした紙の上で書くのは、HI-TEC-Cやフリクションなど、すぐインク詰まりする一部のPILOT製ボールペンには特に有効。
修正液や修正テープを使った後に0.4mm以下の細いペンで上書きすると詰まりやすいので、なるべく修正後の筆記には0.7mm以上を使用する。どうしても細字を使用するなら、壊すことを覚悟した上で、修正液はなるべく薄く塗り、液やテープがしっかり乾いて定着したことを確認した上、なるべく力を入れずに書くことを推奨する。そして使い終わったら必ずペン先を拭いておく。
その他予防策としては、ゴミっぽい、ほこりっぽい紙面は書く前に手で拭くなどする。ペン先にインクやゴミが付いた場合、早めにペン先を拭く。
●手で暖める
この方法で復活することもたまにある。
●その他
紙質が合っていない、書くときにペンを寝かせすぎている、細いペンで大きい字を書こうとしすぎている(ペン先を早く走らせすぎている)など、ボールペン自体は壊れていないが、別の原因で不調になることもある。
なお、ライターやはんだごてでペン先を熱するとか、熱湯に漬けるといった方法は、ペン先やインクを痛める可能性が高く、とどめを刺すだけのことが多いので、推奨しない。
私としては、復活方法を考える以前に、ボールペンが壊れないように使用し、保管する方法を考えたほうがいいと思う。
使用法については、なるべく筆圧をかけないようにする。なるべくペン先を素早く動かしすぎずに書く(ペンを素早く動かしすぎたためにボールを壊してダメにするケースは意外とある。特に0.5mm以下の極細ボールペンは注意)。加圧式ボールペン以外はペンを水平以上に傾けて筆記しないようにする。修正ペンなどで消した上に書く際はなるべく0.7mm以上のペンを使用し、ちゃんと乾いていることを確認し、筆圧をかけないように書く(修正ペンの液やカスがボールに絡まってダメにしてしまうケースは結構ある)。紙やペン先のホコリやゴミを取ってから書く。
保管については、高温多湿を避け、ペン先にゴミなどが付かないようにすること。キャップ式のキャップは、乾燥を防ぐためというよりは、落としてペン先を壊したり、ゴミが付いたりペン先が何かに触れることでインクが流出し、それが固まることでボールが動かなくなったりすることを防ぐためにある。いずれにしても、使い終わったらちゃんとペン先をしまい、キャップ式ならキャップを閉める。落とすのはどの文房具にしても厳禁。
また、購入するときはなるべくリフィルの製造年を確認し(見えない場合は店の人に頼んでリフィルを取り出してもらうといい。勝手に分解しないように)、試し書きができるなら必ず試し書きすること。また、試し書きする際は、メモ帳などを持参するのがおすすめ(店によってはインクののりの悪い、つるつるした紙を試し書き用として提供しており、紙が悪いだけなのかペンが悪いのか判断できないことがある)。
低粘度油性につきまとう問題として、経年劣化による裏抜けや滲みというのがある。筆記してしばらく経つと、染料と有機溶剤が分離して、ひどい時には判別不能になるほどの裏抜けと滲みが発生するのである。
これは初期のジェットストリームでしばしば起きた問題で、そのため低粘度油性自体が、本当に信用して使っていいものかどうか、未だに疑いがもたれている。
油性ボールペンがこの問題に直面したのは初めてのことでなく、黎明期にも同じ症状を起こしていた。出始めの頃のボールペンが公文書への使用を認められていなかったのは、このためだったとか。
メーカーの開発によりボールペンの信頼性は向上し、現在では公文書への使用が認められている。
ただ、油性ボールペンに使われるインクは高粘度ゆえにダマやボタ落ちが起きやすく、筆跡が汚くなるという欠点がある。それを改良したのが低粘度油性だったのだが、この新技術の投入が、油性ボールペン黎明期に起きていた問題をぶり返してしまったわけである。
そこで私は2012年以降、どういう条件で筆記し、保管すればこうした劣化が起きるのかを調べている。数種類の紙に筆記し、普段使いのノートと一緒に置いてみたり、風通しの悪い部屋のガラス戸付き本棚に保管したり、洗面所のカゴに入れてみたりなどしてみた。最長で2年経過した今のところ、経年劣化はまったく起きていない。
ボールペンが特にニュースリリースもなく、いつの間にか改良されていることは実際ある。
たとえば初期のゼブラのUK芯(ジムニースティック)は、裏抜けが酷すぎて使い物にならず(コクヨのキャンパスノートで、裏面が使えなくなるほど抜けた)、買って数日で捨てたくらい話にならない製品だったのだが、数年してから再び購入して使ってみると、全く裏抜けが発生しないようになっていた。
PILOTのアクロボールも、初期のものはダマボタ裏抜けで話にならなかったが、0.5mmが発売された際に再び購入してみると、嘘のようにまともな筆記具に生まれ変わっていた。
そうした経験と、2年間の実験の結果から、ジェットストリームをはじめとする現行の低粘度油性は、初期にあった油分と染料の分離問題を解消したと判断していいのではないかと考えている。
ただ、耐水性、耐アルコール性が従来の油性に比べると低いことは実験結果から明らかなので、極力トラブルを起こして欲しくないのであれば、顔料インクか、ゼブラのH芯、K芯や三菱鉛筆のSAなどの信用できる油性染料ボールペンを使用した方がいい。
[2014.11.17 追記]
2014年11月8日に筆跡の確認をしたところ、2014年1月8日に低粘度油性ボールペン各種で筆記し、北側の物置部屋の本棚に保管していたものの一部で、若干ながら筆跡の劣化が見られた。9月に確認した際には劣化は認められなかったので、2ヶ月の間で裏抜けが進行したようである。
ダイスキン・ダイアリーに筆記したものにジェットストリームの筆跡に黄色染料の分離があり、コクヨ・キャンパスノートに筆記したジェットストリームの筆跡が若干裏抜けしていた(もともと裏移りはしていたものの、裏面にインクが滲んでいる感じはなかったのが、わずかに滲んだ感じになっていた)。
同じ日に同じ筆記具で筆記し、同じ方法で管理していたモレスキンでは劣化は見られず、同じ日に筆記し、普段使っている部屋の棚に保管してあったツイストリング・ノートの筆跡でも劣化は見られなかった。
また、同じ管理方法(北側の部屋の本棚)でそれぞれのノートに筆記し保管していた2013年、2012年、2011年に筆記した筆跡に関しては劣化は認められていない。
一番劣化しそうと考えていた、脱衣所のかごに放置してあるコクヨ・キャンパスノートについても筆跡の劣化は見られなかった。
今回の劣化の度合いは深刻なものではなく、キャンパスノートではもともと裏移りしていたのがわずかに濃くなった程度のもので、ダイスキン・ダイアリーについては明らかに劣化したことがわかるものの、わずかに黄色の染料が滲んだだけなので、実用上の問題にはならない。そもそもダイスキン・ダイアリーの紙はかなり薄いので、もう少し厚めの紙質ならほとんど気にならない程度に収まっているものと思われる。
今回劣化が確認できたのはジェットストリームの筆跡のみで、アクロボール、ビクーニャ、スラリの筆跡は劣化していなかった。だからこれらのボールペンが劣化しないとは言い切れないが、ジェットストリームは低粘度油性の中でも劣化しやすいボールペンなのかもしれない。
(クリックで拡大画像が表示されます)
2014.1.8にコクヨ・キャンパスノートに筆記したもの。写真だとわかりにくいが、ジェットストリームのみ、若干裏抜けが進行している。比較として一番下に、2014.11.10に同じジェットストリームで筆記したものを掲載している。
リポータースマートが同等程度に抜けているように見えるのは最初からで、時間経過によって変化したわけではない。このボールペンのインクの色は濃いので、裏移りしやすいが、抜けやすいということはない。ただ、私の手持ちの個体はダマができやすく、そこは抜けるのだが。
アクロボール1.0mmは裏移りしているだけで、抜けたり劣化したりといった感じではない。
(クリックで拡大画像が表示されます)
2014.1.8にダイスキン・ダイアリーに筆記したもの。ダイスキン・ダイアリーはダイスキンよりも紙が薄く、もともと容易に裏移り・裏抜けする。
写真だと、ジェットストリームがじんわりと裏抜けしているのは確認できると思うが、これが黄色がかっているところまでは確認しづらいかもしれない。実際は若干黄色染料がにじみ出た感じになっている。こちらも一番下に比較の筆跡を載せている。
こちらも、リポータースマートはダマの部分以外は裏移りしているだけで、劣化したわけではない。劣化したジェットストリーム並みに裏移りしてはいるのだが。
[2015.11.1 追記]
試験の結果から実用上問題ないと判断し、1年ほど各種低粘度油性ボールペンを日常的に使用することにしたのだが、いずれの筆跡についても劣化は認められていない。2014年11月に報告した劣化についても、実用上問題になるほど深刻ではなかったし、ああした症状も他に確認されていない。
私は経年劣化についてはもう、神経質になる必要はないと判断している。
[2016.12.22 追記]
2012年以降から保管してきたノートの筆跡に変化無し。また、各メーカーの低粘度ボールペンを順繰りに使った普段使いのノートに関しても、1~2年経過後も劣化はみられなかった。ノートを普通に保管している限り、低粘度油性の経年劣化問題は起きないものと判断する。
粘度の高い油性インクを使用したボールペン。その多くは染料を使用しているが、ぺんてるローリーなど、顔料を使用したものもある。
水性染料インクに比べると、耐水性が高い、滲まないためより細い字が書ける(油性の0.7mmでゲルインクの0.5mm程度)、乾きが速い、といった利点がある。
黎明期の油性ボールペンは油分と染料が分離し、数年で滲んだり裏抜けしたりして字が読めなくなってしまうことがあったが、近年のメーカー品の多くはその点も改良され、顔料インク並に保存性のいい筆記具へと進化した(ただし、海外産の超安物ボールペンや、国産でもなめらかインク、濃く書ける、などと謳っているボールペンの中には、染料と油分が分離するものもある)。
紙質の良し悪しにあまり影響を受けないのも利点のひとつ。また、多少筆圧をかけても問題ない筆記具であることから、カーボン紙を用いた転写に使われる。
欠点は、粘度が高いせいで起こるダマやかすれ。これらのせいで、油性ボールペンの筆跡は汚くなりがち。油性ボールペンを使って字が汚くて悩んでいる人は、ゲルインクボールペンに変えるなどするだけでもずいぶん改善されたりする。
ゲルインクや低粘度油性インクの進化に伴い、油性ボールペンの活躍場所は減ってきているが、低粘度油性の信頼性の低さを嫌うなら選択肢のひとつとなる。
[種別]ノック式油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒のみ)
[純正芯]
4C-0.7芯(全長67mm 軸径2.4mm)
[コメント]
ペンにライトが仕込まれており、ノックすると光る油性ボールペン。夜の宅配など、暗いところでものを書く状況を想定して作られている。
ライトは、ペン先を出したときに2回に1回光る仕様。光らせずに使うこともできる。
なお、メーカーによると、最初から入っている電池はテスト用だから、買ったらすぐ取り替えろとある。そのまま使っても問題なさそうなものだが、わざわざ注意書きするくらいだから何かあるのだろう。というわけで、一応言及しておく。
暗いところでも書けて便利なペン……ではあるのだが、使っていると難点もある。ペンの先が光るわけだが、光が直接目に入って眩しく、書きづらいのである。紙面だけ照らして、使用者の方に光が行かないようにするべきだったような気がする。
私は黒い紙をマスキングテープで留めて覆いを作って使っている。不格好だが使いやすくなった。
軸は金属製で丈夫。無骨なデザインだが、用途が絞られているペンなので、これで問題ないだろう。持ち手はやや太めだが、サラサクリップほどでもない。グリップは滑り止めの付いた金属で、ホールド感はいい。
そもそもこのペンで長々と筆記することはないだろうから、そこまで使い心地は重要ではないだろう。普通に使えれば充分である。
リフィルは4C芯ということで、いろいろ入れ替え可能。用途からすると純正のままで良さそうではある。
私の要望としては、使用中に眩しくないように改良して欲しいのと、加圧ペンにして欲しい。ウェットニー・ライトライトが出れば、アウトドア用ペンとしては無敵である。
↑黒い画用紙をマスキングテープで留めたライトライト。とてつもなくダサくなったが、これで眩しくなくなる。
↑ペン先の拡大写真。この半透明のところが光るわけだが、ペン先の側面まで光ってしまうので、書くときに眩しくて邪魔になる。
↑覆いがない状態での点灯時。
↑側面を覆うと、紙面には光が当たるけど、こっちには光が飛んでこなくて眩しくない。
↑使用例。少なくとも、覆いがあっても紙を照らすことは可能、ということは分かってもらえると思う。
できればゼブラには最初からこういう仕様でペンを作って欲しかった。
[種別]ノック式油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒のみ)
[純正芯]
4C-0.7芯(全長67mm 軸径2.4mm)
[コメント]
ライトライトの改良版。ライトライトとの違いは、蓄光パーツが追加されたことで、暗闇でペンを見つけやすくなったことと、赤色LEDタイプが追加されたこと。そして、100円高くなったことである。
白色LED版については、蓄光パーツに+100円の価値を見い出せるかどうかがポイントになる。必要ないならライトライトの方が安い。
暗闇の中でペンが探しやすくなるのは利点と言えば利点だが、スマホが懐中電灯にもなる現代において、この機能がそこまで重要かは疑問である。ないよりはあった方がいいが、100円上乗せするほどのものかは疑問。
新規追加された赤色LED版は、白色LED版が眩しすぎて使いづらいと感じた人にはおすすめ。発光部分を直視しても眩しくないので、かなり使いやすくなった。目には良くないので、できるだけ発光部分は見ない方がいいことに変わりはないが。
白色LED版も、もう少し光量を抑えてくれれば良かったように思う。
こうした細かい改良をしてくれるのはありがたいが、値段が上がるのはありがたくない。
[種別]キャップ式油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(全3色)
[純正芯]
H-0.7芯(全長139mm 軸径3.0mm)
[互換芯]
ゼブラ ZA芯(全長139mm 軸径4.0mm Z-1の芯。リフィルの販売無し)
[コメント]
ラバー軸を採用したキャップ式油性ボールペン。ラバーグリップを採用した最初期のボールペンで、プラスチック軸に比べると手が痛くなりにくく、滑りにくい。今となってはラバーグリップは珍しくなく、多様に進化した現代のボールペンからするといかにも原始的ではあるが、シンプルな細軸丸型のボールペンでラバー軸という組み合わせは意外と他になく、細軸が好みの人にとっては今でも唯一無二のボールペンであり得る。
軸が不透明なためにインク残量がわからない点と、ラバー軸はプラスチックに比べると痛みやすく、特に芯を何度も入れ替えて使っていると、ペン先や頭の部品と軸との接合部に亀裂が入り、壊れてしまうことがあるのが欠点。あまり意味なく分解したり、強くねじを締めたりしないほうがいい。
リフィルはゼブラ伝統のH芯。油性ボールペンとしてはダマやかすれが少なく、きれいな筆跡で安定して書き続けられるが、ゲルインクや低粘度油性と比べると筆跡は汚い。字の汚い人は油性ボールペンからゲルインクに変えるだけで劇的に変わる。ただし、耐水、耐アルコール、耐候性は申し分なく、顔料インク並みに経年劣化には強い。
キャンドゥで売られているZ-1のリフィルを入れることで低粘度油性化することもできるが、あまり意味のない行為ではある。リフィルは単品で売られていないので、結局軸ごと購入する必要があり、それだったら素直にZ-1をそのまま使ったほうがいいだろう。
余談だが、ラバー80は私が中学の頃、初めて自分の小遣いで買った文具であり、初めて芯を入れ替えたボールペンでもある。以来10年以上、私はH芯を使い続けることになる。
[種別]キャップ式油性染料ボールペン
[ボール径]0.5/0.7/1.0mm(全3色)
[純正芯]
SH-0.5芯、H-0.7芯(全長139mm 軸径3.0mm)
[互換芯]
ゼブラ ZA芯(全長139mm 軸径4.0mm Z-1の芯。リフィルの販売無し)
[コメント]
万年筆のような形状とラバーグリップ、そして透明軸を組み合わせたボールペン。
低価格であること、軸が透明であること、そしてドクターグリップなどが隆盛して太めの軸が流行していた頃に、太すぎない絶妙なサイズで繰り出してきた「事務用ボールペン」は画期的な商品だった。今でも充分通用するデザインだと思うが、キャップ式がマイノリティになったこともあり、現在は廃番している。
グリップ部のラバーが白濁の半透明なため、ジムニーライトと比べるとインク残量が分かりやすいというメリットがあったが、ラバーに手垢が付いて汚れやすく、また、ライトのラバーと比べると耐久性も若干低めで、替え芯を2~3回入れ替える頃にはラバーがぶかぶかになって持ち味が悪くなったり、キャップが閉まらなくなったりする欠点があった。
「事務にイイ」からジムニーなのだが、スズキのクルマと同じ名前であるため紛らわしい。たまにクルマの情報を求めて私のサイトに紛れ込む人がいる(笑)
余談だが、ラバー80を愛用していた私にとって、このボールペンの登場は衝撃的だった。ラバー80と同じ芯で、持ちやすくて、しかも透明軸、かつ安い。
当時ドクターグリップ等を買ってみたものの、高いくせにインク性能はイマイチだし軸は太すぎるしインク残量は見えないし……と不満に思っていた点を全てクリアした奇蹟のボールペンだったのである。
[種別]キャップ式油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(全3色)
[純正芯]
LH-0.7芯(全長139mm 軸径3.0mm)
[互換芯]
ゼブラ H芯(全長139mm 軸径3.0mm)
ゼブラ ZA芯(全長139mm 軸径4.0mm Z-1の芯。リフィルの販売無し)
[コメント]
ジムニーのバージョンアップ版。オリジナルとの違いは、グリップのラバーが黒くなったことと、専用のなめらかインクを使用したLH芯を搭載していること。
ラバーが黒くなったことにより若干インク残量が確認しづらくなったが、手垢汚れが目立たなくなり、ラバーの耐久性が向上している。LH芯については、正直H芯との違いはよくわからない。
もともと完成度の高いジムニーが改良され、最強のキャップ式油性ボールペンと言っても過言ではない完全性を誇っていたが、ジムニースティックが発売した前後で廃番となっている。ゼブラ最大の失策である。
[種別]ノック式油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(全3色)
[純正芯]
K芯(全長98mm 軸径3.0mm)
[互換芯]
ゼブラ UK-0.7/1.0(全長98.2mm 軸径3.0mm 1.2と1.6はバネ留めがないのでそのままでは使用不可)
PILOT BSRF(全長98.5mm 軸径3.1mm)
ぺんてる BPS(全長98.0mm 軸径3.0mm)
[問題有り]
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm 適切な長さに切れば入る)
ゼブラ プレフィールのリフィル(全長98.0~98.2mm 軸径3.0mm バネ留めがない)
[コメント]
ノック式のジムニー。ジムニーライトは廃番になったが、こちらは現役。軸の使い勝手はジムニーライトとほとんど差はないが、少しだけラバーグリップからペン先までが遠いため、若干使い辛い感じもする。
リフィルのK芯はゼブラのノック式油性ボールペンとしては標準的なリフィルのひとつ。油性としては比較的安定して使え、耐水、耐アルコール、経年劣化については顔料インク並みに信頼できる。ただし、ゲルインクや低粘度油性と比べると筆跡は汚くなりがち。また、UK芯に比べると若干インクが薄め。
かつてのUK芯はインクが出過ぎて裏抜けやダマが酷かったが、現在ではそういうこともないので、替芯を入れるならUK芯の方がお勧め。ただし、そこまで大きな差はない。
また、EQ芯を適切な長さに切って移植すれば、エマルジョンインクを搭載することも可能。
[種別]キャップ式油性染料ボールペン
[ボール径]0.5/0.7/1.0/1.2/1.6mm(全3色)
[純正芯]
UK芯(全長98.2mm 軸径3.0mm)
[互換芯]
ゼブラ K芯(全長98.0mm 軸径3.0mm)
ゼブラ プレフィールのリフィル(全長98.0~98.2mm 軸径3.0mm)
三菱鉛筆 スタイルフィット(全長98.6mm 軸径3.0mm)
PILOT BSRF(全長98.5mm 軸径3.1mm)
[コメント]
LH芯よりも、さらになめらかさを追求して登場した「新油性」ボールペン。0.5、0.7、1.0、1.2,1.6mmと、豊富なボール径を揃えているのが特徴。
UK芯は、発売当初はコクヨのキャンパスノートで思いっきり裏抜けした上、0.7mmでもすぐボタ落ちしたため使い物にならず、買って速攻捨てたという、私としては苦い思い出のあるボールペンである。
その後どうやらUK芯は改良されたらしく、現在では裏抜けもしないし、ボタ落ちもしない。性能としてはK芯よりちょっとだけ濃い程度だが、K芯の上位互換として安心して使えるものになっている。
この軸の存在がにわかに重要になってきたのは、ゼブラがホルダーとリフィルを選べる「プレフィール」というシリーズを発売したためである。これで使われているリフィルはK芯と全く同じサイズなのだが、バネ留めがないためジムノックシリーズにはそのままでは使えない。ジムニースティックならバネ留め無しで使えるので、つまりこの軸は、プレフィールの単色ホルダーとしての役割を果たせるわけである。ゲルインクもエマルジョンインクも使い放題。
せっかく活路が見出されたというのに、このボールペンは現在廃番している。
[種別]キャップ式油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒)
[純正芯]
F-0.7芯(全長88.9mm 軸径5.3mm)
[互換芯]
ゼブラ F-1.0芯(全長88.9mm 軸径5.3mm)
[コメント]
万年筆に似た形状をした、格好付け油性ボールペン。フォルティアシリーズは手帳使いを意識しており、コンパクトなラインナップが多いのだが、これは高級感を重視したデザインとなっている。
リフィルはF-0.7芯で、標準的なゼブラの油性リフィル。油性としては比較的きれいな筆跡で、劣化に対しては顔料インク並みの信頼性を誇るが、ゲルインクや低粘度油性に比べると筆跡は薄くて汚くなりがち。
軸は、適度な太さで扱いやすい。特に、あんまり太いグリップは苦手という人には最適。キャップ式なのは、胸ポケットに入れて大惨事が起きたりしない点では優位なものの、外で使うには邪魔に感じるシーンはあるかもしれない。また、お尻にキャップをはめ込みにくい感じがする。そういう使い方を前提としていない作りなのかもしれない。ちなみに私は重心が高くなるのが嫌で、万年筆でもジムニーライトでも、キャップをお尻にはめて使うことはない。
このボールペン最大のウリである高級感については、500円とは思えない外観で良好。筆記具の外見を気にしなければならない職種で、でも、油性ボールペンに何千円も出すのは馬鹿げていると考える生粋のボールペンマニアにとっては嬉しいモデルと言える。
ボールペンに高級感を求めること自体どうかと思わないではないが、格好付けボールペンとしては破格のコストパフォーマンスなので、変な海外製品を買うくらいだったらこちらをおすすめする。
なお、私が購入した理由は、値段のわりに高級感があるという点も確かにあったが、この価格帯で丈夫な軸が買える、という点もあった。プラスチック軸のペンは胸ポケットやカバンに挿して持ち歩くと割れることがままあるので、こうした用途に金属軸のペンを使うのは、実用的に理に適った面もあるわけである。
[種別]ノック式多色油性染料ボールペン(2色・3色・4色)
[ボール径]0.7mm(黒・青・赤・緑)
[純正芯]
SK-0.7芯(全長89.8mm 軸径3.0mm)
[互換芯]
ゼブラ SK-0.4芯(全長89.8mm 軸径3.0mm)
[備考]
スタイルフィットやプレフィールのリフィルは、切って長さを調整すれば入る。ただし、スタイルフィットのリフィルは若干太めらしく、リフィルがスプリングに引っかかってノックを壊してしまう可能性がある。
[コメント]
バインダークリップ採用&ノック式なのにジムノックと大差ない太さのラバーグリップという仕様の軸で、多色ボールペンは使いたいけどグリップが太いのは嫌という人にとっては待望の油性多色ボールペン。回転式だとこのくらい細い多色軸もあるが、ノック式となるとなかなか貴重。
おそらく単色ノックボールペンを使っている人の多くは、多色ペンの太い軸を嫌ってのことだと思うのだが(経済性重視や、複数の色を必要としないなどの理由もあるだろうが)、そういう人にとっては非常に有り難い一品となる。
ただ、純正で入るリフィルが油性のみというのが、もったいないと言えばもったいない。無加工でプレフィールが入るとなれば素晴らしかったのだが。
純正リフィルはSK-0.7芯。ゲルインクや低粘度油性に比べると筆跡は汚くなりがちだが、信頼性は高い。SK-0.4芯が入るので、細字にすることも可能。
そして、このボールペンの一番の注目点は、カッターなどで切って長さを調整すれば、プレフィールのリフィルが入るという点である。プレフィールの軸はグリップが太すぎたり、造りが安臭かったりするので、このくらいしっかりとした軸を使えるとなると、なかなかに夢の広がるところではある。もっとも、本来はメーカーの方で、このくらいちゃんとした軸をプレフィール用に作るべきだとは思うのだが。
その他のリフィルも、軸径さえ同じであれば、長を調整すれば入るわけだが、カタログ上は同じ軸径3.0mmでも、微妙に太かったり細かったりすることがあり、使えない場合があるので注意。スタイルフィットのリフィルは若干太いらしく、入ることは入るが、リフィルを填める際に内部のスプリングに引っかかり、壊してしまう可能性がある。
なお、数量限定発売されたフロリスタの正体は、クリップオンスリムのカラーバリエーションである。
[種別]ノック式油性染料ボールペン
[ボール径]0.5/0.7/1.0/1.4mm(全3色)
[純正芯]
SA-5/7/10/14CN(全長143.5mm 軸径3.0mm)
[コメント]
ラインナップに1.4mmがあるのが特徴のノック式ボールペン。性能としてはジムノックと大差ないが、ジムノックよりインク量が多いという利点がある。また、ジムノックに比べると、ややダマができにくいように感じる。
ジムノックやタプリクリップよりも軸がひとまわり太い(グリップ部で細くなるため、筆記時の体感としては同等)が、サラサクリップやジェットストリームよりは細く、ちょうどいい感じではある。
また、グリップからペン先までの距離が短いため、ペン先に近いところを握りたい人にとっては、ゼブラのジムノックやタプリよりも扱いやすく感じるだろう。
[種別]ノック式油性顔料ボールペン
[ボール径]0.7/1.0mm(全3色)
[純正芯]
BPS(全長98.0mm 軸径3.0mm)
[互換芯]
ゼブラ K芯(全長98.0mm 軸径3.0mm)
ゼブラ UK-0.7/1.0芯(全長98.2mm 軸径3.0mm 1.2と1.6はバネ留めがない)
[コメント]
顔料インクを使用した珍しい油性ボールペン。ジェットストリームなども「顔料インク使用」を謳っているが、耐アルコール実験の結果から、おそらく染料も併用しているとみられる。そのせいで、裏抜けや字の滲みなどが生じることがあり、信頼性に欠けるわけだが、ローリーは本当に顔料インクのみを使用しているようで、水はもちろん、アルコールを吹いても滲みも裏抜けもほとんどない。
顔料インクなので油性染料よりも濃く、この点は低粘度油性とほぼ同格。ただし、ダマは普通の旧油性と同等に生じるため、筆跡はさほどきれいとは言えない。もちろん低粘度油性のような滑らかな筆記感も望めない。字が薄くならないので、気持ちとして、あまり力を入れて書かなくて済むという効果はあるかもしれない。
このボールペンは、低粘度油性は信頼性に欠けるから使いたくないけど、普通の油性よりはマシな筆跡の油性ボールペンが欲しい、という人にとっては、唯一と言っていい選択肢となる。ジムノックや楽ノックなどから乗り換えたからといって、さほど劇的に改善されるわけでもないが、筆跡の薄さに悩まされていたのであれば、それは改善されるし、顔料インクなので信頼性については文句ない。
軸は、ひょうたん型グリップが特徴的なデザインだが、見た目よりは使用感は普通。ジムノックよりもペン先からグリップまでの長さが短いので(楽ノックと同じくらい)、短めに持ちたい人には嬉しいところ。
K芯と互換性があるので、ジムノックにローリーのリフィルを入れて使うこともできるし、その逆も可能。
いつの間にか廃番になっているが、替芯はまだ生産している模様。
油性ボールペンの弱点である、粘度が高いことによるかすれやダマを軽減し、なめらかな書き味と比較的きれいな筆跡を実現した油性ボールペン。ただし低粘度化した代償として若干信頼性を損なっており、耐水性や耐アルコール性が低くなっている。油性よりも筆跡が濃い代わりに裏写りや裏抜けもしやすく、薄い紙を両面使う際には適していない(薄い紙を両面使うなら、水性顔料インクを使用したペンが適している)。
また、筆記後しばらくすると溶剤と染料が分離してインクが盛大に滲むことがある。これは特にジェットストリームで報告されている現象だが、どういう条件で起きるのかはよくわからない。起きない人には全く起きない現象で、リフィルの個体差や保存環境に関係がありそうだが、ともかく、表裏使用するノートや、長期保存したい文章に使用する場合は注意を要する。
ただ、私が実際に使った経験から言うと、低粘度油性が登場した初期は、たしかに経年劣化が酷かったが、最近になってそうした問題が起きたことは一度もないので、そろそろ低粘度油性も技術的に安定して、安心して使えるようになったのではないかと考えている。
経年劣化やその他トラブルでどの程度滲みや裏抜けが発生する可能性があるか確かめたい場合は、筆跡の上からアルコールを吹くといい。起こりうる最悪の状況を擬似的に作り出すことができる。
[種別]ノック式エマルジョンインクボールペン
[ボール径]0.5/0.7mm(全3色)
[純正芯]
NC芯(全長111.0mm 軸径4.4mm)
[互換芯]
EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm)
[問題あり]
PILOT BRFV-10(NC芯の長さに切れば入る)
[使用不可]
ゼブラ JF芯、三菱鉛筆 UMR、SXR(太いため入らない)
[コメント]
筆記振動や各部のガタつきを低減することをテーマにしたボールペン。0.5mm、0.7mm、インクは基本の3色のリリース。黒インクのみ、軸の色を黒、灰、白の三色から選べる。
2019年8月30日に、数量限定で色付きの軸が発売された。
私はボールペンのガタつきが気になったことはほとんどないから、このペンの試みがどのくらい成功しているかはわからないが、確かにこのペンでの筆記時にガタつきを感じることはない。
また、ペン先に金属の重りが入っているようで、心持ち低重心になっている。持って重いと感じるほど強調されているわけでもなく、なかなか使い心地はいい。
ただ、低減したと謳っているノック部のノイズは消せておらず、振るとカチャカチャ鳴る。ネットでは「鳴らない」と言っている人もいるので、個体差があるのかもしれない。気になる人は店頭で確かめた方がいいだろう。
あとは、ペン先が見えない、見づらいという意見もある。私は特に気にならなかったが、確かにペン先が太めで埋もれ気味になっているから、ペンの持ち方や姿勢などによっては見えづらい可能性がある。この点も店頭でチェックした方がいい。
グリップは、シグノRT1とよく似た形状をしている。ペン先にかなり近いところまでラバーになっているから、ペン先を持つ人でも扱いやすい。
持ち手の太さもシグノRT1と同等。サラサスティックより気持ち細いくらい。つまりは結構太い方だから、好みが分かれるところだろう。
また、ラバーの素材もシグノRT1と似ていて、ホコリがかなりくっつきやすく、手では取りにくい。水で洗えば簡単に落ちるが、ブレンのグリップ部にはバネと金属製の重りが入っているので水洗いは避けたい。セロテープなどを使うといいだろう。
リフィルのNC芯は、EQ芯とほぼ同じ形状で、基本的にはEQ芯と互換性がある。ただ、少しだけパイプの径が太くなっており、これが筆記振動を抑えるために何らかの役割を果たしている可能性もある。
EQ芯の入る軸にはNC芯は問題なく入る。スラリやスラリ300で使えることは確認済み。
JF芯系のリフィルを使っている軸との互換性もEQ芯と同様。ジェットストリーム、シグノRT、シグノRT1、サラサクリップの軸には入る。ノック式エナージェル軸は、バネ径が太すぎて抜ける。バネごと移植すれば入るかもしれない。エナージェルトラディオには入らない。エラベルノには一応入るが、長さが足りずにペン先がほとんど出てこなくなるから、使うなら改造が必要だろう。
軸の互換性についてはスラリなど、EQ芯対応の軸と同じ。
EQ芯とは互換性があるが、NC芯の太さが振動低減の役に立っているのであれば、あまりやらないほうがいいような気もする。
JF芯やジェットストリームのSXRは、径が太いため入らない。アクロボールのBRFVは、そのままでは使えないが、少し切って長さを調整すれば使えるようになる。少し長めに切ることで、ペン先が見えにくい欠点を改善できる。
BRFVの移植は無意味な行為だと思っていたが、やってみると想像以上に相性がいい。純正ブレンの欠点のいくつかが解消され(ダマと埋まり気味のペン先)、かつ、純正のアクロボールよりも心持ち滑らかな筆記感になる。
純正芯ではいまいち実感できなかった「書き心地の改善」とやらが、BRFVを使うことではっきりと実感できてしまった。
インクはスラリと同じ。初期のスラリに比べると、ダマやインクの糸引きは少なくなっているが、やはりジェットストリームやアクロボールと比べるとインクの出が多すぎる傾向がある。そのかわり、書き出しのかすれは少ない。低粘度油性の中では滑りすぎないのも同様。
軸のデザインはnendoによるもの。わざわざデザインした会社名を公表しているからには、ゼブラとしては自信のあるデザインなのだろうが、私は正直、この軸は「ダサい」に片足を突っ込んでいると思う。狙いすぎて外した感じ。だいたい、スタイリッシュなペンにしたいなら、駄洒落の名前ではダメだろう。
この軸はシンプルさや清潔感を感じさせるデザインになっているわけだが、これを成立させるなら、ホコリの付きやすいラバーを使ったことは大失敗だと言わざるを得ない。
ただ、2019年に数量限定で販売された色付き軸については、見栄えの問題を大幅に改善したと思う。このペンは無彩色よりも、落ち着いた色の方が合っている。限定といわず、レギュラー化すべきだと思う。
そもそも、ブレの低減という、デザインを大きく制限しそうな新技術を投入しながら、同時にデザインも優れたペンを開発し、なおかつそれを定価150円で実現しようという目標が欲張りすぎだったのではないかと思う。デザインにこだわるのは技術を確立してからでも遅くなったかのではないか。まずは機能面を重視したエントリーモデルを出して、後に「nendoスペシャルモデル」を300円から500円くらいで出すとか、段階を踏めば良かったのではなかろうか。
このペンとライバル関係になるのは、同社のスラリやスラリ300だろう。
ブレンのデザインやコンセプトがどうでもいい人や、透明軸がいいという人は従来のスラリで充分。
スラリ300は名前の通り300円でブレンの倍するが、少なくとも私はガタつきを感じないし、ノックはカチャカチャ言わないし、ラバーへのホコリはブレンよりは付かない。また、無難で実用的なデザインの軸である。ゼブラのエマルジョンインクが使える単色ペンが欲しいなら、私はブレンよりスラリ300を勧める。
一方、ブレンが優位なのは、軽量かつ低重心気味の筆記感がいいこと。太めのグリップと低重心の筆記感が好みなら、ブレンの方が使い心地がいいかもしれない。
あと、アクロインキが嫌いでなければ、BRFVを入れてアクロボール・ブレンとして使う手は結構アリだと思う。
[種別]キャップ式低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.5/0.7/1.0mm(全3色)
[純正芯]
ZA芯(全長139mm 軸径4.0mm リフィルの販売無し)
[使用不可]
ゼブラH芯、LH芯(軸径が3.0mmと細いため、固定できない)
[コメント]
海外(日本では一部の100円ショップ。キャンドゥで見かける)でのみ販売されている、使い捨て安物油性ボールペン。リフィルは販売されていない。
ラバーグリップであるものの、見るからに安物臭さの漂うボールペンなのだが、これに入っているインクは、なぜかジェットストリームに匹敵する性能を誇っている。
筆跡は濃く、書き味は、ジェットストリームほどでないにしろなめらか。適度な筆記抵抗がある分、ジェットストリームより好みという人もいるかもしれない。そのくせあまりダマが出ない。かすれは書き始め以外は無縁。
ただ、インクが濃すぎるために裏写りしやすく、また、ジェットストリームと同等かそれ以上に耐水性や耐アルコール性能は低い。
裏表使うノートや、長期保存したい文章の筆記に使用するのは推奨しないが、この価格でこの性能は驚異といえる。
[種別]ノック式エマルジョンインクボールペン
[ボール径]0.5/0.7/1.0mm(全3色+0.7mmのみ蛍光6色)
[純正芯]
EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm)
[使用不可]
三菱鉛筆 SXR(リフィルのカタログサイズだけ見ると入りそうだが、バネ留めのせいで軸に入らない)
[コメント]
ゼブラの対ジェットストリームボールペン。エマルジョンインクという、水性インクと油性インクを混ぜ合わせたインクを使用している。
インクは、かすれはほとんど起きない代わりに、ダマができやすく、インクが糸を引くこともある。これはゼブラの油性全般にある特徴でもある。ただ、初期のエマルジョンインクに比べると、最近のリフィルはダマの発生はやや少なくっている。
筆記抵抗は、旧油性より少し滑らかという感じで、低粘度油性は滑りすぎると感じる人にはいい。
出始めの頃は、0.5mmはカリカリ気味で使いづらかったが、最近のものは改良されたらしく、カリカリしなくなった。
軸は無難なデザインで、クセはない。ただ、グリップが若干太め(サラサクリップと同じくらい)で、太めの軸が嫌いな人にとっては微妙に使いにくい。
リフィルの互換性はほとんどなく、この軸に別のリフィルを入れたり、このリフィルを別の軸に入れることは基本的にはできないと考えた方がいい。
ただ、リフィルを適切な長さに切ることでジムノック等に入れることはできるので、どうしても軸が気に入らない場合は一考の余地はある。
劣化に関しては、耐水性については問題ないが、耐アルコール性は弱い。
低粘度油性インクに付きまとう、経年劣化によるインクの浸透などの問題に関しては、少なくとも私が3年ほど使った限りにおいては起きていない。
ライバルとの比較に関しては、低粘度油性の中では耐水性に問題がない部類なので、そこを必要とするなら候補に挙がるだろう。
また、低粘度油性の中ではしっかりした筆記抵抗がある方なので、旧油性に近い書き味を求めるなら。
[種別]ノック式エマルジョンインクボールペン
[ボール径]0.5/0.7mm(黒)
[純正芯]
EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm)
[問題あり]
PILOT BRFV(リフィルを適切な長さに切り、バネ留めにセロテープを巻く必要あり)
[使用不可]
三菱鉛筆 SXR(リフィルのカタログサイズだけ見ると入りそうだが、バネ留めのせいで軸に入らない)
[コメント]
スラリのビジネスシーン用モデル。300円+税と安価なわりには高級感があり、かつ、この手の軸にしては珍しくラバーグリップを採用している。
このボールペンの本来のコンセプトは、ビジネスシーンでスラリを使いたいが、安っぽい透明プラスチック軸だと困るという人向けのものだが、実用的にも大きなメリットがある。それは、スラリ軸よりもグリップが細い、ということ。
スラリを使う上で最大のネックだったのは、エマルジョンインクの入る軸がことごとく太いものばかり、ということだった(めちゃくちゃ細いプレフィールの単色軸や、廃番したジムニースティック軸にプレフィールリフィルを入れるという選択肢もあるが)。EQ芯を適切な長さに切ることでジムノック軸に入ったりはするのだが、長さ調整はそれなりに繊細で、少し間違うとペン先が飛び出たり引っ込みすぎたりしてなかなか難しい。しかし、このスラリ300の登場によって、その問題が解消したわけである。
クリップや口金は金属製で耐久性も申し分なく、ラバーグリップはややつるつる気味だが、この手の高級軸はラバーグリップがないことが多いことを考えると充分実用的と言える。高級感と実用性を両立した、優れた軸だろう。
欠点は、メタリック感丸出しのテカテカした仕上がりが、やや品位に欠けることと、0.5mmのラバーグリップの灰色がイマイチなこと。もうちょっとセンスのいい配色にして欲しかった。ただ、ラバーの色が黒や灰色なのは、汚れを目立たなくするという点では意義がある。
また、重心が高いのも、気になる人には気になるところ。この点は購入前に店頭でチェックした方がいい。私も重心が高いペンは使っていると手が疲れてくるから苦手だが、スラリ300くらいの重さなら気にならない。
完璧なペンではないが、これで300円は破格といっていい。特に、ゼブラのペンは太めのグリップのものが多いので、細いグリップが欲しい人には貴重な選択肢となる。こうなると逆に、EQ芯専用軸というのが惜しいくらいである。JF芯の入るサラサ300も欲しいところ。
スラリ300にBRFVを入れる場合、BRFVの長さをEQ芯と同じにカットする必要があるが、それだけでなく、バネ留めにセロテープを巻いて、少し太くしておくことを薦める。
スラリ300のバネはBRFVに対しては少し径が大きめで、バネ留めをすり抜けてしまう場合がある。セロテープを何重か巻いてバネ留め部を太らせておくことで、そうした不具合を起きにくくできる。
ところで、通常版のスラリ300と数量限定版とでは、パーツの仕様が微妙に異なっている。数量限定版はクリップの形状が若干スリムになっているだけでなく、グリップと軸の接合部のネジも細くなっている。
純正で使う分には何の問題もないが、ニコイチ改造したい人は注意。
↑上が通常版、下が数量限定版。
[よく使っている理由]
私は現在、2018年12月に登場したスラリ300の限定版軸に、BRFV-10EFをカットして入れて使っている。
簡単な改造でBRFVが入ることは知っていたが、私はアクロボールの純正軸に不満はなかったので、わざわざやろうとは今まで思わなかった。
しかし、2018年12月に登場したスラリ300の限定モデルの0.7mm版のカラーリングは美しく、スラリ300の一番の欠点だった、軸とラバーの配色のセンスの悪さを解消していた。これなら手間をかけてアクロ化する価値はあると判断した。
純正のスラリリフィルを使わない理由は、インクが糸を引いて筆跡が汚くなるのが気に入らないからである。
[種別]ノック式低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.38/0.5/0.7/1.0mm(全3色)
[純正芯]
SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm)
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[使用不可]
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
[コメント]
各ボールペンメーカーが競って低粘度なめらか油性インクを開発していた中でも、一線を画していたのがこのジェットストリーム。ゲルと油性の中間のような、旧来の油性とは明らかに異なるインクと滑らかな書き味で、まさしく「新油性」と名乗るにふさわしいボールペンであった。現行の低粘度油性ボールペンは、全てジェットストリームを意識して作られていると言っても過言ではない。
各社が対ジェットストリームの低粘度油性ボールペンを出してきたことで優位性が少なくなってきていたが、2013年に0.38mmのボール径がリリースされたことで、なめらか極細ボールペンという新たな境地を得た。
軸は、ラバーグリップのところで少し太くなっていて、細めの軸が好みの人にとっては辛い。ただし、リフィルのSXRは多くの軸と互換性があるので、細めの軸に入れて使えば問題ない。この軸自身の互換性も高めで、UMR-8やJF芯といったメジャーなゲルインクリフィルが入る。
書き味は、筆記抵抗が少なく、滑らかなのが特徴。未だにジェットストリーム以上に滑らかな書き味を実現しているのはビクーニャだけである。ただ、滑りすぎて扱いづらいと感じる人もいる。今となってはさほどアドバンテージはないが、当時0.5mmでこれだけカリカリせずに書けるボールペンは他になかった。
筆跡は、書き始めのみかすれが発生するが、ほぼダマが発生せず、ゲルインクのようにきれい。ただ、新品リフィルは初期の頃にインクの出方が安定しないことがあり、若干の慣らし運転が必要になる場合がある。
新登場した0.38mmは、極細筆跡をほとんどカリカリせずに書くことができる。ダマが出ると極細なだけに目立つという難点はあるが、この字の細さでこの滑らかさは他にはない。
ジェットストリームの最大の問題点は経年劣化で、時間経過によりインクの油分が分離して、字の滲みと裏抜けが発生する場合がある。
私の経験だと、2006年発売初期のものは字が判読できないくらい滲みと裏抜けが発生し、それ以後長らくジェットストリームは使わなかった。
2011年以後の製品については、そのような問題は起きていない。ただ、2014年に筆記したものの一部にわずかな裏抜けの進行が見られた(実用的には問題ないレベルではある)ので、この問題が全く解消されたわけでもないらしい。発生する条件はよくわからない。個体差なのか、保管方法の問題なのか。
いずれにせよ、現在のジェットストリームは、以前ほど信頼性の低いペンではなくなったと私は考えている。
耐水性能については、水で黄色の染料が滲み、若干裏抜けが進行する。大きな問題ではないが、従来の油性ほど信頼性があるわけでない点は注意。耐アルコール性は弱く、深刻な裏抜けが発生する。
ライバルとの比較については、耐水性の弱さと経年劣化問題をどう考えるかが最大の焦点と言える。その点を措くなら、1.0mmから0.38mmまで、それぞれ扱いやすい性能で、カリカリせず滑らかな筆記感が得られる利点は大きい。
[種別]ノック式低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.28mm(黒)
[純正芯]
SXR-203-28(全長88.0mm 軸径3.0mm)
[コメント]
ボール径0.28mmの低粘度油性リフィルを搭載したボールペン。
ラインナップは0.28mmの黒インクのみだが、発売と同時に0.28mmの赤、青インクリフィルも発売され、入れ替えることが可能。
未確認だが、このリフィルはSXR-80と互換性があるよう。見た目には同じ形状をしている。
軸は、三菱鉛筆が気合いを入れて失敗したときの典型のような見た目をしており、持ちにくいのではないか、重いのではないか、など、様々な不安を煽るデザインになっている。だが、使い勝手は意外なほど素直。価格に見合った高級感があるかと訊かれればないと答えるが、扱いやすい軸ではある。
グリップからペン先はアルミ製、胴体はプラスチック製。やや低重心仕様。低重心のペンは好みが分かれやすく、重くて疲れるだけのペンになりがちだが、この軸はバランスがいいようで、重さを感じずに使える。とはいえ、買う前にサンプルを持ってみて確認した方がいいポイントではある。
グリップは、アルミにしてはホールド感がある。
私はペン先に近いところを持つことが多いため、ペン先が細く絞られたデザインの軸は使えないことがあるが、その点も問題なかった。
クリップは、紙に挟むと折り目が付いてしまいやすいので注意。しっかり留まって落ちにくいのはいいことだが、あまり使い勝手のいいクリップとは思えない。
筆跡は、かつて存在した0.18mmゲルインクペンのシグノbitとかなり近い。とんでもない細字。0.38mmのジェットストリームは0.5mmの筆跡と大差なかったが、0.28mmの細さは別次元である。
シグノbitはかすれやすかったり、ペン先がダメになりやすかったりと、かなり神経質なところがあったが、SXR-203-28は、そうした神経質さがなく、扱いやすい。
曲線を描いたときにダマが出ることがあるが、おおむねきれいに書ける。かすれはなし。
シグノbit並の細さを求めていた人にはうってつけだが、ここまで細字だと汎用性は低く、使う場面は限られてくる。本当に必要か考えてから購入を決めた方がいいだろう。
[種別]ノック式低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.3/0.5/0.7/1.0mm(全3色)
[純正芯]
BRFV-10EF/F/M(全長115.0mm 軸径4.0mm)
[コメント]
PILOTが対ジェットストリームとして発売した低粘度油性ボールペン。150円の普及版のほか、クリップと口金に金属を使用した高級軸もある。
昔のアクロボールはボタ落ちが酷かったような気がするのだが(たまたま私がハズレを掴んだのかもしれないが)、現行品はそんなこともなく、ずいぶん使いやすくなった印象を受けた。
もともとは「アクロボール」という名前だったが、アクロボールのバリエーションが増えてきたことから、エントリーモデルは「アクロボール150」と称されるようになった。
軸は、タイヤパターンのグリップが特徴的。このグリップはかなりきっちりグリップするし、ホコリもあまり付かなくて優秀だと思うが、この感触が嫌い、という人もいるので、一度確認した方がいいだろう。
グリップの太さはシグノRTと同等程度。パイロットはアクロインキを使った軸が各種出ているから、好みのものを選びやすい。この軸が苦手なら、別のものを試せばいい。
インクは、以前はジェットストリームと大差なかったが、最近は濃くはっきりした筆跡になるように改良されてきたようで、ジェットストリームに比べると濃い代わりに太めの字体になる。
また、以前は低粘度油性の中ではあまり滑らない書き味が特徴だったが、最近のものは滑らかさが向上して、ジェットストリームにかなり近づいた。
滑らかさが向上したのは良し悪しで、あんまり滑らないから使っていた人には辛いところである。スラリは従来のアクロボールに近い筆記感だが、スラリインクはアクロインキとは異なる特性があるので、乗り換えて幸せになれるかどうかはわからない。
ダマはほとんどできないが、新品や、しばらく使っていない場合に書き出しでかすれることがままある。これは使っている内に改善される。
また、リフィルの寿命が他社と比べると短め。インクの中抜けが多発してきたらもう寿命なので、素直にリフィルを買い換えるのを勧める。
耐水性や耐アルコール性については、低粘度油性ボールペンの中では、比較的水やアルコールによる滲みや裏抜けが少ない。全くないわけではないので、その点は注意。
経年劣化による滲みや裏抜けの進行に関しては、私が普段使っている限りでは起きたことがない。ただ、ダイソーから出ていたモレスキン風のダイヤリーノートでのみ、わずかに黄色染料の裏抜けが見られた。このノートの紙はものすごく薄いので、逆に言えば、ここまで極端に悪い紙質でない限り問題は起きないとも言える。
新登場した0.3mmは、明らかにジェットストリームエッジに対抗して作られたものだろう。エッジは0.28mmなので、ほぼ同等の細さと言える。価格に関してはアクロボールTシリーズの圧勝。
肝心の使用感については、使い始めは地獄のように使えない。とんでもないカリカリで、下敷きを敷いても紙に引っかかり、インクは擦れるしダマも出る。
しかし、ある程度慣らしてやることで、あるとき突然大幅に改善される。買って後悔した人は、いらない紙を使って、しばらくぐりぐりと試し書きしてみるといいかもしれない。私は2日がかりで総計1時間くらいは慣らし運転していたと思う。結構手間がかかる。
まともに使えるようになってからは、まあ、普通に使える。特に何か感動があるわけではないが。滑らかさについてはエッジの圧勝だが、アクロTの書き味も悪くはない。筆跡についてはエッジと同等。
エッジとアクロT、どちらを使うかは、なかなか難しい問題である。高いし変なデザインの軸だが、買ってすぐ使えて滑らかな書き味のエッジか、まともに使えるようになるまで時間がかかるし、感動のない筆記感ではあるものの、約7倍安いアクロTか。
いずれにしても考えるべきなのは、低粘度油性0.3mmという激細ペンが本当に必要か、ということである。この細さが必要になるシーンは多くない。
[よく使っている理由]
アクロボール 0.5/0.7mmは現在、低粘度油性ボールペンでは最も使用頻度が高い。発売当時に買ったものはすぐ捨ててしまったことを思うと、信じられないことではある。
数ある低粘度油性ボールペンからアクロボールを選んでいるのは、筆跡がきれいで、あまり滑らないから。私は下敷きを使うので、ジェットストリームは滑りすぎてあまり良くない。
リフィルの寿命が短めという欠点はあり、この辺の神経質さはパイロットのボールペンに共通しているが、機嫌良く使えているときのパフォーマンスは群を抜いていると思う。
ただ、最近は純正のアクロボールとしてではなく、ゼブラのブレンやスラリ300にリフィルを改造して入れて使うことが多くなった。
純正のアクロボールやアクロ300に不満はないが、ゼブラの軸とアクロインキの相性はいいような気がする。
[種別]ノック式低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.5/0.7mm(黒)
[純正芯]
BRFV-10EF/F(全長115.0mm 軸径4.0mm)
[コメント]
アクロボールのビジネスシーン用エントリーモデル。
Bicのクリックゴールドと立ち位置の似ているペンで、プラスチック製の安価なペンでありながら高級感があり、様々なシーンで使用できる。
クリックゴールドと比較した場合の利点は、やはりアクロインキが純正で使えるということだろう。
軸は、アクロ300はプラスチック製で、アクロ1000はペン先のみ金属製となっており、低重心モデルになっている。低重心ペンは好みがはっきり分かれるので、アクロ1000の購入を検討する場合は、書き心地を確かめてからの方がいい。
グリップにラバーなどはないが、持ち手の部分が若干太くなっており、これによって多少滑り止めになっている。安定性はラバーグリップの比ではないが、つるつるプラスチックグリップにしてはかなりマシなほう。
このペンの最大の特徴は見た目の美しさだろう。特にアクロ300のクリア系の軸は、プラスチック丸出しなのに全然安っぽくない。その上、照明に透かせばインク残量がわかるという、見た目と実用性の両面で優れた軸になっている。
[種別]ノック式低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.3/0.5mm(黒)
[純正芯]
BVRF-8(全長 98.5mm 最大径 3.1mm)
[コメント]
携帯性を重視した、軸の短いボールペン。クリップにストラップホールがある。
見た目の良さはさすがはPILOT。値段のわりに高級感がある。
軸は樹脂製で軽い。
持ち手はクセがなく扱いやすいが、つや消しの軸はやや手が滑りやすい。アクロ300やアクロドライブは、持ち手を太らせる形状によってグリップを高めているが、アクロ500はペン先に向かって細くなっていくため、やや頼りないホールド感である。
また、デザインのためなのか、軸と口金との間に溝があるのだが、ペンを短く持つ人だと、この溝の感触が気に入らない場合がある。
リフィルは多色ペンで使われているBVRF-8。最初から入っているリフィルは0.3mmと0.5mmの黒のみだが、リフィルを入れ替えることで各4色、0.7mmも使用可能。リフィルの価格も安い。
この手のペンはリフィルが高くて入手困難な場合が多いので、安くて手に入りやすいリフィルが使えるのは利点。
ただ、このペンの見た目や短さに魅力を感じないのであれば、アクロ300の方が使い勝手がいい。
[種別]ノック式低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.5/0.7mm(全3色)
[純正芯]
BXM5/7(全長116.5mm 軸径3.0mm)
[コメント]
ぺんてるの対ジェットストリームに位置付けされる低粘度油性ボールペン。
初代のビクーニャは全身をラバーコーティングした独特なデザインの軸で勝負に出たが、インパクトが強すぎてユーザーから敬遠されたらしく、後に無難なデザインの「エックス」が登場した。
現在、ビクーニャは廃番となり、エックスがラインナップに残ることになった。また、同じインクを搭載したフィールが発売されている。
ビクーニャは見た目の奇抜さとは裏腹に意外と使いやすい軸だったが、ビクーニャエックスはその使いやすさを継承しつつ、より落ち着いたデザインとなっている。ラバーグリップのパターンに、先代の奇抜さの片鱗は残っているが。
このラバーグリップは硬めだが、ホコリが付きにくいのが利点。
グリップは、ジェットストリームやノック式エナージェルよりも細め。太いグリップが苦手な人にはちょうどいいサイズだと思われる。
インクは、書き始めや長期間放置したときに、うまくインクが乗らずに変なかすれ方をすることがあるが、多少慣らし運転をしてやることで解消される。
筆跡は、ジェットストリームに迫る綺麗さ。ボタ落ちした経験も今のところ無し。ダマができやすいという評判を聞くことがあるが、ジェットストリームよりややできやすい程度で、油性としてはほとんど問題ないレベル。
書き味は、ジェットストリーム以上に筆記抵抗が少ない。0.5mmだと差は小さくなるが、0.7mmは異次元の書き心地。ただ、筆記抵抗が少なすぎるのも書きづらいので、これが利点となるかどうかはユーザー次第。ぺんてるらしいピーキーな性能と言える。日本語よりもアルファベットの文章を書くのに向いているのかもしれない。
互換性に関しては、バネ留めの位置が独特なので、この軸に他のリフィルを入れることも、ビクーニャリフィルを他の軸に移植することも難しい。
耐水性は若干問題があり、少し赤色染料が滲んで裏抜けする可能性がある。ジェットストリームよりは抜け具合は少ないが、従来の油性のように全く問題がないわけでない点は注意。耐アルコール性能は低く、にじみや裏抜けが発生する。
筆跡の経年劣化については、私が数年使い続けた限りでは起きていない。
このペンを選ぶかどうかは、ジェットストリームを超える滑らかさを求めるかどうかの一点にかかってくるだろう。
[種別]ノック式多色低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.5/0.7mm(全4色 黒、赤、青、緑)
[純正芯]
BR-CL(0.7mm), BR-CLE(0.5mm) (全長88mm 軸径3.0mm)
[互換芯]
セーラー 18-1067(全長88mm 軸径3.0mm)
[備考]
プレフィールのリフィルは長さを調整すれば入る。
スタイルフィットのリフィルも長さ調整で入るが、若干太いため、填める際にノック部のスプリングに引っかかって破損させる可能性があるため非推奨。
[コメント]
主要国産メーカーでは最後に登場した、トンボ鉛筆の繰り出す対ジェットストリーム低粘度油性ボールペン。多色ボールペンのみのリリースという点が特殊。2色、3色、4色とあり、軸の形状については全て共通。ボール径は0.7mmと0.5mm。
名前の「スマート」はトンボの低粘度インクである「スマートインク」から来ており、軸がスマートという意味ではない。つまり、旧来のリポーターは油性インク使用で、リポータースマートは低粘度油性インク使用、ということ。
このボールペンの特徴は、インクよりは軸のほうにあって、金属クリップ、色ごとに形状の異なるノック(目で確認しなくても目的の色を出せる)、安価な多色軸にしては細めで持ちやすい類に入るグリップと、軸の完成度は他社の追従を許さない上に安い。機能面に限って言えば、変な高級軸を買うくらいなら、これを買って芯を入れ替えた方がよっぽど良かったりする。
理屈の上では、軸径さえ合えば、長さ調整することでどんなリフィルでも入るのだが、カタログ上では同じ軸径3.0mmでも微妙にサイズが異なることがあり、細すぎて填まらなかったり、太すぎてノック機構のスプリングにリフィルが引っかかり、破損させてしまう可能性があるので注意。私が試した中では、スタイルフィットはスプリングを破損させる可能性があるため非推奨。
一方、インクについては、あまり滑らかではないアクロボールよりも硬めで、旧油性より少し低粘度といった程度のもの。0.7mmはこれでもなかなか快適だが、0.5mmだと少し抵抗が気になる人も出てくるかと思う。旧油性のカリカリ0.5mmよりはこれでもマシな方とは言えるのだが。
筆跡は濃くてはっきりしている。この点はアクロボールよりも優れており、ジェットストリームなどと同等となる。ただしその分、裏写りしやすいので、薄い紙に両面使って筆記するには注意を要する。コクヨのキャンパスノートくらいの紙質で、気になる人には気になる程度には筆跡が裏からでも見える。
また、低粘度と言うわりにさほど低粘度でないこともあり、ダマは普通に生じる。それ以上に問題なのはインクが糸を引くことがある点。ゼブラのスラリもインクの出過ぎ傾向があるが、リポーターはよりこの傾向が強い。かすれは書き始めに若干起きる(これは仕方ない)以外はほとんどない。
耐水、耐アルコール性能は良好。耐アルコール性能がこの程度ということは、仮に経年劣化で油分と塗料(メーカーでは顔料と言っているが、染料も入っているような気がする)が分離しても、さほど酷いことにはならないだろうとも言えるわけである。ただ、劣化しなくても裏移りしがちなので、薄い紙を両面使う際には適していない。
画像は耐アルコールの実験結果。他のボールペンの実験と同じく、リヒトラブのツイストリングノートの紙に筆記したものを24時間放置した後、アルコールをつけて軽くこすった結果。
わずかな滲み(ほとんど気にならない)と、若干の裏抜けがあった。裏抜けの具合はアクロボールやパワータンクよりもやや良好。全く裏抜けしないわけではないが、まともな紙質のノートなら気にならないレベル。
ライバルとの比較については、基本的にはこの軸を使いたいかどうかの一点にかかってくるように思う。スマートインクの性能は他社の低粘度油性と比べると見るべき点がないが、リポーター軸の純正芯というだけで充分な価値があると考える人もいるだろう。
[種別]ノック式低粘度油性ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒)
[純正芯]
18-1067(全長88mm 軸径3.0mm)
[使用不可]
トンボ鉛筆 BR-CL(0.7mm), BR-CLE(0.5mm) (全長88mm 軸径3.0mm バネ留めがない)
[コメント]
スプリングが仕込まれ、8段階に弾力を変更できることが特徴の低粘度油性ボールペン。軸のカラーは多様だが、芯自体は0.7mmの黒のみのラインナップ。
軸はクリップがバインダー式になっている。ノックでペン先を出して、バインダークリップを開くとペン先が引っ込む仕様。
グリップ部は三角形っぽいラバーになっており、これは持ちやすい。ただ、さすがは万年筆メーカーと言うべきか、持ち手からペン先までがやや遠目で、立てて使うボールペンとしては扱い辛い印象がある。あと2ミリ短いだけでも全然違うと思うのだが、この辺は好みもあるかもしれない。いずれにしろ、購入する前にこの点はチェックしておきたい。
最も特徴的であるスプリングについては、軸の頭が回せるようになっており、それで硬さを調整できる。好みの硬さを見つけることができれば、確かに筆記負担が低減している感じはある。ただ、ペン先が沈むのを嫌う人もいるはずで、判断としては微妙ではある。そんなにぐにゃぐにゃするわけでもないし、普通、ボールペンは筆圧をかけて筆記するものではないので、そこまで気になるわけではないが、筆圧の高い人だと影響があるかもしれない。
インクは、ジェットストリームより少し抵抗がある感じ。かといってアクロボールほど抵抗があるわけでもない。
色の濃さは充分で、ジェットストリームに匹敵する。特徴的なのは、他メーカーが赤っぽい黒なのに対し、セーラーは紺色っぽい黒であること。これは本当に微差なので、よほど条件が重ならないとわからない程度の違いではあるが、アルコールを吹くと一目瞭然で、他メーカーは紫色に滲むのに対し、セーラーは紺色に滲む。
ダマは結構発生する。インクが濃い分、旧油性よりも筆記はきれいに見えるが、ダマが多い分、ジェットストリームやアクロボールあたりと比べると汚くなりがちではある。
リフィルの互換性については、同じ88mmの軸径3.0mmでも、バネ留めが同じ位置になければならないので、サイズが同じだからそのまま使えるというわけでもない。たとえばリポータースマートのBR-CLはバネ留めがないため、バネ留めを自作しない限りG-FREE軸では使えない。逆に、バネ留めの有無が関係ない軸に、このリフィル(18-1067)を入れることは可能。つまり、リポータースマート軸にG-FREEリフィルを入れることはできる。
耐水性については全く問題なく、筆記直後に水を吹いても滲んだり抜けたりはしない。ただ、耐アルコール性は他の低粘度油性と同程度に弱い模様。つまりは経年劣化で油分が分離し、裏抜けが発生する因子を抱えてはいる、ということである。実際起きるかどうかはわからないが。
ライバルとの比較については、インクについては特にアドバンテージがあるわけではないので、この独特の仕組みを搭載した軸を使いたいかどうかの一点に掛かってくるだろう。あとは、紺色系黒の発色が気に入って使いたいという人も、いるかもしれない。
[耐アルコール実験]
ツイストリングノートの紙に筆記し、24時間放置した後、アルコール除菌スプレーを吹いて軽く擦った結果。
上から吹く前の表、吹いた後の表、吹いた後の裏、となっている。
表の滲みは若干あり。裏抜け具合はジェットストリームと同等で、アクロボールよりも抜ける。
リフィル内部を加圧することにより、上向き筆記を可能にした油性ボールペン。ボールペンをダメにする最大の原因である上向き筆記時に空気が入るという弱点を解消した加圧油性ボールペンは、シャーペンやサインペン並に、どんな状況でも安心して使える筆記具となった。
加圧油性を名乗るペンの多くは、ノックした際にリフィル内の空気を加圧する仕組みになっているが、三菱鉛筆のパワータンクのみ、最初からリフィル内が加圧された状態で密閉されている。
[種別]ノック式加圧油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒のみ)
[純正芯]
K芯(全長98.0mm 軸径3.0mm バネ留めなし)
[互換芯]
UK芯(全長98.0mm 軸径3.0mm)
ぺんてる BPS7/10(全長98.0mm 軸径3.0mm)
PILOT BKRF、BSRF、BVRF(全長98.5mm 軸径3.1mm)
[問題あり]
スタイルフィットリフィル(全長98.6mm 軸径3.0mm)
※一応使えるが挙動が不安定なことがある
スリッチーズリフィル(全長98.0mm 軸径3.0mm 栓あり)
※尾部の栓を抜く必要あり
ぺんてる BXM5/7(全長116.5mm 軸径3.0mm)
※長さ調整の必要あり
[使用不可]
EQ芯(太くて入らない)
PILOT BRFV(太くて入らない)
[未確認]
プレフィール、サラサセレクトリフィル(全長98.2mm 軸径3.0mm)
(手持ちになくて試していない。まず入る)
[コメント]
ノック加圧式の金属軸油性ボールペン。ダウンフォース、エアプレスからはだいぶ遅れて登場。
軸は金属で、グリップとノックはプラスチック。紐などを通せる通し穴付き。無骨なデザインで実用重視と言える。
加圧ペンは持ち手が太いものが多い中、ウェットニーはパワータンクスマートより一回り太い程度のサイズに留まっているのが、細めの持ち手が好みの人にとっては嬉しい。
純正リフィルはバネ留めなしのK芯。耐水性、耐アルコール性、耐経年劣化性能については申し分ない。
K芯の書き味や字の濃さをスラリに近いレベルまで高めてくれるが、ゼブラ油性の欠点でもある、インク出過ぎ傾向も強調されてしまう。つまり、ダマが出来やすい。K-0.5に換装した方がインクの出過ぎを抑えられるかもしれない。
リフィルの互換性については、メーカーではK芯以外は使うなとしている。それは、低粘度やゲルインクのリフィルを加圧すると、インク漏れなどの原因になりかねないからである。しかし、文房具マニアは当然のように入れ替える。
確認した限りでは、ダウンフォースで使えるものは全てウェットニーでも使える。PILOTのBKRF、BSRF、BVRFは全て使用可能。
UK芯は問題なく入る。私が使った限りではK芯とほぼ同じ使用感。
ぺんてるローリーのBPSも入る……が、もともとインクフローがいいので、加圧することで、よりダマが出来やすくなる。あまり推奨できない組み合わせ。
スリッチーズやアイプラスのリフィルは尾部に栓があるので、そのままでは使えない。私は試さなかったが、栓を外せば使えるはず。
プレフィール、サラサセレクトのリフィルは、手持ちになく、近くに売っていなかったので試せていないが、スタイルフィットリフィルが使えるなら、まず使えるだろう。
EQ芯や、BRFV(アクロボール)のリフィルは、パイプ径が太いため入らない。
ビクーニャのBXMは、カットして長さを調整すれば入る。
スタイルフィットリフィルは、一応入るし、使える。0.28mmのシグノリフィルが信じられないくらい書きやすく、濃くはっきりとした字が書けるようになるのは感動モノ。買ってはみたものの、思ったより色が薄くて使い物にならなかったシグノリフィルを持っているなら、ウェットニーに入れてみる価値はある。
ただ、ノック時の抵抗が強めになる他、うまく加圧されなかったり、ノック時に引っかかったりと、いろいろ不具合が起こることもある。奥までしっかり挿し、収納時にバネの位置なども気をつける必要があるのかもしれない。あと、シグノリフィルのインクは水性なので、ウェットにイイとはならない。
また、もともとインクフローのいいリフィルはインク出過ぎとなり、もともと濃くはっきりした色の場合は濃くなりすぎる(たとえばブラウンブラックやブルーブラックだとほぼ黒になる)。
ライバルとの比較について。
パワータンクスマートとの比較では、インクの信頼性の高さと、軸の丈夫さはウェットニーの方が優れている。パワータンクスマートの軸は落とすと割れやすい。ただし、ウェットニーの方が持ち手が太め。
ダウンフォースとの比較は、持ち手が細いこと、無難なデザインなことを良しとするならウェットニー優勢。互換性の高さでもウェットニー有利。ダウンフォースに入るリフィルは全てウェットニーでも使える上に、ダウンフォースでは無改造では使えなかったK芯が使える。
エアプレスの利点は軸の短さとクリップにある。用途がはっきりと異なる。
[種別]ノック式加圧油性染料ボールペン
[ボール径]0.5/0.7/1.0mm(全2色 0.7mmのみ3色)
[純正芯]
SNP-5/7/10(全長111.5mm 軸径7.95mm)
[コメント]
加圧リフィルのおかげで上向き筆記ができる油性ボールペン。上向き筆記をする機会は意外に多いもので、どんなときにも安定して使えるこのボールペンは非常に心強い。
インクの色(低粘度油性に比べれば薄め)や書き味は従来の油性ボールペンと同等。加圧しているのでかすれず、加圧したインクが漏れないようにする仕組みの副作用でダマが少ない。つまり、低粘度油性の利点をほとんど兼ね備えているボールペンでもある。むしろ、低粘度油性独特の滑らかな筆記感触がない分、旧来の油性ボールペンの愛用者にとってはこちらの方が使い勝手がいいように感じるかもしれない。
0.5mm、1.0mmは赤・黒の二色、0.7mmは赤・青・黒の三色のラインナップがある。
軸は太め。太い軸が苦手な人は、スマートシリーズを選択するといいだろう。
なお、宣伝文句にマイナス20度の環境でも使えるとあったので、試しに冷凍庫で1日冷やしてから使ってみたところ、最初だけはインクが出にくかったが、すぐに出るようになった。寒いところでボールペンを使いたい人には便利。
インクの出方が安定していて、かすれやダマもなく使い勝手がいいが、使い始めだけはかすれることがあるので、その点は注意。
インクは染料を多めに使っているらしく、アルコールにより滲みや裏抜けが発生する(程度としてはジェットストリーム以下、アクロボール以上)。これは楽ノックやジムノックなど現行の油性ボールペンには起こらない、低粘度油性特有の現象である。おそらくジェットストリームのような油分の分離は起きないと思われるが、一応注意しておいたほうがいい。
[種別]ノック式加圧油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒色インクのみ)
[純正芯]
SNP-7(全長111.5mm 軸径7.95mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 SNP-5/10(全長111.5mm 軸径7.95mm)
[コメント]
パワータンクのスマート版。当初は「パワータンク スマートシリーズ エントリーモデル」という名称だったが、改称されて「エントリーモデル」の文字が無くなった。
発売当時は0.5mmがラインナップされていたが、現在は0.7mmの黒のみのラインナップ。ただし、パワータンクスタンダードのリフィルが使えるので、リフィルを入れ替えることで0.5mm、1.0mmや赤・青色インクを使用可能。書き味などはスタンダードと同等。
スタンダードに比べると軸が細めになり、だいぶ使いやすくなっている。ただし、ノック部分のプラスチックの耐久性がイマイチで意外と割れやすいので、落としたりしそうな場面では若干脆い面もある。
グリップ部はプラスチックで、多少滑り止めパターンががあるものの、やや滑りやすい感がある。
クツワがColemanブランドとして出している加圧式ボールペンの正体はパワータンクスマート。軸のデザインは全く同じで、uniのロゴも付いたまま。ただし、三菱鉛筆のボールペンにColemanのロゴを付けてクツワが売るというややこしいことをしているために価格は倍近くなっている。普通の人は素直にパワータンクスマートを買った方がいい。こんな無駄に高いのを買うのはパワータンクスマートの存在を知らない人か、Colemanロゴでなんとなくアウトドア気分を味わいたい人か、レアカラーの軸が欲しい文具マニアくらいだろう。私は「Colemanロゴでパワータンクがますますパワーアップ!」とかいう馬鹿な理由で4種とも購入した。
[よく使っている理由]
このボールペンはアクロボールと併用して、出先で使うことが多い。その理由はたったひとつ。上向き筆記できるからである。
普通に机で何か書くならアクロボールでいいのだが、歩きながらとか、壁に紙を押し当てながら何か書くとなると、パワータンクの出番である。
あと、加圧式の特性として、まあまあ筆跡がきれいという利点もある。低粘度油性ほどではないが、普通に使う分には充分な性能と言える。
[種別]ノック式加圧油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒色インクのみ)
[純正芯]
SJP-7/10(全長90.6mm 軸径4.8mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 SJ-7(全長108.0mm 軸径4.8mm 栓を外すと全長90.6mm)
[使用不可]
三菱鉛筆 SNP(全長111.5mm 軸径7.95mm 見るからに入らないが、念のため)
[コメント]
真・パワータンクスマート。鉛筆並に細い。スマートでも太すぎると感じてしまう人は、多少高くてもこちらを買おう。
発売当初は「パワータンク スマートシリーズ ハイグレードモデル」という名称だったが、現在の名前に改称された。
1000円もする割には安っぽい軸で、元の名称である「ハイグレード」は名前負けしている雰囲気が若干あった。ただ、無駄の一切無い軽量ボディで、超実用重視の軸とも言える。耐久性も、少なくともエントリーよりは高い。
この超実用軸に組み合わされるリフィルがこれまた超実用的な加圧油性ということで、このボールペンを懐に忍ばせておけば、どんな時でも安定して筆記できる心強い味方となるだろう。軸もリフィルも若干高いが、それだけの価値は充分にある。
ただ、さほど軸が細くなくてもいいとか、軸が多少割れやすくても構わない(割れるような使い方をしないから)、ということなら、スタンダードや通常版スマートの方がコストパフォーマンスはいい。
2014年現在、廃番している。リフィルのSJP-7/10はまだ販売しているよう。
SJPは、SJ-7の栓を外した状態と同じ形状で、SJ-7の栓を外して使うボールペンには入るが、栓を挿して使うボールペンには入らない。つまり、SJ-7を使っている、もしくはSJ-7と互換性があるボールペンでも、SJPが使えるものと使えないものがあるので注意。
[種別]ノック式加圧油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒色インクのみ)
[純正芯]
BKRF-6F(全長98.5mm 軸径3.1mm)
[互換芯]
PILOT BSRF(全長98.5mm 軸径3.1mm)
PILOT BVRF(全長98.5mm 軸径3.1mm インクが出過ぎるので取扱注意)
[問題有り]
ぺんてる BXM5/7(全長116.5mm 軸径3.0mm 少し切れば入る。インクが出過ぎるので取扱注意)
ぺんてる XBGRN(全長98.0mm 軸径3.0mm 滲むくらいインクが出る)
ゼブラ K芯、UK芯(全長98.0~98.2mm 軸径3.0mm 軸径が若干細いため、しっかりはまらない。セロテープを巻くなどする必要あり)
[使用不可]
ゼブラ EQ芯(軸径が太すぎて入らない)
三菱鉛筆 SXR(軸径が太すぎて入らない)
[コメント]
ノックすることでインクを加圧するタイプのボールペン。リフィル内部を加圧しているわけではないので、ノックしたままにしていると加圧効果が薄れてくるなどの不安要素はあるものの、特殊なリフィルを使用しなくていい分、ランニングコストが安いという利点がある。
特にダウンフォースはリフィルの互換性が高く、いろんなリフィルが使用できる。アクロボール3や、リフィルの長さを調節すれば入るビクーニャのリフィルに交換すれば、新油性で上向き筆記できる加圧式ボールペンのできあがり。ただし、これら粘度の低いインクを使用したボールペンを加圧すると、インクが出過ぎて大変なことになる場合も多いので注意。
軸はパワータンクスタンダードよりも太め。現在販売されている国産の加圧油性ボールペンの中では最も太い。クリップはバインダー式で使いやすく、また、バインダーを押すことでペン先が引っ込む構造になっているので、ペン先を出したまま胸ポケットに入れて大惨事、といったことにならない設計になっている。全体的にパワータンクシリーズよりも丈夫で、現場で使うにも適していそう。
ダウンフォースの魅力は、なんといってもいろんなリフィルが試せるところにあるだろう。旧弊でお疲れ気味の退役リフィルを現役として使えるのは、なかなかマニア心をくすぐるものがある。
[種別]ノック式加圧油性染料ボールペン
[ボール径]0.7mm(黒色インクのみ)
[純正芯]
BR-SF33(全長58.0mm 軸径3.0mm)
[コメント]
ノックすることでインクを加圧するタイプのボールペン。もちろん上向き筆記可能。仕組みとしてはPILOTのダウンフォースと同じだが、こちらは軸が短く、ポケットなどに忍ばせやすいのが特徴。
軸やクリップは丈夫にできている。バインダー式のクリップの方がいいならエアプレス・エプロという製品があるので選ぶ際の参考に。
軸の持ち手は太めだが、見た目の割には意外と持ちやすい。パワータンクスタンダードよりは持ちやすいが、若干なんとなく筆記していると不安定な印象も。あまり長時間筆記したくない感じではある。
ノックによって加圧する方式なので、パワータンクに比べるとインクの出は若干不安定で、ダマが出やすい印象。これはリフィルの個体差などもあるかもしれないが、なんとなくダウンフォースの方が筆跡はきれいな気がする。リフィルはかなり短めでインク量が少ないが、軸を短くするためには仕方のない仕様ではある。
エアプレスの利点は短い軸と丈夫なクリップに尽きる。コンセプトがはっきりしているので、購入の際にライバル製品と迷うことはないだろう。
普段は高粘度だが、力を加えると低粘度になるゲルの特性を利用して開発されたゲルインクボールペン。
出始めの頃は欠点だらけで使い物にならなかったが、めざましい進化によって、今や油性ボールペンよりも太字や細字が書け、かつ筆跡がきれいになり、もはや油性ボールペンを使う理由がほとんどなくなってしまった。
ただし、油性ボールペンよりも細いペン先を使うことになることとインク特性の関係から、紙質の良し悪しに対して神経質なペンで、ざらざらした紙質にゲルインクボールペンで筆記するのは辛いものがある。
ボールペンのインクの中では最も経年劣化に強く、文章の長期保存に適している。また、裏抜けしにくいため、薄い紙を両面使う際にも最適(顔料は紙の上に塗料を定着させて発色するもので、紙の繊維の中に染み込んで発色する染料よりも裏抜けしにくい)という利点もある。
ただし、油性と比べると乾くまでに若干の時間を要するので注意が必要なのと、水性染料に比べるとインク詰まりやかすれが起きやすい点に難がある。
現行のシグノやサラサはだいぶ改良を重ねていて、詰まりやかすれ、書き味は、水性染料ゲルインクに迫るものになっているが、0.4mm以下の黒インク(経験的に黒インクはカラーインクより詰まりやすい)や0.3mm以下の細字になると、水性染料に比べて気難しい特性が出がちである。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.3/0.4/0.5/0.7/1.0mm(全20色 1.0mmのみ13色)
[純正芯]
JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm)
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm 少しだけノックに違和感)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[問題有り]
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm ノックが硬い。約1mm切れば問題なし)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm ノックが硬い。約1mm切れば問題なし)
[使用不可]
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
ゼブラ JT芯(JF芯と同じ形状のため問題なく入るが、キャップ式用のリフィルのためインクが乾燥して使えなくなる可能性がある)
[コメント]
クリップがバインダー式に改良されたサラサ。旧型のサラサは0.4mmのみ細身の軸でJK芯を使用していたが、サラサクリップは全てJF芯を使用する同じ軸に統一されている。軸の太さはサラサの0.5mm以上と同じ。そのため、太い軸が苦手な人には辛い。シグノRTや、既に廃番ではあるもののサラサスティックなら、JF芯が使えて、かつもう少し持ち手が細いので、検討してみるといいだろう。
リフィルのJF芯は、三菱鉛筆のUMRと双璧を成す耐水性、耐光性を誇っており、インクの出や筆跡、書き味などもほぼ同格。インクの発色の好みで使い分けることになるだろう。私はJF芯のブルーブラックが好き。
最近0.3mmのペン先がラインナップに追加された。ライバルであるシグノシリーズの0.28mmに比べると、ややかすれやすいように感じる。ただ、このかすれは大き目の字を書こうとしたり、ペン先を素早く動かしたときに起きるもので、小さい字を書く分には問題なく使える。
直接のライバルはシグノで、性能は拮抗している。あとは、軸の好みや発色の好みで選ぶことになるだろう。また、シグノはインクの発色が安定しない個体があるので、安定性を取るならサラサ、という考え方もある。シグノRT1がカリカリを低減した新型リフィルを投入しており、0.4mm以下でサラサのカリカリが気になる場合にシグノRT1に乗り換える余地が生じてきたのが、ゼブラユーザーにとっては若干不利な要素となっている。
ジュースとの比較は、基本的には発色の好み。あとは、ジュースは全体に若干カリカリ気味なのをどう考えるかとなる。
スリッチやハイテックCなどの染料組との比較だと、耐水性を取るか取らないかの問題になる。
[種別]キャップ式水性顔料ゲルインクボールペン(0.3/0.4mmのみニードルチップ)
[ボール径]0.3/0.4/0.5/0.7/1.0mm(全10色 1.0mmのみ4色)
[純正芯]
JF-0.5/0.7/1.0芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
JT-0.3/0.4芯(全長111.4mm 軸径6.1mm ニードルチップ)
[互換芯]
サラサクリップと同じ
[コメント]
サラサのキャップバージョン。0.3mmと0.4mmのみニードルチップのJT芯が使われており、0.5mm以上はサラサと同じJF芯となっている。既に廃番している。
JF芯とJT芯は、ペン先の違いだけで、寸法等は同じ。つまり、サラサクリップ軸にJT芯を入れることもできるし、サラサスティック0.3/0.4mmにJF芯を入れることもできる。ただし、JT芯はおそらくキャップ式専用のペン先になっているため、ノック式の軸に入れて使っていると、インクが乾燥して使い物にならなくなると思われる。
この軸はサラサより細いため、サラサやサラサクリップが微妙に太すぎると思っている人にとっては使い易い。あと、キャップ式にこだわりのある人にも。リフィルの汎用性も高く、使い勝手のいい貴重なキャップ式軸だっただけに、早々に廃番になってしまったのは残念。
ニードルチップのJT芯は、0.4mmはハイブリッドテクニカより細い字が書けて、インクの出も良く、ニードルチップにしては神経質さが少なくて書きやすかった。サラサスティック廃番後もしばらくは売っていたが、現在はメーカー直販でも販売されていない。
[種別]回転繰り出し式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.4mm(黒)
[純正芯]
JSB-0.4芯(全長 67.2mm 最大径 2.4mm)
[互換芯]
各種4C、ESB、JSB(全長 67.2mm 最大径 2.4mm)
[コメント]
数量限定で発売された、全長110mm、直径10mmの回転繰り出し式金属軸ペン。
持ち運びに便利な短いペンでありながら、細すぎずに使いやすい。
また、使っているリフィルがJSB-0.4芯のため、入れ替え可能な幅が広い。シャーボXのリフィルは全部入ることになる。ビジネスシーンで使うなら最初から入っている0.4mm黒で充分だが、ブルーブラックインクが使えるのはポイントが高い。
私は4C系互換については詳しくないが、ゼブラの4C芯は、他社の4C互換のリフィルとは若干サイズが違うという話を聞くので、他社の4C互換芯をこのペンに入れるつもりなら注意が必要だと思われる。
このクラスで0.5mm以外のゲルインクが使えるペンはそう多くないので、なかなか貴重なペンと言える。
ただ、残念なことに本当に数量限定らしく、入手が困難なのが問題。ゼブラの公式ページでも、商品一覧に載っていない。
キャップ式でもいいなら、ぺんてるのトラディオ・エナージェルが近いタイプのペンになるが、海外でしか売っていないのでこちらも入手困難。国内版のエナージェル・トラディオは廃番している。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.38mm(全20色)/0.5mm(全10色)
[純正芯]
UMR-38S/05S(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm)
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm)
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[使用不可]
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm 長さが足りない)
[コメント]
新開発の顔料インクを使用し、従来よりくっきりした発色になることをウリにした顔料ゲルインクボールペン。速乾性も謳っている。
位置づけとしてはシグノ307と似ているが、「シグノ」というブランドから脱却したことと、多色展開をしていることが大きな違いだろう。新たに次世代のゲルインクペンシリーズを作ろうとする三菱鉛筆の意気込みが感じられる。少なくとも「シグノ307」みたいなやる気の無い名前よりはよほどいい。それに、シグノシリーズはごちゃごちゃしたラインナップになりすぎているので、ここで一旦リセットするのはいいことだと思う。
インク色は、0.5mmが10色、0.38mmが20色のラインナップ。0.38mmが優遇されるのは珍しいが、シグノ極細にのみブラウンブラックやボルドーブラックがあったことの名残ではないかと思われる。私としてはロイヤルブルーを用意してくれたのが嬉しい。ラベンダーブラックがあればなお良かったが、0.38mmのインクバリエーションについては想像以上に充実しており、不満はない。
一番のウリである発色については、従来の顔料ゲルインクとは少し異なる、マットで透明感のない色合いになっている。また、全体に暗めの発色で、ライトブルーやエメラルドなどの、従来だと筆跡が読み取り辛かった明るい色のインクも比較的使いやすくなっている。イエローは、他のペンに比べればマシだが、さすがに読み辛かった。
私としては、ブルーブラックの色味が従来のシグノとは異なり、渋い色合いになったのが好印象。今まではブルーブラックインクだけはJF芯を使い続けてきたが、ついにこだわる理由がなくなってしまった。
ロイヤルブルーは、若干紫がかった濃いめの青。青ペンとしても使えるし、明るめのブルーブラックとしても使える。
グリーンブラックは緑系インクの個性もありながら、落ち着いた色合いで扱いやすい。
ボルドーブラックは赤みがかった黒といった感じで、従来のボルドーブラックに比べると個性が薄くなっているが、使いやすくなったとも言える。
ブラウンブラックは少し薄い黒といった印象で、よく見ないとブラウン系の色だとわからない。若干セピア寄りの黒と考えて使った方が良さそう。
黒インクは、光の反射が少なく、他のペンの黒よりもより黒く見える。簡単に見分けられるほどの違いがある。
速乾性は確かに高い。紙質にもよるが、書いた直後に指で擦ると、インクが乗りすぎた箇所のみかすれる。1秒もすれば、それもほぼなくなる。
書き味については特に言及されていないが、シグノ307並の滑らかさ。書き味は微妙に異なるが、大雑把に見れば同等の性能と見ていい。
ユニボールワンは「濃くて読みやすい」をウリにしていることもあり、シグノ307やRT1に比べると、ややインクが出る方向に振っているようである。そのため、太めの字体になることが多い。ただし、これも個体差がある。
私の経験上、どのボールペンでも、新型のリフィルの初期ロットはインクが出過ぎの傾向があるので、しばらくすればインクの出が落ち着いた個体が増えてくるかもしれない。
リフィルの形状は従来のUMR-8シリーズと同じ。つまり、サラサクリップなどの幅広い軸やリフィルと互換性がある。替芯は基本3色のみの展開。
軸はシグノRT1と似ているが、あれよりも一回り細い。RT1が若干太いと感じていた人には嬉しい改良点。
クリップは、ジェットストリームエッジに続いてワイヤークリップを採用している。紙に挟むと折れ目が付きやすい点に注意。ただ、エッジよりも少し改良されていて、バインダー式になって使いやすくなっている。エッジもこうすれば良かったのに。
グリップのラバーは、買って数日は気にならなかったが、使い続けていると、ブレン並にホコリがくっつくことがわかってきた。ブレンと同じく、ホコリが付くと目立ち、使い心地の低下を招く。水拭きすると取れるが、またすぐくっつく。
このラバーの材質は最近の流行のようだが、私は好きではない。もっとホコリが付きにくく、付いても気にならないものの方がいい。
0.5mmを愛用している人にとっては、このラインナップは残念だっただろうが、0.38mmをメインに使っている私としては、リフィルやインクバリエーションについては文句の付けようがない。
軸はクセがなくて使いやすいが、ホコリの付着が気になる人は、別の軸に入れ替える必要が生じるだろう。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.38/0.5/0.7mm(全3色)
[純正芯]
UMR-83E/85E/87E(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm)
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm)
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[使用不可]
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm 長さが足りない)
[コメント]
新素材のセルロースナノファイバーを配合したインクを使用しているのが特徴の水性顔料ボールペン。このインクはエナージェルを越える滑らかさと、エナージェル並の速乾性を誇り、その上顔料インクのために耐水性にも優れているという、とんでもない性能を誇る。
このペンの筆記抵抗の少なさはすさまじく、筆記抵抗を低減したことがウリだったRT1とは別次元で、スリッチやエナージェルをも凌ぐ。
これはメリットとも言えるが、デメリットとも言えるかもしれない。滑りすぎて書きにくい、という場合もあり得る。
また、速記対応ということで、速記してもかすれないことがウリだが、その副作用として速乾性も有している。速乾性については、エナージェルに比べると少し遅い。充分速乾と言えるが、左利きだとこの乾き速度では物足りないのかもしれない。
このペンの最大の利点は、エナージェル並みの性能を、顔料インクで実現した、ということだろう。エナージェルやサラサドライは、速乾性という点では優れているものの、染料インクのために耐水性に難があった。しかしこのペンのインクは顔料インクなので、汗や雨などで裏抜けが発生しない点に優位性がある。耐水・耐アルコール実験の結果については後述。
インクの色は3色。0.5mmと0.7mmのみのラインナップだが、筆記抵抗の少なさは極細ペンの方が恩恵が大きいので、0.38mmや0.28mmが出てくると驚異的な性能になるだろう。
また、このリフィルはUMR-8と同じ形状で、つまり、ジェットストリームやシグノRTをはじめ、多くの軸と互換性を持っている。
軸は無骨な見た目で、ジェットストリームやパワータンク(スタンダード)と似ている。持った感じなどもジェットストリームと似ていて、やや持ち手が太め。ただ、リフィルの互換性が高いので、軸が気に入らなければ好きなものと入れ替えればいいだけだろう。特にエナージェル
フィログラフィの替え芯候補としては最有力のひとつ。
このペンの最大の欠点は、名前だろう。シグノ207の中身はUMR-8、要するに中身はシグノRTで、軸のデザインが異なるペンでしかなかった。そのため「シグノ307」という名前では「またシグノの派生品か」という印象しか残らず、試し書きすらする気にならない。せめて新型インクを使用していることがわかるネーミングにすればいいのにと思う。
滑りすぎることをどう評価するかがポイントになりそうだが、ありそうで無かった速乾顔料インクというだけでも貴重。名前だけが本当に惜しい。
2016年11月に、ついに0.38mmが登場。0.5mmでは滑りすぎる筆記抵抗の少なさが、このボール径になるとちょうど良くなり、速乾性も向上する(0.5mmよりも出すインクが少なくなるので)。色数が少ないことを除けば、0.38mmゲルインクボールペンの最高峰だろう。
[耐水・耐アルコール実験]
ツイストリングノートの紙にシグノ307 0.38mmで筆記し、10分後にアルコール、水に漬けて軽くこすった結果。一番下は、10時間後に水に漬けてこすった結果。いずれも、上がアルコール、水に漬ける前で、下が漬けた後に乾かしたもの。
耐アルコール性能については文句なく、にじみも裏抜けもない。一方で耐水性については、シグノやサラサなどの顔料ゲルインクほどではないらしく、書いてすぐだとにじみと裏抜けが出てしまう(シグノやサラサなどの一般的な顔料ゲルインクなら、10分も放置すれば完全な耐水性を得る)。ただし、10時間経過時にはほとんどにじみはなくなり、抜けも多少あるものの、気になるほどではない程度まで落ち着いた。これはPILOTのジュースの特性と似ている。ジュースも顔料インク使用だが、保湿成分を混ぜている影響か、完全に定着するまでに24時間程度かかる。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.28/0.38/0.5mm(全10色)
[純正芯]
UMR-82/83/85N(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 UMR-80/87(全長112.0mm 軸径6.0mm)
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm)
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[使用不可]
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm 長さが足りない)
[コメント]
ラインナップが多くてややこしいシグノシリーズに新たに加わった、シグノRTの新型。
新たに0.28mmがラインナップされている点と、ラバーグリップが軸の先端ぎりぎりまであるのが特徴。また、ペン先が改良されており、ペン先が紙に引っかかることがほとんどない。
軸はシグノRTに比べると若干太くなったが、さほど使用感は変わらない。ラバーは少しだけグリップが増したが、つるつる気味でRTと大差なし。ただ、ペン先ぎりぎりまでラバーグリップがあるため、短く持ちたい人にも対応できるようになった。リフィルの互換性についてはRTと同様。
改良された新型UMR-8の書き心地については、従来のシグノRTのような引っかかりがなくなり、かなり書きやすくなった印象。この恩恵は特に0.28mmでは大きい。
また、これはリフィルが新鮮だからかもしれないが、かすれも少なくなっている。特に0.28mmのインクフローは、水性染料組とほぼ変わらないくらいいい。
ただ、この新型リフィルの型番はUMR-8のままなので、替芯を買うときは注意する必要がある。新型UMR-8のパッケージには、シグノRT1(UMN-155)に対応している旨が記されているので、それを確認するといい。
カリカリした筆記感が嫌いだけど、ニードルチップは合わない。でも細い字は書きたいという人にとって、このシグノRT1は救世主となり得るかもしれない。軸が気に入らなかったら入れ替えやすいのも利点。
気になるのは、0.38mmのブルーブラックの色が安定しないことがある点。これはシグノRTの頃からそうだったのだが、薄くなったり濃くなったりすることがある。
以前のRTで起きたときは、単にインクが古かったからだと思っていたのだが、今回新鮮なはずのRT1を買っても起きたので、これはUMR-83特有の問題なのかもしれない。不思議なことに、0.5mmや0.28mmでこの症状が出たことはない。たまたまハズレを掴んだだけなのかもしれないが、他のボールペンでは起こったことのない問題でもあるので、一応記しておく。
直接のライバルはサラサで、サラサはインクの発色が安定している点に利点があり、シグノはRT1でカリカリを抑えた筆記感を実現した点にアドバンテージがある。とはいえ、基本的にはほぼ互角で、発色の好みで選ぶことになりそうである。
ジュースとの比較については、全体にジュースはカリカリ気味なので、それをどう評価するかがポイント。ただ、結局はインクの色の好みで選ぶことになりそうな気はする。
スリッチやハイテックCとの比較については、耐水性や耐経年劣化性能を取るなら断然顔料インク組となる。その辺を捨てていいなら、発色や筆記感での比較になるだろう。
なお、スタイルフィットのシグノリフィルは今のところ旧来のペン先のままで、シグノRT1のような筆記感は得られないので注意。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.38/0.5mm(全16色 0.38mmのみ18色)
[純正芯]
UMR-83/85N(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
シグノRT1と同じ
[コメント]
シグノはいろんなバリエーションがあって非常にややこしいのだが、このRTはノック式。グリップのラバーの感触はつるつる気味でイマイチだが、軸の太さが標準的で使い勝手が良い上に、いろんなリフィルと互換性があるのが利点。特にジェットストリームやサラサクリップの軸が太すぎると感じる人にとっては、おあつらえ向きの互換軸となる。
シグノRT自体はRT1の発売以後、あまり見かけなくなってきたが、RTの軸はジェットストリームの限定版でよく使われている。
[種別]キャップ式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.28/0.38/0.5mm(全8色 0.5mmは4色)
[純正芯]
UMR-1(全長119.0mm 軸径6.0mm)
[コメント]
ラインナップに0.28mmがあるのが特徴のキャップ式シグノ。0.28mmの黒は擦れやすくて辛いが、その他のカラーインクならインクフローも良くて使い易い。水性顔料の0.3mm(0.28mm)ゲルインクボールペンを探しているならこれはお薦め。カラーバリエーションが豊富で、キャップ式の分、ノック式よりかすれが出にくい(同じシグノシリーズでも、ノック式0.28mmよりキャップ式のシグノ極細0.28mmの方がインクのかすれが少ない)。
0.38mmの書き味は、他のシグノシリーズと大差なし。
軸は、ラバーグリップの位置がペン先から遠すぎて使いづらい気がする。というわけで、私はボルドーブラックとブラウンブラックのリフィルをPILOTのG-3に入れて使用している。
水性染料のスリッチやエナージェル、バイオポリマーインクのハイテックCに比べるとインクフローが若干劣るが、耐光性、耐水性が高い。字の細さは、スリッチよりは細く、ハイテックCとは同等(インクの色によっては、ハイテックCより滲んで太くなるものもある)。
書きやすさを取るならスリッチ、エナージェル、ハイテックCだが、字の保存を重視するならシグノ極細の方が優れているといえる。
ノック式で0.28mmを実現したシグノRT1が発売されたことで、このボールペンの存在意義は薄れた感はあるのだが、キャップ式にこだわりがある人にとっては貴重なボールペンだと言える。
[種別]キャップ式水性顔料ゲルインクボールペン(ニードルチップ)
[ボール径]0.18/0.28/0.38mm(全2色)
[純正芯]
UMR-121(全長119.5mm 軸径6.0mm)
[コメント]
世界初の水性顔料ゲルインクでの0.18mm極細ペン先をリリースしたシリーズ。
軸は非常に使い勝手がいい。キャップ式シグノはみんなこれにして欲しいくらい。
ペン先はニードルチップらしくやや神経質で、かつインクが水性顔料ということもあり、突然インクが出なくなったり、あまりペン先を素早く動かしすぎると(つまり大きい字を書こうとすると)擦れたりする。0.38mmや0.28mmを使うなら、シグノ極細を使った方がいいような気がする。このボールペンの真価は、やはり0.18mmで超細かい字を書く時に発揮されるだろう。
なお、このペンのリフィルであるUMR-121は、UMR-8のお尻に丈増しの栓を付けたもので、この栓を外すとシグノRTなどに入れることができる。逆にUMR-8に部品をくっつけることで、シグノbitで使用することも可能。シグノbitが廃番した今、どうしてもこの極細ペンのリフィルを使いたいなら、栓を外して他の軸に入れて使うという手もある。ただし、栓を外すのは少し大変なことと、キャップ式のリフィルをノック式で使うと何か不具合が起きるかもしれない(インクが出なくなりやすいかもしれない)点は注意。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン(ニードルチップ)
[ボール径]
0.5mm 全4色
0.3/0.4mm 全22色
[純正芯]
LP3RF12S3/S4(全長111mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
Juice軸と同じ
[コメント]
新型ペン先の「シナジーチップ」を採用したジュース。もともとは0.3mm、0.4mmのみのリリースで細字に特化し、ハイテックCの顔料インクバージョンといった感じだったが、2019年6月に0.5mmも追加された。
軸は不透明になり、製図ペンかシャーペンのような外観になっている。高級というよりは、仕事用のペン、といった印象。私はしばらく、これがゲルインクボールペンだとは気付かなかった。
ジュースの軸と比べると、口金が金属になっている点は良くなっているが、バインダークリップが廃止されて標準的なプラスチックのクリップになっている点は、人によってはマイナス点と言えるかもしれない。
見た目の印象は大きく変わったが、使用感はジュースとほぼ同じ。リフィルの互換性もジュース軸と全く同じ。
インクは、ジュースとほぼ同じラインナップで、黒い紙に書くためのパステルカラー、メタリックカラーがあるのも似ている(0.4mmのみ)。メーカーの説明によるとインクもジュースから改良されて、よりなめらかな書き味を実現しているとのこと。
インクカラーは全22色と豊富だが、30色あったジュースに比べると若干整理されている。ジュースは白い紙に書くと読みづらい色がいくつかあったが、ジュースアップのインクは、ライトブルーやオレンジなども、やや暗めの判読しやすい色が採用されている。
なお、私の愛用しているコーヒーブラウンが無くなっていたので「何考えてるんだ」と思ったのだが、実はジュースアップの「ブラウン」のインクはジュースの「コーヒーブラウン」で、実際に無くなったのはジュースの「ブラウン」の方だった。
書き味については、パイロットのボールペンと言えば、引っかかるようなカリカリした書き味が良くも悪くも特徴的だが、新型チップのおかげで、0.4mmに関してはカリカリせずにスムーズな書き味になっている。この書き味はシグノRT1にも匹敵する。
一方、0.3mmについては、紙質が良かったり、下敷きを敷いていたりなど、環境がいい場合はスリッチやシグノRT1と同等の書き味を出せるのだが、環境が悪くなると、カリカリしたり、インクのノリが悪くなったり、といった面が出てきやすい。もともとゲルインクボールペンは紙質の良し悪しに敏感な筆記具だが、パイロットのペンは特に神経質なところがあって、0.3mmという極細になると、そういうところが顔を覗かせてくる。
また、フリクションやハイテックCなどのパイロット製ボールペンを使っている人にはおなじみの、書き始めにインクが出ないことがある不具合は、このボールペンにも度々起きる。たいがいの場合、少し試し書きしてやれば出るようになるが、この点もシグノRT1の方が優れている点と言える。
シグノRT1並の筆記感を実現したジュース、ということで、それを待ち望んでいた人にとっては嬉しいボールペン。0.4mmに関してはほぼ文句のないデキ(たまにインクが出なくなるのだけは問題だが、パイロットのボールペン使いなら慣れているだろうから些細な点だといえる)。
0.3mmも悪くはないが、使い勝手の良さはややシグノRT1やスリッチに分があるか。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.38/0.5/0.7/1.0mm(全30色 0.38/0.7mmは26色 1.0mmは8色)
[純正芯]
LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm)
[互換芯]
PILOT LG2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm)
[問題あり]
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm 概ね問題ないが、少しガタつく)
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm 同上)
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm 同上)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm 同上)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm 若干ペン先が飛び出るが、ガタつきはなし)
[コメント]
保湿成分を配合することで書き出しのかすれを低減していることが特徴の、水性顔料ゲルインクボールペン。
保湿成分の効果は確かにあって、顔料インクなのに染料インクのような書き味で非常に書きやすい。ただしそのせいで、完全にインクが乾くまでに時間がかかる。私が調べた結果では、筆記から12時間程度ではエナージェルやG-Knockといった水性染料並の退色と裏抜けが見られるが、24時間経過すると退色も裏抜けも起きなくなった。この乾きの遅さは他の顔料インクでは見られない現象なので注意(他の顔料インクボールペンは、筆記から1時間以内でも十分定着する)。
ペン先は、0.38mmはPILOTのボールペン特有の引っかかりがあって、ざらざらした紙だと破いてしまいそうな感じだが、その割にはインクフローは良くて、かすれたりはほとんどしない。
0.7mm以上の書き味は、サラサよりはインクの出が落ち着いていて筆跡は綺麗だが(シグノと同等)、あまり素早くペン先を動かすと筆跡の中央にインクがいまいち乗らないことがあるので、大きな字で豪快に書くには若干不向きな印象がある。
軸はサラサクリップのクリップとシグノRTのグリップを足していいとこ取りをしたような感じ。さすがに後発だけあって絶妙の仕様。
サラサクリップよりも軸が細めなので、太い軸が苦手な人にとっては握りやすいだろう。また、シグノRTよりはラバーグリップのグリップ感は高い。ただし、そのためラバーグリップにホコリなどの汚れが付きやすいという欠点もある。
G-knockの軸は意外と汎用性が低く、他社メーカーの芯が入れ辛かったが、この軸は比較的素直にJF芯互換のものはなんでも入る。ただ、JF互換の他社のリフィルは、PILOTに比べるとペン先のサイズがわずかに細いらしく、Juice軸に入れると少しだけ隙間ができ、そのせいでガタつく。0.7mm以上ならほとんど問題にならないはずだが、0.4mm(0.38mm)で細かい字を書くときには扱いづらい。
また、G-knockやJuiceのリフィルは、他社の軸に移植できないようにするため、バネ留めの手前で一段太くなる細工が施されている。そのため、一見入りそうな軸にも入らないので注意。
水性染料のように書ける水性顔料ゲルインクボールペンということで、シグノ、サラサとはまた違った使い方のできるボールペンだといえる。水性染料の利点だけでなく、欠点も若干引き継いでしまってはいるが、特性を理解してうまく使えば、使い勝手のいいボールペンだといえるだろう。
ライバルとの比較については、直接のライバルは同じ顔料インクのシグノ、サラサとなる。ジュースは全体的にカリカリ気味なので、筆記感が気に入らないなら他社のを使うことになりそう。ただ、基本的にはインクの発色の好みで選ぶことになりそうではある。
スリッチやハイテックCなどとの比較は、耐水性を取るなら顔料インクで、それを捨てていいなら発色や筆記感での比較になる。
[補足]
0.38mm コーヒーブラウンで、インクを半分くらい使用したところで色が薄くなりだし、3分の1残したところで使用に耐えなくなる問題が起きた。
こうなる原因はおそらくペン先のボールの寿命で、ボールが変形するなどの理由でインクが出にくくなるもの。
ゲールインクボールペンは油性よりも繊細なのか、こうした問題はよく起きるが、Juiceは他のペンと比較しても、ボールの耐久性が低いのかもしれない。
今まで5本使用し、2本でこの問題が起き、残り3本は問題なくインクをほぼ使い切れた。
[種別]キャップ式水性顔料ゲルインクボールペン(ニードルチップ)
[ボール径]0.3/0.4/0.5mm(全3色)
[純正芯]
KFGN(全長127.5mm 軸径4.0mm)
[互換芯]
ぺんてる スリッチ(全長113.0mm 軸径4.0mm)
[問題有り]
ぺんてる KF(全長138.0mm 軸径4.0mm 切れば入る)
[使用不可]
PILOT LGRF(全長128.0mm 軸径6.5mm 軸径が太すぎて入らない)
三菱鉛筆 UMR-1(全長119.0mm 軸径6.0mm 同上)
[コメント]
ニードルチップのゲルボールペンの中では書き味やインクフローに優れており、滑らかな書き味と擦れにくいのが特徴。ただ、インクが出すぎて少しにじみやすい(0.4mmの場合。0.3mmは使ったことがないのでわからない)のと、字の真ん中にインクが乗らないことがあって、それが気に入らなくて私はあまり好いていない(大き目の字を書こうとすると起きる。細かい字を書く分には問題ない)。特にニードルチップを必要とする理由がないなら、素直にシグノかサラサを使った方がいいような気がする。
今となっては総合的にはエナージェルやスリッチの方が優れているが、エナージェル、スリッチは水性染料なので、耐水性のあるニードルチップのゲルボールペンを求めるなら、まだまだ選択肢には入るだろう。
なお、この軸にはスリッチのリフィルを移植可能。スリッチの軸が細すぎるという人は試す価値があるかもしれない。ハイブリッドの軸にも移植できる。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.5/0.7mm(全3色)
[純正芯]
KLR 5/7(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm)
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm)
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
ぺんてる KFRN、LR/LRN(全長112.0mm 軸径6.0mm)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[使用不可]
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm 長さが足りない)
[コメント]
ぺんてるでは珍しい、ニードルチップではないアロー型ペン先のノック式水性「顔料」ゲルインクボールペン。つまりはシグノRTやサラサクリップのライバル関係にあたる。同じぺんてるとしてはハイブリッドシリーズと競合関係になるが、ハイブリッドテクニカはニードルチップで0.3/0.4/0.5mmのキャップ式であるのに対し、こちらはアロー型の0.5/0.7mmのノック式となる。
ハイブリッドシリーズが筆跡の中央にインクが乗らないことがあるのを反省してか、インクが中央に集まることを売り文句としている。
書き味や筆跡は、ハイブリッドと似ている。他メーカーに比べると滑らかな書き味の代わりに、若干インクが滲んだような筆跡になる(気にならない人も多いかもしれない程度ではある)。売り文句通り中抜けが発生しないのはハイブリッドに比べると改良された点。もし0.4mm以下でこの書き味と筆跡を実現しているなら優れているのだが、0.5mm以上となると中抜けが気になるボールペンの方が少ないので、あまり特性が活かせていない感じがする。
軸は妙なデザインで、太さはエナージェルとほぼ同等だが、グリップからペン先までが長く、若干扱いづらい印象がある。また、口金にデザインとして妙な突起がつけられているのだが、これがいろいろ邪魔くさい。実際この突起の部分が筆記に悪影響を与えることはないのだが(突起を避けて使えばいいだけなので)、ペン先に余計な意匠があるのは、筆記具としてはマイナスでしかない。
ただし、ハイパーGのリフィルはハイブリッドテクニカノックやノック式エナージェルと同じ形状で、つまりはサラサクリップやシグノRT、ジェットストリームの軸などに移植できる。ハイパーGの書き味は好きだけど軸は嫌という場合は、移植を考えるといいだろう。
悪いボールペンではないのだが、シグノ、サラサ、ジュースあたりと比べたとき、カラーバリエーションの貧弱さや0.4mmがない点などがどうしてもネックになってくる。書き味はぺんてるらしい滑らかさを誇るので、エナージェルっぽい書き味の水性顔料が欲しいという人にはいいかもしれない。要するに宛名書きなどには適していると言える。ただし速乾インクではない。
なお、ぺんてるは後に「ゲルインクボールペン きらり」という、0.7mm黒のみの美文字ゲルインクボールペンなるものをリリースしたが、これはリフィルも軸のデザインの多くもそのまんまハイパーGの0.7mmで、どう考えても不評だったであろう口金の変な突起のみなくなっている。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]
0.4/0.5mm(全15色)
0.6mm(全20色)
0.8mm(全5色)
[純正芯]
R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[使用不可]
ゼブラ JF芯(軸に入らない)
三菱鉛筆 UMR-8(軸に入らない)
ぺんてる KFRN、LR/LRN(軸に入らない)
PILOT LG2RF、LP2RF(軸に入らない)
[コメント]
世界初のゲルインクボールペン、ボールサインのノック式。基本色15色は0.4mm、0.5mmで、残り25色は0.6mm、0.8mmのメタリックやラメ入り、黒背景用などの特殊なペンとなる。
細めのプラスチック軸で豊富なインク色というラインナップから、見た目はスリッチやハイテックCのライバル商品に見えるが、顔料インクであることから、実際はサラサ、シグノ、ジュースのライバルとなる。
軸は、スリッチっぽい細身の形状だが、グリップ部で太くなっているため、見た目よりも持ちやすい。ただ、ペン先に近いところまで太っており、実際に筆記していると目障りに感じる。グリップ部は一見プラスチックむき出しだが、実際は薄いラバーっぽいものが入っており、滑り止めや手への負担軽減効果のあるものになっている。クリップは小さくチャチで、あまり頼りにならない。
リフィルの軸径は5.0mmのため、似たようなサイズで軸径6.0mmのJF芯やUMR-8などは入らない。逆に、リフィルのR-GBPはサラサクリップ、シグノRT1、エナージェル ノック式などに移植可能。つまり、軸が気に入らなければ他の軸と交換しやすい。
エナージェル トラディオにはいちおう入り、とりあえず問題なく使えるようなのだが、リフィルの軸径が足りないため、内部できちんと固定されておらず、それが何らかの問題になる可能性はある。
書き味は、シグノRT1と同等程度でサラサよりも良好。シグノRT1はペン先が改良されており、驚異的な滑らかさを誇るのだが、ボールサインノックはそれに迫る書き味を誇る。
ただ、滑らかさが行きすぎることもあり、つるつるした紙質だと、ボールが滑ってインクの乗りが悪くなることがある。
インクのカラーバリエーションはなかなか実用的で、発色もいいし滲みも問題なし。顔料なので、耐水、耐アルコール性も問題なし。
特に、メタリックカラーやラメ入りカラーなど、落書きペン系統の特殊なインクが優秀。一般にメタリックカラーやラメ入りなどのペンは、インクのノリがイマイチだったり色味が微妙だったりといったことが多いが、このシリーズは使いやすい色合いが揃っており、インクのノリも比較的良く、なかなか使いやすい。……もっとも、こういうのはプリクラなどの写真に落書きするために使われることが多く、私にはほとんど縁が無いのだが。
実用色で嬉しいのは、ブラウンブラックがあること。シグノRT1にはなく、サラサのブラウンは色がイマイチ、ジュースのコーヒーブラウンは発色はいいが書き味がカリカリ気味なので、書き味が良くて発色のいい、ブラウンブラックのノック式顔料インクボールペンの存在は有り難いところ。
0.6mmや0.8mmのペンのインクの発色やノリは本当に良く、似たような商品展開をしているジュースよりもずっといい。また、似たような形状のペンとして、あえてスリッチやハイテックCと比較するなら、薄いラバーが入っていることによる軸の使い勝手の良さと、顔料インクという点が強みになるだろう。
普段使いのペンとしては、見た目とクリップさえ気にしないならば意外と扱いやすいペンといえる。見た目や使用感が問題ならジェットストリーム軸などに入れる手もある。問題は、現状では取り扱っている店が少ないこと。使いたくても入手しづらいのでは、普段使いとしては辛いものがある。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]
0.4/0.5mm(全6色)
[純正芯]
R-GBN(全長112.0mm 軸径5.5mm)
[互換芯]
サクラクレパス R-GBP
[使用不可]
ゼブラ JF芯
三菱鉛筆 UMR-8
ぺんてる KFRN、LR/LRN
PILOT LG2RF、LP2RF
(太すぎて入らない)
[コメント]
ピュア(黒)、ナイト(紺)、モカ(茶)、フォレスト(緑)、カシス(赤)、ミステリアス(紫)の各6種類のブラック系インクのみのラインナップのノック式水性顔料ゲルインクボールペン。サラサのビンテージカラーと似ているが、こちらは替え芯あり。
インクの色の中にはプルーブラックやブラウンブラックなどボールサインノックと重複しているものがあるが、あれとは別に調色したようで、より黒に近い色合いになっている。かなり暗めの色のユニボールoneと比べると全体に少し明るめ。いい案配の色なのではないかと思う。
軸は不透明。グリップ、口金はプラスチック。グリップに滑り止めパターンはなし。
滑り止めパターンのないプラスチックのグリップは滑りやすいことが多いが、半つや消しにしていることと、独特のグリップの形状により、意外とホールド感はある。
グリップは六角形と円を組み合わせた独特の形状をしており、平らな部分に人差し指が乗るように持つ。決められた持ち方をすると、見た目よりも太さは感じず、持ちやすい。ただし、軸によって持ち方が決められてしまうので、必ず購入前に店頭で持ちやすさをチェックした方がいい。
軸の互換性については、ボールサインノックのR-GBPは入るが、JF芯系のリフィルは全て入らない。
リフィルの型番はR-GBNで、R-GBPよりも0.5mm太い。そのため、iDのリフィルはボールサインノックには入らない。
一方で、JF芯系と比べると0.5mm細い。サラサクリップ、ユニボールone、ノック式エナージェルなどには入る。トラディオ・エナージェルについては一応使えるが、リフィルの尾部が軸に固定されず、ぐらつく可能性がある。そのため、セロテープを撒くなどして太さを調整したほうがいいだろう。
[種別]ノック式水性顔料ゲルインクボールペン
[ボール径]
0.5mm(全20色)
[純正芯]
全長111mm 軸径6.0mm(替芯の販売なし)
[問題あり]
ゼブラ JF芯、三菱鉛筆 UMR-8、ぺんてる KFRN、LR/LRN
(純正芯より2mmペン先が飛び出る)
[使用不可]
三菱鉛筆 SXR(ノックできない)
サクラクレパス R-GBP(ノックできない)
[コメント]
ツタヤのオリジナルブランド、HEDERAのゲルインクボールペン。上海の文具メーカー、KACOと提携して開発されたペンとのこと。手頃な価格で上品な感じがウリ。
ボール径は0.5mmのみ。全20色の展開。
軸は全身ラバーコーティングされている。このラバーの質感は上々。スラリ300で使われているラバーに似ている。適度にグリップ感があって滑らか。ホコリもあまりくっつかないし、すぐ取れる。
軸径はシグノRTとほぼ同等程度。シグノRT1やエナージェルが若干太いと感じる人には最適だと思われる。
インクが顔料か染料かについては情報がないが、筆跡にアルコールを拭いても滲まなかったことから、顔料インクと推測される。
0.5mmのみのラインナップだが、滑らかな書き味で、インクカラーもきれい。カラーバリエーションも実用的で、マニアックなものも揃っている。ネイビー、ディープグリーン、ディープレッド、ブラウンは、それぞれブルーブラック、グリーンブラック、ボルドーブラック、ブラウンブラックとして使えるような、暗めの色合いになっている。
アースグリーン、アースブルー、ウォームレッドも視認性が良くて使いやすい色合い。
リフィルはJF芯やUMR-8などとほぼ同形状だが、全長が1mm短く、バネ留めからペン先までの長さは2mm短い。そのため、HEDERAの軸にJF芯などを入れるとペン先が2mm飛び出る(不格好だが一応使える)。逆に、サラサクリップの軸などにHEDERAのリフィルを入れると、ペン先が2mm埋まるため使えない。これはバネ留めの位置を調整する必要がある問題で、リフィルを切るなどの簡単な改造では修正できない。
私が試した軸で、HEDERAのリフィルが問題なく入ったのはサラサスティックの軸のみ。ただし、これは廃番しているため入手困難。
0.5mmのみというのが残念だが、軸や書き味の質は高く、インクバリエーションも素晴らしい。しかも価格が100円+税。これなら充分にサラサクリップやシグノ、ジュースアップなどと張り合える。
今後0.4mmや0.3mmが登場して、書き味に問題がないようなら、サラサやシグノのシェアを食うかもしれない。
水性染料のインクを使用したゲルボールペン。顔料系に比べるとインクの発色が良く、カラフルなインクが多いのが特徴。書き味も顔料インクに比べるとなめらかで、かすれや詰まりも起きにくい。
ただし、滲みや裏抜けが発生しやすい(染料は紙の繊維に染み込んで発色するので、そもそも滲んだり裏抜けしやすい)点と、耐水性が無きに等しい点には注意。書いた直後、もしくは乾燥が不十分で定着しきっていない段階で水がかかると字が消えてしまい、定着後は字は残るが裏抜けしてしまう。
通常想定される筆記で水性染料の欠点が問題になることは少なく、書き心地が良くて筆跡の美しいペンとして文句のない性能を発揮してくれるが、湿度が高い、紙面が水分で濡れることがあるかもしれない状況などでの筆記や、薄い紙を両面使って筆記する場合などには適していない。
[種別]ノック式水性染料ゲルインクボールペン
[ボール径]
0.4mm(全14色)
0.5mm(全3色)
[純正芯]
芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
[互換芯]
サラサクリップと同じ
[コメント]
従来品よりも字が濃いことをウリにしたノック式『染料』ゲルインクボールペン。サラサの名を冠してはいるものの、顔料ではなく染料を使用している。サラサドライもそうだったが、顔料インクと染料インクでは用途が異なるので、同じブランド名を付けるのは紛らわしいからやめて欲しい。
通常、ゲルインクボールペンはボール径0.5mmをメインにすることが多いが、このシリーズはボール径0.4mmが主力になっている。
見た目や「濃い字が書ける」というコンセプトはユニボールワンと似ているが、実際のライバルはエナージェルとなる。
軸は従来のサラサクリップと同じもの。カラーリングが明らかにユニボールワンを意識している。わざわざ二番煎じ感を出す必要はなかった気がする。
ボール径は0.4mmと0.5mmのラインナップだが、0.5mmは基本の3色しかなく、事実上、0.4mmのみのラインナップと言ってもいい。
0.4mmのインクバリエーションは14色。グリーンブラックやレッドブラックなど、サラサヴィンテージ的なインクがある。
0.5mmのカラーバリエーションの少なさを嘆く人がいるなら、サラサヴィンテージを買えばいいと思う。ブラック系として使える濃くて個性的なインクカラーを選び放題である。むしろ0.4mm使いとしては、ヴィンテージに0.4mmがないことを嘆きたい。サラサRとサラサヴィンテージのラインナップを交換して欲しいくらいである。
インクの濃さについて。
サラサクリップと比較すると、若干サラサRの方が濃い。ただし、よく見て比べないと違いがわからない程度の差である。また、サラサRの字がサラサクリップよりはっきり見えるのは、字が太めになることによる効果が大きいように感じる。サラサRの0.4mmは、サラサクリップの0.4mmよりも若干太めの字体になる。0.4mmと0.5mmの中間くらい。
サラサRのブルーブラックと、サラサヴィンテージのダークブルーだと、ダークブルーの方が濃い。顔料インクでこの色味が出せるなら、素直にこのインクで0.4mm版を出して欲しかった。
ユニボールワンとの比較は、黒インクに関してはユニボールワンの圧勝。ユニボールワンは本当に黒色といったインクだが、サラサRは若干紫寄りの黒となっている。どちらがいいかは好み次第だが、どちらがより黒か、ということならユニボールワンである。
カラーインクについては、ほぼ同等と言っていい。サラサRとユニボールワンでは若干色味の個性が異なり、ユニボールワンの方が若干黒、もしくは灰色寄りの色味だが、濃さとしては同等と言って差し支えない。
エナージェルとの比較だと、黒色に関してはエナージェルの方が黒寄り。カラーインクについてはエナージェルの方が明らかに明るめの発色となる。
サラサドライはインクが出過ぎの傾向があり、裏抜けもしやすかったが、サラサRはその辺の問題は改良されたようで、インクフローは問題なく、裏抜けもコクヨのキャンパスノートレベルの紙質なら気にならない。
また、特に売り文句とはなっていないが、速乾性もある様子。書いてすぐに指で擦ってみたが、インクが付いたりはしなかった。
筆記感は若干カリカリする。昔のパイロットのボールペンを思わせる書きづらさで、下敷きを使わずノートで筆記すると結構な抵抗を感じる。
染料インクの方が書き心地をよくしやすいはずなのに、これはいただけない。滑りすぎるのもよくないが、これはカリカリしすぎだろう。
耐水性はもちろんない。水がかかると色が抜けて裏抜けが起きる。
筆記語24時間経過後もインクの定着度合いは大して変わらず、水がかかるとほとんどの色が抜けてしまう。水や汗が付着する可能性のある場合や湿度の高いところでは使用しない方がいい。
使われているリフィルの型番は刻印されていないため不明だが、形状はJF芯と同じ。軸がサラサクリップと同じ形状なので、この辺は予想通りだろう。
全色替芯はなさそう。安いので替芯がなくても大きな問題にはならないが、欲しかった人はいるはず。
このペンの存在意義は、レッドブラック、グリーンブラック、ブルーグレーなど、サラサビンテージ系のインクが0.4mmで使えることにある。もしサラサビンテージに0.4mmが登場すれば、サラサRは必要ない。同等の性能の顔料インクと染料インクが選べるなら、顔料インクの方が使い勝手がいいからである。
私としては、サラサRなんか作っている暇があるなら、ビンテージの0.4mmを出して欲しい。
ただし、ゼブラの染料インクは速乾性があるかもしれないので、それを必要とし、かつ、エナージェルよりもインクの色味が好きなどの理由があるなら選択肢に入るだろう。
他社のエナージェルや、あえて比較するとしてユニボールワンと比べると、価格が安いというのも選ぶ理由になるかもしれない。
[種別]ノック式水性染料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.4/0.5mm(全3色)
[純正芯]
JLV芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
[互換芯]
JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
[コメント]
速乾性インクをウリにした、ぺんてるのエナージェルの対抗馬となるボールペン。
まず注意しなければならないのは、このボールペンのインクは水性染料だということ。従来のサラサシリーズは顔料を使用しており耐水性に優れていたが、このボールペンのインクは、水がかかると思いっきり裏抜けしてしまう。速乾性インクの特性か、インクが流れて字が消えたり、滲み過ぎて判読不能になることはないのだが、裏抜けの度合いは酷いので、紙を表裏両面使用する場合は注意。
軸の見た目はスラリに似ているが、グリップの太さや使用感などはサラサクリップの軸と同等と考えていい。スラリよりもひとまわり太く、また、グリップからペン先までの距離も長い。
リフィルの互換性もサラサクリップと同等。つまり、この軸にいろんなリフィルが入るし、このリフィルをいろんな軸に入れることもできる。互換芯の情報欄にはJF芯のみ記載しているが、より詳しい互換情報についてはサラサクリップを参照のこと。
リフィルは、現状では0.4mmと0.5mm、それぞれ黒、青、赤の3色のみ。
書き味については、同じのボール径のエナージェルよりも字が太めで、よりはっきりと濃い筆跡になる。ただし、染料かつゼブラらしくインクがたくさん出る傾向のあるこのペンは、やや裏抜けしやすい。
速乾性に関してはエナージェルよりも若干優れているようで、紙質にもよるが、0.5mmだと筆記から1秒以内に擦っても滲まなくなり、0.4mmだと書いてすぐ擦っても問題ないくらい早く乾く。
エナージェルとサラサドライの比較については、サラサドライはエナージェルよりも太めの筆跡になるものの、インクの出が多いわりには速乾性が高い点にアドバンテージがあると言える。つまり、より太い字を、速乾で書きたい場合にはサラサドライが有効となる。
エナージェルには0.7mm以上のボール径があるが、このボール径になると速乾とは言いがたくなる。そのため、エナージェルの0.7mmクラスの字を速乾で書きたい場合は、サラサドライの0.5mmの出番となるだろう。
あとはペン先の違いで、ニードルチップが好きならエナージェル、アローチップが好きならサラサドライ、ということになる。
また、速乾インクという領域には、シグノ307という強力なライバルが存在する。シグノ307は顔料インク使用のために耐水性に優れ、しかも筆記抵抗が少ない。速乾性はサラサドライの方が少しだけ優位なので、そこを買うなら選ぶ余地はある。
[種別]ノック式水性染料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.38/0.5/0.7/1.0mm(全3色)
[純正芯]
LG2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm)
[問題有り]
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm スラリかサラサクリップのバネを移植する必要あり)
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm 少しペン先が飛び出る。少し切れば適切に)
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm 少しペン先が飛び出る。少し切れば適切に)
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm ペン先が少しガタつく)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm ノックが少し硬い。少し切れば適切に)
[コメント]
軸は見た目はゴツそうだが、ペン先の近くで細くなっているため、非常に使い易い形状になっている。リフィルの形状からすると広く互換性のありそうな軸に見えるのだが、その実他のリフィルを入れようとするといちいち問題が起きるので、素直に純正芯を使うのがおすすめ。
また、リフィルのLG2RFは互換性が高そうな形状だが、バネ留めの手前で一段太くなっているため、他社の軸には移植できない。
ペン先は、使い始めは若干カリカリする感じで、特に0.38mmは他社製に比べると引っかかりが強め。
このボールペンの特徴は黒の発色の良さで、他のメーカーのものと比べるとより黒い。
昔はブルーブラックがあったらしいという噂を聞いたが、現在は黒赤青しか販売していない。インクのカラーバリエーションが少ないのが、サラサやシグノと比べるとつまらない点ではある。
Gシリーズのインクは乾きが早いらしく、比較的早い段階で耐水性を発揮するようになるが、字は消えなくても裏抜けはしてしまうので注意。
[種別]キャップ式水性染料ゲルインクボールペン
[ボール径]0.38/0.5/0.7mm(全8色 0.5mmは4色)
[純正芯]
LGRF(全長128.0mm 軸径6.5mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 UMR-1(全長119.0mm 軸径6.0mm)
[コメント]
基本的にはG-knockと同等の性能を持つボールペン。インクの発色や性質、ペン先の具合なども一緒。
この軸には三菱鉛筆のUMR-1が入るのが大きな利点で、シグノ極細の軸の、ラバーグリップの位置が気に入らない人(つまり私)には嬉しいボールペンである。
[種別]キャップ式バイオポリマーゲルインクボールペン(ニードルチップ)
[ボール径]0.3/0.4mm(全12色)
[純正芯]
全長116.0mm 軸径6.0mm リフィルの別売り無し
[コメント]
HI-TEC-Cのバリエーションモデル。以前の無骨なデザインから一転して、カラフルでオシャレな軸になった。カラーバリエーションは大幅に減り(必要充分の色数はある)、何かと扱いの難しかった0.25mmのラインナップが消えたが、価格が若干値下げされている。
見た目は大きく変化したものの、軸の使用感はほぼ同じ。相変わらずグリップにはラバーなしだが持ちやすい。クリップがなくなったので、胸ポケットなどには差せない点は注意。
ひもなどをくくりつけられる輪っかが付いているが、ストラップなどを付けてデコレーションするためのもので、逆にボールペンをストラップ代わりにして持ち歩くと、キャップが取れて本体を破損、紛失する可能性があるので推奨しない。
書き心地については、公式サイトなどでは特に改良されたなどの謳い文句はないのだが、なんとなく従来のHI-TEC-Cより書きやすくなったような印象がある(インクが新鮮だからかもしれないが)。HI-TEC-C特有の、すぐ機嫌を損ねて書き始めにインクが出なくなることもなく、快適に極細文字が書ける。インクフロー自体も良くなっているように感じる。また、ペン先のしなりが少なくなり、しっかり書けるようになった印象。
HI-TEC-Cにはいい印象があまり無かったのだが、信頼して使えるペンになったと言える。
[種別]キャップ式バイオポリマーゲルインクボールペン(ニードルチップ)
[ボール径]
0.25mm(全3色)
0.3/0.4/0.5mm(全10色)
[純正芯]
全長116.0mm 軸径6.0mm リフィルの別売り無し
[コメント]
かつては色数が多いシリーズだったが、現在、だいぶ減らされている。
バイオポリマーインクを使用したキャップ式ニードルチップボールペン。使い捨てタイプで、リフィルは売っていない。
軸はラバーなしで、標準的な太さとなっている。無難なデザインの軸の割に、意外と互換リフィルが見つからない。
バイオポリマーインクの特性なのだろう、インクフローが良くてかすれにくい上にじみにくく、競合するゲルインクボールペンの中では最も細い字が書けるという、驚異的な性能を誇るボールペン。0.4mm以上ではほとんど差はないが、0.3mm以下での差は歴然。書きやすさと字の細さの両立を究極まで求めるなら、このボールペンが最適。
欠点は、他のボールペンに比べるとインクが出なくなる頻度が高めなのと(使っている途中でかすれるのではなく、使い始めにインクが出てくれない)、ペン先がかなり繊細で、筆圧をかけるとペン先がしなること(当然壊れやすい、ということでもある)。このボールペンを使いこなすためには、メンテナンスや使い方にそれなりに気を遣ってやる必要がある。キャップ式でも神経質なので、ノック式は使う気になれない。
バイオポリマーインクはスリッチのインクと似たような性質で、筆記から12時間程度で水がかかると字が消えてしまい、24時間程度では字は消えないものの、裏抜けしてしまう。
なお、0.5mmは「ハイテック05」、0.25mmは「ハイテックC025」というのが正式名称。しかし、メーカーでもハイテックCのページにハイテック05を一緒に掲載しているくらいなので、さほど気にする必要はない。
直接のライバルはスリッチ。スリッチはかなり頑丈で滑らかな筆記感を実現したペン先を使っているので、それを評価するならスリッチ。ハイテックCのウリは細字が書けることで、そこを取るならハイテックC。あとはインクの色の好みとなる。
[種別]ノック式水性染料ゲルインクボールペン(0.5mm以下はニードルチップ)
[ボール径]0.3/0.4/0.5/0.7/1.0mm(全3色)
[純正芯]
LRN 3/4/5(全長112.0mm 軸径6.0mm)
LR 7/10(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm)
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm)
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
ぺんてる KFRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[使用不可]
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm 長さが足りない)
[コメント]
速乾性インクがウリの、エナージェルのノック式バージョン。リフィルはキャップ式エナージェルと同じものを使用している(エナージェルユーロは軸と芯が一体化しており、リフィルの交換ができない)。もとは0.5、0.7mmのみのラインナップだったが、2014年5月に0.3、0.4、1.0mmが追加された。
今まではエナージェルの速乾性を最大限活かすなら、キャップ式かつ完全使い捨てのエナージェルユーロの0.35mm以外に選択肢が無かった(インク量が少ない方が乾きが早いので、速乾性を追求するなら0.5mmよりは0.35mmの方がいい)。しかし、0.3mm、0.4mmリフィルの追加により、ノック式でもユーロ並の細字と速乾性を実現させることができるようになったわけである。
軸はクリップが金属になっており耐久性もそこそこあり、癖がなく使いやすい。ハイパーGやハイブリッドテクニカノックと見た目は似たような軸だが、グリップからペン先までが短く持てるようになっているため断然使いやすい。実際に使い比べてみれば差は歴然である。ボールペンはペンを立てて使う必要があるので、短く持てる軸の方が使いやすい。
太さはエナージェルキャップ式とはほぼ同等だが、エナージェルユーロに比べると若干太い。細い軸が好みの方はシグノRT(RT1ではない)軸を使うか、もしくはキャップ式でいいならユーロかトラディオを使う手がある。ラバーグリップについては可も無く不可も無く。特に不満は無い。他メーカーのものに比べると、ホコリがくっつきにくい点は利点と言えるか。
また、ジェットストリームやシグノ、サラサなど、多くのリフィルと互換性がある。ただし、PILOTのリフィルは使用できないので注意(要するにジュースやG-Knockリフィルなどは使えない)。
書き味は、全体にはスリッチより若干抵抗がある感じ。スリッチほど滑らないが、カリカリもしないということで、なかなか絶妙の書き味と言える。
特に0.5mmは滑りすぎずカリカリもせず素晴らしい。書き心地だけで選ぶなら、私はエナージェルの0.5mmがボールペンでは一番だと思っている。ただしこのボール径だと、期待するほど速乾性は得られない(紙質にもよるが)。
0.4mmはエナージェルユーロの0.35mm並の書き味で、スリッチの0.4mmよりは滑らない感じ。速乾と書き味の両立という点では0.4mmがおすすめ。
0.3mmの黒インクは、速乾性重視なら最高ではあるものの、さすがにカリカリ気味になって書き味は良いとは言えない。もっとも、ペン先を素早く動かしすぎない(小さい字を書く)ことや、紙質を選ぶことで消せる程度の欠点ではある。下敷きを敷くとだいぶ書きやすくなるので、特に0.3mmを使う場合は下敷きの使用を推奨したい。また、赤、青インクは黒に比べると滑らかなので、色に問題が無いのであれば、黒の代わりに青を使うという手もある。
0.7mm以上はインクが出過ぎるため乾くのに時間がかかり、速乾インクの特徴を活かすには向いていない。ただ、書き味や筆跡そのものは悪くない。
なお、速乾インクとはいえ水性染料は水性染料なので、雨や汗で滲んだりはするので注意。乾くのと定着するのとは別の話。
このボールペンの対抗馬として、ゼブラからサラサドライが登場した。サラサドライは全体に太めの筆跡で、0.4mmでエナージェルの0.5mm、0.5mmで0.5mmと0.7mmの中間くらいの太さと考えるといい。細い字を書きたい場合はエナージェルの方が有効だが、太めの字を速乾で書きたい場合には、サラサドライの0.5mmにアドバンテージがあると言える。
さらに強力なライバルとして、シグノ307が登場。名前は酷いが性能はすさまじく、エナージェル並みの速乾性(少しだけエナージェルの方が速乾性は上)を誇りながら、エナージェルよりも筆記抵抗が少なく、そしてなにより顔料インクを使用しているので耐水性に優れる。ただし、エナージェルにもアドバンテージは残っており、307は滑りすぎるから困る、ニードルチップじゃなきゃ嫌、307では速乾性が若干足りない、耐水性は特に必要ない、といった場合にはエナージェルを使用することになるだろう。
[種別]ノック式水性染料ゲルインクボールペン(ニードルチップ)
[ボール径]
0.3/0.4/0.5mm(黒・赤・ブルーブラック・ブラウン)
[純正芯]
LRN
[互換芯]
ノック式エナージェルを参照
[コメント]
大人の女性をターゲットにしたという、シックなデザインをまとったノック式エナージェル。軸の柄以外はノック式エナージェルと全く一緒。
やたらあるノック式エナージェルの軸デザイン違いのひとつに過ぎなかった商品だが、なぜかこのシリーズに2018年8月からブルーブラックとブラウンインクが追加された。
ブルーブラック、ブラウンのリフィルは、専用の什器では売られている。ただし、メーカーサイトの替芯の一覧には載っていないので、インフリーのリフィルと同じく、売り切りではないかと思われる。
なお、このリフィルはパイプに色が付いていないため、インフリーに入れるとインクカラーの判別がしづらく、見栄えが良くないので注意。
ニュースリリースによると、このインク色は特に数量・期間限定ではないようだが、いつなくなるかわからない危うさはあるので、必要な人は多めに買っておいた方がいいかもしれない。
[種別]ノック式水性染料ゲルインクボールペン(0.4mm、0.5mmはニードルチップ)
[ボール径]
0.4、0.5、0.7mm(全10色)
[純正芯]
LRN
[互換芯]
ノック式エナージェルを参照
[コメント]
エナージェルのバリエーションのひとつ。もともとは限定モデルだったが、好評だったため定番化した。
また、2021年2月よりインクカラーが全10色になった。
もともとこのペンは、ぺんてるの底意地の悪さを象徴するラインナップだった。長らく待ち望まれていたエナージェルの透明軸やブルーブラックインクを「限定品」として売り、インフリー最大のウリであるターコイズブルーやオレンジインクは0.5mmでのみ販売。ユーザーが欲しいと思うものをあえて作らなかったり、数量限定で売ったりするという、いかにもぺんてるらしい商法のペンだったのである。そんなことをして何の得になるのか知らないが、ぺんてるは長らくそういう販売戦略を採っている。
インフリーはかなり売れたようで、後にぺんてるはインフリーを「定番化」。0.7mmにターコイズブルーとオレンジを追加したが、0.4mmには追加しなかった。
さらに、いつから販売していたかは知らないが、TSUTAYA限定でグリップの色がインクの色と同じになっているモデルを販売。
しかし、コクヨからの敵対的買収騒動や、そのどさくさに紛れて決まったプラスとの協業、社長交代などのイベントを経て、ユーザーの欲しいものを作らない戦略がいかに阿呆かをようやく悟ったのか、2021年2月17日より、インフリーは追加色を加えて全10色展開となり、かつ、全てのボール径で10色使えるようになった。ようやく0.4mmでターコイズブルーが使えるようになったわけである。
また、この10色展開に伴い、いままでなぜかなかった赤インクも追加された。
軸の形状はノック式エナージェルと同じだが、透明軸になっている。軸の配色はインクカラーに関わらず共通。バーコードの付いているシールのみ色が異なるが、これを剥がしてしまえば、黒インクリフィルの入っていた軸にターコイズブルーリフィルを入れたりしても支障なくなる。
インクのバリエーションは10色。ターコイズブルー、オレンジ、バーガンディなど、変わったインクカラーがあるのが特徴。
長いことエナージェルは基本の3色しかなく、ブルーブラックすら使えない有様だったが、これでようやくいろんなインクを使えるようになったわけである。
ブルーブラックに関しては、エナージェルクレナにも追加されている。
リフィルは全径全色が売られている。リフィルはLRNなので、様々な軸に移植可能。
なお、インフリーのリフィルはインクカラーを判別しやすいよう、パイプに色づけがされている。一方、通常のエナージェルのリフィルは、そこまできっちりと色づけされていない(不透明の軸に入れるものだから当然といえる)。そのため、通常版のリフィルをインフリー軸に入れると、インクの色が判別しづらい。このことから、インフリー軸には専用のリフィルを入れることが推奨される。
これは、ノック式エナージェルの軸が透明だったらいいのに、エナージェルのインクカラーにバリエーションがあったらいいのにと日頃から思っていた人には垂涎のアイテムだろう。
逆に言えば、透明軸やインクカラーバリエーションなど、他のボールペンブランドなら当たり前にあるものが、今までエナージェルには無かったことが驚きである。
↑赤リフィルとグリップの移植例。インフリーで赤インクを使いたい場合、LRNの赤インクリフィルをインフリー軸に入れればいいわけだが、このままだとインクの色が判別しづらい。そこで、ノック式エナージェルの赤からグリップを移植するとわかりやすくなる。
インフリーに赤インクが追加されたので、この移植をする必要はなくなった。
[種別]ノック式水性染料ゲルインクボールペン(0.3/0.5mmはニードルチップ)
[ボール径]0.3/0.5/0.7mm(全3色)
[純正芯]
LRN 5(全長112.0mm 軸径6.0mm)
LR 3/7(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
ノック式エナージェルと同じ
[コメント]
ノック式エナージェルの廉価版。異なる点は、軸が透明なことと、クリップがプラスチックになっていること。耐久性は若干ノック式エナージェル軸の方が高いが、ラバーグリップやグリップの太さはほぼ同じ(わずかにエックスの方が細い気がするが、気のせいのような気もする)で、入っているリフィルは全く同じ。価格は半額(ノック式エナージェル200円、エックス100円)。比較すると、透明軸なのでインク残量が分かり易いのが利点で、クリップがプラスチックであることが欠点。今のところ0.4、1.0mmのラインナップはないが、リフィルは入る。
基本的にはノック式エナージェルと同じものなので、価格と見た目、透明軸を取るか金属クリップを取るかで選べばいいだろう。
[種別]回転式水性染料ゲルインクボールペン(ニードルチップ)
[ボール径]0.5mm(黒のみ)
[純正芯]
LRN 5(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
ノック式エナージェルと同じ
[コメント]
エナージェルの高級モデル。金属軸で回転繰り出し式を採用している。
このペンの最大の特徴は、ノック式エナージェルと同じ芯を採用している、ということ。エナージェルの全ボール径が使えるのはもちろん、ハイパーG、ジェットストリーム、シグノ、サラサ、ボールサインノックなど、様々な芯と互換性がある。低粘度油性にも水性染料にも水性顔料にもなるわけである。例によってパイロットの芯とは互換性がないので注意。
軸は金属製で、グリップにラバーや滑り止めパターンは無し。つるつるしていないのでものすごく滑るということはないが、ラバーグリップに比べると、どうしてもグリップ感に不安が残るのは仕方のないところ。表面の感触はパイロットのアクロドライブと似ている。
持ち手はノック式エナージェルよりも細く、エナージェルトラディオと同等程度。重心は高め。欲を言えば低重心にしてほしかったところ。
低粘度油性の高級軸モデルはすでに各メーカーから発売されているので、このペンにジェットストリームを入れるのはあまり意味がないと思うが、通常のノック式サイズのゲルインクリフィルを入れられるのが、このペンの最大の利点だろう。
結局のところ、筆記のしやすさということであれば、ラバーグリップや滑り止めパターンを採用している安物軸の方がいいのだが(プラスチック軸のキャップ式でもいいなら、トラディオは見た目と実用性のバランスがいい)、ビジネスシーンでゲルインクを使いたい、といった場合の選択肢のひとつとしては有効な一本と言える。
また、金属軸なので壊れにくく、回転式なのでポケットの中でペン先が飛び出て大惨事にならない、といった利点から、胸ポケットにさすペンとしてはいいかもしれない。
なお、リフィルを入れ替えるとしてのおすすめはシグノ307のUMR-85E(0.5mm)。速乾顔料ゲルインクという万能インクを使用しており、この手のペンに入れるには最適。
[種別]キャップ式水性染料ゲルインクボールペン(0.35/0.5mmはニードルチップ)
[ボール径]0.35/0.5/0.7/1.0mm(全3色)
軸と芯の分解不可
[コメント]
軸と芯が一体化しているため芯の交換ができない、完全使い捨てタイプの水性染料ゲルインクボールペン(他のエナージェルシリーズは交換可能。ユーロのみ分解不可)。ペン先は0.35mmと0.5mmはニードルチップで、0.7mm、1.0mmは通常のアロー型となっている。
インクのかすれは少なく、ストレス無く書ける。特に0.35mmは比較的安定して極細字が書ける。これだけの細字を安定して書けるのはコレとスリッチくらいなもの。ライバル製品の多くが耐水性などを考慮して水性顔料を使っているのに対し、水性染料を使っているのも影響しているのだろう。
また、このボールペンは速乾性を謳っており、実際、書いた直後にこすってもほとんど滲まない。この乾きの速さは油性ボールペン以上で、とにかく早く乾いて欲しい場合(左利きの人や縦書きの時など)には重宝する。
ユーロに限らず、エナージェルシリーズはカラーバリエーションが少ないのが難点といえる。ブルーブラックインクを使いたいとか、0.25mmを使いたい場合はスリッチを使おう。
軸は従来のエナージェルに比べると少しだけ細くなっており、非常に使い易い。リフィルも交換できない使い捨て軸なのが本当に惜しい。
エナージェルのインクはスリッチよりも定着が早く、早い段階で水がかかっても字は消えなくなるが、裏抜けはしてしまうので、両面に文字を書いた紙を水で濡らしてしまう事態は避けたい。
[種別]キャップ式水性染料ゲルインクボールペン(0.5mmのみニードルチップ)
[ボール径]0.5/0.7mm(全3色)
[純正芯]
LRN 5(全長112.0mm 軸径6.0mm)
LR 7(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[互換芯]
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm)
[問題あり]
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm)
一応問題なく使えるが、内部でリフィルがしっかりと固定されていない。リフィルの尾部にセロテープを巻くことで改善可能。
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
一応問題なく使えるが、内部でリフィルがしっかりと固定されていない。セロテープを巻く場合はかなりたくさん巻く必要あり。
[使用不可]
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm 軸径が足りない)
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
ゼブラ EQ芯(全長111.0mm 軸径4.4mm 軸径が足りない)
[コメント]
この商品は廃番になったが、本家のトラディオ・エナージェルはまだある。輸入品になるので入手が難しいが。
芯を交換できるエナージェルユーロみたいなもの。ユーロに比べると重く(ユーロは芯交換を不可にしてまで限界まで軽量化しているため、この差は仕方ない)、グリップがラバーではなくプラスチック(滑り止めのパターンはある)、クリップは金属でなくプラスチックで、そのくせユーロよりも高いが、値段のわりにはそこそこ高級感のある外見と、芯が交換できることがウリ。
また、グリップがクリアスモークグレーになっており、外見を損なわずにインク残量が判別できるようになっている。これは地味だが大きな利点と言えるかもしれない。
純正では0.5mmと0.7mmのみのラインナップだが、0.3mm、0.4mm、1.0mmのエナージェルリフィル(LR)が入る。JF芯も入るため、特にサラサをキャップ軸で使いたい人にとっては嬉しい軸のひとつとなりそうである。
UMR-8は、一応使えるが、リフィルの軸径が若干細いために、中でリフィルが固定されない。これはリフィルの尾部にセロテープを何巻きかすることで改善する。巻きすぎると入らなくなるので、様子を見ながらやるといい。
ボールサインノックのリフィルも軸径が細いため内部で固定できないが、一応ガタつくこともなく使用は可能。ただし、そのことで何らかの問題を起こす可能性はあるので、注意。
ジュースやG-Knockなど、PILOTのリフィルは使えない。また、ジェットストリームのリフィル(SXR)も入らないので注意。
芯交換できることをメリットと感じないのであれば、エナージェルユーロの方が全体的な性能は良いし安い。ただ、ユーロとほぼ同形状で芯交換可能な軸というだけで、キャップ派にとっては大きな価値があるだろう。待ち望んでいた人も結構いるはず。
[種別]キャップ式水性染料ゲルインクボールペン(ニードルチップ)
[ボール径]0.25/0.3/0.4/0.5mm(全3色)
[純正芯]
全長113.0mm 軸径4.0mm リフィルの別売り無し
[コメント]
ニードルチップのくせに神経質なところがなく、普通のペン先のように書けてしまう、非常に使い勝手のいいボールペン。シグノやサラサを超える書きやすさを誇る。特に0.4mmの書き味は感動モノ。ただしインクは水性染料なので、水性顔料のインクに比べて耐水性、耐光性などは劣る。
リフィルは交換できるが売ってはいない。軸はめちゃくちゃ細いので、細い軸が苦手な人は、リフィルをハイブリッドやハイブリッドテクニカに入れて使うといいだろう。
インクのカラーバリエーションは、以前は豊富だったのだが、現在では3色のみの販売になっている。他の色が使いたい場合、アイプラスのスリッチーズリフィルを使うしかなくなった。
直接のライバルはPILOTのハイテックCだろう。筆跡の細さはハイテックCの方が勝っているが、ハイテックCはすぐにインクが出なくなるなど、神経質な面が多々ある。細字を極めるならハイテックCだが、気安さを取るならスリッチ、といったところ。
また、最近はシグノ307という強力なライバルも現れた。スリッチを越える書き味に、速乾性と耐水性(顔料インク)を備えるという化け物ペンである。以前ならカラーバリエーションで勝負できたが、現在では307と同じ3色しかリリースされておらず、かなり辛いものがある。
スリッチのインクはHI-TEC-Cと似たような性質で、筆記から12時間程度で水がかかると字が消えてしまい、24時間程度では字は消えないものの、裏抜けしてしまう。
軸とリフィルを組み合わせて、自分の好きな多機能ボールペンが作れるシリーズ。おそらくこれの走りはゼブラのシャーボXだろうと思う。
ボールペンが好きな人は、放っておいてもシグノRT軸にジェットストリーム芯を入れたりなどのカスタムをして、自分好みのボールペンを追求し出すものだが、芯を切ったりセロテープを巻いたりといった工作が必要だったり、合いそうで合わない組み合わせなどもあって、それなりに知識や経験、そしてリスクの伴う行為ではあったりする。
そういう面倒を省くため、互換性をメーカーが保証することで、手軽にボールペンカスタマイズの楽しみを味わってもらおうということで、こういうシリーズが流行しだしたのだろう、と思う。
なお、各メーカーのリフィルのサイズは似ているのだが、なぜかほとんど互換性がなく、あるホルダーに複数のメーカーのリフィルを入れて使うことは、基本的にできないと考えた方がいい。
[リフィル]
サラサ 0.3mm(18色)
サラサ 0.4mm(18色)
サラサ 0.5mm(23色)
シャープ 0.3/0.5/0.7mm
[コメント]
プレフィールから油性、低粘度油性のリフィルがなくなり、代わりに水性顔料ゲルインクリフィルのインクカラーが増えている。
油性リフィルはともかく、スラリリフィルを削ったのは解せない。スラリのブルーブラックインクがなくなり、大変困っている人もいるように思う。
ホルダーは3色と5色の二種類。作りはプレフィールよりもややしっかりしているものの、クリップバインダーがなくなっている。
サラサセレクトのリフィルはサラサマルチ(4色+シャープ)と同じものなので、純正ホルダーが気に入らない人はサラサマルチを使うのを推奨。もちろん、プレフィールのホルダーとも互換性あり。
サラサのインクカラーは増えたものの、正直、パワーダウン感が否めない。スラリのインクを削っただけに見える。
[リフィル]
スラリ 0.3/0.5/0.7mm(全11色 0.3mmのみ4色)
サラサ 0.3/0.4/0.5mm(全10色 0.5mmのみ4色)
ジムノック 0.7mm(全4色)
シャープ 0.3/0.5/0.7mm
[備考]
スタイルフィットの芯は一応入るが、若干太いらしく、不具合が起きる可能性あり。
[コメント]
低粘度油性、水性顔料ゲルインク、油性、シャープと、多彩なリフィルが使用可能なシリーズ。スタイルフィットの直接のライバル関係となる。
このシリーズの魅力は、0.3/0.7mmシャープが使える点と、スラリのカラーバリエーションが豊富なことだろう。また、旧式ではあるが信頼性の高いジムノック芯が使えるのも特徴。スラリの0.3mmがあるのも、細字新油性が欲しい人には嬉しいところ。
もともとは多色軸しか存在しなかったが、後にスタイルフィットを意識してか、単色軸も追加された。
軸はスタイルフィットと同等かやや太めで、細めの軸が好きな人には辛い。サラサクリップと同じくバインダークリップが採用されているのが特徴。
現在は販売が終了し、サラサセレクトに移行している。
[リフィル]
ジェットストリーム 0.5/0.7/1.0mm(全3色)
シグノ 0.28/0.38/0.5mm(全16色)
シャープ 0.5mm
[備考]
wooodnoteはスタイルフィットのリフィルを使用しているので、単色ホルダーとして使用可能。
スタイルフィットのホルダーには、スリッチーズ、プレフィールの芯は使えない。太さが若干足りない?
[コメント]
低粘度油性、水性顔料ゲルインク、シャープと、多彩なリフィルが使用可能なシリーズ。単色ホルダーがあるのも特徴的。この単色ホルダーはものすごくチャチそうだがなかなか侮れず、小さい字を書くときに非常に使い易かったりする。小さい字を書こうとすればするほど繊細な筆遣いが必要なのだが、そのためにはなるべく細い軸で、ペン先に近いところを持つ方がいい。その両者を何気なく満たしているのがこの単色ホルダーなのである。この単色ホルダーが細すぎるという人には、woodnoteという木製軸ペンがスタイルフィットのシグノリフィルを使用したもので、代わりに使える。
このシリーズの欠点は多色軸のノック部のツメの引っかかりが甘く、ペン先を出し辛い点。また、全体になんとなく薄くて、他に比べると割れやすそうな感じがする。実際割ったことはないが。
軸は基本的に太めだが、1000円の高級軸はスリッチーズ並に細く、かなり使いやすい。ただし、回してペン先を出すタイプなので、好みが分かれるかも知れない点と、インクの色が見える窓の部分が段差になっており、使用時に親指と人差し指の股の部分に触れて、その感触が気になる人もいるかもしれない。購入前にその点のチェックをした方がいい。
なお、今のところ、スタイルフィットのシグノリフィルは、ジクノRT1で実現したカリカリを抑えた新型ペン先を導入していない。そのため、シグノRT1の筆記感を求めてスタイルフィットを購入するとがっかりすることになるので注意。
[リフィル]
バイオポリマーゲルインク 0.3/0.4/0.5mm(全15色)
シャープ 0.5mm
タッチペン
消しゴム
[コメント]
ラバーグリップホルダーがある点と、タッチペンや消しゴムが使える点が特徴のシリーズ。
軸は無難なデザインだが、スタイルフィット、プレフィールに比べると作りがしっかりしている。また、全体に他メーカーの軸よりも細めで、太すぎる軸が嫌いという人にはちょっと嬉しい。ただ、構造上仕方ないとはいえ、やはりそれなりに太くはあるのだが。
2色用の軸はかなり細めとなっており、細めのグリップがいいという人には嬉しい。
グリップは、プラスチックそのままのものと、ラバーグリップのものがある。プラスチックのグリップは滑り止めパターンもないので、特にこだわりがないならラバーグリップの方を選ぶ方が使いやすいだろう。
リフィルは、タッチペンやシャーペンなどを除けば、バイオポリマーインクの0.3、0.4、0.5mmの15色。使い勝手などはハイテックCとほぼ同じ。0.3mmが気難しいのも同じ。
せっかくだったら、アクロインキリフィルやジュースリフィルも出してくれれば、このシリーズも使い勝手の幅が広がると思う。
[リフィル]
スリッチ 0.3/0.4/0.5mm(全15色)
エナージェル 0.5mm(全3色)
ビクーニャ 0.5mm(全3色)
シャーペン 0.3/0.5mm(アイプラスホルダー専用 スリッチーズホルダーには使えない)
[コメント]
スリッチとエナージェル、二種類の水性染料インクがラインナップされているのが特徴のカスタマイズペン。スリッチは色数が豊富で、エナージェルは速乾インクなのが利点。ただし、どちらも染料インクなので、汗などで滲んだりする点は注意。
もともとぺんてるは「スリッチーズ」という名前で、スリッチインクのみのカスタマイズペンシリーズを出していたが、アイプラスが登場したことによりスリッチーズは消滅した。
アイプラスが発売して間もない頃はスリッチーズのホルダーも併売していたが(アイプラスと完全互換だった)、現在では無くなっている。スリッチーズホルダーはアイプラスのものよりも優秀だっただけに残念なところ。
アイプラスホルダーは、ほとんどスタイルフィットの軸と同じような仕様になっている。軸の太さや、リフィルの判別方法(スリッチーズはノック部の窓で判別するが、アイプラスは透明になっているグリップで判別する)なども一緒。スタイルフィットもプレフィールと同様、クリップがペン出しノックを兼ねる方式になっているが、クリップが何のためにあるのかを考えると、動くのはあまり褒められた仕様とは言えない。
異なるのは、ノックがやや固めでしっかりしている点。スタイルフィットのノックはあまりにも頼りないのに対し、アイプラスはかなりしっかりしている。
できればエナージェルリフィルには、最近ノック式に登場した0.3mm、0.4mmが欲しいところである。また、せっかくだったらハイブリッドテクニカかハイパーGの0.3/0.4/0.5mm(要するに水性顔料インクリフィル)も追加すれば、結構需要があったろうと思う。
[リフィル]
ゲル 0.5/0.7mm(全4色)
油性 0.5/0.7mm(全3色)
[互換芯]
三菱鉛筆 UMR-8(全長112.0mm 軸径6.0mm)
ゼブラ JF芯(全長111.1mm 軸径6.1mm)
サクラクレパス R-GBP(全長112.0mm 軸径5.0mm)
[使用不可]
三菱鉛筆 SXR(全長111.5mm 軸径4.4mm バネ留め径6.0mm 軸に入らない)
PILOT LG2RF、LP2RF(全長110.5mm 軸径6.2mm 形状は酷似しているが互換性無し)
PILOT BRFV-10EF/F/M(全長115.0mm 軸径4.0mm バネのサイズが合わない)
ぺんてる KFRN、LR/LRN、KLR(全長112.0mm 軸径6.0mm リフィルの軸径が太い。使える場合もあるが推奨しない)
[コメント]
別売りの軸とリフィルを組み合わせるタイプのボールペンだが、インクのカラーバリエーションは少なく、軸も単色軸しか存在しない。その代わり、グリップが太め、標準、細めの三種類から選べる。
グリップが選べるのは大きな利点ではあるものの、その他のバリエーションが少なく、一見地味なシリーズ。しかし、実はこの軸とリフィルは、サラサクリップやシグノRT1などと互換性がある。つまり、エラベルノ軸にUMR-8やJF芯を組み合わせたりすることができるわけである。
サラサクリップやシグノRT1のグリップが太くて使いにくいという人にとっては、エラベルノ軸の登場は画期的だと言える。今までは移植用の軸を買う度に不要なリフィルが付いてきて処分に困っていたはずだが、そういう心配をせずに済むようになる。
ただし、エラベルノの軸にジェットストリームのリフィル、SXRは入らない(ジェットストリームの軸にエラベルノのリフィルは入る)。また、ぺんてるのKFRN、KLRなどは軸径が入るか入らないかのぎりぎりの太さで、使えるリフィルもあれば、途中で引っかかって使えないリフィルもある。そのため、使えないと考えた方がいい。使えるリフィルでも、無理に入れると抜くのが大変だったりする。
純正リフィルは油性とゲルの二種類で、どちらもボール径は0.5mmと0.7mm。黒、青、赤の基本色に、ゲルインクのみブルーブラックがある。
「シルキー油性」「エアリーゲル」と自称しており、その正体は不明だが、耐水、耐アルコール実験の結果から、おそらくそれぞれ低粘度油性、水性染料ゲルだと思われる。
書き味は滑らかで、この点はジェットストリーム、エナージェルに匹敵する。ただ、若干裏写りしやすい性質があるので、薄い紙に両面書く場合には注意。ゲルインクの速乾性については公式では特に言及されていないが、まあまあといったところ。
[耐水・耐アルコール実験]
ツイストリングノートの紙にエラベルノのゲルインク、油性インクの0.5mmでそれぞれ筆記し、10分後にアルコール、水を吹いて指でこすった結果。
耐アルコール性は、油性はにじみと裏抜けが発生し、ゲルインクはにじみは少ないものの、裏抜けが発生する。
耐水性は、油性は問題なし。ゲルインクはにじみと退色、裏抜けが発生する。乾燥時間を長くすると退色はしなくなるものの、にじみと裏抜けは同様に発生する。
油性の経年劣化については検証中。
また、水、アルコールを吹く前の裏面の画像からわかるとおり、油性、ゲル共に、若干裏写りしている。紙質薄めのツイストリングノートでこの程度であれば、大概のノートで実用上ほとんど問題ないレベルだが、ほぼ日などの裏写りしやすい紙への使用は控えた方がいいかもしれない。
インクの正体のわからないものや、特殊なものはこちらにまとめておく。
[種別]ノック式水性染料ボールペン(消せるインク)
[ボール径]0.4mm(全8色)
[純正芯]
LFPKRF
[コメント]
専用ラバーで擦ると筆跡が消えるボールペン。筆跡が消えるのは温度変化によって色が変わるインクを使用しているため。冷やすと筆跡が復活するし、温めると筆跡が消える。
こうしたインクを使用したペンを使うには様々な注意を要する。筆跡が消えては困る場面で使用してはいけないし、極端に低温や高温になる環境での使用はできない。真夏にフリクションペンで書いたメモ帳を車内に放置すると全部消えてしまったりする。
パイロットのフリクションペンは、実用的な消せるペンの先駆けとして一世を風靡している。以前にも消せるペンは何度か登場したが、使い勝手が悪いなどの理由で定着しなかった。
フリクションペンは、消せるペンのパイオニアではないものの、はじめて消せるペンを実用的なものとして定着させた点では功績がある。
しかし私は、フリクションペンが嫌いである(三菱鉛筆のユニボールR:Eも嫌い)。そもそも「消える」ということ自体が気に入らないのだが、そこを否定してもしょうがないので、我慢するとしよう。しかし、それを措くとしても、インクの色味が悪いし、書き味が悪いし、インクがすぐ出なくなるしと、実用面で様々な問題を抱え過ぎている。
パイロットのボールペンはもともと、カリカリと引っかかり気味の書き味と、すぐ出なくなるインクが特徴的だった。欠陥と言ってもいい。フリクションペンはその欠陥をものの見事に継承していたのである。
何本か買って使ってみたものの、すぐインクが詰まってゴミ箱行きになり、こんなものを使うくらいならシャーペンでいいよ……と思ってしまうのである。
そうした欠陥をかなり克服してきたのが、フリクションポイントノック04である。ペン先にはジュースアップで培ったシナジーチップを使用し、書き心地とインクフローの良さを確保。インクの色味についても、まだ充分とは言えないが、かなり頑張って改善している。
なにより重要なのは、インク詰まりがかなり解消された点。今までのフリクションペンは数日放っておいただけでインクが出なくなる気難しさだったが、このペンに関しては、今のところインクが出なくなったことは一度もない。ようやく、使いたいときにちゃんとインクが出るフリクションペンが登場したのである。
当たり前の性能がようやく当たり前に実現しただけだと言えばそうだが、ボールペンの歴史は、その当たり前を当たり前に実現するために努力が重ねられてきた歴史でもある。今でこそボールペンは、書きたいときにちゃんとインクが出て当たり前の筆記具になったが、昔はすぐに書けなくなる粗製ボールペンで溢れていたし、今でも海外の安物ボールペンにはそうした粗製品が多い。日本のボールペンの性能が異常なのである。
というわけで、私はフリクションポイントノックのことを高く評価している。
消せるペンは各種あるが、本当に実用に耐えうるペンは、今のところ唯一これだけだと私は思う。
[種別]ノック式ゲルインクボールペン(油性顔料ゲルインク?)
[ボール径]0.38/0.5mm(全1色)
[備考]
リフィルの形状はほぼC-300系だが、細かい部分で仕様が異なるようなので、互換性なしと考えた方がいい。
[コメント]
ダイソーで売られている正体不明のノック式ゲルインクボールペン。2本セットで100円+税で売られている。インクの色は知る限りでは黒のみで、ボール径は0.38mmと0.5mmがある。
↑ダイソーは商品の入れ替えが激しく、将来どのボールペンの情報なのか分かりづらくなる可能性があるので、画像情報を掲載しておくことにした。パッケージは0.38mmのもの。
これが型番なのかどうかよくわからないが、0.5mmは「ゲルインクボールペンH
No.11」、0.38mmは「ゲルインクボールペンH
No.12」となっている。
なお、「ゲルインクボールペンH」と書かれている下には"Oil-Based
Ballpoint Pens H"とある。つまり油性ゲルなのか。
軸は、ノック式エナージェルに似ているが、全然別物。作りも異なるのだが、なにより製品精度が段違いで、このペンは個体によってノックがしづらかったり引っかかったりする。また、遠目で見るとそれほどでもないが、間近で見ると思ったより安くさい。
使った感じはそう悪くなく、エナージェルと似ているが、気持ち細めな印象。ただ、ノックしづらい個体に当たると悲しい気持ちになる。
リフィルはいわゆるC-300系と呼ばれる(私はゼブラ派だったのでJF芯互換と呼ぶことが多い)、サラサクリップやシグノRTなどとほぼ同じ形状の芯が使われているが、C-300系よりも1mm短いため、実際には互換性はないと考えた方がいい。この軸にJF芯やUMR-8などを入れるとペン先が飛び出てしまう。使えないことはないが、ペン先を引っ込めたときにぎりぎり収まるくらい余裕がないので、この軸に他メーカーのリフィルを入れるのは推奨しない。逆に、このペンのリフィルを他の軸に入れると、ノックがものすごくしづらくなったり、ペン先が埋まり過ぎて使いづらかったりする。
インクの正体は不明だが、使い勝手としては水性顔料ゲルインクと同じと考えていい。つまり、筆跡はきれいで、ほとんど裏抜けせず、耐水性があり、経年劣化に強い。
パッケージには「ゲルインク」と書かれており、裏には"Oil-Based
Ballpoint Pens"とある。これらの表記が正しいとすると、珍しい油性ゲルインクということになる。染料か顔料か混合かについては、筆跡ににじみがなく、裏抜けもないところからすると顔料っぽいが、この点ははっきりしない。
なお、例によって耐水、耐アルコール実験を行ったところ、書いてすぐに水やアルコールに漬けても脱色や滲み、抜けなどは生じなかった。この結果は実用面では朗報だが、インクの正体を特定することはできなかった。私の推測では油性顔料ゲルインクだと思う。
筆跡は、水性インクのようにきれいだが、油性だと言われてよく見ると、確かに水性にしては若干ダマっぽいところがあるような気もする。ただ、よく見ないとわからない程度であり、筆跡が汚く見えるほどではない。
書き味は、ややカリカリ気味。PILOTのジュースと同等程度。
軸の製品精度に難があり、ハズレを掴まされることがあるものの、かなりまともな作りのゲルインクボールペンだといえる。シグノやサラサの半額という安さを考えると充分すぎるほどの性能。とはいえ、私は4倍高くてもジュースアップを使うが。
[種別]キャップ式ゲルインクボールペン(油性顔料ゲルインク?)
[ボール径]0.28/0.38mm(全1色・ニードルチップ)
[コメント]
ダイソーで売られているキャップ式のゲルインクボールペン。2本セットで100円+税。型番らしきものは、0.28mmは「ゲルインクボールペンH
No.14」、0.38mmは「ゲルインクボールペンH
No.15」。
インクはNo.11、No.12番と同じもので、おそらく油性顔料ゲルインク。はっきりした正体は謎だが、信頼性は高い。
ノック式のNo.11、No.12と異なるのは、キャップ式であるということと、ニードルチップを採用していること。
書き味はハイテックCとよく似ている。たまにインクが出にくくなったり、カリカリ気味だったりするのも似ている。頑丈なぺんてる製のニードルチップとは異なり、力を加えるとペン先がしなり、加えすぎると破損するので、取り扱いには注意を要する。
リフィルの形状は長さ117mm、軸径5mm。ハイテックCのリフィルに似ているが、ハイテックCのリフィルの軸径は6mmなので互換性はない。
ノック式のNo.11、No.12は、ノック機構に当たり外れがあるのが問題だったが、キャップ式はその心配がないのはいいところ。製品の質が安定している。
良くも悪くも、ハイテックCによく似たペン。ハイテックCと異なるのは、インクの色が黒だけなのと、インクに耐水性があること、価格が4分の1なこと。用途は限定されるが、かなり優秀なペンだといえる。
[種別]3色ノック式ゲルインクボールペン(水性顔料ゲルインク)
[ボール径]0.5mm(黒・青・赤)
[コメント]
No.11、No12と全く同じ名称、似たパッケージに入っているが、こちらは0.5mmの3色ゲルインクボールペン。型番は「ゲルインクボールペンH
No.23」。2本セット100円+税。
一見、油性の3色ボールペンっぽい外見だが、れっきとしたゲルインクボールペン。ラインナップは0.5mmの黒、赤、青の3色のもののみ。
インクはおそらく水性顔料ゲルインク。No12などとは異なり、パッケージ裏の表記に"Oil-Based"と書かれていないことから油性ではないと考えられ、また、耐水、耐アルコール実験の結果、にじみや裏抜けが全く見られなかったことから顔料インクだと推測される。
インクの色や書き味については普通。感動する何かがあるわけではないが、不満もない。カリカリするわけでもなく、インクがかすれやすかったり出過ぎたりするわけでも、滲んだり抜けたりするわけでもない。価格のことを考えれば、この値段で不満なく使えるのはすごいことだと言える。
リフィルのサイズは長さ91mm、軸径3mm。私は多色ペンについては詳しくないので、同型のリフィルがあるかについてはよくわからない。
軸は、いかにも安物ボールペンらしい外見だが、それだけにオーソドックスに扱えるとも言える。ノックの感触なども普通。全身透明軸なので、インク残量が丸わかりなのは実用面ではいいところ。
グリップはプラスチックで、滑り止めのパターンがある。グリップの太さは、多色ペンにしては細い方だと言える。持った感じは、ノック式エナージェルよりわずかに太く感じて、単色軸のサラサクリップと同じくらい。
ものすごく普通の0.5mm水性顔料ゲルインク3色ペンだが、これが1本50円というのがこのペンの恐ろしいところ。銘柄やインクの色やボール径や軸のデザインなどにこだわりがなく、とにかく普通に使える0.5mmのゲルインク3色ペンが欲しいということなら、これはおすすめ。