ところがその後、秋篠宮家に悠仁さまが誕生すると議論が沈静化。それでも上皇陛下が生前退位され、天皇陛下が即位されると、皇位継承をめぐって議論が活発になってきた。7日の『ABEMA Prime』では、今回の有識者会議のメンバーでもある八木秀次・麗澤大学教授に話を聞いた。
【映像】皇位継承資格、EXITの2人はどう考える?
■「女系天皇」、そして「女性天皇」とは何か
「例えばこの系図で説明すると、まず女子Aは父方が天皇(男子)なので“男系女子”、そして男子Bを“男系男子”となる。一方、女子Aが皇族の以外の方と結婚して生まれてきた子どもは母方が皇族になるため、男子Cは“女系男子”、女子Dは“女系女子”となる。その子どもたち(男子G、H)、さらに男子Bの子どもの女子Eと孫の男子I、男子Fの子どもの女子Jも含め、女系は皇族の身分から離れ、民間人になるのが今の仕組みだ。
そして残った“男系男子”である男子B、男子F、男子Kの3人だけが、11人いる天皇の子孫のうち、皇位継承資格がある、ということになる。これが“男系継承”と呼ばれる、天皇になる資格を持つ者を絞り込む仕組みだ。一般の家庭の場合、女子が跡継ぎになったり、他家の男子に養子を迎えて跡継ぎになったりすることがある。ところが天皇の地位だけは完全に男系の血統、血筋を継ぐ者のみが皇族となり、天皇になれる正統性があるということになっている。これは他の国の王室とは異なるもので、遺伝子、極端に言えば育てられた環境や能力とも関係がない。
例えば、仮に秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんがご結婚されたとして、お二人の間に生まれてきた子どもが天皇になった場合、“女系天皇”ということになるが、1700年以上にわたり一度の例外もなく、そういう方々は皇室から出られて民間人になってきた。逆に言えば、“女系天皇”という言葉自体、最近になって作られた言葉だということだ。血統によって“誰も取って代わることができない”ことになるからこそ特別の扱いされ、敬意、敬愛の念を抱いてもらえる。“男系継承”でなくなった場合、そういったことが果たして可能なのかということだ。
ただし、この女性天皇と皇族以外の男子との間に生まれた子どもは“女系男子”もしくは“女系女子”になるため、皇位継承資格はない。つまり、1代限りの仕組みということだ。仮に女性天皇を認めることになったとしても、女系継承を認めなければ1代だけ先に延ばすだけということになる。つまり、これも安定的な皇位継承にとっては本質的な解決策にはならないということだ」。
■「旧宮家の皇籍復帰」論も
「男系継承を続けていくのはものすごく難しいことなので、かつては祖先を同じする、別の血筋の系統が用意されていた。例えば後桃園天皇の系統は男系が途絶えてしまったため、曽祖父にあたる東山天皇の弟の男系の孫にあたり、7親等も離れた光格天皇が跡を継いだ。皆さん、ひいおじいさんの弟の孫に会ったことはあるだろうか。しかし、これが男系継承ということだ。
(8日)の有識者会議でも議論が出たが、室町時代に分かれた伏見宮の系統があり、例えば明治天皇には内親王が4人いたが、いずれも伏見宮の系統の皇族と結婚されている。いずれの宮家も昭和22年10月に皇籍離脱によって民間人になったが、今も子孫は存在している。そこから継承してくるという考え方もあるということだ」。
アメリカ合衆国出身のパックンは「日本の憲法には、“天皇は国民の象徴だ”と書いてある。その国民の半分は女性だし、国民の7割以上が女系天皇、女性天皇を認めるべきだと答えている。自分たちの象徴には誰がふさわしいかと国民に聞けば、顔も見たことのない伏見宮家の子孫よりも、天皇陛下の娘であり、子どもの頃から見守ってきた愛子さまの方が納得できるのではないか」と疑問を呈する。