二次元裏@ふたば
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画像ファイル名:1618160097383.png-(544702 B)
544702 B21/04/12(月)01:54:57No.792029770そうだねx2 03:43頃消えます
「マヤ、わかっちゃった」
 その言葉が恐ろしく思えるようになったのは何時からだろう。先日の春の天皇賞か、それともクラシック時代での有馬記念優勝の時か?
 いや違う。どれも違う。これまではその稚気に微笑ましさと愛らしさを覚えていた。無論、数日前にトレーナー室でマヤノと談笑した時だって何一つとして変わったところは無かった。天才的な洞察力に裏打ちされた閃きの力は、私に幾ばくかの焦りとそれを上回る期待と喜びをもたらしてくれた。
121/04/12(月)01:55:20No.792029829そうだねx1
「こうしちゃえばトレーナーちゃんは動けなくて……それで……」
 マヤノが分かったことを私が理解して、試して成功して二人で手を合わせる。喜べはすれど、怖がるようなものでは決してない。そう分かっていたはずなのに今は、そう今は、ひたすらに別の感情だけが私の心を支配する。
「トレーナーちゃんの弱いとこは……」
 頬から首筋、鎖骨をわたってシャツの中の胸元へ。つうっと滑る細く滑らかで少し冷たい彼女の指先に、私の身体は勝手に反応しびくんと跳ねる。
「あっ、やっ……マヤ、どうし、て……」
 口から出ていく言葉の全てが困惑に歪む。私が今できることはマヤノが何故こんなことをしたかを知る、ただそれだけだろう。
 助けを呼んだところで無駄なのは分かっている。窓もドアも完全に閉め切られているのだから、叫んだところで部屋の外になど聞こえるわけもない。加えて、まだ昼前だと言うのに安物の遮光カーテンが引かれ薄闇が立ち込めているのだから、そもそも室内に居ることすら分かりようもないだろう。
221/04/12(月)01:55:51No.792029928そうだねx1
問いかけに答える声はなく、代わりにぱちりとフロントホックの外れる響きが肌に伝わる。肌を歩いた、冷たかった指先が温もりの分かる手のひらに変わる。いくら見栄を張っても大きいとは言えない乳房がマヤノの手のひらに覆われる。
「やっぱりここが弱いんだね。トレーナーちゃん、かわいい」
「ねえ、なんで、どうして、なの……」
 私の目に熱いものが込み上げてくる。いつもなら腕や指で拭いされるそれは、今の私にはどうすることも出来ない。
 だって気付かなかったし思いもよらなかったのだ。かねてより私とパジャマパーティーがしたいと言っていたマヤノの願いを聞く形で自室に呼び就寝し、お菓子をつまみながら楽しく談笑したその翌朝。まさかベッドに手錠で拘束され、キャミソール姿のマヤノにウマ乗りになられるなどとは。
「えー、なんでって何が?」 
 悲しげな微笑みを絶やさぬまま、マヤノは不思議そうに首をかしげた。
「どうしてって、トレーナーちゃんならわかるでしょ?」
321/04/12(月)01:56:34No.792030077そうだねx1
マヤノが投げた「わかるでしょ」。自分の胸に聞けと言わんばかりの台詞だが、ことマヤノに限ってはそれだけの意味ではない。それぐらいトレーナーをしてきた私なら分かるのに、口から出るのはどうして、なんでの繰り返しだ。
「……トレーナーちゃん」
「あっ……!」
 私のうわ言を断ち切るように胸元の手が動き出す。整えられた爪先で乳首をかりかりと擦られる。マヤノの言葉に怒りはない。
 答えなきゃずっとこのままだよ。そう耳元で囁かれ、私は必死にマヤノとの思い出を脳内へと求めた。
421/04/12(月)01:57:31No.792030244そうだねx1
 恋という経験は私にはない。でも『それこそ』が、女を変質させるものであることぐらいは知っている。
 だからこそ、あの時の私が述べたすべては、大人としての正しい選択だったと断言できる。でもそここそが分水嶺で、歯止めが利かなくなってしまう理由そのものだったのだ。
 だから、理由なんてあれしか、ない。
 ひどく最近の思い出に手を伸ばして、私はゆっくりとあの時の私を巻き戻していく。 
521/04/12(月)01:58:11No.792030353そうだねx1
「だめだよ、マヤは、女の子、なんだ、から」
「うん」
 自分の耳と髪を撫で続けていたマヤノの手が、そっと私の喉元に寄り添う。力は一切込められていない、なのに何故だか息が詰まる、喉が痛い、苦しい、死んでしまいそうになる。それでも私は言葉を紡ぎ続ける。途切れ途切れに、思い出す。あの夕暮れの、いつになく真剣で、いつになく心細そうなマヤノの告白を。
「わたし、なんかより、もっとすごくて、かっこいい、いいひとが、いいひとにであえる、から」
 そこまで言いきってからマヤノの顔を見つめた。潤んだ瞳、上気した頬、悲しげに下がった眉。何もかもがあの日と変わらない彼女の顔がそこにあった。
「うん。でもマヤね、トレーナーちゃんが……ううん、トレーナーが、好き。きっとこれから誰と走っても、変わんないぐらい本当に好き。断られても、変わんない。だから、今日いっぱいでぜんぶ、さよなら。そうしようって決めたの」
 マヤ、大人でかっこいいでしょ? そうおどけてみせたマヤノの頬を、カーテンから漏れ出た光が照らした。涙の筋、煌めく雫、力なく落ちて私のシャツにか細い足跡を残す。
621/04/12(月)01:58:48No.792030471そうだねx1
「なんでだろ、ねえなんでなのかな。トレーナーちゃん、マヤなんでも分かるのにね、どうしてもわかんないの。こんなに辛いのはなんでだろう、教えて、おねがい、おしえてよ……」
「……マヤ」
「マヤ、男の子だったらよかったのかな。それともトレーナーちゃんが男の人だったらよかったのかな。……そうじゃないよね、わかってる。わかってるから、決めたんだもん」
 マヤノが少しずつ身を屈めていく。私のもとへ、私の身体へ
 ああ、私は。
「トレーナーちゃんがマヤのものにならないのなら」
 静かな涙を流しながら、マヤノはそっと私の頬へと顔を寄せた。そして、鼻をすする音を二度三度鳴らした後、喉元を押さえていた手で私の顎をくいと持ち上げる。
「私が、もらうね」
721/04/12(月)01:59:14No.792030543そうだねx1
 私はどこかで何かを誤ってしまったのだろうか。ぽたぽたと私の頬に降り注ぐマヤノの涙を、降らせないまま終わらせることは出来なかったのだろうか。後悔に滲んで纏まらない思考は、舌と舌が縺れ合う感触にとって変わられ、私の瞳を意図もせず蕩けさせていく。痛く、苦しく、涙が出るのに、何故だかひどく甘い。強張った筋肉が弛緩していく。彼女を受け入れようとゆっくり、ゆっくり身体が溶けていく。
 もう、私は戻れない。
 さよなら、マヤ。ごめんね、マヤ。
 今まで本当にありがとう。
 声にならない想いが午前十時の私を包み、目尻から溢れた一筋の涙と共に私とマヤノを別の世界へと連れていく。
 ひどくおざなりで乱暴なフレンチ・キスには、涙が出るだけの理由が必ず潜んでいる。ああ、私が分かったことなんて、結局たったそれだけのことだ。
821/04/12(月)02:06:29No.792031754+
ドキドキした…
921/04/12(月)02:08:27No.792032069+
マヤノ×マヤノトレーナーチャン(♀)増えてきたな…
1021/04/12(月)02:08:28No.792032073+
ヤミノトップガン…
1121/04/12(月)02:18:12No.792033615+
レズぴょいされてるー!
1221/04/12(月)02:21:01No.792034024+
どうしたら幸せに…ううん、不幸にならずに済んだんだろう
1321/04/12(月)02:24:20No.792034500そうだねx2
『女の子』扱いじゃなくて、『マヤ』として断られたらきっとこうはならなかったかなって…
1421/04/12(月)02:31:18No.792035487+
目覚まし時計はもう鳴らない
1521/04/12(月)02:37:18No.792036238+
姉貴も見習え
[リロード]03:43頃消えます
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