みなさんこんにちは。鋭い嗅覚で美味しい店を探し当てる洋犬ライター、ポメ橋ことポメラニアン高橋です。
わたくし事で恐縮ですが、グルメライターとしてさまざまなお店を取材している内に、「日本酒」にハマってしまいまして。
今現在、おうちに帰ったら大好きな銘柄をグラスに注ぎ、ペロペロする日々を送っています。
そんなある日、自宅のテーブルに「見慣れすぎたお菓子」が転がっていることに気がつきました。
「うまい棒」です。
幼犬の頃から慣れ親しんでいるうまい棒。
プレミアムシリーズを除けば、「17種類」の味をラインナップしているそう。そんなうまい棒を見て、ちょっと気になったことがありまして。
ポメ橋:たくさんの種類があるうまい棒。それぞれどんな日本酒に合うのかな?
「めんたい味」をはじめ、明らかにお酒と合いそうなラインナップで固められているうまい棒。どの味が、どのような特徴の日本酒に合うのか気になったので、大量のうまい棒を抱えて「日本酒専門店」に足を運んでみることにしました。
時間無制限で飲み放題!新宿の大人気日本酒専門店にいってみた
今回お邪魔したのは「KURAND SAKE MARKET 新宿店」。
100種類以上の日本酒銘柄を「飲み放題」かつ「時間無制限」で楽しむことができ、「食べ物の持ち込み」もできるという人気の日本酒専門店です。
開放感溢れるバー形式の店内。とってもオシャレですね。
大きな冷蔵庫にはたくさんの日本酒が冷蔵されています。見たことない銘柄ばかりで、とてもワクワクしてしまいます。
今回持ち込んだ「うまい棒」。
一見すると「めんたい味」に見えますが……
「いろいろ味」です。
中にはこれでもか!といわんばかりのうまい棒たちが。
この中から日本酒に合いそうな味をチョイスしつつ、100種類以上あるKURAND 新宿店の日本酒と組み合わせてみたいと思います。
ご紹介が遅れました。
今回の検証にご協力いただく、利酒師(ききざけし)の「上仙裕一(じょうせんゆういち)」さんです。上仙さんは利き酒師である一方、かなりお酒に弱いという噂を聞いています。それはそれで面白そうです。
さっそく上仙さんと一緒に、各味のうまい棒に合いそうな日本酒を探していきます。
エントリーNo1:「テリヤキバーガー味」×「29(にく)(岐阜県)」
上仙:まずはうまい棒の「テリヤキバーガー味」からいってみましょうか。ちなみに、勘違いしないでいただきたいのは、お酒単体ならどれも美味しいということ。
各うまい棒とのマリアージュが楽しめるか検証するだけなので、「合わない=そのお酒が美味しくない」という訳ではありません。その点だけご理解くださいね。
ポメ橋:了解です!そして「テリヤキバーガー味」いいですね!ちょっとだけスパイシーで、若干の甘味を感じるテリヤキソースが特徴ですよね。結構濃いめの味付けだけだと思うのですが……日本酒に合うのでしょうか?
上仙:この味わいに負けない銘柄が良いでしょうね。ということで、「テリヤキバーガー味」に合わせる日本酒がこちら、舩坂酒造店の「29(にく)」です。
▲29 舩坂酒造店(岐阜県)
ポメ橋:ニクッ!!!なんて特徴的な銘柄名なんだッ!
上仙:こちらは肉料理とのマリアージュを追求して造られた銘柄なんです。コクと旨味があり、ボディを感じるタイプでもあります。こちらはKURANDさんが、岐阜県の舩坂酒造店と共同開発し、「肉に合う日本酒」をコンセプトにしている銘柄なんだそうです。
ポメ橋:なるほど~。それじゃあ我々も、「29」と「テリヤキバーガー味」の マリーアントワネット(?)を追求してみましょう。
ワワワ~ン(いただきます!)
ガブガブガブッ…
上仙:うん!これは予想以上に合いますね!
「29」の特徴ともいえる旨味が、「テリヤキバーガー味」の旨味を相乗効果で引き立てています。うまい棒単体ではそこまで甘さを感じませんでしたが、ペアリングすると甘さが一層引き立ちますね。すごく芳醇でお米感の強い銘柄だからこそ、パワフルな味わいの「テリヤキバーガー味」に負けないんでしょう!
ポメ橋:本当だ!これ美味しいワン!うまい棒がお酒の“あて”になるなんて思わなかったなぁ……
【わかった事】
「テリヤキバーガー味」は芳醇タイプの銘柄と良く合う
エントリーNo2:「サラミ味」×「29(にく)(岐阜県)」
ポメ橋:「29」が肉料理と合うのなら、「サラミ味」もいけそうですよね!サラミといえばおつまみの定番ですし!
上仙:確かにそうですね。このまま「サラミ味」も試してみましょうか。ガブッ……んん……これはちょっと合わせづらいですね。
ポメ橋:うん……なんか口の中に何かが残っている感じが……
上仙:肉ということで合うとは思ったのですが、「脂感」が口に残りますね。口に含んだ瞬間は良かったのですが、後味がちょっと残念です。
サラミの脂成分が日本酒の旨味成分とケンカをしてしいるのかも。「発泡性」のある銘柄と合わせた方が、爽やかにいただけるでしょうね。
ポメ橋:そうですね~。「テリヤキバーガー味」も「サラミ味」も濃い目の味付けですが、結構合う・合わないがあるのかもしれないですね。
【わかった事】
「サラミ味」は発泡性のある銘柄と合いそう
エントリーNo3:「コーンポタージュ味」×「竹葉(石川県)」
上仙:続いては「コーンポタージュ味」を試しましょう。
ポメ橋:僕これ大好きなんですよ!うまい棒人気ランキング「1位」らしいですね!とうもろこしの濃厚な風味がたまりません……
上仙: 私も好きです。今回はちょっと難しいですねぇ……まずはこちらを試してみましょう。「数馬酒造」の「竹葉(ちくは)能登のかすみ酒」です。
▲竹葉 能登のかすみ酒 本醸造生原酒 数馬酒造(石川県)
ポメ橋:「かすみ酒」って初めて聞きました!どんな味わいなんですか?
上仙: 優しい甘さが特徴のフルーティーな日本酒です。食前酒や食後酒として飲まれることが多いんですよ。
ポメ橋:おぉ……コーンポタージュは食前であったり、メインになったりするスープですからね!これは期待です!
上仙:いただきます……モグモグ……こっ、これは素晴らしい!!!
ポメ橋:うぉおおお~!!!!!めちゃくちゃ合う!!!!!
上仙:素晴らしいマリアージュですね。うまい棒と日本酒がここまで合うとは……ちょっと感動しちゃいました。
元々、濃厚でありながら素朴な味わいの「コーンポタージュ味」ですが、フルーティーな「能登のかすみ酒」が絶妙にマッチしています。日本酒がうまい棒に華を添えてますよこれは!
ポメ橋:びっくりですね!これだけ美味しいなら、「コーンポタージュ味」はどんな日本酒にも合うんじゃないですか?
上仙:うぅむ……そうかもしれません。もう2銘柄くらい試してみましょうか。 同じく「数馬酒造」の「竹葉(ちくは) 能登純米」と「三芳菊(みよしきく)」の「阿波五百万石 純米吟醸生原酒」です。
▲(左)「阿波五百万石 純米吟醸生原酒(徳島県)、(右)「能登純米(石川県)」
ポメ橋:「ワイルド・サイドを歩け」ってなんかすごいですね……!「能登純米」は「能登のかすみ酒」と同じ酒蔵さんなので、合いそうです!
上仙:「ワイルド・サイドを歩け」はあくまで蔵元さんのコンセプトでして、正式な銘柄名は「阿波五百万石 純米吟醸生原酒」です。まずはお米感の強い「能登純米」から試してみましょうか……んん……これはちょっと違うかもしれません。
ポメ橋:え!?合わないんですか!?
上仙:合わないという訳ではありませんが……ベストマッチした「能登のかすみ酒」は香りが高いタイプで、こちらの「能登純米」は芳醇タイプ。ご飯を食べてるイメージを想像したんですが、ピッタリとは言えないですね……続いて「ワイルド・サイドを歩け」を試してみましょう。
ポメ橋:ユニークなネーミングですが、どんなお酒なんですか?
上仙:「柑橘系」を思わせるジューシーな日本酒です。パイナップルのような香りが特徴なんですよ。徳島県で造られているんです。
ポメ橋:パイナップル!?かなり個性的な銘柄なんですね。
上仙:いただきましょう……おっ、これは合いますね!やはり「能登のかすみ酒」同様、「コーンポタージュ味」はフルーティーな銘柄と合うのかもしれません。
ポメ橋:本当だ!後味がサッパリしていいですね! これならどんどん食べ進めれます(ガブガブ……)
上仙:そうですね。同じ酒蔵でも、銘柄によって相性があるというのが面白いです。うまい棒と日本酒の組み合わせの新たな可能性を感じますね……
【わかった事】
「コーンポタージュ味」はフルーティーな日本酒と良く合う
エントリーNo4:「野菜サラダ味」×「梧桐 大吟醸 超辛+10(山形県)」
ポメ橋:「野菜サラダ味」も美味しいですよね~!サラダということで薄味のサッパリ系なんでしょうか?
上仙:なるほど。それなら「秀鳳酒造場」の「梧桐(あおぎり)大吟醸 生 超辛+10」が合いそうですね。
▲秀鳳酒造場 梧桐(あおぎり)大吟醸 生 超辛+10
(山形県)
ポメ橋:超辛+10!辛口タイプの銘柄なんですね!
上仙:超辛口タイプで豊かな吟醸香があり、鋭いキレが特徴ですね。「野菜サラダ味」がサッパリ系ならば、こういうさわやかな日本酒は合うと思います。
ポメ橋:なるほど!さっそくいただきましょう……おおっ、個人的にはかなり好きですこれ!
上仙:あれ!サラダ味と聞いてサッパリした味わいかと想像していましたが、ガーリックがかなり効いてますね。でも……この銘柄が持つ米の旨味成分が、ガーリックに負けておらず、見事なマリアージュとなっています!これはこれで合いますね。
ポメ橋:ピリっと辛いのも良いですね! クセになりそうな味わいだ~!
【わかった事】
「野菜サラダ味」には香り高い旨辛口タイプの銘柄がオススメ
エントリーNo5:「シュガーラスク味」×「Te-hajime(兵庫県)」
上仙:これなんて面白そうじゃないですか……?ちょっと合わせてみましょうよ。
ポメ橋:そっ……それはうまい棒界の「異端児」とも呼べる「シュガーラスク味」じゃないですか!かなり甘くてサクサクしてますけど……日本酒に合うんでしょうか?
上仙:うまい棒界の「異端児」ですか……じゃあ、日本酒界の「異端児」で合わせてみたいです。「富久錦」と共同開発された「Te-hajime(てはじめ)」でいきましょう!
▲富久錦 Te-hajime(てはじめ)
ポメ橋:でた~!「Te-hajime」。めちゃくちゃ甘酸っぱい日本酒なんですよね!この記事でも紹介されてましたよ!
上仙:ご存じでしたか。日本酒度「マイナス70度」、日本酒界の「異端児」と呼べる一本です。異端児同士の共演はどのような結果になるのか……期待していただきます。
ポメ橋:あれ……意外とイケませんか?これ!
上仙:これは美味しいですよ!かなり甘味の強い「シュガーラスク味」に「Te-hajime」が持つ果物に近い酸味が絶妙にマッチしますね。異端児同士が手を取り合い、口の中でハーモニーを奏でています……!
ポメ橋:酔いが回ってきたのかノリノリですね……
確かに、酸味が特徴的な「Te-hajime」だからこそ合うのかもしれませんね~。
【わかった事】
「シュガーラスク味」は甘酸っぱい「Te-hajime」とベストマッチ
エントリーNo6:「チーズ味」 ×「特別本醸造 石見銀山(島根県)」
ポメ橋:「チーズ味」は絶対合うでしょう!おつまみの定番ですよ!
上仙:これは間違いないでしょうね……今回選んだのはこちら、「一宮酒造」の「特別本醸造 石見銀山」です。
▲特別本醸造 石見銀山(島根県)
ポメ橋:おお!どんな特徴があるお酒なんですか?
上仙:すっきりとした飲みやすさの中に、お米の甘味をほんのりと感じつつ、キレのあるタイプの日本酒です。チーズ系であれば、旨味の強いタイプと良く合うのですが、あえてこの銘柄でチャレンジしてみましょう。
ポメ橋:あっ、意外といけますよ!これ!
上仙:そうですね!チーズが持つ旨味にはコクのある日本酒が定石なのですが、キレあるタイプでも、お米本来の旨味を引き出してくれたのかもしれません。
ポメ橋:やっぱり「チーズ味」は欠かせないなぁ~!
【わかった事】
「チーズ味」はコクとキレのある日本酒が良く合う
エントリーNo7:「めんたい味」×「純米吟醸 荒ばしり淡にごり(山形県)」
ポメ橋:大本命の「めんたい味」ですよ~!これは合うんじゃないですか!?
上仙:相性は良さそうですね。この味には「秀鳳」の「純米吟醸 荒ばしり淡にごり」でチャレンジです。
▲秀鳳 純米吟醸 荒ばしり淡にごり(山形県)
ポメ橋:おぉ……いかにも「日本酒!」といわんばかりの佇まいですね……!
上仙:お米の甘味を感じつつ、キリッとした飲み口が特徴の日本酒です。ということで、「めんたい味」とのマリアージュを楽しんでみましょう。いただきます……
ポメ橋:どうですか?(ワクワク)
上仙:あれ……そこまで合わないですね。おそらく「めんたい味」は旨味よりもスパイス感が強く、日本酒の良さを消してしまっているのかも。他の日本酒でも試していますが、そもそも「めんたい味」自体が、日本酒と相性悪いのかもしれないですね……
ポメ橋:まさかのノンマッチ! 「めんたい味」は単体で楽しむのが良いんでしょうね……
上仙:うーん……! これはちょっと残念!
【わかった事】
悲報・大本命の「めんたい味」は日本酒と相性が悪いかも
うまい棒から感じた新たな可能性
ポメ橋:今回は7種類の味で検証しましたが、銘柄によって相性の善し悪しがあるみたいですね。
上仙: そうですね。使っている原料や仕込み方で日本酒って全然違いますし。ただ、うまい棒は全体的に濃いめの味付けが多いので、芳醇なタイプの日本酒と合う印象です。
その中でも、あっさり系のうまい棒はフルーティーなタイプと合うように感じました。個人的には、「コーンポタージュ味」が一番日本酒と合う気がします。
ポメ橋:なるほど〜!それにしても、今回の検証はとても楽しかったです。うまい棒でここまで盛り上がれるなんて……
上仙: 確かに。みんなでお酒とうまい棒を持ち寄って、「うまい棒飲み会」とかやったら楽しいのではないでしょうか。日本酒だけでなく、ビールやワイン、ウイスキーといった他のお酒で試すのも面白そうです。
ポメ橋:それ楽しそうです!おつまみを1本10円のうまい棒にする代わりに、ちょっと良いお酒を楽しむのもアリな気がします!
上仙: うまい棒が、これだけ日本酒と会話のできる食べ物だとは思いませんでした。お菓子と日本酒のマリアージュは、まだまだ追求する余地がありそうです。
ポメ橋:本日はありがとうございました!
まとめ
日本酒に一番合いそうだったのは「コーンポタージュ味」。逆にスパイシーな「めんたい味」は日本酒自体との相性が悪いのかも。
そして「うまい棒飲み会」は絶対に盛り上がる。
改めて店内を見渡すと、お燗で楽しめる装置もありました。今回は全て冷酒でいただきましたが、お燗にするとまた評価が変わってくるのかもしれません。
お邪魔させていただいた「KURAND 新宿店」はビルの4階に入っています。
5階は「果実酒専門店」、6階は「焼酎専門店」でなんと無料で全て行き来できるとのこと。実に太っ腹なお店です。
5階の「SHUGAR MARKT 新宿店」。100種類以上の梅酒・果実酒を飲み比べできる、女性に大人気の果実酒専門店です。
そしてこちらは6階の「HAVESPI 新宿店」。100種類以上の焼酎を飲み比べすることができます。焼酎も人気上昇中のお酒ですから、興味がある方は足を運んでみてくださいね。
ポメ橋:次は違うお酒でも試してみたいワン!
今回ご紹介したお店
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
合せて読みたい日本酒を取り扱っているお店取材一覧
著者・SPECIAL THANKS
上仙裕一(じょうせんゆういち)
東京農業大学・醸造科学科出身。
大学在学中にSSI認定・「利酒師」を取得。漫画「酒ラボ」の主人公イメージモデル。各地の酒蔵に足を運び、これまで交流を持った酒蔵は「300蔵元」に及ぶ。アメブロのお酒部門で「1位」を獲得するなど日本酒のアルファブロガーとして活動。東北の震災後にエイベックス主催の「a-nation」のイベントで農林水産省からの依頼により若者を中心に2日間で「2000人」に、かねてから親交のある東北の蔵元さんと協力して、日本酒を振舞うなど、日本酒プロデューサーとしても活動。
ポメラニアン高橋(ポメ橋)
ラーメンと牛丼ばかり食べてる洋犬ライター。雄/体高30センチ/体重80キロ。
最近Twitterはじめました→@pomehashi(ポメ橋)
編集/ヒャクマンボルト