フランスで3度目のロックダウン開始 欧州で新型ウイルスの流行拡大、ワクチン遅れ響く
画像提供, Reuters
フランスは3日、3度目のロックダウンを開始した。同国では新型コロナウイルスの感染者が急増しており、病院を圧迫している。
全ての学校と日用品以外の小売店が4週間、営業を停止する。また、午後7時から翌午前6時までは外出禁止となる。
2日には、COVID-19で集中治療を受けている患者が145人増加。過去5カ月で最大の上げ幅となった。
フランス全土では現在、約5000人が集中治療室(ICU)に入っている。この日の新規感染は4万6677件、死者は304人だった。
エマニュエル・マクロン大統領は、新型ウイルス患者のための病床を増やすと約束した。
フランスではロックダウンに加え、6日からは自宅から10キロ圏外への移動が、相応の理由がない限り禁じられる。
画像提供, Reuters
フランスでは現在、約5000人が集中治療室(ICU)に入っている
マクロン大統領はこれまで、新たなロックダウンを行わずに新型ウイルスの流行を抑制しようとしてきた。
しかし、欧州連合(EU)全体のワクチン接種事業の遅れや、複数の変異株が、フランスの状況悪化につながっている。
欧州各国の状況は
ドイツでは、フランク=ヴァルター・シュタインマイアー大統領が国民にワクチン接種を呼びかけた。
3日のテレビ演説の中でシュタインマイアー大統領は、同国は流行の第3波のさなかにあり、制限も厳しくなると述べた。
また、検査やワクチン事業をめぐる政府の対応に間違いがあったことを認め、ドイツは「信頼の危機にある」と話した。
「もちろん、パンデミックから逃れる特効薬はない。だから政治的な論争が必要なのだが、その論争が論争のまま終わってしまってはいけない」
「連邦レベルでも州レベルでも、政党も連立も、支持率の上下も、今は主役にはなれない」
「必要なのは透明性と決断力。そして、市民の道しるべになり、この国が再び力を取り戻せるような、分かりやすく実用的な規制だ」
画像提供, EPA
ドイツでは、フランク=ウォルター・シュタインマイアー大統領が国民にワクチン接種を呼びかけた
ドイツ政府は3月下旬、イースター(復活祭)の4月1~5日に厳格なロックダウンを実施すると発表したが、わずか1日で撤回した。
アンゲラ・メルケル首相は、計画は「間違い」だったとし、方針を180度転換することについて「最終的な責任」を取ると述べていた。
一方、イタリアは3日から3日間の厳しいロックダウンを実施。イースターの週末に感染が拡大するのを防ごうとしている。
全ての州が現在、最も厳しい制限を課す「レッドゾーン」に指定されている。イタリアでは毎日およそ2万人の新規感染が報告されている。
不要不急の移動は制限されているが、イースターの食事については、自宅に2人までを招待できる。キリスト教の教会も開いているが、当局は地元の教会でミサに参加するよう人々に呼びかけている。
4日には、ローマ教皇フランシスコ1世がヴァチカンのサンピエトロ広場でイースターの説教を行うが、2年連続で聴衆のいない状態での儀式になる。
イタリア各地ではイースター後も、4月いっぱいは「レッドゾーン」あるいは1段階下の「オレンジゾーン」の制限が続く予定。
政府はまた、ロックダウンを徹底するために警察官7万人を新たに投入し、全国で監視に当たらせると発表した。
画像提供, Reuters
イタリアでは日用品以外の小売店が営業停止している
欧州のワクチン接種の状況
世界保健機関(WHO)は2日、欧州のワクチン接種は「容認できないほど遅い」と批判し、欧州の感染状況はここ数カ月で最も悪化していると述べた。
WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は、「ワクチンはパンデミックから抜け出す最善の方法だが(中略)接種事業は受けいられないほど遅い」と指摘。
「今すぐに製造を強化し、ワクチン接種の障害を減らし、在庫がある全てのワクチンを使って、このプロセスをスピードアップしなければならない」
その上で、ワクチン接種率が低いうちは、EU加盟国はロックダウンなど別の対策をもって、その遅れのつけを払わなくてはいけないと話した。
WHOによると、欧州の人口約9億人のうち、1回目のワクチンを受けたのはわずか10%に過ぎない。