まねきケチャがユニバーサルミュージックから6月28日デビュー
6月にユニバーサルからメジャーデビューするまねきケチャだが、現場で見てみた印象として、おそらくかなり行けると思う。ユニバーサルミュージックと契約できたのも不思議ではないし、武道館が目標という設定らしいが、かなり控え目に思える。
人類はすでに名曲の資源を掘り尽くしてしまったし、たとえば小室哲哉などは、メロディーを作れなくなったらド素人同然になってしまい、刑務所の一歩手前まで凋落したわけである。メロディーに頼ると、砂漠化した作曲文化で死に絶えることになる。小室哲哉や浅倉大介みたいに、メロディーの作曲をしてアレンジする具合だと苦しい。南條愛乃さんがやっているfripSideも八木沼が小室好きだから、only my railgunのような超名曲がある一方で、薄っぺらい楽曲がたくさんある。だから、これからはメロディーを作ってそれを編曲するというスタンスではなく、サウンドとしてアプローチしていくしかないのであるが、まねきケチャはそういう文脈をうまく踏まえている。高音でチャカチャカとシンセを鳴らすのではなく、ベース音が太くて、粗雑に言えばダブステップ風味である。モーニング娘。もアレンジャーの力でずいぶん立ち直ったし、ここはかなり重要だ。
歌唱力については何とも言えず、ちょっとマイクのエフェクトに頼り過ぎであり、カラオケでエコー全開にする人みたいな具合なのだが、Perfumeの口パクが許されるのなら、アイドルがエコーかけまくるくらいは問題あるまい。プロの歌手ではないのだし、ごく普通に聴いて上手いのだからいいであろう。センターの松下玲緒菜は本当に上手いわけではないはずだが、見た目がいかにもアイドル顔でかわいいし、ハスキーな声は魅力的である。いずれにせよ、ライブハウスという密室でならエコー全開でうまく聴こえるのだからそれで充分だろう。
藤川千愛というメンバーは祖父が演歌歌手でカラオケ喫茶をやっていたそうで、水樹奈々と似通った境遇だが、おそらく素でもかなり上手いと想像される。やはり演歌の歌唱法が身についていると特別感がある。前述したように、まねきケチャはマイクのエフェクトが強いと思うので、水樹奈々とどっちが上手いか判定は出来ないが、藤川千愛の歌唱力が大きな武器であることに疑いはない。広島アクターズスクールなんぞに通うよりは、演歌を習ったほうが近道なのである。Perfumeは口パクだし、中元すず香は地声がでかいので最初は絶賛されるがよく聴けばあまりうまくないし、だんだん褒められなくなる。鞘師里保ちゃんは松岡茉優さんやマツコ・デラックスのような超大物に推されていたのに消えてしまったが、やはり広島アクターズスクールの歌の教え方がまずかったのであろう。娘をステージでひらひらさせて歌姫みたいな歌唱法でお遊戯させたほうが母親の受けもいいのだろうが、そうやって賞翫して愛でているものの実態は、日本人がバスケットボールで小手先のテクニックを身に付けるようなニセモノである。バスケをやる自由はあるし、演歌をやらない自由もあるし、表層的なポップカルチャーに走るのも人間的欲求だろうが、歌姫気取りだけおぼえて中元すず香みたいになるとプロ歌手としては通用しなくなるから、水野由結ちゃんのような世界的ダンサーを泥棒してガムテープを貼るとか、そういう胡散臭い山師になるしかない。
さて、まねきケチャは現状では地下アイドルで接触イベントもたくさんやってるようだが、女子のファンも一割かそこらはいるし、ここから大きくブレイクしそうな予感は強い。たぶんこれから男子のファンは減り、女子が増えると思う。オタのマナーの悪さは、人倫を違えているというよりは、地下アイドルならではの距離感の近さの演出でもあろうし、いわばTPOに沿った無遠慮とも言えるが、いずれまねきケチャはメジャーシーンの遠い存在となり、図々しく無作法な連中は他界して、もっと距離を縮めやすい別の対象に移動するであろう。
彼女たちの母体である日本ツインテール協会についてはまだよく把握していない。おそらく古谷完という人物がやっているコンセプトであり、有名モデルなどにゲスト参加してもらう泡沫企画だと思われる。コレットプロモーションという事務所に所属しているのが、自前で抱えているタレントであり、まねきケチャがそれである。大手のしっかりした事務所ではなく、むしろ真逆であろうから、スキャンダルの懸念もあるし、ホンモノの実力がないから醜聞で失墜する可能性が高い。藤川千愛の歌唱力という武器はあるにしても、センターの松下玲緒菜にスキャンダルが出来ると厳しいであろう。松下玲緒菜はアイドルが好きだとか、ソロのコーナーではけいおんの曲を歌うなど、もっともらしいギミックは兼ね備えているが、われわれも道重さゆみや菊地最愛のようなインチキ人間から人生訓を学んでいるし、一見したところ凛としたポリシーがあるように見えて、裏でやっているのはエロとグロの暗黒舞踏だから、いずれは床が抜け落ちたり柱が枉がる欠陥住宅と見做した方がいいだろう。とはいえ、まねきケチャはひとまずブレイクはする。ユニバーサルミュージックと契約したら売れるわけではあるまいし、放課後プリンセスのような事例もあるが、まねきケチャはすでに1000人規模の会場でやれるくらいの動員力があるから他とは話が違う。