やっと見つけたお姫様!松下玲緒奈
この何年か、中元や菊地のように「アイドルを馬鹿にするアイドル」という厭味な勢力が版図を広げわれわれを煩わせている。目を三角にして怒るのも疲れたので、この腐れ外道の不行跡は放置しているが、外タレ気取りですっかり勘違いした御様子である。もちろんBABYMETALの人気など、欅坂にまったく及ばないが、平手友理奈が国民的スターになれるかというと、ちょっとむずかしい。ステージでの立ち姿にオーラはあるが、周囲が生かされてないので求心力を感じない。平手友理奈によって世の中は微動だにしていないのだから、センターというよりはワンマン社長という印象が強く、求心力のあるヒロインが誕生したわけではないので、これはまったくアリス・イン・ワンダーランドではない。この愁傷深くうんざりさせられるディストピアにおいて、傷病兵として横たわる褥瘡の痛みに終止符を打ち、世界地図を塗り替えようとしているのが松下玲緒奈である。平手友理奈は所詮はAKBと地続きであるが、松下玲緒奈は革命家である。まねきケチャはフォースミュージックという無名レーベルから「メジャーデビュー」したことがあるのだが、そこは倒産したか、もしくは別の形で任意整理したのかもしれないが、ともかくレーベルとしてはお亡くなりになった。行き場を喪い大陸浪人としてアイドルシーンを眺めていたはずの彼女たちだが、数奇なことにこれを拾いに来たのが世界最大のレコード会社であるユニバーサルミュージックであった。アップフロントが鞘師里保さんをリンチしてドブに捨てたときにマツコ・デラックスが怒鳴り込んできた一件があったが、捨てる神あれば拾う神ありというか、やはり見てる人はちゃんと見ているのである。松下玲緒奈は世界を転覆させ、腐敗を焼き尽くすために歴史に現れるのであるから、ナポレオンやドナルド・トランプの系譜に属する偉大な特異点として、廃疾者にさえ血を通わせる磁場となり、歯車が回転していくのである。松井玲緒奈は広瀬すずを思わせる容姿で、アイドル性が極めて高い。もしくは広瀬すずでなければ、広末涼子のイメージでもあり、不祥事の火薬庫という懸念もあるが、時代の寵児となることに疑いはない。松下玲緒奈という姫君の王朝は長続きはしまいし、スポンサーに多額の違約金を支払わされる通俗的な結末もありそうだし、ユニバーサルミュージックでの栄耀栄華も短命であろうし、セントヘレナの獄舎を終の棲家とするのだろうが、この偶像不在の端境期に瞬間的に現れる奇瑞であることに疑いはなく、その蒼天に煌めく姿は、ほんの瞬間であれ森羅万象を照らし出し、万古の憂いを癒やすものであろう。また、このまねきケチャはかなり強い隠し玉を持っており、藤川千愛というメンバーの歌唱力が凄まじすぎる。まねきケチャはマイクのエコーが強めなので、最初に現場で聞いた時はわたしも懐疑的だったのだが、もう一度ちゃんと現場で聴いてみて、これは本当に桁が違う物件だと確信した。メンバーの中で一際パワフルな歌声を持っており、中元すず香と同等の声量があるとは言わないまでも、それに近いくらいはある。中元は歌自体が下手くそなので生涯その獣声を武器にしたデスメタルしか歌えないだろうが、藤川千愛は演歌歌手だった祖父から薫陶を受けているから何でも歌える。藤川千愛のような超一流の歌い手でも、演歌はくどいし二時間続けて聴きたくないのも事実だが、松下玲緒奈のハスキーな歌声も魅力的であり、これを重ね合わせると、人類史で最も魅惑的なツインボーカルとなるのだ。松下玲緒奈と藤川千愛が同じグループにいるのは奇跡であり、喩えるなら、平手友理奈の後ろで安室奈美恵が歌ってるような感じなのである。またBABYMETALはアーティストと名乗っているTシャツ販売業者であるが、松下玲緒奈のTシャツの方がセンスがありそうだ。気になるのはまねきケチャの藤咲真有香という子が病んで休業しているそうで、これだけ勢いがあるのにリタイアするのは謎である。映像を見るとかなり容姿もかわいいし、すごく優しそうな性格に思えるから、この優しさに依存する厄介なオタも多そうである。血腥い地獄をあまねく歴訪し、人類のあらゆる醜さや憎悪、愛や官能に触れながら、松井玲緒奈のワンダーランドを建国するべく、須弥山の頂点に軍旗を掲げようと言うのだから、世界最終大戦に参画する軍属としての資格の問題であるし、血で書かれた文字にしか価値はないとニーチェは言ったが、優しすぎる人間に用はないのであろう。