先日、大学の授業で、先生が、「病気やけがは、くじ引きのようなものです」と言っていました。
不慮の事故や、不治の病。患者さんたちは誰一人悪いことをしたわけではない。でも、全員で一斉にくじを引いたら、誰かが当たってしまうんです、と。

父が事故にあうまで、「死」は縁遠いもので、自分には何の関係もなく、深く考えたことはありませんでした。父の死で、私は初めて「死」のイメージを自分の中に持ちました。
生きている人たちはみんなで、大きな広い道を同じ方向に向かって歩いています。でも、道の両端は崖のようになっていて、そこには「死」がぽっかりと口を開けています。いつでも思った以上に近くにあるのです。そして、たまたま道の端を歩いているとき、黒々した死の淵はいとも簡単にふっとその人を飲み込んでしまうのです。

父の死が教えてくれたことはたくさんありますが、そのひとつに、今やりたいことを「今する」ということがあります。
父は、「定年になったら勉強したいこと」や「書きたい論文」、「やりたい研究」がたくさんたくさんあったと思います。でも、その前に逝ってしまいました。「将来は…」「何年後は…」「いつかは…」それは、自分にはやってこないかもしれません。未来は、想像以上に短いところで寸断されているかもしれません。

今つらいことを我慢しながら未来に夢を描くのは、できる限りやめた方がいいんだな、と思います。今を楽しんで生きること。今つらいことは避けていいんです。
死は、この瞬間もやってくるかもしれない。そのとき、「あのときああしておけばよかった」と後悔しても、だれも責任を取ってくれません。

スティーブ・ジョブスの有名なスピーチ、「Stay Hungry, stay foolish」であたしが最も感銘を受けたのは、「もし明日死ぬとしたら、今日やろうとしていることをするだろうか?」と毎日自分に問いかける、ということでした。受験勉強中も毎日自問しました。答えは「Yes」でした。つらいことよりも、もういちど勉強できる喜びのほうがが大きかったです。ジョブスの言うとおり、死の前ではすべての建て前が無意味となり、本当の望みが洗い出されるのだと思います。


生きている「今」を全力で楽しむこと。
先に逝ってしまった大事な人たちが私に教えてくれたことです。




ランキングに参加しています。
よければよろしくお願いします。
にほんブログ村 大学生日記ブログ 医大生へ
にほんブログ村