再受験して得たものはたくさんありますが、数学・生物・化学の二次試験勉強をする中で得た”ものさし”があります。それは、「科学的エビデンスの重要性」。当たり前のことなのかもしれないのですが、理系科目を勉強することで徐々に身についた考え方です。

医学部に入ると、たくさんの先生方が、講義において民間療法や美容法、健康食品の疑わしさについて述べます。それは、それらに信用できる科学的エビデンスがないからです。
たとえば、コラーゲンを含む美容食品はその代表例です。コラーゲンを口から取っても、胃で分解されてしまいます。バラバラになったアミノ酸として観察しても、必須アミノ酸がすべて含まれているというわけではないので、栄養価としては低いです。
私は医学部受験を志すまで自然科学をきちんと勉強したことがありませんでした。コラーゲンをせっせと摂取していた時期もあって人のことはまったく言えません(^^;)。受験勉強を始め、理系科目を勉強して、科学の基礎的な知識が入って初めて、「何かを信用するには科学的エビデンスが必要だ」という考え方に変わりました。それまで疑うことなく信じていた、コラーゲンやヒアルロン酸の摂取、「ナノ○ーイオン」をうたった美容家電などに初めて疑いの目を向けました(笑)。物事を判断する自分のものさしができたことは、受験勉強で得た最も大きいものの一つです。
自然科学、理系科目をきちんと勉強していないと、そのものさしがありません。だから、口当たりの良い言葉にだまされるし、それにつけこんでさまざまな業者がさまざまな美容・健康食品を作り、それが売れてしまうのでしょう。

医療現場でも同じです。たとえばガンになったとき、わらにもすがる思いで、エビデンスのない食事療法やイメージトレーニングなどの民間療法に頼って死期を早めてしまう方もいます。ご本人がエビデンスのない療法を望むなら仕方ありませんが、その結果は本当に望みどおりのものなのか。。医師にとって、がんの標準治療とこれら民間療法を同列に考えることは信じられないことだろうと思いますが、患者さんにとって、それらを判断するものさしは科学的エビデンスではないんですよね。
それを解決するのは、それでもやはり科学だと思うのです。医師・研究者が病気のメカニズムを徹底的に科学的に解明することに尽きます。もしその患者さんが科学的エビデンスというものさしを持っていないとしたら、医師が、病気と治療法のメカニズムを患者さんに噛み砕いて説明して、きちんと証明された治療法を選んでもらうことが、愚直ですがいちばんの近道ではないかなぁと思います。


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