78県外に泊まりがけで遠征したあと大規模なクラスターが発生した福島県いわき市にある東日本国際大学の野球部に所属する学生がNHKの取材に応じ、「先月上旬から10人ほどの部員が相次いで発熱や味覚障害などの体調不良を訴えていたのに、大学側は十分対策をとらず予定通り遠征を行った」と証言しました。



・大学野球部でクラスター 感染者は計42人に いわき市



東日本国際大学の野球部では、今月4日に初めて部員の新型コロナウイルス感染が確認されたあと、学生寮に住んでいる部員を中心に感染確認が相次ぎ、これまでに42人の感染が確認されています。

野球部は、感染者の急増を受けて宮城県と仙台市が独自の緊急事態宣言を出した後の先月末に、仙台市と石巻市で30人規模の泊まりがけの遠征を行っていました。

野球部の部長を務める福迫昌之学長代行は、6日、記者会見で「現地の大学と協議した結果感染対策を行いながら実施するということになり、中止するという判断には至らなかった」と説明しました。


・新型コロナ21人感染 いわきでクラスター



これについて、150人余りいる野球部の部員の1人がNHKの取材に応じ、「キャンパス外にある学生寮では3月上旬以降10人ほどの部員が相次いで、発熱や味覚・嗅覚の障害などの症状を訴えていた。症状を訴えた部員はスタッフの指示に従って大学が契約している市内の病院を受診したが、いずれもPCR検査は必要ないとされ、検査を受けられなかった」と証言しました。

さらに、「全員が食堂に集まって決められた時間に食事をとるのは危ないと考え、一部の部員が密になるのを防ぐため時間をずらして食事をとろうとしたところコーチに叱責され、理由を説明しても改善されなかった」と語りました。

こうした状況で遠征を行うことに対し多くの部員が不安を感じていましたが、遠征は予定通り行われたということです。

部員の学生は「感染者が増えている中で、まともな対応ではないと感じている。感染が身近に迫ってくる恐怖があり、実際に感染した部員はかなり体調が悪そうだった」と話していました。

東日本国際大学は、NHKの取材に対し「感染確認の1か月ほど前から体調不良の部員がいたという事実は承知していないし、体調不良の学生がいたなら医師が適切に診断、処置したと考えている。感染防止対策はきちんと図られていたと認識している」としています。