20171203ルールを超える一声を




















東京新聞・中日新聞
2017年12月3日(日)
障害者は四つ葉のクローバー
「ルールを超える一声を」

先日、車椅子の私、夫、息子(四つ)と、娘(二つ)で東京メトロを利用しました。エレベーターがなかったので、私は階段に取り付けられた車椅子対応の昇降機を使いました。娘はベビーカーで寝ていたので、駅員さんに「ベビーカーを夫と一緒に持っていただけますか?」とお願いすると、「お子さんが乗ったままだと駅員は持てない決まりです。お子さんが乗っていないベビーカーだけならお手伝いします」と言われました。

階段しかない状況があるのに、そんな決まりがあるだなんて!昼寝中の娘を起こすのは気が引けたので、仕方なく、夫が一人でベビーカーを持ちながら階段を降りました。周りにたくさん人もいたのですが、「手伝いましょうか?」と声を掛けてくれる人は一人もいませんでした。


「子どももベビーカーではなく、車椅子に乗った方が便利じゃないかしら!?」と思いましたが、助け合いが乏しい現状に悲しくなりました。昨年、いわゆる「障害者差別解消法」が施行されましたが、「育児差別解消法」も必要かもしれません。親が一人でベビーカーを持って階段を降りることは、事故につながる可能性が高いのですから。

また車椅子の私がヘルパーと一緒に移動をしていると「人が一緒だから手を貸さなくても大丈夫」と手助けするのをやめてしまう人も多いようです。同じように、泣いている子どもや、ベビーカーを持っている人がいても、「親が一緒だから大丈夫」とみなしてしまうのでしょう。

でも周りの人がドアを開けてくれたり、子どもに声を掛けてくれたり、荷物を持ってくれたりすると助かります。知らない人への声掛けを、ちゅうちょすることもあるでしょう。でもその一声が、ルールを超える優しさにつながるのです。目の前の人へ「何か手伝いましょうか?」の一言、掛けてみませんか?


写真:車椅子を押して手伝っているように見える息子(左)時々ぶら下がって遊んでいます(笑)













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