新任教員紹介
松田 恭幸(マツダ ヤスユキ)
所属 | 専攻相関基礎科学系 |
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学科統合自然科学科 | |
部会物理 | |
職名 | 教授 |
発令年月日 | 2017年8月16日 |
略歴 | ■最終学歴 京都大学大学院・理学研究科 |
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■学位 1998年3月 博士(理学) |
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■前任職 東京大学総合文化研究科 准教授 |
担当科目 | ■前期課程 力学、電磁気学、基礎物理学実験、PEAK |
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■後期課程 統合自然科学セミナー |
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■大学院 応用計測学I |
研究活動 | ■研究分野 粒子線・原子物理学 |
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■研究業績
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■学内での活動 松田恭幸さんの学内業務への貢献は数多くありますが、なかでもPEAK関連業務では献身的な働きをしており、准教授でありながら前期部会主任も経験しています。また現在は、本部入試課国際化推進学部入試担当室(AO室)の副室長も拝命しており、優秀な学生を本学に迎えようと、世界中を奔走しています。 |
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採用理由 | 松田恭幸さんの研究分野は、大型加速器を使った「低エネルギー素粒子物理学実験」です。大型加速器というと、高エネルギーの粒子をターゲットに衝突させる、あるいは高エネルギーの粒子同士を正面衝突させるなどして、反応生成物としての新粒子・素粒子探索を行うといった印象が強いのですが、松田さんの研究は、大型加速器で発生させた高エネルギー・高速の反陽子やミューオンを(加速器を逆向きに使って)減速し、通常の気体原子並みの速度、つまり低エネルギーとなった反陽子やミューオンを使って、原子物理学で行われているような高い精度で素粒子物理学実験を行うという、世界的に見ても大変ユニークなものです。 松田さんは、2010年には、ヨーロッパ(スイス)のCERN研究所において、減速した反陽子とこれまた減速した陽電子とを結合させた反水素の合成に成功しました。この成果は、英国物理学会の情報誌(Physics World)で、2010年世界十大成果の第1位に選ばれています。その後、2014年には世界初の反水素をビーム(原子線)として取り出すことに成功、反水素の精密分光、反陽子の磁気モーメントの精密測定、CPT対称性の破れの精密検証などを行い、世界最高精度の研究成果は国内外の主要メディアでも紹介されています。 また国内では、茨城県東海村にあるJ-PARCにおいて、高強度低速ミュオンビームの設計・開発段階から参画し、2016年にはミュオニウム原子の分光信号を捉えることに成功しました。ミュオニウムは素粒子同士の束縛状態として知られており、量子電気力学を検証する上で格好の研究対象です。今後は世界に類を見ないこの実験施設から、日本発の新たな研究領域が切り開かれるものと期待されます。 以上のように、松田さんは本学の教授として必要な資質を全て身につけており、教授に昇任するにふさわしい人材と判断されます。 |
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