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最終更新日:2020.04.03

新任教員紹介

石原 孝二(イシハラ コウジ)

所属 専攻相関基礎科学系
学科学際科学科
部会哲学・科学史
職名 教授
発令年月日 2020年1月16日

 

略歴 ■最終学歴
東京大学大学院・人文社会系研究科
■学位
1996年3月 博士(文学)
■前任職
東京大学大学院総合文化研究科 准教授

 

担当科目 ■前期課程
哲学Ⅰ・Ⅱ、現代哲学、西洋思想史
■後期課程
応用倫理学概論、科学哲学概論、科学哲学演習、応用倫理学演習
■大学院
科学哲学、科学技術基礎論

 

研究活動 ■研究分野
哲学
■研究業績
  1. 「分ける」、中島隆博・石井剛編『東大駒場現代思想講義』白水社、2019年、pp. 108-126
  2. 「診断から対話へ:ニード適合型治療からオープンダイアローグへの転換点」臨床心理学19(5), 2019, pp. 546-550
  3. 「分類は何のためか:診断バイアスと相互作用」精神科34(3), 2019, pp. 293-297
  4. 「オープンダイアローグと当事者―フィンランドの精神保健政策とオープンダイアローグ―」精神科治療学33(3), 2018, pp. 331-335
  5. 『精神障害を哲学する:分類から対話へ』東京大学出版会、2018年、332p
  6. 「心の理論と自閉症」「精神障害の分類問題」信原幸弘編『ワードマップ心の哲学』、新曜社、2017年、pp. 200-203, 266-269
  7. 「当事者研究の哲学的・思想的基盤」臨床心理学, 増刊第9号, 2017, pp. 51-55
  8. 「認知症と精神障害:精神病理学と生物・心理・社会モデルの哲学」臨床心理学17(3), 2017, pp. 294-297
  9. 石原孝二・河野哲也・向谷地生良編『精神医学と当事者』東京大学出版会、2016年(シリーズ編者代表、総論pp. 3-30執筆)
  10. 石原孝二・信原幸弘・糸川昌成編 『精神医学の科学と哲学』東京大学出版会、2016年(シリーズ編者代表、総論pp. 3-36.執筆)
■学内での活動
研究科長・学部長補佐、人文科学委員長、FLYプログラム運営委員・推進委員、共生のための国際哲学研究センター・上廣共生哲学寄付研究部門長、教養学部・学際科学科・科学技術論コース主任、哲学・科学史部会主任、初年次ゼミナール(文科)運営委員長、教養学部後期課程学融合プログラム委員長等

 

採用理由

石原孝二氏の研究領域は、主として、「精神医学の哲学」、「当事者研究の研究」、「現象学」、「技術哲学とリスク論」の四領域である。


このうち、精神医学の哲学における業績は、2018年刊行の『精神障害を哲学する:分類から対話へ』にまとめられている。同書は、精神障害の概念と分類の歴史を古代から現代にわたってたどり、狂気や精神障害といった概念と、それらの治療法の変遷を追いながら、当事者運動やリカバリー思想、オープンダイアローグなどの対話的アプローチがもつ将来性についての展望を記したものであり、狂気・精神障害・精神医学の三領域を一書で扱った点においても、歴史を追いつつ哲学的検討を加えた歴史哲学と科学哲学に両分野に関わる著作としても、画期的な意欲作である。


「当事者研究の研究」では、石原氏は国内外において重要な貢献をしてきた。当事者研究は北海道浦河町の「べてるの家」ではじまり日本各地に広まった日本独自の実践であり、精神障害をもつ当事者が自分の困りごとを仲間とともに研究するという点で、他の国には見られない特徴をもつ。石原氏は、これに学問的な考察を加えた書籍、『当事者研究の研究』の編著に当たり、当事者研究を、米国や日本の類似の諸事例の中に位置付けながら、認知行動療法やフランクルの実存分析と比較しつつ、その構造と特徴を明確化した。


教育に関しては、哲学の基礎に裏付けられた丁寧な授業や演習を行っており、多数の博士論文・修士論文・卒業論文の指導を行ってきた。 また、副専攻の、博士課程教育リーディングプログラム(IHS)、科学技術インタープリター養成プログラムにおいては、情報学環、人文社会系研究科などの学生も指導してきた。


学内で多数の役職を務めたほか、学外では、哲学会理事、日本哲学会編集委員、日本現象学会事務局長を歴任した。また、精神科医療における「オープンダイアローグ」の普及を目指し、精神科医などの医療実践者と大学教員などによって運営されている「オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン」の共同代表を務めるなど、国内外での社会的活動にも熱心である。


上記の研究教育活動を通して、石原氏は同僚や学生からの信頼を勝ち得ており、学内外の業務に篤実にあたってきた点で高い評価を得ている。


以上の点から、石原氏は研究においても教育においても優れた成果と能力を有していることは明らかである。公募を行ったとしても石原氏に代わる候補が得られることは望みえず、本学の教授にふさわしい人物であると判断される。

 

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