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「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」の連載一周年&四章開始を記念して、猫耳猫とのコラボIFストーリーを期間限定で公開します!




ご存知の通り、去年の春から連載を始めたこの作品では、異世界ネクストマーチの王女、フォルス・エー・プリルに召喚された篠塚しのづき 風流ふうるが魔王を倒したところから物語が始まります。


魔王を倒して日本に戻れたと思ったのに、なぜか転移先の日本にもダンジョンが出現していて……という流れで「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」のストーリーは進行していく訳ですが、この「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」の特別IFストーリーでは、「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」とは違い、「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」の舞台となるダンジョンのある日本にやってくるのが「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」の主人公である風流ではなく、「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」とは関係のないソーマになるので、「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」と同じ設定を共有しながらも、「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」とは異なる展開となります




幸い、ソーマがダンジョン世界に巻き込まれてから元の世界に戻るまでの構想&書き溜めはあるので、そこまで毎日更新していく予定です!

それでは、オリジナル版とはまた違った物語をお楽しみください ・A・

コラボIFストーリー「猫耳猫プレイヤーはすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、猫耳猫に脳を破壊されてるからもう遅い~」 その一


「……は?」


 気が付くと、目の前には血のように真っ赤な空と、崩壊したビル街が広がっていた。


「え、いや、なんだこれ……」


 確か俺はさっきまで、日本の自分の部屋で「猫耳猫」をプレイしていたはずだ。

 全裸縛りでニューゲームをやって、惜しいところで百二回目のゲームオーバーになったところで何かが起こって……。


(もしかして、知らないうちにまた猫耳猫の世界に入り込んだ、のか?)


 そう自問するが、すぐに否定する。


 現実化した猫耳猫世界で邪神を倒したあと、俺は謎の収納空間を生み出す魔法「マジカルポケット」のジェムを使うことで、猫耳猫世界と現実世界を行き来出来るようになった。

 しかし今回はマジカルポケットの魔法なんて使ってないし、右腕を見れば、現実世界でだけ身に着けるようにしている「魔導士のリング」がはめられている。


「――マジカルポケット」


 試しに魔法を唱えてみても、効果がない。

 ここが猫耳猫世界なら魔法が有効になるはずなので、その可能性はほぼ消えたと言ってもいいだろう。


 しかし、じゃあここが現実世界なのかというと、それもおかしい。

 俺は家の中でゲームをしていたはずだし、この赤い空と崩れたビル群の説明がつかない。


「一体全体、何がどうなって……」


 途方に暮れて空を見上げた時、俺の頭上に大きな影が差す。


「え?」


 それは、ビル街に不釣り合いな一つ目の巨人。

 突如として出現したその怪物が、呆然とする俺に向かって、右手のこん棒を振り上げる。


「あ……」


 そして、次の瞬間。



 ――巨人が無造作に振るった人の身長よりも太いこん棒の一撃が、俺に振り下ろされた。




 ※ ※ ※




「あ、あっぶねえ!」


 間一髪、巨人の振り下ろしたこん棒を避けた俺は、勢い余って地面を転がりながら悪態をついた。


「なんなんだよ、あいつは!」


 まるで、猫耳猫の中盤辺りの洞窟で大抵通路にすし詰めになって身動きが取れなくなっているためボーナスモンスター扱いされているギガントジャイアントの色違いコンパチモンスターで、過去回想にしか出てこないため見たことはあるけれども強さが不明な未実装モンスターであるギガントヒルジャイアントのような姿をしているが、おそらく違う。


 もしあれが本当にギガントヒルジャイアントやギガントジャイアントなら、3D造形のミスで左腕が後ろに曲がるようになっているはずだ。


 しかし、今こん棒を振り下ろしてきた巨人には、そんな様子はまるでない。

「え、肘が後ろに曲がるとかそんなバグある訳ないでしょ、常識的に考えて」みたいな顔で、得意げにこん棒を振り回し、俺に迫ってきている。


(つまり、全く未知のモンスター? いや、それより、どうする!?)


 今の俺には武器もなく、一般人程度の攻撃力しか持ち合わせていない。

 次の攻撃が来たら、避けられるかどうか……。


 焦り、俺が行動に迷った、その時。





 ――《ステータスエフェクト アクティベート》。





 唐突に。

 あまりにも唐突に、何の前触れもなく、脳裏にそんな単語が浮かんでくる。


「……ステータスエフェクト、アクティベート?」


 長年のクソゲプレイで培った俺の勘が、その言葉を復唱させた。

 そして、その選択は、おそらく正解だった。


「な……!?」


 俺がその言葉を言い終えるか終えないかというタイミングで、視界に謎のウインドウが浮かび上がったのだ。



――――――――――――――

【相良 操麻】


クラス:ゲーマー


LV:1

HP:133/133

MP:72/72


STR:333

MAG:5

CON:32

MND:48

SPD:91



【汎用スキル】

剣術 Lv2

火魔法 Lv1

加速 Lv6


【固有スキル】

拷問クソゲ耐性

変態機動

詠唱短縮


――――――――――――――



 突然目の前に浮かび上がったのは、まるでゲームみたいなステータス画面だった。

 一番上に表示された自分の名前に、どこか納得の出来るパラメータ傾向。


 同時に身体の内から、今まで経験したことのない力の奔流とも言える感覚が湧き出してくる。

 いや、それだけじゃない。


(力の……スキルの使い方が、分かる!)


 その確信のもとに、俺はスキルの名前を叫ぶ。



「――加速アクセラレート!!」



 瞬間、身体が軽くなったような錯覚。

 続いて繰り出された巨人のこん棒を、俺は余裕をもって回避していた。


「マジか……」


 それで、はっきりと確証が持てた。

 この力は、俺の目の前に映し出されたステータス画面は「本物」だ。


(いや、まだだ。もっと検証を、検証しないと……)


 絶え間なく続く巨人の攻撃をさばきながら、俺は新しく手に入った力を分析する。

 まず、ステータス画面。


(間違いなく言えるのは、この能力値は猫耳猫のものじゃないってことだ。表示項目が違いすぎる。そのほかに……注目するとその項目の詳しい説明が出るのか)


 こん棒の攻撃を右に左にと避けながら、目の前に浮かび上がったステータス画面を調査していく。


 フォーカスしてから項目が開くまでの間に妙なラグがあるのが気にはなるが、今はいいだろう。

 あとはスキルの検証。


(加速!! ……あれ?)


 巨人の攻撃の直前、再び加速をオーダーしてみるが、何も起こらない。

 不発になった技能に首をかしげながら、俺は間一髪、自力で巨人の攻撃を回避した。


「そう、か。これ、オーダーにもフォーカスにも対応してないのか」


 明らかになった事実を、思わず声に出してつぶやいた。

 オーダーやフォーカスは、思考操作型のUIの第一段階であり、俺たちゲーマーをタップだのクリックだのボタンだのといったわずらわしいものから解放してくれた、ゲームの救世主だ。


「く、っそ! クソゲじゃないか、この仕様!」


 時代遅れなことに、この「ステータスエフェクト」とやらの技の発動は、わざわざ口に出して行う必要があるらしい。


「旧世代の化石ハードでもあるまいし、今時はスキルのオーダー発動は当たり前だ、ろうに!」


 文句を垂れ流しながらも、俺は加速で巨人の攻撃を避けながら、隙を見て手のひらを巨人に向けた。


「『燃え盛る紅蓮の矢よ、敵を貫け! ファイアアロー』!」


 ステータスを詳細に見たことで把握した、厨二感あふれる詠唱と共に、炎の矢が現れて巨人を打つ。

 ……が。


「まるで効いてないな!」


 一つ目の怪物はそんなことがなかったかのように、悠然と俺を追いかけ続けていた。


(だけど、これでまた一つ分かった)


 俺は視界の片隅でずっとステータス画面の変化を注視し続けていた。


(……減ってるな、MP)


 俺が「加速」や「炎魔法」を使う度に、ステータスのMPの数値が減少していた。

 最初に「マジカルポケット」の魔法が発動出来なかったことから、この世界には魔法がないんじゃないかと思っていた。


 だけど、違う!

 これは、この世界には、猫耳猫とは全く違う論理で動いてる、独自の魔法がある!


(はは……! なんだよこれ、やっぱりゲームみたいじゃないか!)


 最近猫耳猫でも感じなかったワクワクに、心が高揚する。


 魔法は分かった。

 次は、物理攻撃だ。


 俺のステータスを見る限り、俺の適性は魔法使いよりも戦士にある。

 何とか巨人の攻撃をかいくぐって攻撃を当てたいところだが……。


 ――問題は、俺に武器がないことだ。


 せめて竹刀でもあれば、と辺りを見回すが、残念ながらそんな都合のいいものは転がっていない。


「く、っそ!」


 次善の策と、近くに落ちていた空のビール瓶を手に取って、巨人と相対する。

 しかし当然のように巨人は俺の手に握られた瓶は意にも介さず、楽しそうにこん棒を振り回してくる。


「こな、くそぉ!」


 俺は半ばやけになってビール瓶でそれを迎撃する。


「うわっ!?」


 巨大なこん棒とビール瓶では勝負になるはずがなく、ビール瓶は半分ほどで割れ、砕けたガラスが宙を舞う。

 だが……。



「――割った、な?」



 そう言いながら、俺は割れて半分になってしまったビール瓶を持ったまま、にやりと笑った。

 再び、巨人がこん棒を振り回してくるが、


「そんなもん、当たるかよ!」


 その攻撃を、俺は余裕を持って回避した。


 それだけじゃない。

 その次の攻撃も、その次の次の攻撃も、俺にはかすりもしない。


「ビール瓶を割ったのが、お前の運の尽きだったな」


 連続してスキルを使うためには、移動スキルをキャンセル出来るスキルや魔法、特別な能力が必要だ。

 さっきまでの俺は、そのための武器も魔法も天馬の靴もないために、得意の連続移動が出来なかった。


 しかし、今の俺には、こいつが……この「割れたビール瓶」がある!


 猫耳猫の各所に転がっていた割れたビール瓶は、なぜか分類上は「剣」の判定を持つ。

 だから……。



 ――ステップキャンセル、スラッシュ!



 今の俺には、攻撃スキル「スラッシュ」が……。

 そして、移動スキルの合間にスラッシュのショートキャンセルを組み込んだ猫耳猫プレイヤーの代名詞、「神速キャンセル移動」が使えるのだ!


 今の俺は、さながら水を得た魚。

 蘇る感覚のままに、スキルを縦横無尽につなげていく。



 ――ステップハイステップスラッシュステップ、スラッシュステップ縮地!



 猫耳猫での冒険を通して基礎スピードとスタミナ上限も上がり、ハイステップと縮地も使えるようになった今の俺は、もはや巨人ごときの速度では捉えられない。


「グ、ガアアアアア!?」


 巨人が狼狽の声を上げ、俺の姿を見失ったと確信した瞬間、俺は右手を前に突き出した。


「これで、どうだ! 『ファイアロー』!!」


 新しく覚えた力の中で、もっとも攻撃力のあるであろう「ファイアアロー」。

 それを、詠唱短縮によって短いキーワードで発動させ、相手の虚をつく。


「グ、オオオオ!?」


 そして、火の矢が目くらましになって巨人の視界がふさがったその一瞬に、俺は勝負をかけた。



 ――ステップハイステップ縮地、天覇無窮飛翔剣!!!



 逃げの姿勢から一転、巨人の足元で飛び上がり、この状況で出しうる最強の一撃を放つ!


 完全に意表を突いたその技は、見事に巨人の弱点、顔の一つ目に直撃した!


 どう考えても効果抜群の一撃!

 俺は空中でガッツポーズをとりかけて、


「え?」


 全く怯むことなく向かってきた巨人の手のひらによって、地面に叩き落された。


「ぐっ!?」


 予想外の攻撃に、俺の手から割れたビール瓶が落ちる。

 さらなる追撃を必死に転がって避けながら、俺はステップを駆使して距離をとる。


(ちき、しょう。やっぱりこれも、クソゲーじゃねえか)


 ステータスエフェクトで使えるようになった力のうち、一番破壊力に優れている技を相手の弱点に当てた。

 そのはずだ。

 なのに巨人を倒せるどころかダメージが通った気配すらなく、むしろ闘志をみなぎらせた様子でこっちに向かってこようとしている。


(やっぱり、今のレベルじゃ勝てない……のか)


 考えてみれば、当たり前の話だ。

 このステータスエフェクトとやらのレベルデザインは分からないが、あの巨人はどう考えてもレベル一の初心者プレイヤーが戦うようなビジュアルをしていない。

 おそらくだが、あいつの撃破想定レベルはもっとずっと上のはず。


 一発逆転の存在する猫耳猫でも、いくらバグ技を駆使したとしても地力がなければどうしようもない状況、というのは多々あった。

 全てを完璧にこなせたとしても、こっちの攻撃力が相手の守備力を抜けないとしたら、それはもうどうしようもない詰みなのだ。


(……ここ、までか)


 無念な思いで目をつぶる。

 うなだれた俺の右腕からつけていたリングが地面に落ちて、「カラン」という音を立てた。


 ドスンドスンという地響きを立てて巨人が迫ってきたが、もう動く意味も見いだせなかった。

 巨人が狩りの喜悦に唇を歪め、巨大なこん棒を振り上げるのを、ただ無感動に見つめ、



「――『正拳突き』」



 カウンターで放った正拳突き(ただのパンチ)が巨人に命中、勢い余ってその身体を爆散させたのだった。



 ※ ※ ※



(うーん。やっぱり種死バグで上げた筋力は、ちょっとチートすぎんだよなぁ)


 俺はさっき右腕から外した「魔導士のリング」を拾い直し、ため息をついた。

 どうして俺が、さっきまでずっと苦戦をしていた巨人にパンチ一発で勝てたのか、と言えば、それはこのリングに原因がある。


「これを着けたまま、新しい能力の力で勝てたら最高だったんだが」


 この「魔導士のリング」は猫耳猫の誇るぶっ壊れ性能の装備の一つで、俺が現実世界で暮らすに当たってわざわざダンジョンの奥から取ってきたものだ。


 説明文には「魔法に身を捧げた魔導士が身に着ける腕輪。魔力が二割上昇する代わりに筋力が一割減少する」とある。

 それだけ聞くと大した効果ではないようだが、とんでもない。



 ――実際にこのリングを身に着けると、「魔力が八割減少し、筋力がゼロになる」のだ!



 なぜそんな訳の分からないことが起きるのか。

 はっきりとした原因は特定されてはいないが、この装備の効果は魔力二割上昇の筋力一割減少だ。


 本来なら「魔力を1.2倍、筋力を0.9倍」するべきところを、何を血迷ったか「魔力を0.2倍、筋力を-0.1倍」にしてしまったのではないか、というのが猫耳猫の有識者の間での有力説となっている。

 流石に属性補正とは違い、筋力はマイナスの値になった場合はゼロになるので、そうなると結果的に「魔力が八割減少し、筋力がゼロになる」という本当の意味での「ぶっ壊れ性能」の装備になってしまう訳だ。


 俺は種死バグで無駄に上げた筋力値を抑えるため、日本で過ごす時はこのリングをつけて、筋力を抑制するようにしていた。

 もちろん高い筋力にももう慣れて、力の調節も出来てはいるのだが、何かの拍子に本気を出してしまうと、ただぶつかっただけの人をミンチにしかねないからだ。


 さっきの戦闘では結局このリングを外し、猫耳猫で培った筋力によるゴリ押しで倒してしまったことに少しだけ落ち込んだが、すぐに、まあいいか、と思い直す。

 あいつは今のステータスエフェクトのレベルじゃ勝てない相手だったし、どうせ猫耳猫のスキルを使っていた以上、今更な話だ。


(それに、俺はミツキみたいな戦闘狂じゃないからな。

 勝てさえすればどうでもいいや)


 とにかく今は、突然降ってわいたピンチを乗り切れたことを喜ぼう。

 そんなことを考えていた時だった。


(ん、あれは……)


 ちょっと遠くに、数人分の人影が見えた。


 救助隊、なのだろうか。

 辺りを警戒しながら、がれきの中に倒れていた人を助けている様子だった。



 ――あの人たちに話を聞けば、この状況も分かるかも!



 訳の分からない状況に、やっと差した光明だ。


 俺は嬉しくなって、全力の神速キャンセル移動で彼らのもとに向かった。

 しかし、



「ち、近づくなゴキブリの化け物ぉ! それ以上近づいたら後悔するぞぉ!」

「…………へ?」



 やってきた救援隊らしき人たちに、なぜか敵認定されてしまったのだった。



 ※ ※ ※



「す、すまないね。まさか人間だったとは」


 そこから必死の説得の甲斐あって、何とか誤解は解くことが出来た。

 ただ、どこからどう見ても人間な俺を、化け物認定してきたのはちょっと納得は行かないが……。


「い、いや。本当に申し訳ない。ただ、猫耳をつけた部屋着の男が、酒瓶を振り回しながらまるでゴ……いや、人間では不可能な動きでこっちに迫ってきているのを見て、パニックになってしまってね」


 本当にすまなそうにそんな風に言われてしまっては、こちらとしても怒るに怒れない。


 彼らはお詫びに安全な場所まで送ってくれると言い、俺も喜んでその申し出を受けた。

 そうして無事に街にまで戻ったあと、彼らと別れた俺は、にんまりと笑った。


 彼らとの出会いこそは最悪だったが、そのおかげで有益な情報が得られたのだ。


 帰り道、話し相手になってくれたジュライという救助隊の人からさりげなく話を聞きだしたところでは、どうやらここは「日本」らしい。

 ただ、俺のいた日本と違うのは、当たり前のようにダンジョンが存在し、ステータスの力でモンスターと戦っている、というのだ。



 ――面白い。



 俺がどうしてこの世界に来てしまったのかは分からない。

 ここに俺を呼んだ人間がいるとしたら、その目的も、果たしてその人物が帰る方法を用意してくれているかさえ、全てが謎だ。


 だけど……。

 新しい世界に、新しい能力、そして何より、新しいバグ!!


 この世界にはきっと、それが埋まっているはず!

 それを思うと、俺はどうしても高鳴る胸の鼓動を抑えきれなかった!


 ……しかしまあ、それはそれとして、とりあえず、だ。





「――なんか腹減ったし、元の世界に帰るか」





 そうして俺は懐から「マジカルポケット」のジェムを取り出して握りつぶし、収納空間から飛び出してきたくまに連れられて元の世界に戻ったのだった。




特別IFストーリー 完

くぅ~疲れましたw

これにてIFストーリー完結です!



そしてここで、皆さんにお伝えしなければならないことがあります……

コラボ元作品の紹介を読んでいて、あなたは登場人物の名前に違和感を持ちませんでしたか?


フォルス・エー・プリル

篠塚しのづき 風流ふうる


この名前、何かを思い起こさせませんか?


さらに……今日が何月の何日か、覚えているでしょうか?

そう、四月の一日

そして、四月一日と言えば……エイプリルフール!


なんと実はこのコラボ小説というのは真っ赤な嘘!!

「二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~」なんて作品は、この世に存在しないんです!!



























……とでも言うと思ったか、バカめ!!


この作品はちゃんと一年前から連載を始めてますし、ちゃんと四章まで書きあがっています!

疑うのならなろうでタイトルを入れて検索するか、下にリンクも張ったのでそこで日付を確認してもらえばこの言葉に嘘が全くないことが分かると思います!



エイプリルフールだからきっとこいつは嘘をついてくるに違いない

あなたはそんな風に思っていませんでしたか?


この荒んだ世の中だからこそ、人を疑うことの愚かしさを皆さんに学んでほしい

誰かを信じる心を、もう一度取り戻してほしい


そんな一心でこのIF小説を書き、そしてこのエイプリルフールネタを嘘にしないためだけに一年前からダミー連載を準備していたのです!

ざまあみろこの読者野郎!









と、さわやかにまとまったところで最後に告知兼ねて業務連絡ですが、「主人公じゃない!」の連載は4月4日に再開予定です

ついでにコミックウォーカーさんとニコニコ静画さんで「主人公じゃない!」のコミカライズが(ほんーの数ページだけ)見れたりするらしいので、それまではそれでも読んで待っててください、いいですねッ!

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この時のためだけにわざわざ一年前に連載を始め、この一週間で何とか二十三話まででっちあげた渾身作です!
二重勇者はすごいです! ~魔王を倒して現代日本に戻ってからたくさんのスキルを覚えたけど、それ全部異世界で習得済みだからもう遅い~
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