日本のワクチン接種遅い理由 アストラ責任者に聞く[2021/03/31 23:30]
世界中で新型コロナウイルスのワクチン接種が進められ、100人あたりの接種回数は、イギリスでは50回、アメリカで40回を超えました。一方で、接種開始の遅かった日本は0.75回とG7のなかで断トツの最下位となっています。
高齢者の接種さえ始まっていない日本に対し、アメリカではすでに15の州で16歳または18歳以上の人が接種を受けられるようになっています。
いち早く接種が始まったイギリスでは、成人の6割近い3000万人以上が、少なくとも1回接種を受けています。
なぜ日本では接種が進まないのでしょうか。
一つのハードルが、ファイザーの工場があるEU(ヨーロッパ連合)の輸出規制です。EUは、ワクチンを運ぶ航空機1便ごとに承認が必要としていて、この規制を6月末まで延長しました。
国内企業もワクチン開発を進めているものの、現状では輸入頼みです。今のところ、接種が行われているのはファイザー製のみで、モデルナやアストラゼネカのものはまだ承認がおりていません。
アストラゼネカ研究開発本部ワクチンプロジェクト日本責任者・田中倫夫氏:「日本の場合は、日本の臨床試験が求められる。そこは大きな違い」
また、スタートの時点で大きな違いがあります。アストラゼネカとワクチンを共同開発したイギリスのオックスフォード大学は、別のコロナウイルスが原因であるMERSのワクチンをすでに開発していました。
アストラゼネカ研究開発本部ワクチンプロジェクト日本責任者・田中倫夫氏:「(去年)1月初旬に新型コロナの遺伝子配列が解読されて、数日後にはワクチンのプロトタイプ(試作品)ができた。3カ月後の4月23日が世界初の臨床試験の開始。非常に短期間で起こったのは、そもそも(ワクチンが)あったことが大きかったと思います。その前にオックスフォード大学には、イギリス政府から資金援助が入っていた」