SCP-2045-JP
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アイテム番号: SCP-2045-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2045-JPは異常物品収容セル内に収容してください。毎日、午前10時に担当職員はSCP-2045-JP-1を回収してください。回収されたSCP-2045-JP-1は標準収容ロッカー内に収容されます。

説明: SCP-2045-JPは幅3600mm、高さ900mm、厚さ30mmの標準的な黒板です。SCP-2045-JPには異常性を除き特筆すべき点はなく、一般的な黒板と同様に使用することが可能です。

SCP-2045-JPは毎日午前10時に不明な手段で炭酸カルシウム製のチョーク(以下SCP-2045-JP-1)を付属のチョークボックス内に出現させます。出現時のSCP-2045-JP-1は全て白色です。SCP-2045-JP-1は明確に摂食しようという意思を持って摂食した場合、チョークを食べたことによって生じる身体的な不具合、例えば強い胸焼けやゲップ、消化器障害を引き起こさなくなります。白色の状態のSCP-2045-JP-1はその主成分に反して強い酸味があり、食用には適しません。SCP-2045-JP-1は、加熱等の調理を行うことで色、食味が変化し、一般的に食品として適切な範囲の食味へと改善されます。SCP-2045-JP-1を摂食している間、対象はSCP-2045-JP-1の色に応じてランダムな幻覚を体験します。また、特筆すべき点としてSCP-2045-JP-1からは常にソメイヨシノ(Prunus yedoensis Matsumura)の花弁から発せられる臭いに酷似した強い香りを発している点が挙げられます。

発見経緯: SCP-2045-JPは「桜の匂いのチョークの出る黒板」という噂に興味を持った財団が噂の真偽を確かめるため、昭和・平成の小学校から高等学校卒業生に聞き込みをした際に███中学校が浮上し、調査の結果、発見されました。


以上の実験記録から、SCP-2045-JP-1摂食後に見る幻覚は特定の人物の記憶を想起しているものと推測され、1990年代にこの███中学校から卒業した複数の人物へ警察関係者を装ったエージェントなどから聞き取りを行った結果、2000年に56歳で死亡している████ 恵美子(1999年まで同校教諭)と強い結び付きがあると見られています。

補遺1: 収容当初、SCP-2045-JPは桜の香りのするチョークを発生させるAnomalousアイテムとして収容されていましたが、███博士がSCP-2045-JPの異常性の解明の際に粉砕したSCP-2045-JP-1の破片を偶然摂食したことでSCP-2045-JP-1の異常性である幻覚症状を訴え、強い酸味を報告したことから新たな異常性が発覚し、正式にSCPオブジェクトとして認定されました。

補遺2: インタビュー記録

インタビュー記録-2045-JP
対象: 上原 悠子(インタビュー内では上原氏と記載)
インタビュアー: 白波博士

[記録開始]

白波博士: では上原さん、あの黒板について教えていただけないでしょうか?

上原氏: ……すみません、これ取り調べかなにかですか?

白波博士: 安心してください。このインタビューは事件に関するようなものではありませんし、口外もしません。何か心当たりや些細なことでもいいので教えていただけないでしょうか?

上原氏: ……あれは、私が███中学校の時、3年█組にあった黒板です。███中学校は私たちが卒業したあと閉校になってそれっきりです。

白波博士: なぜこれが3年█組にあった黒板だと分かるのですか?

上原氏:  だってその黒板の右上に小さく「えみばあ」って書いているでしょう。

白波博士: 書いていますがこれはどういう?

上原氏: このえみばあっていうの、私たちの担任の先生のあだ名なんです。クラスの子が画鋲でいたずら書きしてたのを覚えてます。

白波博士: ████ 恵美子さんですか?

上原氏:そうです……ご存知なんですか?

白波博士: ええ、まあ。それで████ 恵美子さんはどんな方だったか聞かせていただけますか?

上原氏: 分かりました。████先生は国語の先生でよく「チョークって実は食べれるのよ」って言っておどけて笑ったりするお茶目なおばあちゃん先生で面倒見がよくて、クラスだけじゃなく学校全体から名物みたいに思われてた先生でした。

白波博士: はい。

上原氏: でも、夏休み明けに███中学校が廃校になるって聞いて████先生はすごく気落ちしてて可哀想でした……普段笑っておどけている先生だったからとても印象に残っています。

白波博士: それというのは、廃校について特に悲しんでいる様子でしたか?

上原氏: 私の4つ上の姉が在校生だった頃からいた先生だったので、他の先生より愛着があったんじゃないかなと思ってたんですが、たぶんそれだけじゃなかったかも。

白波博士: それだけじゃない?

上原氏: 卒業式の日の前日の事です。最後のホームルームで急に「この学校も皆さんの卒業とともに終わりを迎えますが、私の心はこの桜の香りと一緒にいつまでもここに残りつづけます。辛いときは思い出してね、そしたらまたいつでもここに帰ってこれるんですからね」って言い出して、そのあとに「ごめんね」って言って、その時は意味がわからなかったんです。でも次の日、卒業式の日にはいつもみたいに元気に送り出してくれました。先生、泣き笑いって感じでしたけどね。

白波博士: わかりました。続けてください。

上原氏: 卒業してから、同窓会開くってなって先生も招待するじゃないですか?それで幹事が連絡しようとしたら消息がつかめなくて。

白波博士: なるほど。

上原氏: それでみんなでよくよく調べてみたら、先生、あの卒業式の翌年に持病を悪くして亡くなってて、身寄りもなかったみたいで。思えばあの時にはもう。

白波博士: そうでしたか、その他に████ 恵美子さんについて……そうですね、あの黒板となにか特別な繋がりというか、そういうことを感じたことは?

上原氏: 黒板と?いえ、まあ先生ですからよく触れてたとは思うけど……まああるといえば。廃校になることが決まった夏休み明け、私が忘れ物を取りに教室に戻ったとき、黒板に手を当ててなんかたそがれてたというか。やっぱり落ち込んでるんだなと、私まで辛くなっちゃって。

白波博士: ありがとうございます。それでは……。

上原氏: ちょっといいですか?この黒板ってどうなるんです?

白波博士: ……あの廃校は取り壊しが決まりましてね。ただ、あの黒板は他の学校に寄贈されるそうですね。どこかまでは存じませんが。

上原氏: そう、ですか……大事にしていただけるといいんですけどね。えみばあの黒板。

[記録終了]


終了報告書: このインタビューの終了後、収容室内に保管されていたSCP-2045-JPから青色の一本のSCP-2045-JP-1が発生しました。このとき出現したSCP-2045-JP-1の摂食実験の際、摂食した対象は「塩味と薬品のようなえぐみを伴う強い苦味」を感じ「病室と、窓から遠くにある花をつけた桜が見えた」との幻覚を報告しました。この時なぜ白色では無く青色のSCP-2045-JP-1が出現したのかは不明です。また、本インタビューが行われた日時は███ 恵美子氏の命日と同日であることと青色のSCP-2045-JP-1が出現したことから、SCP-2045-JP-1の発生には███ 恵美子氏及び███ 恵美子氏に関連する日時と何かしらの関係性があると考えられ、現在更なる異常性の調査が行われています。

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