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声を上げることができます。

(エレベーターのチャイム)
｢上に参ります｣｡

問題｡

大混乱に陥るでしょうね｡

はははっ｡

…みたいな人ですもんね｡

(チャイム)

担当番組12本｡

謎解きブームの
立て役者と言われる男｡

圧倒的な知識量で 数々の

早押しクイズ番組を手がけてきた｡

解く者を魅了し 夢中にさせるクイズは
どのようにして生み出されるのか？

(正解のチャイム)
(不正解のブザー)

その謎を解くための取材が
思わぬ扉を開くことになろうとは｡

クイズに取り憑かれ クイズに翻弄され

それでもクイズから離れられない二人｡

?～

この日は 二人が制作を手がけた
クイズ番組の収録｡

俺一人
サブで裸で何やってんの｡
(笑い声)

(笑い声)

テレビ局のスタジオで 正誤判定を行う｡

≪では二朗さんまで５秒前 ４ ３ ２…｡

(佐藤)
｢お菓子メーカーアンド販売店の壁を
やっつけろスペシャル～！｣

(拍手)

｢ファーストステージ｣｡

遡ること20日前 二人は今回の収録に向け
企画会議に臨んでいた｡

なんとなくですよ イメージ
無限ラリーなんだけど １問目のイメージ｡

(演出)あ～なるほど 面白いですね それ｡

(笑い声)

(笑い声)

クイズ作家 矢野了平｡

謎解きや ひらめきクイズの分野で

独創的なアイデアを
次々と生み出してきた｡

担当するレギュラー番組は 12本｡

現役のクイズ作家の中で群を抜く｡

やばい｡
書けなくなったチームが負け｡

番組の命運を一手に引き受ける矢野｡

そのひらめきを待つ時間は
｢矢野待ち｣と称される｡

(日高)分かんのかな…｡

クイズ作家 日高大介｡

矢野のアイデアを精査し より洗練された
クイズへと磨き上げていく｡

誤解のない表現や 答えがたった一つに
絞られるかなど 確認を重ねる｡

日高は クイズ番組で優勝するなど
解答者としても名を馳せてきた｡

これまで解いたクイズは 10万問｡

膨大な経験値をベースに
数多くの知識クイズを作りだしてきた｡

すごい これ分かる？

(圭子)お～ 正解！
ははははっ！

(圭子)すごい！

そのとおり～！

お見事！

(日高)そう その勇気｡
ここで どんだけ恥かいても
いいんですから｡

いいです
その勝負度胸 すばらしい｡

二人は どのようにして
独創的なクイズを生み出すのか｡

はぁ～…｡

…の略｡

日高は 日常のあらゆる場面に
疑問を投げかける｡

違和感の種を掘り下げることで
クイズを生み出していく｡

(日高)日常の盲点を突いた問題が
まあ 僕はある種

知識クイズ 雑学クイズとしては
理想型だなという｡

矢野から…｡

面白い場面になると
｢お待たせしました｣ってくるんですよ｡

一方 矢野は
クイズ作りにおいて真逆の方法をとる｡

ピンポーン｡ なんかね…

(矢野)僕ね…

矢野は たとえ知識がなくても
答えを導き出せるクイズにこだわる｡

哲学的なこと聞くんですって｡

(シャッター音)
よし｡

(矢野)これはローマ字で考える｡

ローマ字で
｢さくら｣の｢さ｣は｢ＳＡ｣っていうふうに

赤と黄色混ぜるとオレンジになる｡

｢く｣は｢ＫＵ｣で
白と黒混ぜるとグレーになる

っていう考え方ですね｡ じゃあ｢ら｣は

青と黄色だから 緑が正解っていう｡

ははははっ｡

ふと｢棚｣って漢字を見たときに…

…じゃないですか｡
全部 曜日だと思って｡

その… そのときに…｡

手紙の問題だったんですよ｡

彼の家には あした何が届くでしょう
っていうので

あしたがヒントだっていう｡

あしただから
一日 曜日をずらせばいいっていうので

曜日をずらすと こう棚が届くっていう

問題なんですよ｡

(矢野)オセロやる？ じゃあ｡
(息子)俺 黒にする｡

すごくない？ 今｡

≪二朗さんまで５秒前 ４ ３ ２…｡

知識の日高｡

ひらめきの矢野｡

｢チャレンジャー お答えください｡

それでは用意スタート｣｡

｢ポテトチップス 柿の種 じゃがりこ

ハッピーターン チップスター
わさビーフ おっとっと

じゃがビー プリッツ｣｡

(拍手)
はえ～！ すげ～！

(拍手)

最強コンビが 作る一問｡

(チャイム)

(拍手)

(チャイム)

うおっ すごいね この空間｡

うお すご なるほど｡

あの本どうやって取るの？ はははっ｡

今回 番組は二人に問いかけた｡

(効果音)
今？

あれ？

｢日本屈指のクイズ作家
お二人に問題です｣｡

｢お二人で協力して作ってください｣｡

(二人)ははははっ！

(矢野)人生｡ その人生っていうのは

僕と日高の二人の人生最高の一問を

二人で協力して
一問だけ作るということですか？

｢そうです｣｡
は～｡

最強の二人だからこそ生み出せる
最高の一問とは？

｢それでは １か月後に｣｡

(日高)ごめんね｡
(矢野)いえいえ｡

３週間後｡

優れたクイズの条件を出し合い
ヒントを探る｡

(日高)そうだね｡

(矢野)はいはいはい｡
あれは そういうね 確かにね｡

(矢野)そうだね あれは名作だね｡

すげえなぁ｡
できねえよ｡

問答が続く夜のことだった｡

想像もしなかった告白を
聞くことになった｡

(二人の笑い声)

この５年の間で…

いやいや いやいや うん…｡

日高は実は ５年前から
新作のクイズを作っていなかった｡

クイズに取り憑かれ 翻弄され

それでもクイズから離れられない
二人の人生｡

日高さんがクイズと出会ったのは
中学生のとき｡

｢ニューヨークへ行きたいか！｣
｢オーッ！｣

テレビで見たクイズ番組が
きっかけだった｡

やがて 見るだけでは飽き足らず
独学で勉強を重ね

大会に出場するようになった｡

夢は 日本一のクイズ王｡

一方 母子家庭で育った矢野さんにとって
クイズは生きる術だった｡

二人は高校３年生のとき
クイズ大会の決勝で出会った｡

ははははっ！

大学生になり上京すると 毎日のように

互いのアパートを行き来し
夢を語り合った｡

(歓声と拍手)

(日高)いくぞ！
ニューヨークへ行きたいか～！

オーッ！

思いが高じ 二人は21歳のとき
手作りのクイズイベントを開催した｡

日高さんが問題を作り
矢野さんが大会全体の仕掛けを作った｡

(日高)おめでとう！
え～！

ガリレイ｡
(日高)抜けた～！

二人の中に 確信が生まれた｡

(日高)やった～！
(拍手)

二人はクイズを一生の仕事にしようと
それぞれの道を歩み始めた｡

日高さんはクイズ作家の副業をしながら

解答者としてクイズ王になる夢を
追求した｡

一日千問のクイズを解くことを
自らに課し 修練を重ねた｡

一方 矢野さんは 解答者として
名を成す道に見切りをつけ

クイズ作家として裏方に回る決断をした｡

以来 二度とクイズ大会に
出ることはなかった｡

それから10年の歳月を経て
二人の人生は くしくも再び重なった｡

クイズ王を目指すものの あと一歩が
届かず 日高さんは苦しんでいた｡

そこに訪れた大きなチャンス｡

これがダメなら
引退する覚悟で大会に臨んだ｡

ホワイトハウス｡
(不正解のブザー)

バッキンガム宮殿｡
(不正解のブザー)

迎賓館！
(不正解のブザー)

あ～
ごめんなさい！

(司会)なんと
日高大介をもってしてもダメか！

無念の敗退です｡

夢を絶った 最後の一問｡

クイズを作り 不正解のブザーを
押したのは 矢野さんだった｡

矢野さんは日高さんに 本格的に
クイズ作家に転身しないかと声をかけ

ともに歩み始めた｡

豊富な知識を持つ日高さんと 革新的な
アイデアを生む矢野さんのコンビで

新たなクイズを次々に生み出し

業界を席巻した｡

だが｡

求められるままに
クイズを量産し続けていた 38歳のころ｡

日高さんは 突然
クイズを作ることができなくなった｡

矢野さんは日高さんの異変に気付きながら
あえて 声をかけることはしなかった｡

表現の精査や正誤判定を任せつつ
変わらず 二人での仕事を続けた｡

互いに認め合い 互いに高め合ってきた｡

歩む道は違えど
あの思いだけは 変わらない｡

(正解のチャイム)
｢そのとおり！｣

日高さんは 再び
クイズを作れるようになることを願い

今も治療を続けている｡

今回 かつての自分を取り戻す
きっかけにしたいと

最高の一問の制作を受け入れた｡

二人に問いを出してから
１か月後のことだった｡

日高が新型コロナウイルスに感染し
入院した｡

病床にありながら 日高は
最高の一問を考え続けていたという｡

３週間後｡

(日高)おっ おっ？ お～みたいな｡

５年ぶりの新作｡

(圭子)あはははっ！

そうだね｡ それは分かる｡

一方 矢野は｡

互いに考えた 最高の一問を持ち寄る｡

おはようございます｡

ははははっ！

そうね｡
(矢野)ふふふっ｡

はい｡

はい 分かりました｡
(矢野)はい 出題します｡

うん｡

はい｡

(日高)う～ん…｡

おお～｡ おお おお おお｡

なるほどね｡

答えは びっくりマーク が正解｡

そのやり取りが実際にあったという…

そうね｡

はい 分かりました｡

はい｡

ん？

(矢野)そうだね｡ そこだよね｡
そう｡

なるほど｡
(日高)ちょっとね…｡

(矢野)なるほど いやなんか ちょっと…

ああ ほんとに？
(矢野)うん｡

(矢野)ふはははは！

?～

日高が生み出したアイデアを 矢野が磨く｡

(ドアが開く音)

生っ粋のクイズッ子でしたね｡

これが生業になるとはね｡

(映像音声)｢畜生！｣

｢どうした込山！｣

｢畜生！｣

(日高)生憎 優勝はできなかったけど｡

やってきたね 一生懸命｡

生真面目にね｡

僕の生きがいですよ｡

(効果音)

さあ 人生最高の一問の誕生です｡

問題｡

?～

(日高)いくぞ！
ニューヨークへ行きたいか～！

オーッ！

?～

自分に対して 疑問を持ち続けることが
大事だと思うんですけど

自分に持つ疑問が的確かどうか

いい疑問が持てるかどうかっていうのが
すごく大事だと思うので

自分に対してのクイズの作り方が
うまい人が

プロかなというふうに思います｡

繰り返し繰り返し 失敗ができること｡

失敗するっていう打席に立たないと

絶対に成功というのはないと思うので｡

失敗の繰り返しで成長してくんじゃ
ないかなって思いますけれど｡

?～

ｶﾃｺﾞﾘ:プロフェッショナル