この記事では1997年3月に稼働したアーケードゲーム『電車でGO!』とVer.UP版の『電車でGO!EX』、およびその据置機・パソコン移植版を取り扱います。
電車でGO!/電車でGO!EX
【でんしゃでごー/でんしゃでごーいーえっくす】
対応機種
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アーケード
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メディア
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JCシステム
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発売・開発元
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タイトー
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稼動開始日
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無印
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1997年3月
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EX
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1997年9月
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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ありそうでなかった電車運転ゲーム プレイヤーに不利に働きまくるゲーム性 事前知識と地力が必要なパターンゲー 意外と多い無意味な現実との乖離 一時的ではあるがブームを巻き起こした
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電車でGO!シリーズリンク
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概要
通称『電GO!』。
タイトーが1996年に開発、1997年に正式リリースされた専用筐体を使用した電車運転ゲーム。
後に隠し路線を増やし、バグ修正したバージョンアップ版『電車でGO!EX』もリリースされた(筐体に差異はなく、画面上の表記でのみ判別可能)。
キャッチコピー「運転手はキミだ!」をはじめ、3Dポリゴンで描かれた沿線風景、運転台をリアルに再現した専用筐体も大きな話題に。
当時は音楽館の『Train Simulator』位しかなかった「電車の運転」を適度にデフォルメしたゲームとして成立させ、より身近にさせた。
その結果、本作はゲーマーだけでなく鉄道ファンや一般の家族連れをゲームセンターに通わせ、電GO!ブームを呼ぶ事にもなった。
しかしそうしたファミリーな雰囲気を醸し出したゲームではあるものの、中身はとんでもなく難しく熟練を要するゲームだった。
ゲームの説明
ゲーム筐体
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国鉄205系電車の運転台を模しており、基本的なデバイスの「マスコン」「ブレーキ」「警笛ペダル」、ゲームと連動して動くメーター類の「速度計」「知らせ灯」「ブレーキ圧力計」が搭載されている。ハード製作にあたり、鉄道模型用の「ECS1コントローラー」を購入・分解して研究されている。
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プレイヤーから見て左のレバーが「マスコン」。車でいうアクセルに相当する。5段階の強さがあり、ブレーキを解除した状態でこれを手前に倒すと加速する。
ドアの開閉を示す「知らせ灯」が点灯していない(=ドアが開いている)時にマスコンを入れると減点。家庭用においての知らせ灯はゲーム画面内に表示される。
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右のレバーが「ブレーキ」。これを回すと減速。ブレーキは解除+8段階の強さがあるが、最高段階は「非常ブレーキ」であり、指示が無い時に一定速度以上で使うと減点。
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足元には警笛を鳴らす「警笛ペダル」がある。「警笛鳴らせ」の地点では、これを使って鳴らさないと減点される。更に特定ポイントで鳴らすと「隠し警笛ボーナス」として持ち時間が加点されるが、逆に鳴らし過ぎるとこれまた減点である。
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また、座席には振動バスシェーカーが搭載されており、レールの継ぎ目を渡る時に振動する。
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なお、50インチプロジェクターのDX筐体では、画面の大きさに合わせてメーター類以外の操作系スペースが通常のSD筐体よりも拡大されており、操作感覚が僅かに異なっている。但し警笛ペダルのみ小さめになっている。
ゲームの進行
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【1】規定のクレジットを投入後、スタートボタンを押してゲーム開始。
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【2】プレイしたい路線を選択する。
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【3】ローディング後、列車紹介の後に運転開始。
なお列車紹介はスタートボタンでスキップ可能。
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初級路線選択時のみ、マスコンとブレーキの役目、大まかな操作のやり方が表示される。これもスキップ可能。
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【4】最初に30秒の持ち時間が与えられ、全区間走破すればクリア。
逆に途中で持ち時間が0になってしまったらそこで「時間切れ」。規定のクレジットを投入すればコンティニューとなり、前の停車駅から運転再開出来る。
コンティニューしなければゲームオーバー。
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【5】スコアを更新すればネームエントリー。
運転の大まかな流れ
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原則ダイヤに沿って電車を発車→走行させ、到着予定時刻に合わせて駅の停車位置に停車させる。
「ダイヤに沿って」という点が重要で、遅れるのはもちろん、ダイヤより早く到着しても注意信号45km/hのペナルティが発生し、結果としてダイヤの大幅な遅れが生じてしまう。
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プレイヤーは「持ち時間」という点数をある程度持っており、駅への到着が遅れると徐々に減点されていく。
持ち時間は駅に正確に停車させると加点され、制限速度超過やオーバーランなどの運転ミスをしたときは減点される。
運転評価
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運転を終了した後に表示される最終的なスコアである。今作での項目は以下の通り。
「不可(0点)」→「可」→「良」→「優(満点)」の順に評価が上がり、その上で更なる総合評価が決まる
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【力行・惰性の使い方】
力行と惰性がきちんと行えているかを評価。詳細は不明だが、むやみにマスコンの入切を繰り返すと減点される傾向がある。
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【ブレーキの使い方】
非常ブレーキはもちろん、B8などの過剰なブレーキ操作を行っていないかを評価。
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【停止位置の正確さ】
停止位置をきちんと合わせているかを評価。0m停車をこなせば満点は確実である。
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【信号・標識を守る】
信号やその他標識をきちんと守れているかを評価。
収録路線
難易度は「初級」「上級」の2段階のみ。隠し路線はいずれも「上級」である。「上級」の路線ではブレーキの効きが悪くなる雨が降る区間がある。
最初から選べる路線として初級1路線、上級3路線の計4路線が収録されている。
決められたコマンド操作をすると隠し路線が選択出来る。
なお、ディップスイッチ設定でゲーム難易度を調整することが可能である。
当然ながらユーザー自らが設定することは不可能である。
評価点
貧弱な基板ながらも出来る限り再現された環境
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使用基板は『サイドバイサイド』と同じ「JCシステム」だが、実は当時のタイトー製シールプリント機『写してちょ!』の基板をベースにポリゴンを使える様にしたもので、当時から微妙な性能であった。
当時のタイトーは、貧弱な基板で社運をかける様なゲームを出すことが多く、どちらかと言えば「コスト重視」の制作体制が見え隠れする。他には『コロコロポン』という非常に簡単なカプセル排出機の基板に、そもそも無かった画像出力を無理矢理つけた『レーシングビート』等。
その為、セガやナムコといった同時期の3Dポリゴンを活用した大型筐体ゲームと比べ、明らかにグラフィックが貧相なのだが、それでも再現出来うる箇所は手を抜いておらず、スタッフの拘りが感じられる。
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長過ぎる駅間やトンネルの距離が短縮されているなど、意図的にデフォルメされている箇所もあるものの、実物を知ってさえいれば、あたかも実在する路線を運転した感覚になれるはず。
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とにかくリアルな挙動は今作最大の評価点である。3D技術がある程度発展した時代のゲームとは言え、競合他社と比べて貧弱な基板を使用した中では、とても頑張った再現性である。
4つの収録路線ごとの列車で、それぞれの性能が違う所も再現。このせいで操作性を掴むまでますます時間が掛かると言う側面も生み出してはいるが、再現という点においては間違っていない。
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また、対向列車がこれでもかというほど登場するのも大きな魅力。特急列車や貨物列車、並行する私鉄の電車、さらにはブルートレインやドクターイエローまで登場するという素晴らしさである。
予算をかけたと豪語するだけあるコンパネ
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製作者がすすんでプロモーションを行なっていた中で盛んに言われた「コンパネの作り」は妥協の無い代物。豪語するだけの事はある。
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このコンパネ周りに関しては、かなり営業部門と衝突をして説得してまわったり強引に押し通したりしている。例としてスイッチ類を「汎用ボタンにしろ」等の圧力がかかったとエピソードを語っている。この営業との衝突については何度かプロジェクトX的に語られているが、相当な抵抗勢力だった模様。
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職ゲー前作の「ランディングギア」、後作の「スタントタイフーン」「パワーショベルに乗ろう!」と比較しても汎用パーツが殆ど無い。また、直後に出た同JCシステムの「サイドバイサイド」は汎用パーツ満載と気合の入り方が一目瞭然で、当時のタイトー製大型筐体の中でも作り込みが半端ない。
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しかし、後述の問題点が年月を過ぎるにつれて現れてきてしまうが…
賛否両論点
運転手とアナウンスの棒読みボイス
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車掌のアナウンスなどはスタッフが担当しており、それもクセのある棒読みである。これを味のある演出と見るか、素人の片手間と嫌悪してしまうかで、評価は分かれてしまうだろう。
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後に「このボイスでなければ『電GO!』らしくない」と賞賛する声も出ているなど、ファンからの評判が上昇するというある意味怪我の功名というべき結果となったのが救いと言えるか。
なお、このスタッフは現在でもタイトーに在籍していることが『電車でGO!!』に今作の復刻版が収録される直前に判明した。流石である。
問題点
非常に高難度なゲームシステム
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実は「電車の運転は楽なものではない」と言う言葉を嫌になる程に体験出来る程、難易度・ハードル共に非常に高いパターンゲームである。
停車位置にどれだけ正確に止まれるかというルールは、極端に言えば「チキンレースをゲーム化したもの」である。
初見ではそもそもどれくらいの速度で走ればいいのかが掴みにくい。チュートリアルやインストラクションカードの類も抽象的で役に立つものとは言えず、事前に攻略法を知らなければクリアはまず不可能。
下手に速度を出せば駅に止まれずオーバーランで大幅減点、逆に速度を下げすぎるとダイヤに間に合わず持ち時間がどんどん削られる。この部分が克服できるようになってからが本番と言えるが、その前に挫折する人が続出してしまった。
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停車は更に厄介。駅には「駅進入速度」というものが定められており、これを超えると減点させられるのだが、この速度は駅の到着直前に突如表示される。
ブレーキの利き具合もこれまた独特で、やはり慣れるまでが大変である。何度トライしてもこのパターンを掴むのは難しいだろう。
更に「駅進入速度超過」のほか、上記の通り「駅構内再加速」「オーバーラン」「遅着」と、ターゲット層を全く考慮していないような減点項目がやたら多い。
特に、初心者は停止位置より手前に停止してしまうことが多く、結果再加速しなければならないため駅構内再加速のペナルティを喰らってしまうことが多かった。こうなるよりは数メートルオーバーランするほうがマシである。
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ダイヤも一度遅れると原則回復が難しい。後述の注意信号の関係で予めダイヤに余裕を持たせておくこともできない。
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こういった減点項目の多さの割に、加点項目は「隠し警笛」「停止位置にぴったり電車を止める」の2つと、上級での「踏切事故回避」「ボーナスゲームに成功する」の最大4つまで。
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しかも隠し警笛は全くのノーヒント。停止位置ボーナスも慣れなければとても取れるものではない。
事故回避はそもそも大幅な早着が必要なうえ、知らなければまず回避は難しい。そして回避に失敗すれば持ち時間が減点される。
ボーナスゲームについても終盤にようやく挑戦のチャンスが与えられるうえ、これまた慣れが必要なもの。
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ちなみに、警笛を鳴らしすぎると「警笛過多」のペナルティがあり、変な場所で鳴らしていると直近の隠し警笛のボーナスが得られないなど、むやみに鳴らせばいいというものではない。
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一応初級の山陰本線では、気休め程度にはチュートリアルが出るものの、停車に関してはノーヒント同然。
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出発から加速、惰性までは単にマスコンを単純に指示通りに操作すれば良いのだが、停車に関しては「ブレーキを操作して停止位置に停車」と表記されるのみで具体的なブレーキの強弱等の指示は全くない。
役立たず同然なアドバイス
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これだけ要求される操作が多い程に高難易度を誇っているのに、ゲームオーバー時のアドバイスが余りにもいい加減。
言われてみればその通りではあるのだが、余りにも抽象的で根本的解決になっておらず、まるで冷やかし・煽りのようにしか見えない不親切ぶり。
具体的には
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「停止位置を守ってください」「ブレーキが乱暴です」→適正なブレーキ操作のやり方は?
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「ダイヤを守ってください」→ダイヤを守る運転とは?信号を守ったら遅れが生じたのですが?
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「電気を大切にね」→電気を大切にする走り方とは? そもそも初級路線は気動車なので電気は関係ない。
実はこれは東京電力の「でんこちゃん」のパロディで、当時流行した東京電力のキャッチフレーズからなのである。言われないとわからないが、言われても納得出来ない。
なお、「東京電力」は関東ローカル企業で『電車でGO!』は全国発売である。パロディ化するにしても全国で理解するには無理があると言わざるを得ない。
デモ画面詐欺
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タイトルデモには3Dポリゴン化されたスーパービュー踊り子や各種新幹線、はては機関車のDD51など鉄道好きには「おっ!」と思える車両が出るが本編で運転することはできない。
タイトルデモだけ見れば物凄いモード数とツボをおさえたセレクトだが、事前に情報を知らなければゲームスタート後の路線選択でその少なさにガックリくる。
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なおこれらの車両はほとんどがのちの続編で運転できるようになった。
ダイヤ選択が不親切
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後の作品と違い、本作のダイヤ選択画面は「路線名」「使用車両」「難易度等級」が書かれているのみで、運転区間や種別などプレイ内容が把握しづらい。特に隠し路線の「東海道線EXTRA」などは、何が違うのか選択してみないと分からない。
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また、山陰本線に初級が1つあるのみで他は全部上級である。
難しさは大して変わらないが、新規プレーヤーにはハードルが高く感じられる。
現実の鉄道運行より難しくされている点
リアルな挙動とは裏腹に現実の鉄道と異なる点も多いことも特徴。しかもそのほとんどがプレイヤーの不利に働くもの。
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ダイヤは1秒遅れるごとに持ち時間が1秒ずつ減点される。
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現実では混雑や天候による性能悪化など列車が遅れる要素が山ほどあり、1分程度の遅れなら日常茶飯事。
踏切事故以外の各種アクシデントが実装されていないゲームと言えばそれまでだが、それでも1秒でも遅れたらアウトはいくらなんでも厳しすぎるのではないのだろうか?
ちなみに日本の鉄道はダイヤを厳守するという点において世界一厳しく優秀である。そんな国でもごく僅かな遅延は珍しくないのだから、いかに本作が無茶を強いているかが分かるだろう。裏を返せば「日本人の国民性」をよく体現しているゲームとも言える。
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注意信号が点灯した際のダイヤへの影響が大きすぎる。
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ディップスイッチ設定のゲーム難易度次第では3秒早着するだけで注意信号が出る。しかも本作はダイヤに余裕が無い駅も少なくなく、注意信号を守ったら10秒近く遅れたということもしばしば。
つまり信号を守った結果ゲームオーバーになるという、現実の鉄道には通じ難い状況が発生する。もし本作と同等のルールで現実の鉄道が運転・運営されていたとしたら、運転士達は早々と匙を投げるだろう。
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なおこの早着秒数は「累積」であるため、上記のケースでは1秒早着を3回連続やらかしてもアウトである。
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早着秒数はジャスト定刻か遅着するとリセットされるため、攻略本では早着して注意信号を喰らうぐらいなら数秒遅着したほうがマシとすら書かれる始末。
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本来、鉄道における注意信号とは、大雑把に言えば前を走る列車との間隔調整の為のものであり、ダイヤそのものを調整するためのものではない。
当然、現実の鉄道においても注意信号による遅延は、その列車の乗客が納得するかどうかは別問題としてもやむを得ない理由であり、基本的に咎められることではない。
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次回作である『高速編』以降では信号が変わる早着秒数が多少緩和されたり、数秒程度の早着なら減速信号(70km/h制限)で済む等、多少の対策がなされたが、根本的な問題は『通勤編』まで引きずることになった。
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因みにシリーズ中では本作のみ信号の位置が分からないため、どの辺りまでに減速すればいいのかが全くわからない。
以上の事から分かるように、ガチガチのパターン化を要求される。その実は『現役のプロですら初見ではクリア不可能な、トレインシミュレーターに似た別物』である。
ここを「アーケードゲームとしての味」と割り切れるか、それとも「これは本物の電車ではない」と拒否してしまうかで、本作に対するスタンスは極端に分かれてしまう。
だとしても不当な難易度上昇に繋がってしまっている点においては擁護するのは難しいものがあるのもまた事実である。
総評
今までにありそうでなかった「列車の運転士を題材としたゲーム」を、普段はゲームセンターに行かない一般大衆をも巻き込み広めた、伝道師的な作品と言うべきか。
その功績は非常に大きく、一時的ではあるが爆発的なブームを巻き起こした点は確である。
かの「ゲーム批評」でも、「東京駅地下のゲームセンターに、スーツ姿のらしからぬ客達が和気藹々と、「進行~!」の音声に合わせ指差し確認のなりきりプレイは異様だが微笑ましい」と紹介されたことをはじめ、芸能界でも電車好きで知られるタモリがこのゲームの大ファンであると「笑っていいとも!」「タモリ倶楽部」などで公言し、度々『電車でGO!』と具体的な作品名も出した事例を発生させるなど、現在でも「名前は知っている」人が数多く存在している程にまで全国で影響を及ぼした。
本作のヒットは「運転ゲーム」というジャンルの可能性を示す事となり、同社が『ジェットでGO!』など後継作を模索し、他社も『東京バス案内』などをリリースする事となる。中には急なヒットに一丸となれていないふわふわとしたエピソードまであるとか。
しかし最初は内容のもの珍しさからブームを巻き起こしたが、ゲーム自体はいわゆる「ライト層」には手に余る程に不親切かつ高難度で、初期の本シリーズ共通に見られる明らかな問題点と言える。
この問題点はやがて改良が行われるものの、結果的に一般層には敷居が高く高難度・リアルさを求める「鉄道ファン層」には現実との乖離により、人気の沈静化が進んでいった。
「職ゲー」故に競技をしているわけではないのだから単調さは当然の事で、人気の沈静化も不可避であったが、それだけに勿体無い側面もある点に於いては悔やまれる作品である。
いっそのこと、不条理な仕様を是正したうえで、『エースコンバットシリーズ』のキャッチコピー「超本格的ヒコーキごっこ」的なコンセプトで売り出せば、現実との乖離に対しての説得性をまだ持たせられて、長期に渡り内容を受け入れられただろう。
稼動から20年も経った現在は筐体の老朽化もあり、残存する筐体は『電車でGO!2高速編 3000番台』が殆どで初代を稼働させている店舗は非常に稀。
2019年6月26日に『電車でGO!!』にて『無印』の『復刻版』が同時収録されたが、一部要素が収録されていないため、求めるものによってプレーしたい方を選ぼう。
余談
『電車でGO!』を冠した派生作もたくさんリリースされた
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SNK製クレーンゲーム『電車でGO!トレトレトレイン』、SANKYO製パチンコ『フィーバー電車でGO!』、キッズメダルゲーム『メダルゲッター!電車でGO!』、キッズカードゲーム『電車でGO! カードゲーム』、ドライブゲーム『電車でGO! おうちでうんてんしゅ』等々。パチンコは地味にヒット作となった。
中には、エレメカマシンの「キッズレール電車でGO!」の様に子供向けを分かってるのか疑問符のつく代物を輩出してしまった事も。
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このエレメカマシンは、スーパーのフードコートなどにゲーム機を置く事業の為に作られたモノ。内容は中に小さな模型の電車が走っている電車型のマシンに乗るというもので、動いている間はあのPS版のCM曲が流れていた。
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また、コントローラが醍醐味の今作の筈が、ケータイやスマホアプリとして配信されていた。現在では終了している。
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LCDゲームも発売されている。中には当時流行したポケットモンスターの「ポケットピカチュウ」に乗っかった歩数計「電車でPO!」がある。
幻のゲーム「電車でGO! Nゲージ編」
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特別バージョンとして、鉄道模型Nゲージにカメラを搭載し、巨大なジオラマを走る『電車でGO! Nゲージ編』も存在した。
感じとしては『A列車で行こう』シリーズのコクピット視点を実写化した様な印象。ショーだけの展示で発売はされなかったが、イベントでたびたび出展された。
Nゲージのジオラマ空間を走らせ、立体交差等を駆使して数人同時プレイも可能という内容であったが、プレイ感覚も電車シミュレーションとしての再現度は別物。
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発売はされなかったが、ショー後に直営店社員に導入したいかの調査が営業所会議で議論されていたことから、発売する可能性は少なからずあった模様。なお、サイズは当時のゲームで最大級とされるセガのメダルゲーム「ロイヤルアスコットスペシャル」よりも大きい事がネックとなったと思われる。
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時が経ち、このNゲージ編の思想・設計を形にしたものが全国のホビーショップに設置されている。電GOのシステムが搭載されていないだけで組み込めばNゲージ編になってしまう程のコントローラーも本気仕様。純粋に走らせて楽しむ物で、電GOの様にチキンレースではない。ある意味『電車でGO‼︎』とは別の、かつての作品の順当進化ともいえる。
電車でGO!絡みの有名人
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真っ先に上がるのはイベントでよく呼ばれていた「元ベテラン運転士」の方であろう。
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広報課でもない、それも引退された方であったが鉄道ファンの為にと一肌脱いだ形。最初はオーバーランをしてしまう等残念な結果だったが、人知れず練習して「電車でGO!達人」とまで呼ばれる域にまで達した。
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芸能人では先述のタモリが有名。他にも石原良純や六角精児、加山雄三とかなりクセが強い。1作目では無いがアイドルの廣田あいか、松井玲奈も家庭用で遊んだとも。芸人からはななめ45°岡安。意外と中川家礼二は鉄道オタクの前に機械音痴が祟ったのか絡んだエピソードのソースが無い。
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また、プロデューサーの斎藤氏もイベントで広報以上に出演し、裏話等を披露している。
現在の状況
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2作目以降は本作を改造・バージョンアップしたものが大半だった為、1作目(EX含む)が残っているというのは絶望的。
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しかし、碓氷峠鉄道文化むら鉄道資料館には1作目~頑張れ運転士!までの4作品揃いぶみとなかなかの光景が見られる。鉄道ファンの聖地としても有名なところ故に感慨深い。
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同様にタイトーステーション梅三小路店に1、2-3000、3、頑張れ、GO!!の5作が稼働している。秋葉原Heyにも初代とGO!!が存在。
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なお、この筐体は『電車でGO!!』以前のアーケード最終作『がんばれ運転士!!』まで使い回されたため、メーター類のズレや故障が頻発し、「新作なのに筐体劣化が反比例で発生」というパターンが各地で発生してしまった。
プライスマシン景品
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プライズマシン景品として、コンパネ上に存在している「懐中時計を入れる穴」の為だけの「電車でGO懐中時計」が直営店独占で大々的に展開された。
ただし後に余程沢山余ってしまったのか、レンタル契約等のボウリング場のクレーンゲーム等にも大量且つ無造作に導入された事がある。
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懐中時計自体は当時のプライズアイテムの出来として、やはり「壊れやすい」のは仕方ないが、800円規制としては結構良いアイテムではある。
広告など
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この時期のタイトーお馴染みのちょっと恥ずかしい紹介POPについて。
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「業界初!」と大風呂敷な謳い文句がデカデカと書かれたPOPが筐体上部に貼られていた。アーケード業界初には違いないが、コンピュータゲームの歴史からみると鉄道シミュレータとしては一番乗りではない。
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この頃のタイトーはちょっとした事を前面に押し出し持ち上げる、こっ恥ずかしいコピーをつける傾向があった。
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発売前に地方営業所に向けて、本作の紹介ビデオが送られてきたが、せっかくの予算を注ぎ込んだコンパネは一切出さず、あの汚いJCシステムのグラフィックが延々と流れる内容に不安満載だったという声も。
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ちなみにこのプロモーション映像はサイドバイサイドとカップリング?であった。サイサイもあの汚いJC画面を延々と見せるもので、なかには予告で店頭上映しても「流せば流すほど売上が下がる」とまで言われる始末。
ゲームタイトルの蘊蓄
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今までに無い類のタイトルの付け方故に、当時の雑誌では「キャッチーなタイトル」と評された。しかし、「電車でGO」というタイトル自体はこのゲームが出ること遡って1980年代に既に登場している。
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サエキけんぞう氏率いる「ハルメンズ」の楽曲のタイトルに、まんま「電車でGO」という曲があり、後にかの戸川純や初音ミクもカバー、CDも出しているので割と有名な楽曲である。
電車でGO!/電車でGO!EX (CS)
【でんしゃでごー/でんしゃでごーいーえっくす】
ジャンル
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電車運転シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション セガサターン Windows
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発売元
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PS
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タイトー
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SS
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タカラ
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Win
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アンバランス
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開発元
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タイトー
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発売日
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PS
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1997年12月18日
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SS
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1998年10月1日
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Win
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1999年4月23日
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価格
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6,090円(税込)
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廉価版
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PS
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PlayStation the Best 2000年8月5日/4,800円
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SIMPLE1500シリーズ Vol.103 THE 元祖電車運転士 ディースリー・パブリッシャー発売 2003年1月30日/1,500円
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Win
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新価格版 発売日不明 3,980円
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爆発的1480シリーズ 2001年12月7日/1,480円
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判定
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PS/SS
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劣化ゲー
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ゲームバランスが不安定
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Win
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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PS
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ブームでミリオンヒットを記録 多彩なおまけ要素 隠し路線全カット
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SS
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劣化移植でグラフィックが台無し 時代を考えても酷いポリゴン 唯一の『EX』移植版
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Win
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移植度は非常に高い おまけ要素が未収録 廉価版はリプレイ機能あり
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備考
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『EX』はSSのみ
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電車でGO!シリーズリンク
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SIMPLEシリーズリンク
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概要(CS)
タイトー自身による移植作品。専用のコントローラーも同時発売された。PS版のみ、おまけで『サイドバイサイドスペシャル』の体験版が本編と同じディスクに収録されている。
ブームに加え、TVCMで初出した「ZUNTATA」による、中毒性のあるテーマソング「電車で電車でGO!GO!GO!」等の販促もあって、PS版はなんと102万本の売り上げを記録した。
SS版とWinの爆発的1480版ではVer.UP版である『EX』をベースにした移植となっており、前者はタイトルが『電車でGO! EX』となっている。
評価点(CS)
PS版
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タイトー自身による移植度は高い。
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流石にちょっとした粗はあるものの、基本的な操作性や、グラフィック等は、元のアーケードと大差の無いレベルで移植されている。
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幸いにもアーケード版がそもそも低性能の基板を使用していたため、「劣化している」という印象は感じにくいか。
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解像度はあまり高くはないものの、実車の写真集やムービーなどの、おまけ要素も多彩である。
以後の家庭用のシリーズ作品でも、このおまけは継承される事となる。
SS版
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移植作品の中で唯一、EXで追加されたダイヤを収録している。初代のCS作で雪の山手線や京浜東北線を運転できるのはSS版だけ。
Win版
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移植作中ではPC故に群を抜いてクオリティが高く、元のACよりも非常に快適にプレイする事が可能である。
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廉価版の爆発的1480版では『3000番台』からの逆輸入となるリプレイモードが搭載され、プレイの幅が広がった。
問題点(CS)
共通の問題点
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のちの作品と異なり、各ダイヤをクリアしても特に特典がない。プレイ意欲の維持については各プレーヤーに完全に委ねられている。
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どのダイヤをクリアしたかも記録されないので、確認したい場合はハイスコアを見るしかない。まあ最大でも8ダイヤしかないので、覚えてろということかもしれないが…
PS版
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AC版にあった隠し路線が容量の都合で一切収録されていない。
特にこのせいで山陰本線が全区間プレイ出来ない点は非常に痛く、この部分を見ればれっきとした劣化移植である。
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しかし上記の通り、かなり容量を食ってそうな『サイドバイサイドスペシャル』の体験版は収録されているという妙な事になっている。
「電GOが難しかったから、おまけの方が楽しめた」と言う声もあるにはあるが、ゲーム本編と無関係な要素で重要な部分を削るのはいかがなものか。
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また、項目選択時のキャプションにも表記されているが同体験版をプレイした後は、本編のハイスコアデータやゲーム設定が初期化される。
そのため、本編の続きを遊びたい場合は再度セーブデータをロードし直す必要があり、手間がかかる。
SS版
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処理落ちこそはそこまで気になるレベルではないが、効果音やグラフィックの劣化等、ゲーム全体に渡る劣化が目に余る。
3Dを苦手とするセガサターンがプラットフォームである事を考慮しても、問題と言わざるを得ないレベルである。線路が繋がっていなかったり、車両の塗装が判別できなかったりととにかく残念な出来になっている。
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ドリームキャストに移植された『3000番台』はハード性能を生かした良移植であることから、「少し待ってからDCで出せば良かったのでは?」と言う意見もある。
Win版
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PS版で好評だったおまけ要素は未収録となっている。
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『EX』稼動後の発売にもかかわらず無印版名義であり、『EX』で追加された隠し路線が一切収録されていない。
総評(CS)
3つの移植版は一長一短というべき出来である。
PS版はグラフィック・サウンド・プレイ感覚に関しては堅実な移植がなされており、現在の目で見ても良移植の部類に入るレベルである。非常に多彩なおまけ要素もうれしい。しかしAC版の隠し路線の収録漏れが非常に大きな痛手で、原作の魅力を半減させてしまった。
SS版はクソゲーという程ではないにせよあまりにも劣化部分が多く、AC版の移植としては残念ながらオススメし難い。ただし『EX』の移植は先にも後にもこのSS版だけであり、どうしても雪の通勤電車を運転したいなら一考の価値はあるかもしれない。
Win版はACと同等かそれ以上のスペックを実現しており、非常に良好なパフォーマンスで電GOをプレイできる良移植作品である。惜しむらくはおまけ要素が一切収録されていないことであるが、今から手に入れるなら間違いなくWin版が良いだろう。
余談(CS)
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タイトル画面の電気機関車は、カツミという会社が販売していた鉄道模型であることが判明している(参考)。
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ちなみにこの機関車のナンバープレートは「EB10」となっているが、実在したEB10形とは似ても似つかない形をしている(EH10形の金型を流用したため)。
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『64』以降のタイトル画面は本物の鉄道写真となった。
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現在は山陰本線のlong(フル)が発見された。チートコードを使わなければプレイはできないし、グラフィックが酷いことになっているのでまともにプレイはできないのだが。
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Win版はWindows 8以降のOSでも一応起動可能だが、画面上部が隠れたりグラフィックの一部が正常に描画されないといった不具合が発生する。
Windows 8以降での電車でGO!シリーズの動作状況についてはこちらのサイトで詳しく解説されている。
最終更新:2021年04月05日 05:26