学習と健康・成長
「服育」を通して学ぶ社会とのつながり 国際意識を学ぶきっかけにも
2021.04.06
生活の土台となる衣食住の一つでありながら、おしゃれの観点以外では語られる機会が少ない「衣服」。しかし、衣服が果たす役割はそれだけではありません。健康や安全を守ることはもちろん、社会性、環境意識、さらには国際意識を学ぶきっかけにもなります。今回は、そんな衣服の学びについて、服育net研究所の有吉直美さんにお話を聞きました。
環境問題も見えてくる衣服
――最近の若い世代は「サステナビリティ(持続可能性)」に配慮された服を意識的に選ぶ人も増えています。「服育」にもそういった視点があるのでしょうか。
もちろんです。当社は繊維リサイクルを通して、環境教育への取り組みをずっと推進しています。誰もが毎日必ず身につける衣服は、SDGsや地球環境について学べるよいきっかけになるのです
最近では「二酸化炭素を増やさない」などの環境への配慮から、環境配慮素材やリサイクルしやすい設計の服に切り替える企業も増えています。服育を通じてそういったリテラシーを学ぶことは、地球環境への意識を高め、購買行動における自分なりの判断軸を持つことにも繋がるはずです。
また、日本のカロリーベースの食料自給率は約38%(2019年)と低いことはすでに有名ですが、衣料品の国産率は数量ベースで約2.4%(2017年)、金額ベースだと約22.3%(同)とさらに低いことはあまり知られていません。
実は、新型コロナウイルスの世界的流行が起きたとき、輸出入にも混乱が生じました。今は安定してきていますが、これが再び起こったら、成長に合わせた衣服が買えなくなったり、寒暖差に合わせた服を手に入れられなかったりと、影響を受けるかもしれません。
一方で、服には文化的側面もあります。グローバルな視点で考えると、国ごとに異なる衣服のデザインや色、着こなしがありますし、伝統衣装を知ることで、多様な文化背景を持つ他国への理解が深まる側面も考えられます。もちろん着物や日本的な色柄から、自分達の国の文化について知ることもできますよね。
おしゃれや着こなしばかりに着目しがちですが、衣服は世界につながっています。地球環境や文化、経済などに着目するきっかけになるのです。