@chablis777
シャブリ

---------------------------

----O----086--------
----c-----------------------------
----h-----------------------
----o------------------------------
----y-a-n-----------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------

(寛治)昨日の夜 大阪に大空襲があって…。道頓堀も やられてしもたて…。
(空襲警報)
昭和20年3月13日 深夜とうとう大阪も大空襲に見舞われ恐れられていたことが現実のものとなってしまいました。
死者の数は およそ4,000人。
(千代)ご寮人さん…。
♪「オレンジのクレヨンで描いた太陽だけじゃ」
♪「まだ何か足りない気がした」
♪「涙色したブルー こぼれて ひろがって」
♪「ほら いつも通りの空」
♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪「転んでも ただでは起きない」
♪「そう 強くなれる」
♪「かさぶたが消えたなら」
♪「聞いてくれるといいな」
♪「泣き笑いのエピソードを」
♪~
ここて…。
(一平)福富のあった場所や…。
おい。
ご寮人さん…。
ご寮人さん!まだ危ないって! 入ったらあかん。
そやけど ご寮人さんが…。大丈夫や。
きっと どっかの防空壕に避難してはる。無事や。
あっ… 岡安のご寮人さんどないしたはるか分かれしまへんやろか?
ああ… 町外れに出来た遺体の安置所やわ。
(泣き声)
(宗助)千代…。
2人とも 無事やったんやな。
何よりや。
俺らは京都におったんで…。
それより…。
菊さんと 福松さんや。
菊さん何べんも うち来て疎開するよう シズ説得してくれはってなあ。
やっと決心して道頓堀離れたやさきにこの空襲や。
菊さんがいてへんかったらわてらどないなってたか…。
せやのにな…。
何で こないなことに…。
(みつえ)この のれんのせいやねん。こないなもんのために…。
(シズ)みつえ。
堪忍。
♪~
だんない…。
一福もいてるし うちが しっかりせな。
♪~
昨日…疎開先で荷物の整理してたんやけどな…。
お義母さん おおきに。(菊)何だす?
シズお母ちゃんのこと疎開するよう説得してくれはって。
ああ… 相変わらず頭の固い面倒くさい女やよってなあ。
すんまへん。
ほんでも 昔話でケンカできんのはもう シズぐらいなもんだす。
いてへんようになったら張り合いあれへんがな。
フフフフ…。
手伝います。もう けったいやな…。
あんさん あれ どないしました?(福松)あれ? あれて?
のれんだす 福富の。
その行李の中に入ったあるやろ。
去年 虫のつかん箱にしよ言うて替えましたやんか。
あっ… あの桐箱か。
しもた 置いてきてしもた。
ええっ!?(福松)堪忍や!あんさん肝心なもんを!
福富は 楽器店に変わってもお茶屋やった頃の あの のれんだけはお義母さん 大事にしてずっと しもてはったんや。
(みつえ)せやさかいどないしても取りに帰る言うて…。
・(空襲警報)
お義父さんはお義母さんのこと守るみたいにして亡うなってはったんやて。
♪~
(シズ)死んだら しまいや。
(シズ)そない言うたんは 姐さんだすで…。
死んだら しまいや。
まだ諦めてへんねやったら何が何でも生き延び。
偉そうに言うてたくせに何だすね このざまは!
何とか言い!
あほ!
あほ…。
この のれんは わてが守っていきます…。
道頓堀に福富と岡安いう芝居茶屋があったこと忘れさせやしまへん…。いつまでも語り継いでいきますさかい…。
お義父さんとお義母さんを守ってあげられへんかった…。
堪忍な 福助…。
堪忍…。
(泣き声)
(子供たちの声)
こんにちは。(2人)こんにちは。
それから数日後みつえちゃんと一福君は千代ちゃんたちと一緒に暮らすことになりました。
狭いけどな。
道頓堀から少~し離れた場所にあったこの家は幸いなことに 空襲の難を免れたのでした。
なあ。ん?ほんまに迷惑やあらへんの?
俺らは構へんけど…ご寮人さんたちと疎開した方がよかったんとちゃうか?
福富の後始末もせなあかんしそれに 福助が帰ってきた時こっちにいてた方が はよ会えるしな。
(寛治)みんな大丈夫やろか…。
しぶとい連中やしな。
きっと だんない。
家庭劇の劇団員たちは京都から戻ったあとみんなバラバラになり連絡も取れなくなっていました。
ほな 頂きます。
(4人)頂きます。
堪忍な。 配給少のうてろくなもん用意でけへんかってん。
その割には うれしそうやなあ。
あんたと 一平とこないして ごはん食べてたら何や岡安におった頃 思い出してな。
あのころとは逆やな。
まさか うちが あんたらの家に居候するやてな夢にも思えへんかったわ。
ほんまに人生は何が起きるか分かれへんな。
よっしゃ 一平 台本書き。
何や いきなり。
簡単な台本でええさかい あんたと うちと寛治の3人ででける芝居をやりますね。
またそれかいな。
あの道頓堀 見たやろ。今は そないな状況やあれへん。
こないな時やからこそみんなを励まさなあかんのだす。
なあ 寛治。
うん 千代さんの言うとおりやな。
ほれ見いな さすが寛治や。
僕 満州行くわ。
役者として満州への慰問団に志願しよう思てます。
あんた 急に何言いだすねんな。
ちょっと前にな知り合いの役者に誘われてん。
一緒に満州行って 芝居せえへんかて。
お国が軍隊を慰問する役者集めてんのやて。
その時は 家庭劇のこともあったし断ったんやけど今の状況やったら それも悪ない思て。あかん!
家庭劇を勝手に辞めることは許さん。
けど もう今の道頓堀で芝居すんのは無理やて一平さん 自分で言いはりましたやん。うちも反対だす。
せっかく一緒にいてられんのに何で自分から進んで満州なんか行かなあきまへんのや。
慰問団入ったら 芝居で兵隊さんら励ますことができる上に結構ええお給金が貰えるんやて。そのお金 向こうから送るさかい。
(一福)僕たちが来てしもたから…。
そやないで。
一福君と みつえさんがここに いててくれるさかい行く決心ができてん。
芝居のネタになるかと思って記録してるもんや。
東京 名古屋 神戸 大阪…。
今年に入ってから本土が 次々 大きな空襲に遭うてる。
大阪の空襲警報も相変わらず ひっきりなしや。
大陸や南方の戦況もええように書かれてるけどな…。
それやったら 本土にこんだけ敵機が来んのは けったいやろ。
この戦争 多分 日本は負ける。
そないなことになったら 満州かてどないなことになるか分かれへんのやで。
せやさかい 行ったらあかん。


via Twishort Web App

Made by @trknov