新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、福井県が感染リスクが高い行動を控えるよう県民に求めている中、福井県中山間農業・畜産課が飲食を伴う送別会を職員29人で開いていたことを受け、杉本達治知事は3月30日の会見で「自覚が足りなかった。誠に遺憾だと思っている」と述べた。一方、処分は行っていないことを明らかにした。
県は独自の感染拡大注意報や警報を発令している期間、同居家族以外の会食は4人以下にするよう県民に求めていた。注意報が解除された2月28日以降は、5人以上はテーブルを分け、テーブル間を移動しないよう要請。職員には3月1日付の通知で、歓送迎会は少人数・短時間で行うよう促していた。
中山間農業・畜産課の送別会は3月26日夜、福井市の料亭で3時間にわたり開かれた。杉本知事は「6人でテーブルを分け、2時間を超えていた。会の終わりの方では、マスクなしで酒をついで歩くようなこともあった」とし、県職員としての自覚不足に言及。歓送迎会などは原則4人以下で行うことを職員に指導するよう所属長に通知したと述べた。
送別会のあり方について知事は「3月1日に出した通知に沿っていない」としながらも、関係職員の処分は行っていないと説明。「県職員としていろんな指摘を受けることがないよう徹底していくことだと思っている」とした。
福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)には「コロナ対策で医療、介護現場は大変な状態。高齢者施設でクラスターが発生したと分かった直後に宴会とはモラルや秩序がない。誰一人として、この時期にやってはいけないと言わなかったのか。怒りを覚える」(50代介護士)といった声が寄せられた。
送別会の後、課長が酒気帯び運転の疑いで逮捕、送検され捜査が続いている。