WHO事務局長、コロナ起源調査に不満-研究所流出説の追加調査示唆
Thomas Mulier、Corinne Gretler-
十分に広範な分析が行われたとは思えず、追加調査団派遣の用意
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日米などWHOの起源調査に懸念表明、アクセスと透明性の必要訴え
世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長は、コウモリから別の動物を介して人へと感染した公算が大きいと結論付けた新型コロナウイルスの起源に関するWHOと中国の共同調査について、結論に至る前に研究所から流出した可能性を十分に分析していないと指摘した。
テドロス氏は30日、WHO加盟国に対するブリーフィングで、たとえ科学者で構成する国際チームが研究所を起源とする仮説は極めて可能性が低いと結論付けたとしても、さらなる調査が必要だと主張。十分に広範囲にわたる分析が行われたとは思えないとし、専門家を含む追加調査団を派遣する用意があると語った。
コウモリから別の動物介し感染、研究所流出ほぼない-コロナ起源調査
テドロス氏はこれまで、あらゆる可能性が検討の対象で、WHOはいかなる仮説も否定することはないと述べてきた。それでも、研究所流出の可能性を公に口に出したのは今回が初めて。トランプ政権は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の初期、中国に頭が上がらないとして同氏を批判していた。
新型コロナの起源を巡る報告書は30日に公表された。新型コロナウイルス感染症(COVID19)の患者が2019年末に初めて確認された中国・武漢での4週間にわたる調査とその後のインタビューで調査参加者が述べていた見解を確認する内容だった。
この報告書に対し、日本と米国、オーストラリア、カナダ、イスラエル、韓国に加え、英国やデンマークなど欧州8カ国は「新型コロナのパンデミック起源について、干渉や不当な影響を排した透明かつ独立した分析と評価を支持する」とした共同声明を発表。「関連のある全ての人と動物、環境データ、調査、感染拡大初期に関与した職員に完全なアクセスを独立した専門家が得ることが極めて重要だ」と訴えた。
原題:
WHO Chief Faults Covid Report, Urges Study of Possible Lab Leak(抜粋)
WHO Needs Access, Transparency to Probe Outbreaks, Nations Say(抜粋)