兵庫県宝塚市長選が4日、告示される。兵庫でさらなる勢力の伸長を目指す日本維新の会は、同県知事選(7月1日告示、同18日投開票)の前哨戦と位置付け、8年ぶりに公認候補を立てて総力戦で臨む。県内では初となる党公認の首長選当選者を誕生させ、知事選への弾みとしたい考えだ。(三島大一郎、山岸洋介)
「維新の候補が阪神間の首長になれる可能性は高い。勝てば、知事選でも主導権を取って戦える」
3日午後。宝塚市長選に立候補する新人の県議、門隆志氏(54)の支援で、同市に駆け付けた日本維新の馬場伸幸幹事長は報道陣の取材に狙いを語った。
維新の県組織・兵庫維新の会は同市長選を「大阪も引っ張り込んだ総力戦」とする。新型コロナウイルス対策のため、党副代表の吉村洋文大阪府知事(45)の宝塚への来援は見送られたが、4日の告示後は党幹部らが続々と入るという。
維新が同市長選に挑戦するのは2013年以来。前回は伊丹市長選とともに大阪府外の首長選で初の公認候補を立てたが、大阪都構想を巡って「尼崎や西宮、神戸まで特別区にしたい」とした幹部発言で失速し、いずれも惨敗。その後の兵庫県知事選は候補の擁立を断念した経験がある。
県内で維新の地方議員は約50人に上る。19年の参院選では現職が選挙区でトップ当選するなど、着実に足場を固めてきたが首長は誕生していない。このため、維新は知事選と神戸市長選がある今年を党勢拡大の好機と捉え、知事選では前大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)を推薦する構えだ。
党幹部は「維新の政策を実現するには、首長を誕生させる必要がある」と強調。県組織の幹部も知事選を見据え「まずは宝塚から切り崩す」と力を込める。
宝塚市長選には門氏のほか、いずれも無所属新人で、弁護士の山崎晴恵氏(51)▽県議の森脇保仁氏(68)=自民推薦▽元自治会役員の末永弥生氏(54)-が立候補を表明している。