朝鮮は覇権国である英国の逆鱗(げきりん)に触れた。朝鮮は大国に振り回され、地政学的大勢も読み取れず、脅威の本質を忘却した。わずか10年前の巨文島事件の経験から、いかなる教訓も得ることができなかった。域内諸国がロシアの脅威に対処しようとしていたが、朝鮮は正反対の方向へと動いた。巨文島事件当時、英国はロシアの南下を防ぐことに朝鮮が協力するのであれば積極的に支援できることを公式に伝えていたが、朝鮮は宗主国が清であることを挙げ、交渉する権限がないと言った。ロシアの脅威に対応する連帯に賛同していたら、少なくとも日本の植民地に転落することはなかったのではないだろうか? 逆に日本は、国際力学関係と地政学的大勢を見つつロシアの脅威を把握し、徹底して英国側に付いた。英日の同盟は、日本にとって日露戦争の勝利と朝鮮を植民地として得る絶好の機会となった。
歴史は繰り返す。中国がロシアに代わる大陸の新興大国として登場し、覇権の挑戦状を突き付けている。中国は米国の包囲網を破り、太平洋に進出しようと考えている。中国は入念に、韓国を中国の一部にする作業を進めている。高句麗を筆頭に韓半島諸国を中国の地方政権と見なし、韓国史を中国の歴史にすり替え、韓服からキムチに至るまで中国文化としている。外交の儀典においても、韓国を香港やマカオと同じような待遇にしている。かつての伝統的な宗主国と属邦の関係を復元しようとしているのではないか、という思いを抱くほどだ。中国が地域の覇権を持つようになる日、韓国の立場はどうなるのだろうか?