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【写真特集】騙されて子宮を奪われるインドの農民女性たち
SUGAR GIRLS
Photographs by CHLOE SHARROCK
10キロ以上のサトウキビの束を頭に載せて運ぶ17歳の少女。過去に2度の流産を経験し、現在も妊娠5カ月。過酷な肉体労働と妊娠と流産の繰り返しで体調に不調をきたした女性をカモにする医師たちがいる
<かつて医師の稼ぎの中心は中絶手術だったが、避妊が容易になったことで子宮摘出が新たな儲けの手段になっている>
2019年4月、インドのマハラシュトラ州のサトウキビ農園で働く数千人の女性たちが不必要な子宮摘出術を受けさせられている事実が発覚し、スキャンダルとなった。女性たちが十分な知識を持たないことに付け込み、健康診断などの際に子宮摘出が必要だと信じ込ませていたという。
かつて医師たちの稼ぎの中心は中絶手術だったが、避妊が比較的容易になったことで、子宮摘出が新たな儲けの手段になったようだ。その標的として、農園の女性は最適だった。大規模農園の多くは法規制を無視した違法状態にあり、労働組合や社会・医療保険もない。また過酷な肉体労働で、医師を頼る機会も多かった。
農園の請負業者にとっても、月経を止めて生産性を向上させる子宮摘出は都合がいい。こうした虐待行為は、インド経済の民営化と自由化で、過剰な利益追求が広がるにつれて多く見られるようになった。
同地の貧困問題は深刻で、劣悪な労働環境ながら人々には農園での仕事以外の選択肢がない。また事件後も、政府は具体的な法律や処罰を制定しておらず、金儲けのために女性の体が傷つく状況が改められる見通しは暗い。
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