「水族館の老舗として役割を全うできたことを誇りに思います」
 (志摩マリンランド 里中知之館長)

 三重県の志摩マリンランドが、31日午後6時に閉館しました。

 開業したのは大阪万博に沸いた1970年。51年の歴史に幕を下ろしました。最後の1日は、3000人ほどが訪れました。

 三重県志摩市の賢島に、初めて大阪からの特急電車がやって来たのは1970年。この年、大阪万博にあわせた観光拠点として、近鉄が作ったのが「志摩マリンランド」です。

 開業当初から、人気を集めてきたのがマンボウ。優雅な泳ぎだけでなく、餌を食べる貴重な姿を間近に見ることが出来ました。そして、海女さんが水槽へ入って行う餌やり。開業当初から人気のイベントでした。

 時代を映すユニークな展示もありました。1984年、エリマキトカゲが人気を集めると…海のエリマキトカゲを紹介。ペンギンが水族館を飛び出して、お客さんと一緒に電車の旅をしたこともありました。2001年には、ハゼの研究者でもある上皇陛下がご夫妻で訪問。

 「予定を超えて長い時間ご観覧いただいた。感謝の気持ちでいっぱい」
 (志摩マリンランド 里中知之館長)

 水族館は老朽化などで維持管理が困難になり、閉館が決定。
 「(Q魚たちの今後は?)他の水族館とかそういった施設にもらっていただく」
 (志摩マリンランド 里中知之館長)

 これまで生き物たちを世話してきた飼育スタッフは、閉館前の胸中をこう語ります。
 「これで人生終えてもいいぐらい楽しかった」
 (志摩マリンランド 柴原雄輔さん)

 そして展示室に設けられた大きな壁一面には、来館者から、感謝のメッセージが寄せられていました。

 閉館当日の31日―。新聞の折り込みチラシには、地元の人たちが志摩マリンランドに寄せたメッセージが。

 水族館にも朝から多くの人が詰めかけ、通常よりも30分早くオープンしました。そして、午後4時半過ぎ、開業当初から続く名物イベント「海女の餌やり」も最後の時を迎えました。閉館時間ぎりぎりまで多くの人々がその最後の姿を目に焼き付けます。

 大阪万博の年に生まれ、半世紀にわたって大勢の人たちを楽しませてきた志摩マリンランド。惜しまれながら最後の営業を終えました。

 「51年間ありがとうございました」(志摩マリンランド 里中知之館長)