地球環境基金便り No.50 (2021年3月発行)
結成14年目を迎えるももいろクローバーZのみなさんは、東日本大震災の直後から現在まで、息の長い被災地支援活動を続けています。また最近では自治体と協働で町おこしライブを開催するなど、“アイドル”の枠を超えた独自の活動を展開する「ももクロ」のみなさんに、支援活動を始めたきっかけや思いを伺いました。
百田 夏菜子さん
高城
東日本大震災当時はメンバー全員が学生で、学校に通いながら「ももクロ」の活動をしていました。
佐々木
震災の影響で仕事がキャンセルになるなど混乱していたとき、マネージャーから提案があり、3月後半のイベントで生写真を販売し、その売上金をすべて義援金として寄付したのが支援活動の始まりです。
玉井
被災地が大変なときにイベントやライブをやっていいのか悩みましたが、とにかく今、私たちにできることをやろうと思ったんです。
高城
宮城県女川町のコミュニティFM「女川さいがいFM」で高校生がパーソナリティーをしていると聞き、お願いして出演させていただいたこともあります。同世代の子が町の復興に向けて頑張る姿に大きな刺激を受けましたね。
百田
それ以来、女川町には何度も訪れています。支援活動といっても、いつも何か特別なことをするというわけではなく、小学校を訪問して子どもと遊ぶだけのこともあります。でも町民の方々が「子どもと遊んだり、地元のものを食べて『おいしい』って喜んでくれたりするのがすごくうれしい」って言ってくれて。私たちにもできることがあるんだな、と実感しました。
佐々木
私は今、後輩たちと「浪江女子発組合」というグループを結成して福島県浪江町で活動しています。浪江町は原発事故の影響で今なお大変な状況ですが、町職員のみなさんは元の住民の方々が少しでも帰ってこられるように頑張っています。それを支援するために、月一回、浪江町役場隣の体育館でライブをして、寄付金を募っています。今はコロナ禍で中断していますが、また再開できるのを楽しみにしています!
2019年11月24日に浪江町で開催された「復興なみえ町十日市祭」でのライブの様子
玉井 詩織さん
玉井
熊本地震では被災地と連絡をとりつつ、迷惑にならないタイミングで避難所に炊き出しに伺いました。
佐々木
避難所でガヤガヤすると不快に思う方がいるかも…という不安はありましたが、みなさん本当に温かく受け入れてくださいました。
高城
被災地を訪れるとみなさん必ず「来てくれてありがとう」って言ってくれるんです。それって本当にすごいことですよね。被災して大変な状況のなかで、自分ならちゃんと感謝の言葉を言えるかなって考えると、自信がありません。大変なときでも人に感謝できること、支え合えることは本当にすてきですし、毎回私たちもパワーをもらえます。
佐々木 彩夏さん
玉井
大変な状況にいる人たちが少しでも元気に、少しでも笑顔になれるように、これからもお邪魔にならない範囲で力になりたいです。
百田
昨年はコロナと闘う医療従事者支援のために、日本医師会にお願いして寄付窓口を設置していただきましたが、そのときファンをはじめ多くの人から「寄付先をつくってくれてありがとう」という声をもらいました。何かしたいと思っていた人がたくさんいたんですね。私たちの力はそんなに大きくなくても、みんなで協力すればできることはいっぱいあります。こういう時代だからこそ、助け合うことが大切だなって改めて感じました。
高城 れにさん
玉井
毎年春に「ももクロ春の一大事」と題したライブを開催しています。これは地方自治体と協働で「町おこし」を目指すライブで、これまで埼玉県富士見市、滋賀県東近江市、富山県黒部市で開催してきて、次は福島県の楢葉・広野・浪江三町合同大会を予定しています。
高城
毎回3万~4万人がライブに来てくれますが、実はその後も旅行でその市を再訪する方が多いそうです。開催市の認知度向上や地域活性化への貢献が評価されて、観光庁長官から感謝状をいただきました。
玉井
何度も訪れて、最終的に移住した方がいるって聞きました(笑)。
百田
開催市の市長さん同士も仲良くなっているらしいです(笑)。
佐々木
私たちのライブをきっかけに、新しいつながりが生まれているのを聞くと本当にうれしいですね。最終的に47都道府県すべてが笑顔のバトンでつながって、みんなで盛り上がっていければいいと思います!
百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの4人によるガールズユニット。2008年春結成。ストリートライブを出発点に活動を開始し、10年「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューすると、オリコンデイリーチャート1位を獲得。11年メンバーの脱退を機にグループ名を「ももいろクローバーZ」へ改名。11年に史上最年少で単独西武ドーム公演、14年に女性グループ初&史上最速結成6年で国立競技場ワンマンライブ開催。16年には初の5大ドームツアーで25万人を動員するなど、数々の記録を打ち立てている。
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