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実家暮らしの「低価値男」は切り捨てよ!アメリカ女性の恋愛工学”FDS”は日本でも広がるか

 

 

 

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女性蔑視に対抗せよ 

 

 

 米・掲示板サイト「Reddit」内のコミュニティ、r/FemaleDatingStrategy(女性交際戦略)は、昨今その規模を急速に拡大させている。現在14万人のユーザーが参加しているFDSの主張は男女双方に賛否両論を引き起こした。FDSとはいったいどのような集団なのか。

 

 

 FDSコミュニティ設立者は、その目的として男性社会の女性蔑視に屈さず、抑圧的家父長制社会で成功するために女性の自尊心を高めることを挙げる。

さらに具体的には、女性差別的なピックアップ・アーティスト*等のナンパ師集団に対抗して、そのような女性を搾取する様々なテクニックを回避する戦略に基づき、自分の価値を高めて”レベルアップ”し、”クイーン”となり、High Value Man(高価値男)と交際することだ。

 

 

 

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ジュリアン・ブランク、スイスのピックアップ・アーティスト。「東京じゃ白人はヤリ放題」などの発言が日本でも物議を醸した

 

 

 

 

 

高価値男は誠実で忠実、そして巨チン力を持つ

 

 

 HVM、高価値男とはどのような存在なのか。日本で類似する概念としては”ハイスペ男子”が挙げられるが、スペックや肩書以外の要素も重要視される。ここで主な要素を列挙しよう

 

 

・女性に尊敬の念を持ち、誠実で忠実

・自信があり、一貫性があり、信頼できる

・デートや交際費を支払い自分が提供できる資源を女性に示す

・パートナーの幸せや性的快楽を大切にし、頼まなくても定期的に口説いてくる

・安定して余裕のある収入を持つ

・パートナーに家事をさせてメイド扱いなどせず、負担をなくすために喜んで家政婦を雇う

・自分がパートナーとして選ばれたことを喜ぶ

・気配りができ、責任感のある面倒見の良い父親

・女性に一夫一婦制を強要することはなく、彼の申し出が良い案件であると女性が確信するまで待つ。(高価値男は競争が大好きで、女性は約束が成立するまで複数の求婚者を受け入れることができることを理解している。デートの初期段階で彼女が自分に興味を示さなかったことに腹を立てるのではなく、自分がなぜベストなのかを彼女に示す絶好のチャンスだと喜ぶ)

・Big Dick Energy(巨チン力)を持つ

 

 

 BDE、巨チン力とは忘れられないセックス体験を提供する男性から発せられるオーラのことである。BDEを持つ男は、男らしく自信に満ち溢れ、自立した強い女性との付き合いにも慣れており、不安や弱々しさなどは見せない。リスクを恐れず、力強いリーダーシップ、優しさ、社交性、ユーモア、観察力と直感力などに優れており、ボディランゲージをよく読むことができる。

 

 

EDの粗チン男で時間をムダにするコックホルム症候群になるな

 

 

一方、Low Value Man(低価値男)はさっさと切り捨てることが推奨される。LVMは女性にとって付き合っているだけで自分はこのような男が妥当なのだと自尊心を下げさせる有害な存在である。低価値男の特徴を列挙しよう。

 

 

・お金も野心もエスコートマナーもない

・実家暮らし

・週に15時間以上ゲームをする惨めな現実逃避依存症者

・EQ(感情知能指数)が低い

Redditを利用している

・割り勘にする

・ポルノで女性を性的消費することで脳の灰白質が縮小した左曲がりチンコ野郎

・母親と仲が良すぎる

Netflix and chillのような低コストのデートをする

フェミニズムや女性の権利のために戦わない

・ディナーデートではなくコーヒーに誘う、ママにお尻を吹いてもらってそうな社交性のないナード(オタク)

性風俗を利用したことがある

・努力をしないナマケモノ

・パートナーより収入が低く、あるいは低くなる可能性があり、パートナーの足を引っ張る存在

・Small Dick Energy(粗チン力)を持つ

 

 

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 SDE、粗チン力とは低価値男から発せられるオーラであり、彼が並以下の性的経験しかできないことを示し、自信がなく不安で弱々しい。怠け者で、真面目すぎてユーモアのセンスがなく、未熟で子供っぽく、権利を主張する。

 

 

 また、このような低価値男に対して自尊心の低さから妥協して交際関係を持ち、他の女性全体の価値までも下げる女のことはPick meishaと呼ばれる。

実際の用例で説明すると、勃起不全の彼氏をどうやって助けるかを尋ねる女性のスクリーンショットに、FDSで「EDの粗チン男で時間を無駄にするPickmeisha」とコメントされたような形で使われる。

 Pickmeishaは攻撃の対象とされ、彼氏が低価値男だと指摘されても否定し擁護するものは「コックホルム症候群」に陥っているとされる。

 

 女性はPickmeishaのような惨めな存在から「レベルアップ」して「クイーン」になることを目指し、FDSに基づいてエンパワーメント*し、ひとりで自立して幸せに生きられるようキャリアを築き、Scrotes(チンカス野郎、ほとんどの男)で妥協せず、複数の男性と交際しながら高価値男かどうか検証していく。

 

 

エンパワーメント(empowerment)|日本女性学習財団|キーワード・用語解説

差別や搾取、抑圧等で力を奪われた人々が、自らの力を取り戻し、よりよい社会を築くために変革の主体となる力をつけること。「権利や権限を与えること 」という意味の法律用語がアメリカの公民権運動やフェミニズム運動の中で使われ始めた

 

 

女性はクイーンであれ

 

 

 これまで度々出てきたクイーンという単語の意味について説明する。FDSにおいてクイーンとは誇り高く自立し、自分の可能性を卑下することなく、努力を惜しまない。クイーンにとって男とはケーキの上のアイシングにすぎず、より充実するためのオプションでしかない。

 

 

・クイーンは自分の価値を知っている

クイーンは、自分が人生で最高のものを手に入れる価値があることを、心の底から知っている。彼女の自信は揺るがない。挫折や失敗を経験しても、彼女は立ち直るだけでなく、その経験から成長し、さらに良く、さらに能力を高めることができると心から信じている。

 

・クイーンは自分の可能性を自覚し、それを実現する。

クイーンは、自分の能力を深く理解し、人生のあらゆる分野で自分の可能性を最大限に発揮しようとする。自分自身の成長を大切にし、夢を実現するために努力を惜しまない。様々な分野で成功を収めている彼女は、自分の成功を喜びながらも、その栄光に長く留まることはない。自分の欠点を理解し、常に自分を高めようとする。

 

・クイーンはバカにされない

クイーンは、価値のない人の意見を気にすることはない。あなたを見下したり、あなたの価値を認めない人に時間やエネルギーを費やさない。

 

・クイーンは、人を額面通りに評価し、セカンドチャンスを与えない。

クイーンは、人を可能性で測るのではなく、今ここでどのように振る舞い、行動するかで測る。美しい夢を抱いていても、それを実現するための十分なステップを踏んでいない人はふさわしくない。また、クイーンは求婚者が良い方向に変わるのを切実に待つこともしない。

 

・クイーンは対等な相手としか付き合わない

クイーンは、農民や王子とは付き合わず、正式なキングとのみ付き合う。クイーンは自分の権力を使ってその人をキングにしてあげるようなことはしない。彼女はキングメーカーではない。さらに、クイーンは、立派なキングが自分のそばにやってくるまで、ひとりであっても満足して自分の領土を統治する。

 

・クイーンは、自分を卑下しない

自分の基準を下げることはなく、他の人の好意を得るために自分の信念を妥協することもない。女王にそのようなことをする必要はない。

 

 

 

この男の遺伝子を存続させるチャンスという、私たちの神聖なものを提供する価値はあるか?

 

 

 FDSの一見攻撃的な主張から「男性嫌悪である」という批判もあるが、FDSはそれを否定する。FDSが嫌っているのは男性そのものではなく「低価値なもの」である。

そして、今までの男たちは男性優位社会によって自らの価値を上げるよう努力することから免れてきた故、低価値男が圧倒的に多い。このような男の遺伝子を次世代に存続させるために、女性の神聖な権利を犠牲にする必要はない。

 

 

 価値の高い男はたくさんたくさんいる。価値の低い男はもっとたくさんいる。なぜか?明らかに、高価値であることは難しく、男は社会における相対的な地位を維持するために努力する必要はないと、何百年、何千年にもわたって言われてきた(つまり社会化されてきた)からだ。

ジャンクフードを食べるのは、健康的な料理を作るよりも簡単だから、多くの人はジャンクフードを食べるだろう。

売店で働くことは、上級学位を取得するよりも簡単だから、ほとんどの人は刺激のない仕事をすることになる。

ネガティブな感情や記憶を管理するために酒や薬を飲むことは、セラピーを受けるよりも簡単なので、ほとんどの人は自分の感覚を麻痺させてしまう。

ほとんどの男は、教育、雇用、自由、政治的空間へのアクセス権を持っていたため、貧しい行動の社会的影響を回避し、どこから見ても仕事をしていないにもかかわらず、妻を見つけ、家族を持つことができた。

 

 「男=悪」ではない。問題は「価値が低い=悪い」であり、性別は関係ないのだ。

私たちは、自分の人生や身の回りにいる男女に、質の高い人格を期待すべきだ。あなたという存在は、あなたと最も長い時間を一緒に過ごす5人を合わせたものであると私は考える。

そして私は、性別に関係なく、自分を高めてくれる人、自分に期待してくれる人のそばにいたいと思っている。

FDS Discordでは、仕事に励み、キャリアを向上させ、心と体の健康を優先し、コミュニティに貢献するよう、常にお互いを後押ししている。私たちは、質の高い人を惹きつけるために、質の高い人になることを目指している。

 

 この男の遺伝子は、私の遺伝子と一緒に繁殖するに値するか?

 

私に敬意を払わない男との間に、私の子孫が生き延びる可能性は高いだろうか?

この男は妊娠する価値があるのか?

彼は、私の遺伝子に人生の最高の機会を与えるだけの資源を持っているか?

 

決して自分の境界線を放棄してはならない。

忘れてはいけないのは、あなたは彼らに深く神聖なものを提供しているということ、つまり彼らの遺伝子が社会で存続する機会を提供しているということだ。深く注意して彼らを吟味せよ。性格の良い男は、あなたが心身ともに健康であるために不可欠だ。誤った選択をすると、あなたは絶望の人生を歩むことになる。

 

 

 

男が自分の価値を証明するまで3ヶ月はヤラせるな

 

 

 男があなたに本気で惚れ込んでいる場合、3ヶ月間あなたが望む尊敬と楽しい時間を提供できるか、あなたにどの程度資源を提供をするか検証し証明されるまではセックスをしてはならないとFDSは主張する。

男の役割は追いかけることであり、自分がいかにあなたにふさわしい男であるかを証明する必要がある。あなたが自分の価値を証明する必要はない。あなたができることは、最高の自分であるために価値を高めることだけだ。

 そして、クイーンのような価値の高い女性は、男を中心にして人生を送らない。自分自身のキャリアと趣味を持ち、精神的に満たされた素晴らしい生活を送っている。そのような生活にわざわざ男を迎え入れるとするならば、もちろん彼は素晴らしい人でなければならない。

 

 

 

ポルノ、SM、ワンナイトラブ、性風俗は女性を抑圧し、劣化させる

 

 

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アンドレア・ドウォーキン、1970年代反ポルノグラフィ運動の中心的人物

 

 FDSは合意のもとでのSMプレイや、ポルノ、カジュアルセックス、セックスワーク、ポリアモリーに反対し、これらは女性が自発的に興味を持つのではなく、男性の利益のために要求されるものであり、女性をモノのように扱ってよいという考えを広め、女性を劣化させるとする。

そのため、FDSではSM好きだと投稿した女性は追放され、女性が彼氏にプロポーズするといった行為は嘲笑される。またトランスジェンダー女性は、生物学的女性でなく染色体XYの存在であるとして追放される。

 このような性への保守的なイデオロギーやトランス排除の姿勢は、リベラルフェミニストの間から批判を受けている。FDSが女性の身体や性的選択に対する自律性を否定し、自分たちの抑圧的な道徳規範に沿わない女性をPickmeishaとして攻撃する行為は女性蔑視的であるとして非難される。

 性革命に対する反動と対立は、1970年代の「フェミニスト・セックス戦争」にまで遡ることができるが、現代ではマッチングアプリなどの存在や、ポリアモリー、オープン・リレーションシップ*の常態化によりますます深刻化していると言える。

 

 


 

オープン・リレーションシップとは - Weblio辞書 

 結婚に準じるような人間関係において、一緒に生活することを求めながら、一夫一婦制(モノガミー)の形態をとらないノン・モノガミー (non-monogamy) の関係をとることに合意している状態[1]。日本語では「開かれた関係」などと訳されることもある。このような関係において、当事者は互いに、相手が他の人物と恋愛関係なり親密な(性的)関係をもつことを受け入れ、容認、許容することがあらかじめ合意されている。

 

 

自然の法則:マンコに価値があり、チンコに価値はない

 

 

                

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A.J.ベイトマン、イギリスの遺伝学者

 

 FDSは男女の性差について本質主義的な考えを持ち、社会構築主義的な考えを否定する。ほとんどの霊長類の種では、メスは日和見主義で、追加の資源の提供や、長期的関係にある配偶者のものより良い遺伝子を確保するために多くのオスと交尾し、意図的に父性を混乱させるなどのことから、生物学的に女性は一夫一妻制を好むようにはできていないとする。家父長制社会はこうした女性の自然な欲求を抑圧し、強制的に価値の低い男性とつがわせてきたのだ。

 

 また男女の配偶者選択の姿勢において、男性は生殖コストの違いから積極的に短期的な交配を行う遺伝子のバラマキ戦略を取ったものがより多く子孫を残し、女性は資源を提供できる能力を持つ個体や、より良い遺伝子を持つ個体を選り好みする「門番」の立場を取ったものが、繁殖率や生存率を最大化でき、その形質をより確実に後世に残しただろう。

逆に、短期的な交配を好まず消極的だった男性や、選り好みせず「門番」の立場を取らなかった女性はその形質を残せない。この性淘汰により、男女の性的欲求には違いが生まれる。

 

 

ベイトマンの原理 - Wikipedia

通常、メスは子孫を作るのにオスより多くの投資を行う。メスは多くのオスとつがいになっても、自分で生産できる以上の子を持つことはできない。一方、オス一個体は容易に多くのメスの卵を受精させることができる。オスはメス一個体よりも遥かに多くの子の父親となれる可能性を持っている。概して、オスの繁殖成功度は、多くのメスとつがいになればなるほど増大する。メスの繁殖成功度はより多くのオスとつがいになっても増大しない。この結果、オスはメスを争って互いに競争し、メスはどのオスとつがいになるか慎重に選好する。これが性淘汰の原因である。

 

 

そのような自然の法則を無視して、現代の男女平等やセックスポジティブという誤った風潮に従うことは、概して短期的な交配を好む男性を利するだけであり、女性にとって勇気や力強さなどではなくリスクとデメリットしかもたらさない。

よって、女性は性的市場の構造から生じるプッシーのパワーを自分たちのために最大限利用する戦略を取るべきだと主張する。

 

 

 

 

 FDSが主流のフェミニストメディアから受ける最も頻繁な批判の一つは、私たちが「セックスに否定的」であるとか、女性のセクシュアリティをスラット・シェイムして取り締まろうとしているというものだ。主な理由は、私たちが一夜限りの関係を持つことに疑問を持ち、BDSM関係における不健全な力学やリスクを指摘しているからだ。

女性は男性のようにオーガズムに達することができない。女性にとってのセックスの報酬は、通常、男性よりもずっと低いものだ。男性はセックスのほとんどの回数でオーガズムを感じるが、ストレートの女性の場合はそうではなく、技術の不足やパートナーのケア不足から、どんなセックスでもオーガズムが保証されない。

男性との性交渉には高いリスクと限られたリターンが伴うからだ。FDSはその点を指摘しているだけなのだが、「女性は門番であるべきではない!」「女性も男性と同じようにムラムラしている!」と念を押すフェミニストたちからは、継続的に反発を受けているようだ。しかし、どうやって男性に何のコストもかからない門番をさせるのか?多くの男性が生のセックスを断る先見性と欲求を持つことを待つのは、夢物語だ。彼らは私たちよりも失うものが少ないし、気にもしていない。

そして、彼らと同じようにムラムラするかというと、そんなことはない。男性のセクシュアリティは私たちのものとは素晴らしくもあり、また完全に恐ろしいものでもある。男性のセクシュアリティは、パーティーで唐辛子スプレーを持ち歩いたり、飲み物にカバーをかけたりする理由だ。だから、性的倒錯のオリンピックで彼らと競争できるなんて冗談はやめなさい。

 

リベラル・フェミニストは、もし彼らが「これらの社会的構造を破壊」すれば、何とか自然の基本的な法則を覆すことができると考えている。それは、プッシーには価値があり、ペニスには価値がなく、男性の方が本質的に性的追求のモチベーションが高いというものだ。

問題は、彼らが600万年の進化に直面していることだ。社会的に構築されたものもあれば、性的二型と性的生殖役割の競合による自然な結果であり、私たちには変える力がないものもある。この本質的な違いは、不平等なパワー・ダイナミクスと不平等な結果を生み出す。

 

生殖の役割は男女間で平等に分担されていなかったので、女性は門番の立場になる。これは、リベラルフェミニストは反対するが、FDSは必然的なものとして受け入れる。 彼らはFDSを批判しているが、女性のセクシュアリティに関する彼らの世界観を実際に男性に受け入れさせるための具体的な計画はまだ聞いていない。

 

リベラルフェミニストは口先だけの希望的観測だが、FDSは行動に移すことを目的としている。性行為はフェアではないから、それに従って行動する。

リベラル・フェミニストは、そろそろ大人になって現実を直視するべきだ。リプロダクティブな役割を「言い逃れ」して、存在しないふりをすることはできない。それを受け入れて、自分の利益になるように活用する方が有利だ。もし男が性的市場で少しでもパワーを持っていたとしたら、彼らはその可能性を最大限に利用するだろう、なぜ私たちはそうしてはいけないのか?

 

 

 

 

「元カレの方が背高い」で男の自信を打ち砕き、操ろう

 

 

 ナンパ師コミュニティに対抗して作られたFDSはその経緯故に、ミームスラング、生物学的決定論、異性を非人間化し、デートをある種のゲームのように扱う姿勢など共通する点が多い。ナンパ師にとって賞品はセックスをすることだが、FDSにとっての賞品は高価値男である。

 

 テクニックについても両者は相互に作用しあう関係にある。ナンパ師は「君の目はきれいだね、カラコン?」「君は僕のタイプじゃないけど、他の男が君に夢中になるのは分かるよ」といった裏返しの褒め言葉を言う。これは”ネグ”と呼ばれるテクニックであり、女性の自信や尊厳を打ち砕き、自信の魅力や価値を低く感じさせて、操作できるようにすることを目的とする。

 

このような戦術への対抗として、FDSでは「いつもは背の低い男とはデートしないんだけど、あなたの場合は考えている」などと言うことが推奨されている。

「男の身長」は常に失敗しない良いターゲットであり、男は自分の身長にとても自信がない。身長について言及すれば、彼らの自信は一気に失われ、彼は自分の身長にもかかわらず、自分にはまだ他に何らかの価値があることをあなたに証明しようとする。

もし彼の背が高いならば、褒めつつ元カレの方が背が高かったと言うことで、比較的背が高いことから得られていたかもしれない自信を何層にもわたって打ち砕くことができるだろう。

 

「男にネガキャンは効かない」と言う男の意見には耳を貸さないように。それは女性を騙すために作られた嘘で、男の操る戦術がうまくいく可能性を高めるためのものだ。

多くの男は頭が悪く、とても簡単に操ることができる。

彼らは自分の自信にとても依存していて、自分が思っているほど優秀ではないかもしれないという示唆があると、最終的にはあなたに自分を認めてもらおうとし始める。あなたが間違っていることを証明しようとする試みのようなものだ。これを利用しよう。

あなたの一見無感動な態度が彼を引きつけ、自信に満ち溢れていたこのホットな男は、あなたの手の中にすっぽりと収まってしまう。

 

 

 

チンコのメリーゴーランドに乗りながら壁にぶつかって独りで死ね

 

 

FDSはその主張によって様々な立場から批判を受けている。

反資本主義者はFDSが階級主義やエリート主義を支持し、経済的に苦しい男(低価値男)を辱めていることを問題視する。FDSはこのような経済的下層階級を生み出すシステムそのものを改革したり、終わらせたりする気がなく、女性に「レベルアップ」を目指すように主張するが、それは資本主義の歯車になることへの推奨とされる。

 

リベラルは、FDSの性に対する保守的な要素に反対する。男女の合意に基づく私的な性行動を取り締まりたいという権威主義的な願望や、ポルノやセックスワークへの攻撃、カジュアルセックスや男女平等的な関係を持つ女性(Pickmesha)を侮辱することを非難する。

 

伝統的保守派は、性の解放への批判や伝統的な男女の役割への回帰という点でFDSと一致する。しかし、FDSが男には伝統的性役割に従うことを要求する一方で、女は伝統的性役割に従わないことを批判する。FDSの女性たちは自分たちを強い自立したフェミニストの女性であるとするが、実際は騎士道精神にあふれた騎士に助けてもらいたがる無力な女であると揶揄される。

 

レッドピルの男性は、FDSユーザーなんかに3ヶ月セックスをせずに貢いで長期的関係を築くメリットがないと指摘する。非常に高い基準を満たすような高価値男は多くの魅力的な若い女性にアプローチできるため、FDSの戦略に従うような者はマッチングアプリでチンコのメリーゴーランドに乗りながら年齢の「壁」にぶつかって独りで死ねとあざ笑う。

 

 

ヒトはその果てに何を見つけるのか

 

 

 『The Invention of Dating』の著者であるMoira weigel氏は、恋愛の市場化は19世紀後半に始まったと主張する。それまでの生活環境では、故郷に自分と同年齢の異性は5人程度しかおらず、交際は家庭や教会といった非商業的空間で衆人に監督されていた。

しかし、当時アメリカで爆発的に進展していた都市化により、毎日何百人もの人を目にすることになり、交際はバーや映画館、ダンスホールといった商業空間で個人的に行われるようになった。このような数多くのパートナー候補がいる環境では、人は市場原理に基づいて需要と供給、確率やオッズの観点から考えるようになる可能性が高い。

さらにマッチングアプリを用いて、オンラインショッピングをするかのようにパートナー候補をフィルタリングし、何千人もの人をスワイプしていくことで、まるでヒトが交換可能な商品であるように見えてくる。

 パリ社会科学高等研究院のEva Illouz氏は、20世紀半ばの「性の革命」によって、恋愛に関する多くの伝統やタブーが解消されたとき完全に恋愛が市場化されたと考える。それまで、誰が誰と付き合えるか、付き合うべきかは家族が決めていたが、今では交際に関するコストやメリットに基づき、自分で判断し選択するようになった。

 現代人は近世のダンスパーティーよりも数多くの選択肢が当てられ、恋愛市場がかつてないほど可視化されたが、それは相手や自分自身に「客観的」な価値が存在するという考えを促し、Sexual Market Value(性的市場価値)なる単語まで生みだした。

 

 

 デートアプリ「Hinge」の「いいね!」を所得としてカウントし、国内の所得格差を示す指標であるジニ係数を用いた実験によると、男性のジニ係数は女性よりもはるかに高い(つまり悪い)結果となった。「女性のマッチング市場」のジニ係数は西ヨーロッパ諸国と同程度だったが、「男性のマッチング市場」のジニ係数南アフリカと同程度だった。

また、デートアプリ「OkCupid」のデータ分析では、女性が男性を「中程度より見た目が悪い」と評価する割合が80%であることが示された。

 

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 このような恋愛市場の環境変化に適応するが如く、ピックアップ・アーティストのような異性を非人間化する戦略が生まれ、それに対抗して女性はFDSという戦略を用い始めた。両者は交際をゲームとして捉え、新たな戦略が生まれればそれに応じたメタ戦略を作り出し、互いに共鳴し合う。

 

 男女を縛り付けていた邪魔くさい宗教的・家父長的規範から解放され、ヒトは本能をむき出しにして恋愛新自由主義の競争に身を投じる。その果てに何を見つけるだろうか。

 

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