陽気さと、不気味さを
持ち合わせた秀吉の衣装とは?
行商人から織田家の重臣へ。藤吉郎から羽柴秀吉へ。下克上の世で大出世していった男。そこには、さまざまな形態の龍が寄り添っています。
テーマカラーは「白」、全体的には大陸的アジアンというイメージです。そしてもうひとつの特徴が“龍”です。龍には出世魚のように成長し、最後は昇天する龍になるという言い伝えがあります。それは、農民から大出世していく秀吉にピッタリだと考えました。
行商人時代の藤吉郎の衣装には、龍の中でも最下位のものを文様として使い、そこから、木下藤吉郎、羽柴秀吉と出世していくにつれ龍の形態も成長していきます。秀吉の陣羽織の背中には龍の最終形態である、雲の間を昇天する龍になっています。
今作の監督がイメージされている「五行相剋」を元にしたキャラクターの色分けでは、光秀のテーマカラー「青」を倒す色が「白」であることから、秀吉のテーマカラーは「白」。そして、サブカラーを「紫」にすることで成り上がりたい嫌らしさを表現しています。
しかし、このころの藤吉郎はまだ農民出身で行商をしているので、「白」の汚し具合はとても難しく、汚いけど、汚くなりすぎないように気をつけました。
小袖の小さな龍は「雨龍」といって成長する龍の最下位の龍ですが、「雨乞いの象徴」ともいわれ、雨を恵みとする農民出身の秀吉にはぴったりだと思い、この文様にしました。
信長に仕え、何としても気に入られようとする秀吉なので、小袖には信長の色「黄色」を入れ、昔の木型で白く小さなアジアン文様も入れました。
龍は、雨龍より少し形が龍っぽくなった文様を使っています。
素襖の龍は「飛龍」といって天地の間を飛び交い鳳凰(ほうおう)を産む龍といわれています。
龍の成長は何段階もあるそうですが、名前と形が文献によって違うので、今作では龍が成長しているように見える文様を選び使っています。
テーマカラーの「白」を基調に、サブカラーの「紫」のぼかしが入った織物で胴服を作りました。袴は、小さな龍文様の金襴織物を使っています。
このころの秀吉はかなり出世しているので、いわゆる「龍」に近い形にしました。また柄を大きくし、少し嫌らしい成金的な感じを出しました。
秀吉の出世龍【最終形態】は、陣羽織の背中の「龍」です。雲の間を舞い、天に昇りそうな龍を手描きで描きました。
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