『麒麟がくる』公式ホームページは、3月31日(水)に終了いたします。

美術の世界03
織田家の城
美術デザイン 犬飼伸治 山内浩幹
織田家VS.斎藤家
という構図をより鮮明に。

末盛城、那古野城、清須城など「織田家の城」のセットでまず大切にしたのは、斎藤道三の稲葉山城との対比だ。
テーマカラーも、斎藤家が「黒と赤」なのに対し織田家は「黒と黄色(金)」。それは、セットデザインだけでなく、軍旗や兵が敵味方を区別するためにつける合印(あいじるし)などにも反映されている。

城内の御簾(みす)も、稲葉山城では黒に赤い房だが、織田家の城では黒に黄色。道三が座る畳の縁(へり)は黒に銀糸の刺しゅうだが、信秀のものは黒に金糸で刺しゅうされている。
黄色もしくは金をセット空間内に印象的に使うことで、織田家の城であることを際立たせている。

そっちが海でくるなら、
こっちは空だ!

稲葉山城では道三が座る後ろの壁に荒々しい波が描かれているが、織田家の場合は空を舞う龍だ。
「そっちが“海”なら、こっちは“空”だ!という、地方の戦国武将がお互いに一歩も引かず張り合っている感じを出したいと思いました。また、セットでお互いを対比させることでドラマとしてのわかりやすさも意図しています」(山内)

織田家は、
みんなが羨むお金持ち。

織田家のもう1つの特徴は、お金持ちであること。建具や調度品の金具に金を使ったり、香炉など飾ってあるものにも金製が多い。

「経済的に豊かである織田家の象徴として、随所に金を使っています。そのほかに、障子のデザインも斎藤家とは差をつけています。腰高障子といって、下の部分に腰(板)が付いたものを採用。こちらのほうが高価で、部屋によっては腰の部分に絵が描かれているものもあります。庭には立派な松があり、置いてある石も稲葉山城にあるものより大きなものです。
“金”というわかりやすい“お金持ち感”と、よく見るとお金がかかっているなとわかるものを配置することで、織田家のバックボーンである経済力を表現しました」(犬飼)

全体的には、質実剛健でどっしりとした印象が道三の稲葉山城で、きらびやかで明るく開放的なのが織田家の城だ。

シェアするhelp

※NHKサイトを離れます