» 2021年03月28日 17時00分 公開

コレクターの死後、残されたグッズはどうなる? 「コレクション」が「遺品」になる前に終わらせたい“最後の仕事”とはオタクの老後(1/2 ページ)

大切なコレクションもいつかは「遺品」になります。その前にやっておいた方がよいこととは?

[しげるねとらぼ]

 自分の好きなものを、自分のルールで収集する……。「コレクション」という遊びは、老境においても続けられるオタク趣味のひとつです。長い時間と手間をかけて集まったコレクションには思いいれもひとしお。しかし「もし自分が死んだら、この宝物を一体どうすればいいんだろう……」という疑問も、物が増えがちなこの趣味にはついて回ります。

 今回は、実際に「終活」を考え始めたコレクターの方、そして高齢オタク向けの見積もりサービスを展開する「まんだらけ」にインタビューしました。

「子どもたちが継いでくれれば」 玩具コレクター・Tackさんの場合

 高校生のころから自分の好きなものを集め始め、57歳となった現在でもコレクションの数が増え続けているというTackさんもそんな一人。収集は昭和の歌謡曲やアイドル歌謡のレコードから始まり、昭和50年代のプロレス雑誌やパンフレットも多数所持。さらに戦隊シリーズを中心とした各種のロボット玩具のコレクションも長年続け、もろもろ合わせると品物の量は「全部1カ所に集めたら、6畳間が床から天井まで全部埋まるくらい」になったと話します。


「6畳間が床から天井まで全部埋まるくらい」になったTackさんのコレクション(写真は一部)。ビンテージ物から最新の番組まで幅広い年代の玩具がそろいます

「何を集めたいと決めて始めたわけでもなく、欲しいものを買い続けたらこうなったという感じです。自分の好きなものが増えていくというのは確かに喜びなんですが、ただ、オタク的な要素って自分はあんまり持ってないと思っています。自分程度のコレクターなんかいくらでもいるし、この程度でオタクを名乗ったらオタクに申し訳ないというか」

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 そう話すTackさんにとって、現在の課題はコレクションを置いておく場所の確保。すでに家の押入れや四畳半ほどの広さの貸しロッカー、さらに自宅の外にロッカーも備え付けて実家にもおもちゃなどを置いていますが、スペース的にはほぼ限界に近いといいます。


自宅だけでは収まり切らず、貸倉庫も使って保管

「いい加減片付かなくなってきてるんですよね。自分はお宝のつもりでも家族にとってはそうでもないですから。うちはありがたいことに寛容で、『買ってもいいけど片付けて』と言われるくらいで済んでいます。ただ、家のスペースをとっているのを許してもらっている以上、あんまりやりたい放題はできないですよね」


自宅の収納を占領してしまうことに後ろめたさも

 そんなTackさんは、自身のコレクションについて今後どうするかは特に決めていないと話します。生きている間に全て手放すという考えもなく、自身の死後は自然に2人の子どもに譲渡する形になる見込み。お子さんは成人していますがTackさんと同じようにおもちゃ好きなので、最終的には2人がコレクションを引き継いでくれるのではないかと考えています。

「同じ趣味の人とたくさん交流があるわけでもないですし、同好の士に引き継いでもらうような形は考えていません。ただ、子どもが自分と同じような気質なんですよ。だからこのまま放っておけば、そのまま子どもたちが継いでいく形になると思ってます。捨てたりとか、悪いようにはしないと思うんですよね」

「うちの子はおもちゃがある家を普通の環境として育ったので、自然とそうなったんだと思います。だからもし自分が亡くなってもソフトランディングというか、話し合いでどうにかなるんじゃないかな、という無責任な親の期待がありますね(笑)。今回のインタビューを通じて、あらためて恵まれた環境だなと思ったし、このままのペースでおもちゃ趣味を続けていけるといいなと思っています」


Tackさんと人生を共にしてきたコレクション。中にはお子さんにとっての思い出の品もあるかもしれません

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この連載はねとらぼとYahoo!ニュースの共同連携企画です。90歳の「ゲーマーおばあちゃん」が注目されるなど、昨今、高齢者でもオタク趣味を持っている人は珍しくなくなってきました。いわゆる「オタク第一世代」(1960年代)も60歳を超え、「オタク」と「老後」は今後より身近なテーマになっていくと考えられます。オタク趣味とどのようにして長く付き合っていくべきか、老後の人生を満喫するためのヒントを全4回の連載で伝えます。

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