第4波防ぐには“医療ビッグデータ”第一人者が分析[2021/03/26 23:30]
新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むため、人々の行動に関わるビッグデータを分析する研究が進んでいます。医療ビッグデータの第一人者、慶応義塾大学・宮田裕章教授に話を聞きます。
宮田教授が日本語版の監修を務める『Googleの感染予測』では、スマートフォンの位置情報や、厚生労働省の感染データなどの情報から、AI(人工知能)が予測します。
日ごとの感染者数の推移を示したグラフをみると、東京では今後、感染者が増え、来月20日には感染者の予測数が2133、7日間平均を見ても1700人を超えていく予想になっています。
(Q.このままでは“第4波”が起きてしまうということですか?)
あくまでも予測なので、確定した未来ではなく、我々が変えることができます。ただ、気を付けないと第4波が起きてしまう可能性があるということです。今の東京の感染者数は、ちょうど去年11月中旬くらいの水準です。去年11月〜12月の間に何が起きてきたかを考えると、十分可能性があるので、注意が必要です。
(Q.Googleの感染予測には、変異ウイルスの動向は加味されていますか?)
日本では、まだ変異ウイルスの状況把握が十分ではないので、そもそも正確な情報がありません。この予測では、そういった変異ウイルスに置き換わった時に、感染力が強くなるというのをAIが学習することができます。ただ、少しタイムラグがあるので、予測以上に感染が伸びている時は、変異ウイルスに置き換わっている可能性があることを、気を付けて見ていく必要があると思います。
(Q.感染拡大を抑えるため、それぞれの場所で人出がどう変化しているかを示すデータに注目しているということですが、このデータはどうやって見れば良いですか?)
この基準値は、去年1〜2月の人出のデータを根拠にしています。コロナに置ける自粛が全く存在しなかった頃です。全体的に低くて当たり前なのですが、一番重要なのは「小売・娯楽」のデータです。これはレストランなどの飲食店を含む部分です。東京のグラフの推移を見ると、ここ1週間で底が上がっています。これは全国的な傾向です。感染拡大に小売り・娯楽の移動が一番直結してくるので、こういった所での活動量が上がっていった時に対策を十分に打っていかないと、また同じことが起きてしまうということです。
(Q.“第4波”が起きるという予測は変えられますか?)
この予測はあくまでも変えるためのものです。こうしたデータを多角的に使っていって、未来を変えるために、我々がいかに努力できるか。そのために政府だけではなく、我々も努力を積み重ねていけるかということだと考えています。
(Q.宮田教授ら慶応大学のチームが実施したアンケートでは、ワクチンを「接種する」と答えた人は全体で56%、「わからない」は33%でした。年代別で見ると、若い世代の方が「わからない」の割合が高くなっていますが、この結果をどう見ていますか?)
「接種したい」という人が半数を超えていることは、1つ好ましいことだと思います。「分からない」という人たちが、ワクチンに対するリスクだったり、情報がないということなので、今後、特にこの若い世代や情報に不安を感じる人たちにいかに伝えていくかによって、改善することが可能なのではないかと考えています。
ワクチンに関する不正確な情報が拡散することを『インフォデミック』と呼びます。状況が不確かな時は、適切な考えを持っている人は言葉を置きたがりません。そうすると、玉石混合の「石」ばかりになってしまう。Googleなどの検索エンジンが、どんなに案内しても石しかない状況になってしまうと、人々が誤情報を信じるようになってしまいます。適切な状況が不明な時は「まだ分からない」ということをしっかり置いていく。人々が正しい情報にたどり着くことができるように、協力しながら対策を打っていく。これが、ここから先、必要なことで、我々はそういったプロジェクトも行っています。適切な選択をサポートするためにどのような情報が必要なのかを、データで明らかにしながら、寄り添っていくことも一つの役割だと思っています。