やなせたかしのもう一つのライフワークである雑誌「詩とメルヘン」。
創刊から30年間すべての表紙画を描き、編集も自身で行いました。
鈴木三重吉が創刊した雑誌『赤い鳥』の精神世界を継承しながら、
新しい抒情の世界を創作することに力を注ぎました。
世界的にも珍しい読者からの投稿主体の雑誌で、
同誌からは日本を代表する数々のプロのイラストレーターや詩人を輩出しました。
詩とメルヘン絵本館は、雑誌「詩とメルヘン」の創刊以来、
やなせたかしが手掛けてきた表紙のイラストやカットを一堂に集めたギャラリーです。
やなせたかしの描いた雑誌「詩とメルヘン」の表紙原画や挿絵をはじめ、
詩、漫画など多彩なやなせたかしの世界を紹介しています。
年に2〜3回の企画展では、
「詩とメルヘン」ゆかりの作家や国内外の絵本作家等の原画展を開催します。
詩と絵と漫画が好きだから・・・
やなせたかしの一途な思いから生まれた月刊公募誌「詩とメルヘン」。
「この雑誌から優秀な才能が続々と育っていくのを見るのは
何ものにもかえがたい喜びでした」
1973年の創刊から2003年の休刊にいたるまで、30年間で通算385号。
育っていった人たちは、タンポポの綿毛のように風に乗って
いろんなところへ飛散していって美しい花を咲かせた。
「この本はちょっとふしぎな本です。
非常に個人的な偏見と趣味に偏してつくられています。
すべて読みやすくということが主眼で大きな活字でザックリと組みました。
読者層は十才から九十才ぐらいまでを対象にしました。
本職の詩人もいますが、大部分は全くの無名の人の詩を、ガリ版刷りの同人誌や、
手描きの詩集からひろいあつめました。
この本ははじめからものすごく大量に売れることはないと覚悟して、
わがままに自由につくってありますが、それでもできるだけのぜいたくをしました。
商業主義に毒されたくはありませんが、全く売れなければ一号だけでつぶれます。
一万部売れれば収支トントンで次号がだせます。
さて、どうなりますことか。あなたは買いますか?」
(「詩とメルヘン」創刊号編集前記より)