日本のテレビ番組、防弾少年団の出演を見送り 原爆描いたTシャツ着用で
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防弾少年団は韓国内外で絶大な成功を収めている
日本のテレビ番組「ミュージックステーション」が、大きな人気を持つKポップグループ「防弾少年団(BTS)」について、9日放送予定の同番組への出演を見送りにすると発表した。メンバーの1人が着用していたシャツが議論を呼んでいた。
メンバーのジミンさんが、第2次世界大戦中に米軍が日本に投下した原爆を描いたTシャツを着用している写真が、ソーシャルメディア上で拡散されていた。原爆投下により、日本は数十万人におよぶ死者を出している。
この写真は「侮辱」だとして、一部の日本のBTSファンの怒りを買った。
「原爆」Tシャツには、韓国の独立に関する標語も書かれていた。
この画像について、結果的に日本の植民地支配から朝鮮半島を独立させた原爆を称賛するものとの見方も日本の一部では出ている。
日本と韓国が共有する戦時中の歴史は、両国の間に非常に繊細な問題として残り続けている。
Tシャツと原爆
7人組のKポップグループBTSは当初、11月9日のテレビ朝日系「ミュージックステーション」でパフォーマンスを披露する予定だった。
テレビ朝日は番組公式サイトに発表した声明で、「以前にメンバーが着用されていたTシャツのデザインが波紋を呼んでいる(中略)所属レコード会社と協議を進めてまいりましたが、当社として総合的に判断した結果、残念ながら今回はご出演を見送ることとなりました」と述べた。
ジミンさんが問題のシャツを着た正確な時期はわかっていないが、このシャツを着たジミンさんの写真は、10月からインターネット上で拡散され始めた。
現在もオンラインで購入できるこのシャツは、「愛国心 我々の歴史 解放 朝鮮」という言葉が書かれ、日本の都市に落とされた原爆の印象的な写真もプリントされている。
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第2次世界大戦中の1945年、日本の2都市、広島と長崎に、原爆2発が投下された。原爆が戦争で使用されたのはこの時が初めてで唯一となっている。
原爆投下で、一瞬のうちに死者数十万人が出たほか、放射線障害の結果、その後も多くの人が亡くなった。
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原爆のキノコ雲。左が広島、右が長崎
原爆投下は、日本の降伏とアジアにおける第2次世界大戦の終結を導いた。これにより、1910年に始まった日本による朝鮮半島の植民地支配も終わった。
ジミンさんがシャツを着た時期については、異なる報道が出ている。複数の韓国メディアは昨年ジミンさんがシャツを着たとしているが、着用は今年の8月15日だったとの報道もある。8月15日は韓国では独立記念日とされる。
「BTSが出演することを許しません」
11月初め、シャツを着たジミンさんの写真は、ソーシャルメディアで拡散の勢いを増した。
程なくして、「#許せない」「#原爆」といった日本語ハッシュタグがツイッターで広まり、急増した。日本の一部ソーシャルメディア利用者は怒りの声を上げた。
広島県民だというツイッター利用者は出演見送りが発表される前、ミュージックステーションにBTSが出演することを許さない、このグループは原爆を馬鹿にしたと投稿した。
「髙橋裕司 (Yuji T)」さんは、「#BTS のメンバーが原爆Tシャツを着た行為を、私は人道的に決して受け入れられない。問題は日本と韓国の関係ではない。ただ人類の問題だ」とツイートした。
しかしファンの中には、BTSの味方になる人もいた。
あるツイッター利用者は、両国の緊張関係はコントロールできなくなっている、ジミンは自分を責めないで、などと書いた。
「Annie」さんは「日本との間に起きていることは今、我々には制御できない。BTSがミュージックステーションに出演できないのは残念だが、私たちにできることは、彼らの配信を流し続け、音楽を買い続け、愛と前向きなエネルギーを送り続けて、彼らを支えることだけだ」とツイートした。
What's happening with Japan is beyond our control right now. It's unfortunate the boys won't be able to perform on Music Station, but all we can do is support them by continuing to stream and buy their music and sending them our love and positive energy. 💜 #防弾少年団 #バンタン
— Annie ✨ (@AnnieLuvsBTS1) November 8, 2018
Twitter の投稿の終わり, 2
「国の独立記念日を韓国人が記念するのがそんなに間違いだろうか? あなたがたは今回、間違った動きをしている」と韓国の別のツイッター利用者は書いた。
今回の出演見送りは、日本と韓国の関係がここ数年で急速に緊張を増す中で起きた。
しかし日本政府は、補償問題は1965年に結ばれた協定に基づく合意で解決されたとする立場を維持し、判決を「考えられない」とした。