融資先に困った地場金融につけ込んでの資金調達と思われるが、テクノシステム決算には不可解な点もある。テクノシステムは15年11末、ある人物から5億円を借り入れ、翌12月1日に5億1万円で返すという金消契約を結んでいる。テクノシステムは当時、11月期決算のため、“決算対策”資金であることが濃厚。さらに16年11月期にも新潟県の発電所の権利売買名目で5億円を動かしていたことがわかった。

粉飾キーマンは世界最大の洋上風力発電を計画

 こうした“決算対策”には、テクノシステムで「最高顧問」の名刺を持っていたある人物が関与している。北海道の石狩湾などで、世界最大級の洋上風力発電を計画する「インフラックス」の代表・星野敦氏という人物である。テクノシステムに15年、16年の決算対策資金を拠出し、指南していたのはこの星野氏である。

 テクノシステムは小泉純一郎元首相や、息子で俳優の小泉孝太郎を広告塔に立てていたが、そのきっかけをつくったのは星野氏である。星野氏は、小泉氏や、小泉氏の覚えめでたい赤坂の小料理屋「津やま」の女将を生田氏につないだ。さらにテクノシステム社員は17年9月、鳩山会館で鳩山由紀元首相を招いた講演会に参加し、その場で城南信用金庫元理事長の吉原毅氏に接触。吉原氏は横浜支店長にテクノシステムに連絡させるようその場で確約したというが、この一連の“融資口利き工作”は「星野会長殿」に報告されていた。星野氏はほかにも、テクノシステムが三井住友銀行に融資を依頼する際に、「小泉純一郎との写真を見せつけるように」指示している。

 三井住友銀行は現時点で融資残高はゼロだが、城南信金は3億円弱の残債があり、口利きが“功奏”した可能性がある。星野氏の経営するインフラックスは北海道石狩湾で風140基、鹿児島県吹上浜沖で102基もの巨大洋上風力発電を計画している。世界最大とされるイギリスの洋上風力「Walney Extension」の風車は87基であるから、数千億円規模の国的プロジェクトとなるに違いない。しかし、その実効性は極めて怪しい。

 インフラックスにそれだけの後ろ盾があるのかだが、同社は役所への提出書類に、世界的ファンド・ブラックロックのアセットマネジメント会社として設立された、と記載している。ブラックロックといえば、用資産は800兆円を超える。だが、巨額資産を預かるはずの星野氏は、18年に、元の勤め先から詐欺容疑で刑事告訴されており、警視庁渋谷署は告訴を受理し捜査中である。

 星野氏は取材に対し、テクノシステムの最高顧問に就いていたことや、前述の決算対策や銀行への工作に対する関与を否定した。また、ブラックロックのアセットマネジメントであることも否定している。しかし、本サイト取材では、最高顧問の肩書がついた名刺や、テクノシステムと星野氏の間で交わされたメールが存在していることを確認している。また、インフラックスが佐賀県に提出した環境影響配慮書には、「平成30年3月に設立され、ブラックロック・ジャパン株式会社のアセットマネジメント会社として事業をスタートさせました」と明記されている。

 インフラックスが提出した環境影響評価の書類にも不可解な点があり、たとえば洋上風力なのに<山の稜線を乱さないように配置する計画>などという記載がある。これは、太陽光発電所の環境アセスメントの申請に使った書類をそのまま代用しているからと思われる。

 一般的に、企業不祥事は第三者委員会の報告書で一区切りつくことが多いが、SBISLの場合はどうか。委員の海宝明氏は、SBI証券社長・高村正人氏の三和銀行時代の先輩にあたる。この事案は、いち貸付先の問題にとどまることなく、SBIグループとしての関与に踏み込まざるを得ないとみられている。

 かつて、ソーシャルレンディング最大手だった「maneo」の融資先・JCサービスをめぐる事件が、細野豪志衆院議員から政界フィクサー・大樹総研の存在に行きついたように、今回のSBISLをめぐる事案も、予期せぬ方向性に伸びていく可能性がある。

(文=編集部)