癒着を示す「台東区物件」
テクノシステム向け融資の大半は、九州の独立系不動産ファンド「玄海インベストメントアドバイザー」(社長・文智勇)との協業ローンファンドとして募集されていた。SBISLの全案件のうち、玄海インベストメントアドバイザーとの協業案件は1月中旬時点で180億円あり、このうち、約100億円がテクノシステム向け融資案件である。代表の文智勇氏はテクノシステムや、生田氏が経営する農業関連の会社の役員に就いていたこともあり、関係が深い。
また、玄海インベストメントアドバイザーとの協業案件以外の投融資案件も問題が多い。そのひとつが、「週刊新潮」でも指摘された熱海のホテル建設計画である。これは、SBISLで19年11月頃に「SBISL不動産ディベロッパーズローンファンド18号」などのファンド名で募集されたもので、総額33億円を投じて熱海に地上8階、地下1階の「SDGsホテル」を建設するというもの。竣工予定は今年3月だが、ところが2月上旬時点で事業予定地はまだ綺麗な更地だった。1年以上にわたり放置されていたわけで、SBISLが謳う借り手のモニタリングといった債権管理体制は無に等しかったことを示している。
正常な融資案件のモニタリングを行っていれば、テクノシステムの問題は早期に気付けたはずである。しかし、SBISLは償還資金を立て替えるなどの“損失補填”を行い、問題に気付きながら適切な対応を執っていなかったように見える。
癒着の端緒を示す物件が台東区にある。SBISLは17年4月、「SBISL不動産バイヤーズローンファンド14号」で2億5800万円を募集。不動産会社に融資し、不動産の転売で上がる利益を分配するとしていた。
このローンファンドは18年5月に無事償還されたが、実際は、SBISLは担保となっていた台東区上野桜木の物件に同年7月、競売を掛けていた。この借り手は「トウキョウ運河」といい、不動産業界では名が知られている。なぜならシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開していたスマートデイズの元社長が経営する不動産会社だからだ。
この台東区の物件の登記簿によると、テクノシステムは19年3月に大東京信用組合からの借入でこの物件を取得している。根抵当権の金額は4億6000万円であり、取得価額はほぼニアーと考えられる。その後、テクノシステムはここに集合住宅を建設し、SBI証券が社員寮として借り上げた。
つまり、SBISLで17年4月に発生した焦げ付きを、テクノシステムが大東京信用組合からの借入で補填し、“貸し”を社宅として借り上げることで少しずつ返す、という取引が行われていた可能性が高い。
地場金融30行から100億円
さらに、テクノシステムはSBISLから多額の資金を引き出すと同時に、全国の地銀、信金など30行あまりの地場金融から、100億円を超す融資を引き出していた。テクノシステムの取引銀行は異様に多く、昨年9月末時点で、30行超の金融機関から約122億円を借り入れている。
だが、三井住友銀行などのメガバンクの融資残高はゼロか過少なのに対し、近畿産業信用組合や大阪厚生信金などの取引額は大きい。大阪厚生信金は9月末時点で26億円を貸し付けていたようだが、前述の熊本案件で40億円を引っ張った時期と同じ、11月末に完済した模様。したがって銀行負債の総額は100億円弱となる。













