カニのオカルト
今回はこういうお題でいきますが、どれだけ話題があるか不安ですね。
さて、みなさんはカニはお好きでしょうか。自分はアクアリウムを
やっており、自宅には海水水槽2本、淡水水槽もいくつかあるんですが、
カニを飼育した経験はありません。別に嫌いなわけじゃないんですけど、
脱走したりとか、なんとなく難しそうな感じがするんですよね。
もちろん食べるのは大好きです。毛ガニ、タラバガニ、上海ガニ・・・
思い浮かべただけでヨダレが出てきます。
殻を割ってカニの足をほじり、甲羅のミソをすくう。面倒くさいのも含めて、
至福のひとときです。ああ、カニっていいなあ。
さて、カニは甲殻類で、食べたことのある方はご存知じと思いますが、
体の中に骨はありません。外骨格で支えられているんです。
1961年と古いSF映画ですが、『SF巨大生物の島』では、
下の画像のような大きなカニが出てきていました。
『SF巨大生物の島』
ただ、外骨格の生物はそれほど大きくはなれないんですね。
体が重くて、内部の筋肉で支えられなくなります。
世界で最も大きいカニの仲間はタカアシガニで、足の両端で3m以上ありますが、
体そのものはそれほど大きいわけじゃなく、体重も20kg以下です。
タカアシガニ
さて、カニのオカルトというと、あんまり思い浮かばないんですが、
「雷獣」が、カニのような姿をしていたという話はありますね。
享和元年(1801年)に芸州五日市村(現広島県佐伯区)
に落ちたとされる雷獣は、下の画像のようなもので、
四肢の表面は鱗状のものでおおわれ、
その先端は大きなハサミ状で、体長3尺7寸5分(約95センチメートル)、
体重7貫900目(約30キログラム)あまりだったとされます。
また、『奇怪集』にも、享和元年に芸州九日市里塩竈に落下したとされる
同様の雷獣の死体のことが記載されています。
「雷獣」とされる絵
自分はこれ、ヤシガニなんじゃないかと思ってます。
日本では現在、ヤシガニは沖縄地方にしか生息していませんが、
江戸時代にはもっと北のほうまでいたのかもしれません。
その死骸が、潮にのって広島の海岸まで運ばれたというのは、
ありそうな気がします。その途中で足が何本かとれた。
あるいは、船の上で飼われていたものが死んで捨てられたとか。
毛みたいに見えたのは、海藻の乾いたものかもしれません。
台風や竜巻で飛ばされてきたという話もありますが、これほどの
大きさのものが、遠い距離を風で運ばれてくるかどうか疑問があります。
ちなみに、ヤシガニはカニという名がついていますが、ヤドカリの仲間です。
ヤシガニ 足の模様を絵と比べてみてください
さて、次の話題。妖怪の中にもカニをモチーフとしたものがいて、
「蟹坊主」は、『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメにも登場していました。
こんな話が残っています。山梨県山梨市万力の長源寺の住職のもとを、
雲水が訪ねて問答を申し込み、「両足八足、横行自在にして眼、
天を差すときいかん?」との問いを発した。
「足が8本、自由に横に動いて、眼が上を向いているものは何だ?」
ということです。答えにつまる住職を、雲水は殴り殺して立ち去った。
その後も代々の住職が同様に死に、とうとう寺は無人となった。
話を聞いた、法印という旅の僧がここに泊まったところ、
例の雲水が訪ねて来て同様の問答をしかけたので、「お前はカニだろう」
と言って独鈷(どっこ)を投げつけると、雲水は巨大なカニの正体を現し、
砕けた甲羅から血を流しつつ逃げ去った。
その血の跡を追っていってみると、裏の池の近くの洞窟にたどり着いた。
蟹坊主または蟹和尚
洞窟の中にはたくさんの人骨とともに、畳2枚分はあろうかという大蟹が、
甲羅を割られて死んでいたので、人々はたいそう驚いた。
この化け蟹を退治した旅の僧は、その後「救蟹法師(きゅうかいほうし)」
と名を改め、長源寺の住職となった。
これと似た話は他の地域にもありますね。ただ、上に書いたように。
カニが畳2枚分まで大きくなるかは疑問です。
うーん、比較的近い節足動物の仲間には「ウミサソリ」がいて、
2.5m以上にもなったとされますが、2億5000万年前に絶滅しています。
ウミサソリの化石
さてさて、最後に現実的な怖いカニの話でしめくくります。
水死体をカニやエビ、シャコなどが食べるという話がありますよね。
これは本当で、ダイバーが水死体を海底で捜索するときには、
カニ・エビ類が集まっている場所を見ると言われます。
例えば、自殺の名所と言われる東尋坊がある福井県は、
カニが名物でもありますよね。そう考えるとちょっと怖いなという気もします。
まあでも、東尋坊近くの旅館で越前ガニを出されたら、もちろん食べます。
ということで、カニのオカルトでした。では、今回はこのへんで。
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