【スペシャルストーリー公開!】What is Love/包&クリス
○クリス
はぁ……。
○クリス
なにが恋だよ、くだらない……。
○包
あれ、クリス? 何してるの?
○クリス
……。
○包
あ、これって楽譜? これ、クリスが歌うの?
○クリス
……本当にうるさいですね、相変わらず。
○包
あはは、ごめんごめん。でも何か困ってるみたいだったから。
○クリス
…………。
○包
確かクリスたちのバンドって
歌詞はクリスが書いてるんだったよね。
○包
今日も歌詞を考えてたの?
どんな歌詞?
○クリス
………………社が。
○包
うん。
○クリス
……僕に一言の断りもなくラブソングコンテストなんてものに
エントリーしていたんです。
○包
ラブソングコンテスト!
じゃあクリス、ラブソングを歌うんだ。
○クリス
…………そうですね。
○包
うーん、そっかそっか。
それで歌詞をどうしようか悩んでたんだね。
○クリス
そんなところです。
だから邪魔をしないで、包はさっさと――。
○包
だったら僕、手伝うよ!
○クリス
……は?
○包
だって書けなくて困ってるんでしょ?
○包
それなら一人で悩んでるより二人で考えた方がいい案が
浮かぶかもしれないよ?
○クリス
(こんなことで借りを作るのは癪だけど、
全く進んでないのも事実……。)
○包
ねっ! 絶対その方がいいよ!
僕、頑張るよ!
○クリス
……仕方ないですね。こうやって話を聞くのは今日だけですよ。
○包
うん!
○クリス
で、恋って何です?
○包
うーん……。
○クリス
……どうしてそこで黙るんですか?
助言ができるから手伝うなんて言い出したんですよね?
○包
えへへ、ごめん。
実はボクもよくわかんないんだよね。
○クリス
はぁ……?
それでよく手伝うなんて言いましたね……?
○包
でもでも! これじゃないかな~って思うものはあるよ!
○包
あのね、お姉ちゃんとのことなんだけど……。
○クリス
お姉ちゃん……?
あぁ、女神様のことですか。
○包
うん。お姉ちゃんと一緒にいるとね、ときどき『守りたい』とか
『誰よりも何よりも大切』なんて思うことがあるんだ。
○包
こんな気持ちになるのは今まで出会った誰とも違って
お姉ちゃんだけ。
○包
こういうのを『恋』っていうんじゃないかなー……なんて
思うだけど、クリスどう思う?
○クリス
…………。
○包
クリス?
○クリス
『守りたい』とか『大切』なんて気持ちはさらさらわからないけど
――
○クリス
他の人間とは違う感情を抱いてるっていうのは、少しわかる気が
します。
○包
それって――
○クリス
でも包のような浮ついた感情ではありませんよ。
○クリス
あの女神様が僕の言動で動揺する様を見るのはとても愉快に思う
ってだけです。
○包
うんうん、たしかに自分がしたことで喜んでもらえるのは
嬉しいよね。すっごくよくわかるよ。
○クリス
ちょっと、ちっとも同じじゃないんですが?
○包
そうかなぁ。クリスの話を聞く限り、根っこの部分は僕と同じだと
思うけど……。好きの形って、いろんな形があるし。
○クリス
……あなたがどんな感想を抱こうが勝手ですが、
僕にそれを押し付けるのは止めてください。
○クリス
だいたい自分を捨てた『人間』によくそんな感情を
向けられますね。恨んでないんですか?
○包
……どうだろ。昔は恨みとかいろいろ辛い気持ちがあったかも
しれないけど――
○包
それを癒してくれたのも人間であるリョウさんたちやお姉ちゃん
だったし……。
○包
今はそういう感情は持ってないかなぁ。
○クリス
まったく……女神様の周りって本当に――
○クリス
(わけのわからないことばかりだ。)