新境地を開き続ける9人組、東京パフォーマンスドールが3月23日に4thシングル「逆光×礼賛」をリリースする。この曲はスピード感満載のエレクトロ・ダンス・ナンバーで、彼女たちのトレードマークのひとつであるフォーメーション・ダンスがふんだんに散りばめられた内容。逆光の先にある見えない未来に向かって、力強く突き進もうとする姿を描いた歌詞も聴きどころだ。カップリング・ナンバーも名曲揃いの当シングルについて、たっぷりお話をうかがった。
インタビュー・文 / 原田和典 撮影 / 森崎純子
「逆光×礼賛」のリリースが近づいてきました。
高嶋 accessの浅倉大介さんに書き下ろしていただきました。私は曲を聴くと、まずイメージが頭の中に浮かぶんです。♪タタラタラランタンタンタタンというイントロを聴いてすぐに、TPDが立っている後ろから光が差している風景が想像できたんですよ。なので、ジャケット撮影のときには「まさにこれだ!」って思いました。浅倉さんサウンドとTPDらしさが融合した、かっこいい曲になっていると思います。
神宮 力強いサウンドの曲ですが、私はその中で柔らかさも表現したいと思っています。パフォーマンスを重ねることによって、より希望に満ち溢れた「逆光×礼賛」を創りあげていきたいですね。
全員が一緒に歌うのではなく、2つに分かれて追っかけるアレンジも印象に残りました。
浜崎 追っかけで歌うのは初めての試みです。振り付けも主メロ(メロディ)のメンバーが先に踊って、追っかけのメンバーがそれに続いたり、新しい私たちをみせることができました。
先に動画サイトで公開されているミュージック・ビデオも話題です。
櫻井 今回のMVのダンス・シーンは、事前に振りを揃える練習を徹底的にしてから臨んだので、いつもより比較的回数が少なくクリアできました。MVの撮影では、ひとりずつ撮る“リップ・シーン”があって、1曲をまるまる1回歌うんですよ。そこはいつも緊張しますね。
上西 MVもジャケットも、ソロ・カットを撮る時はいつも私が最初なんです。リップ・シーンのときも表情の指定や雰囲気がまだ探り探りの状態のまま撮影が始まるので、そこを早くつかむのに苦労することもありますね。
なぜいつも上西さんが最初なんですか?
上西 たぶん色が白いからだと思いますよ(笑)。
ホワイトバランスをとるんでしょうか(笑)。黒と白で構成されたステージ衣装もシャープです。
飯田 この衣装を見たときに、私が真っ先に思い浮かんだのは「近未来」という言葉です。普段着でこういう服を着ている人は誰もいないじゃないですか(笑)。肩の部分とかすごいスタイリッシュだし、ステージ映えする衣装だなと思います。
小林 私たちはよく対バンイベントにも出るんですけど、「白ブーツにこの衣装はTPDだな」ってインパクトが(他のグループのファンに)残せるように思いますね。ひとりひとり衣装の形が違うので、そこも見ていただけたら嬉しいです。
振り付けのポイントは?
橘 私たちは“逆光のポーズ”と呼んでいるんですけど、親指と人差し指と中指を使った手の動きはシンプルで覚えやすいと思います。でも、間奏のダンスはけっこう激しいです。
脇 とてもテンポが速い曲なんですが、一瞬しかないフォーメーションや、キメポーズも多いです。
浜崎 1曲の中で27回、フォーメーションが変わるんですよ。
高嶋 その1回あたりのポジションの滞在時間が、1秒2秒のところもあるんです。
それを皆さんは歌いながら、こなしてしまう。しかも井上秋緒さんの歌詞は文学的というか、奥深いです。
高嶋 私は「引き換えの心は やがて未来(あした)を変えてゆくかもしれない」というところが好きですね。
橘・櫻井・小林 私も一緒。
高嶋 未来と書いて“あした”と歌うところがまた素敵なんです。
櫻井 私は「ドアが開く度 置いてく 引き換えの心が やがて自分を変えてゆくかを知りたい」が特に好きですね。次のステップのドアを開けるたびに犠牲にすることが出たり、過去の自分と向き合うことがあるかもしれないけど、私はすべての経験が未来につながっていくと思っています。逆光で前が見えにくいけど、その困難ですらチャンスに変えて、未来を信じて進んでいく、という等身大のTPDの姿を歌詞から感じ取ってもらえたら嬉しいです。
ここからカップリング曲についてうかがいます。まずは初回限定盤Aに入っている「十代に罪はない」です(先代TPD代表曲のリアレンジ・ヴァージョン)。全員が十代のうちに、この曲をレコーディングしたのは素晴らしいアイデアだと思いました。上西さんと高嶋さんは今年中に二十歳を迎えます。
上西 十代と二十代で何が違うんだろう?(笑)
高嶋 大人になる準備をするための十年間、大人になるための道が決まってしまう十年間ではあったのかなと思います。でもいつまでも十代の心は忘れたくないという気持ちはありますね。
上西 私は高校を卒業した時に一区切りついた気がしたんですよ。そこから19歳の誕生日が来るまですごい悩んで、考えすぎているうちに19歳を超えてしまった感じです(笑)。すぐ1年後、2年後じゃなくて、もっと先の将来のためにも、今できることをたくさん吸収したいです!
「十代に罪はない」に限らず、先代のTPDの楽曲は、皆さんが生まれる前に作られています。
小林 自分たちが生まれる前の歌という意識はそんなにないですね。リアレンジされていることもありますし。ただ歌詞を比べてみると、TPDのオリジナル曲はけっこうストレートな表現があるんですが、「十代に罪はない」は、今の私たちでもとても捉えやすいですね。