福井県池田町の池田中学校で2017年、2年生の男子生徒が自殺した問題で、厳しい叱責(しっせき)などにより生徒を自殺させたとして業務上過失致死容疑で告発された当時の担任について、福井地検は3月29日、再び不起訴とした。

 地検は19年に不起訴としていたが、福井検察審査会が昨年「不起訴不当」と議決したことを受け再捜査していた。再度検察審査会に申し立てすることはできず、捜査は終結した。福井地検の次席検事は「起訴するに足る十分な嫌疑までは認められず、不起訴処分を維持することが相当と判断した」と説明した。

 生徒は17年3月14日、校舎3階から飛び降りて死亡した。町の調査委員会が同10月、担任らから厳しい指導を受けた精神的ストレスが自殺の要因だったとの報告書を公表。同12月に県内の市民団体が当時の担任と副担任、校長の3人を告発した。地検は19年2月に3人を不起訴としたが、福井検察審査会が昨年1月、担任について「不起訴不当」と議決していた。

 市民団体の代表は取材に「捜査し尽くされたのか甚だ疑問。民意が反映されておらず納得できない。審理が進む民事裁判に影響を与えないか危惧している」などと話した。生徒の母親は代理人を通じ「特にコメントすることはない」とした。

 町教委は「二度と悲しい事案が起きないよう引き続き努力する」とし、県教委は当時の担任の処分について「民事裁判が続いているので、その結果も踏まえ適切な処分を検討していきたい」とした。

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