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ほとんど政府の無い世界
「ヨコハマ買い出し紀行」は、作中の人々の生活のあり方という面でも、深く練られた独特の意趣が散りばめられていて味わいが深い。たとえば情報通信という点では、ネットやコンピューターどころか電話も消えてしまって、郵便だけがかろうじてほそぼそと生き残っているところなどがそうで、作者の心境を察するに、おそらく世界の滅びにあわせて、自分の好かないものには全部いっしょに退場してもらったようにも見受けられる。同じ線でもうひとつ目につく大きな特徴としては、この世界にほとんど政府や国家の姿が見当たらないということだろう。作品の中で人々は、それらから放り出された、事実上の「無政府」あるいは老子風にいえば「小国寡民」の世界を生きている。
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プロ野球代理人で考える雇用契約交渉
労働問題について考える中で、プロ野球をはじめとしたプロスポーツ選手の契約交渉を例にあげた。この交渉事は、われわれの間で下世話な興味を集める季節的な関心事になっているが、それらの記事に接する一般の労働者は、それをとびきりの才能と幸運に恵まれた一部のトップエリートの遠い世界の話だと思っていて、自分の身に引きつけて考えることまではしない。同じことをわれわれもできないのかを探るために、こちらの実状はどうなっているのか、もう少し詳しく確認してみよう。
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「ブラック企業」問題は法曹問題である
ブラック企業の労働環境をめぐる問題について、マクロの環境形成とミクロの契約関係という二面から考察してきたが、目を惹かれるのは、その両方が法曹分野にかかわっていることである。このことの意味をどう考えたらよいだろうか。
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