理学部化学科

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無機化学教室

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研究室紹介

低温メスバウアー測定
原子核を通して電子の振る舞いを探るのが私たちの研究テーマです。私たちが用いているのは、原子核のエネルギーがごくわずかに化学結合に関与する電子の影響を受けて変化することを使う分析法で、メスバウアー分光法とよばれるものです。この分析法は、酸化数、配位構造、磁性などの研究に有用な手段です。私たちの研究室では、57Fe, 119Sn, 121Sb, 127I, 155Gd, 161Dy, 166Er, 197Auおよび237Npのメスバウアー分光法を用いて、無機化合物や有機金属化合物の結合と構造や物性研究を行なっています。鉄やスズ以外の測定ができるのは、世界に数グループしかありませんので、国内外の研究者たちとの共同研究も多くなっています。 (高橋)

 また、d電子あるいはf 電子系金属元素を含む複合酸化物および硫化物の合成とその性質についても研究を行っています。完全には満たされていないd軌道やf 軌道は不対電子を持ち、強磁性、反強磁性、電気・イオン伝導、超伝導など多種多様な電気・磁気的性質を示すことから注目を集めています。これらの物質群が織り成す多種多様な物性について解明し、さらに、新たな興味深い物性を示す物質群を探索することを目的として、周期表全体を視野に入れた新物質合成と様々な手法を用いた物性測定・解析を行っています。 (土井)

研究内容

 ◎メスバウアー分光法を通じて物質の化学状態を知る(高橋)

  • 希土類金属化合物の構造と化学結合:希土類金属の化合物は磁性体や発光体などとしてよく知られています。希土類金属化合物の化学結合は、これまで余り注目されていませんでした。私たちは155Gd,161Dy, 166Erなどのメスバウアー分光法を通して、希土類金属イオンと配位子の相互作用や希土類金属イオン間の相互作用についての、基礎的な研究を行なっています。
  • 主族元素化合物の化学結合:重い主族元素(典型元素)は、しばしば高配位数の化合物をつくり、そのような化合物は超原子化化合物とよばれています。アンチモンやヨウ素の超原子価化合物における結合を、121Sbおよび127Iメスバウアー分光法により研究しています。
  • 多核有機金化合物の構造と反応:金属の金は反応性が低いのですが、微粒子やいくつかの金原子が集合したクラスターとなると、反応性が高まることが知られるようになってきました。私たちは、2~8個程度の金原子を分子内に持つ多核金化合物の構築とその反応性に興味をもち、研究を進めています。金原子の電子状態を197Auメスバウアー分光法を用いて、研究しています。
 ◎面白い物性を示す無機化合物を探す(土井)

  • d-f 電子系ペロブスカイト: ペロブスカイト型構造は化学組成の自由度が極めて高く、様々な元素の導入が可能という特徴を持ちます。これを利用し、強い磁気的相互作用を持つd電子系の遷移金属と、相互作用は弱いが個性的な振る舞いを示す4f 電子系のランタノイドの両方を含む物質を合成しています。組成を変えると様々な秩序配列を持った構造が現れ、あまり知られていないd-f 電子間の磁気的相互作用による磁気転移や、特徴的なダイマー磁性など興味深い磁性を示します。
  • 特徴的な磁性イオン配列を持つ化合物: 不対電子を持つイオンが物質中でどう並ぶかに注目し、新物質の合成を試みています。例えば、正三角形からなる並び方では、隣り合うイオンのスピンが逆向きを向くことを好む場合、3つイオンのスピンをすべて満足させることは不可能です。これは磁気的なフラストレーションと呼ばれ、普通では起こらないような変わった性質を示すことがあり注目されています。
  • 複合アニオン化合物: 無機物質では、その構造や性質を変えるためにカチオン(金属イオン)を別のイオンで置き換える(置換)、複数のイオンを混ぜる(固溶)という方法がよく用いられます。一方、アニオンの置換・固溶は困難ですが、比較的低温(100~400℃)で反応性の高い試薬と反応させるトポケミカル反応などにより合成できる場合があります。アニオンを変えると金属イオンの酸化状態、結合性、相互作用などに強く影響を及ぼすため、その関係性を理解するために新たな複合アニオン化合物を合成し、研究しています。

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