佐藤と神木は新会社「株式会社Co-LaVo」を設立し、アミューズも出資する。新会社の社長には、2人の育ての親である千葉伸大常務がつく予定だ。会長には、アミューズの大里洋吉会長(74)が兼任で名前を連ねる。
「ONE OK ROCK」も新事務所「株式会社10969」を設立し、ボーカルのTaka(32)を中心に海外での活動に力を入れていくという。
アミューズにとってより影響が大きいのは、次期エース候補である佐藤、神木の離脱だろう。事務所は2人の独立について「新時代に向かってチャレンジをする本人たちの意向を尊重した」とコメントを発表し、資本関係もあるため一見すると穏やかな“のれん分け”にも見えるが、その裏には巨大芸能プロダクションが権力闘争や世代交代で身動きが取れない実情が隠れていた。
ナベプロを抜けてアミューズを作った会長
もともとアミューズは、大里会長が芸能界きっての老舗である渡辺プロから1977年に独立して作った芸能事務所である。大里氏は立教大を卒業して1969年に渡辺プロに入社し、キャンディーズのマネジャーを務めるなど出世コースに乗っていたが、社内で徐々に孤立し、渡辺プロの資本を受け入れない形で完全な独立を計った。
「大里さんはナベプロの影響力を排除するために、マネジメントするアーティストの音楽出版権の一部を業界の大物に売却してまで独立資金を確保しました。苦しい船出だったはずですが、そこはナベプロ時代から敏腕で知られた大里さん、独立後も次々とビッグアーティストを発掘して、アミューズをあっという間に軌道に乗せました」(スポーツ紙芸能デスク)
独立のきっかけとなった原田真二(62)に始まり、独立翌年の1978年6月にはサザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」でデビュー。その後も爆風スランプ、ポルノグラフィティ、エレファントカシマシ、Perfume、flumpool、BABYMETALと現在までトップアーティストを世に送り出しつづけてきた。
福山雅治や星野源、吉高由里子らを抱える
福山雅治(52)や星野源(40)など、俳優とミュージシャンを兼ねるアーティストも多く所属している。音楽業界で日本音楽事業者協会(音事協)とともに二大組織を形成する日本音楽制作者連盟(音制連)は、アミューズが中心になっている。
音楽業界で力を伸ばす一方で、アミューズはドラマ・映画界でも成功をおさめる。1983年に映画「アイコ十六歳」でデビューした富田靖子(52)をはじめ、深津絵里(48)、上野樹里(34)、吉高由里子(32)、仲里依紗(31)、そして5月からNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」に主演する清原果耶(19)とキラ星のごとく名女優が並ぶ。
男性陣も福山雅治を筆頭に、寺脇康文(59)、岸谷五朗(56)、大泉洋(47)、ディーン・フジオカ(40)、賀来賢人(31)、野村周平(27)と豪華な顔ぶれ。佐藤、神木が離脱しても、吉沢亮(27)が現在NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主演をつとめ、新エースの期待をかけられている。
「アミューズは300人以上の社員を抱えていて、興行会社でもある吉本興業(約900人)を除けば最大の芸能事務所に成長しました。そして東証1部に上場している会社でもあります。かつてはホリプロや吉本興業も上場していましたが、買い占めの危険性やマネジメント方法に制約を受けることを嫌って取りやめたんです」(ワイドショー関係者)
実は大きいバラエティ部門
音楽、俳優と並ぶもう1つの柱が、バラエティー部門。三宅裕司(69)率いる劇団「スーパー・エキセントリック・シアター」の貢献度は実は大きく、三宅、小倉久寛(66)、寺脇、岸谷といった劇団員がドラマや映画だけでなくバラエティー番組やラジオDJなど活動の幅を広げることで、アミューズは芸能事務所としてだけでなく、制作プロダクションとしても成長してきた。
「今回の佐藤と神木の独立は、俳優部門の次期エース候補が本家を割って出たことになり、株主としては明らかにマイナスです。アミューズの俳優部門は長年にわたって福山雅治がトップでしたが、固定ファンはいまだに多いものの、結婚を経て52歳となり下降線に入ったことは否めません。事務所としても世代交代を急いではいるのですが、2017年の小出恵介(37)の淫行事件や、2020年の三浦春馬の自殺などトラブルが続いている。トラブルの原因としては、『大里会長の1強時代が長すぎて世代交代がうまくいっていない』というのが大きいです」(芸能プロ関係者)
カリスマ創業者の失速
創業者である大里氏もすでに74歳。アミューズで社長、会長を経て2008年に相談役名誉会長、2009年に最高顧問に就任するなど現場から徐々に離れていた。しかし2011年に会長に再就任している。
「大里会長は事務所経営を次世代に任せ、再びプロデューサーとして新しい挑戦に乗り出そうとしました。しかし2013年に自ら主導して六本木に作った『アミューズ・ミュージカルシアター』が、たった1年で閉鎖。韓流ミュージカルを上演する劇場でしたが、韓流ブームの終焉を読み違えて大きな損害を出しました。常に時代を先取りしてスターを生みだしてきた大里会長ですが、この失敗で限界説が一気に噴出したんです」(ワイドショー関係者)
カリスマ的創業者であり、会社の筆頭株主でもある大里氏の失速は世代交代を加速させるかと思われたが、パワーバランスが崩れたことで組織は混乱に陥った。
「大里会長という“重し”が外れたことで、音楽部門と俳優部門の権力争いが顕在化したんです。音楽部門はサザンというカリスマの存在でなんとか秩序を保ちましたが、一方の俳優部門は福山の人気に陰りが見え、小出の淫行事件で機能不全に陥りました。この事件でアミューズは5億円以上の損害賠償を肩代わりしたという報道もあります。さらに2020年には次期エースになるはずだった三浦春馬が自殺。理由はいまも明らかになっていませんが、看板スターの死を防げなかった管理責任はあまりにも大きいです」(ドラマ関係者)
サザンの元マネジャーが社長に
俳優部門のトラブルが続き、音楽部門との軋轢が強まる中で、パワーバランスを決定づけたのが、2年前の中西正樹社長の就任だった。45歳という若さでの社長就任が話題になったが、社内的には中西社長がサザンのマネジャーを務めた音楽部門の旗頭であることが大きな意味を持っていた。
「中西社長自身は音楽部門を歩んできた人ですが、俳優部門を立て直さなければアミューズの成功はないとわかっていました。なので社長就任にあたって、ながらく俳優部門を仕切っていた市毛るみ子氏を副社長に就任させたんです。市毛副社長は福山雅治の育ての親で、ドラマ、映画界に顔がきき信頼も厚い。62歳と中西社長より一回り以上年上ですが、俳優部門の立て直しを任せられるのは市毛副社長しかいないと白羽の矢を立てたのです」(芸能プロ関係者)
“吉沢亮推し”に不満を持つ俳優も
しかし、俳優部門のトラブルは収まらなかった。小出の淫行事件をうけて厳しくなった私生活の締め付けに、佐藤健や野村周平などが反発したという。
「特に野村は素行が悪く、現場で目上の人に敬語を使わないなど問題になっていましたが、売れていたので誰も注意ができなくなっていました。市毛副社長が説得にあたったのですが効果が薄く、2019年の5月から1年間野村を米国留学させたのもその影響があったのではと言われています。
そして、俳優部門の空気が悪い最大の原因は、事務所をあげての“吉沢亮推し”です。深夜ドラマしか連ドラ主演経験がない俳優が、いきなり大河ドラマの主演ですからね。若いうちから実績を積み上げてきた佐藤や神木にしたらたまったもんじゃないでしょう」(芸能プロ関係者)
吉沢亮は野村がグランプリに輝いた2009年の「アミューズ全国オーディション2009THE PUSH!マン」の特別賞をきっかけに芸能界入り。長らくくすぶったが、2017年の映画「銀魂」で注目を浴び、2018年に女性誌の「国宝級イケメンランキング」1位になったことでブレイク。2018年にはNHK連続テレビ小説「なつぞら」にも出演したが、ゴールデンタイムの主演は大河ドラマが初めてだ。
「吉沢にとって兄貴分だった三浦春馬は、大河ドラマの主演を目標にしていました。三浦自身は吉沢の大河ドラマ主演決定を祝福していましたが、実績から言えばその“格”ではない。正直アミューズがかなり推したとしか考えられない抜擢です。順番を飛ばされた佐藤や神木にしてみれば、吉沢推しが面白いはずがありません」(キャスティング会社プロデューサー)
不満分子を切り離した形だが…
佐藤と神木は、いつまでも混乱が収まらないうえに、後輩を推し始めた事務所に見切りをつけた。そして新会社の社長に就任する千葉常務も、実はアミューズ内の権力闘争に“敗れて”いる。同世代のライバルとして争っていた中西に社長レースで敗れ、新会社の社長の椅子が用意された形だ。彼らは、ここから逆襲に転じることができるのだろうか。
「佐藤健、神木隆之介の独立の影響についても、アミューズの株主は注視しています。アミューズとしては新事務所に不満分子になりかねないスタッフ、俳優をまとめられて一安心かもしれませんが、アミューズの株主としては納得できなくて当然です。俳優としての評価は極めて高い2人なので、手放したことを後悔する可能性も極めて高いでしょう」(スポーツ紙芸能デスク)
雨降って地固まるか、より一層はげしい雷雨に見舞われるか。日本最大の芸能事務所のゴタゴタはしばらく続きそうだ。
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1. 名無しのメイト
アビューズに改名しよう
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善かれ悪しかれ、baymetalのことは一言も触れなかったな。
アミューズにおいてはその程度の存在なのかな???