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美しい星 (三島由紀夫)
震災直後からしばらくは、混乱の中でいろいろと変則のタイムスケジュールになり、気分的にもいつもとはやはり異なるところがあったので、中途半端に空いてしまった空き時間を使って、最近はあまり手にすることもなくなっていた分野の本を何冊か読んだ。表題の小説もそのうちの一冊である。
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「想定外」と「異常に巨大」のあいだ
先だって東京電力の株主のひとりが、原発事故の賠償主体を(賠償支援スキームで)東電に負わせたのは、原賠法(原子力損害賠償法)の規定上、法律違反だとして訴訟を起こした。事故全体の被害や政治的社会的影響の巨大さに比べて、片隅の、つまらない話のようにみられているが、実際には問題の根幹に触れる重要な提起で、波及するところが大きい話である。
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「欠如モデル」と情報の非対称性
原発事故の後対応の中で、食品・環境中の低線量放射線被害の問題がクローズアップされ、流通規制その他をめぐって混乱が続いている。専門知識に通じた科学者や啓蒙的な立場に立つ識者らは、一般の市民のまと外れで度の過ぎた警戒ぶりや無知を嘆き、小売りや外食の民間事業者が金儲けのためにそれに媚びて科学的には無意味な過剰検査を勝手に行うことで、偏見を解くのではなくいっそう踏み固めているといって非難している。一方、それらの専門家以外の人びとの側は、すっかり疑心暗鬼になっていて、専門家の側がいくら「正しい」情報を浴びせかけても、それを既に信頼に値しないものとみなしているので、怯えた獣のように上目遣いで遠巻きにそれを眺めて、なかなか耳を貸そうとしない。両者はどこまでいっても平行線のままである。
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マネーボールを読む ~ 「運」という無知
本書の内容によれば、リーグ戦では絶大な威力を発揮した「マネーボール」理論も、それを勝ち抜いて最後の優勝を争うプレーオフ(優勝決定戦)にはどうも歯が立たなかった。理由は簡単で、プレーオフはリーグ戦と違って短期決戦のため、統計処理からはみ出した擾乱的な出来事が結果を大きく左右し、統計的な大数法則には必ずしものってこないからである。資金のないオンボロ球団が、ライバルたちの裏をかいて決戦の場にまんまと進出できただけでもよしとしながら、日頃はうるさく口を出すビーンGMや参謀のポールもなすすべなく黙って選手たちを見守るしかなく、なかなか勝てないシーズンが続き、いらいらして言う、「あれは運だ」。
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