そちらの出来もたいへん結構だったので、どこがやっているのかと見たらガイナックス。例によって採算度外視で入れ込んで突っ走る、あの粋な感じ全開である。
テーマ設定も、こういう死んでいるのに生きている、死んだまま生きてまだもがいている、というのにはとても心を惹かれる。
死んでいるからもうそれ以上死ねないし、死んでいるから今さら何かを果たしたところで所詮無駄である。百も承知でそれでもなお血と嗚咽をまき散らしながら苦しみのたうちまわる姿はまさに妄執というほかないが、逆にその妄念が唯一の原動力となって、とうに命の抜けた死体をすら立ち上がらせ、駆り立てる。
死という生ならぬ夢からもはや醒めることのない夢、同じ現(うつつ)に交じりながら溶けることのない夢に閉じ込められた夢。願えばこの無戸室(うつむろ)にも光が差すことがあるだろうか。
原作の漫画(連載継続中)もつられて読んでみたがこちらも見事だった。こんな血だらけの漫画はそう見たことがないというくらい血だらけだが、最近読んだ中ではもっとも深く印象に残った、傑出した作品である。頌歌(うた)が佳(よ)いのは劇が突き押しているからで、劇が佳いのは本が突き押しているからだ、ということがよくわかった。アニメはOP/ED曲だけでなくBGMもとても美しい。
ちなみに自分では、原作とは離れたエピソードだけれども、第7話から8話で、契約者との縁の絆が突然切れて屍姫が苦しみもだえながら街をさまようシーンがいちばん好きである。この作品の悲劇的な美しさが最も凝縮されて結晶化したシーンに思えたからかもしれない。
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