原作は後期のサスペンスホラーで、作家のダークな側面を最も濃密に解き放った、たいへんな傑作である。
展開は完璧かつ七転八転するダイナミックなものなので、変な手を入れずにそれを素直にそのまま追っていくだけでこれ以上ない筋書きになる。
そこがおさえられれば、あとは映画の出来は、俳優の配役と演技力、そして何より演出にかかっている。
もう映画はできちゃったみたいだが、自分としては、作中で田中角栄をモチーフに造形された自政党の政治家、中田英覚議員が、なんだか某元総理に体格が似ているので、もうそんなに忙しくないだろうし、ご本人もなかなかの演技派であるから、一肌脱いでもらって実際の政界経験を生かした迫真の演技をしてくれたら面白かったのに、と思った。
最近増えている漫画作品の実写化は、たいていは原作ファンをがっかりさせるために作られるもののようなので、あまり期待はしていないが、評判がよければ見るかもしれない。
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MW(ムウ) (2) (手塚治虫漫画全集 (302)) (コミック) 手塚 治虫 講談社 |