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ビジネスマンの見た「狼と香辛料」
神のみぞ知るセカイ(若木民喜)
この作者の書いたものは、前作のデビュー作(「聖結晶アルバトロス」)から目を通していて知っていた。前作は率直にいって誰の目にもわかるようなはっきりとした失敗作で、興行的にも尻切れで終わってしまったが、その失敗ぶりが、失敗なりに突き抜けていて際立っていたので、それで覚えていたのである。
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「エイリアン」
SF映画の記念碑的傑作「エイリアン」で観客を驚かせたのは、なんといってもあの「戦うヒロイン」というまったく新機軸の劇中人物の造形だった。楚々として儚く、受け身で置き物的なヒロインというハリウッドのそれまでの固定像からすれば、それはまるで異質な、かけはなれた存在で、当時はたいへん斬新で野心的な試みだったが、腰の抜けてしまった哀れな男たちを尻目に、異世界のわけのわからぬ見るもおぞましい化け物と一歩も退かずに渡り合い、泥まみれになりながらも猛然と戦い抜く筋肉質の主人公の姿に、人びとは来たるべき女性時代の予兆と新たな美的規範の登場を重ね見、それが高らかに謌いあげた人間の尊厳の崇高さは、大いに世の喝采を浴び、好感をもって迎え入れられた。
だが、この作品にはそうした表層的な、社会レベルの見やすいテーマとは別に、それに覆われてやや見えにくいものとなっているもう一つの土台が下敷きに横たわっている。そしてそれはこの表層の音階とも響き合い、行き来している。それは何かというと「自然と人間」という対立軸である。
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だが、この作品にはそうした表層的な、社会レベルの見やすいテーマとは別に、それに覆われてやや見えにくいものとなっているもう一つの土台が下敷きに横たわっている。そしてそれはこの表層の音階とも響き合い、行き来している。それは何かというと「自然と人間」という対立軸である。
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