物理メディアによって作品は個人の所有物になったが、ネット配信で再び企業のものになった。
作品を造ったり配信できるのは大手企業だけで、個人は金を払って見るだけ
VHSコーナー

画像引用:https://www.bunkatsushin.com/varieties/article.aspx?bc=1&id=3358 渋谷のTSUTAYAにVHSコーナー新設、若者にも人気 - 文化通信.com



バカバカしいが自由だった時代

世の中にはそれが存在していた間はゴミだと思われていたが、なくなってから大事な物だったと分かることがあります。

今世界の人々は二酸化炭素の増加で大変だと言っていますが”酸素”は誰も気にかけていません。

恐竜の時代は今より酸素がずっと多いから、あの巨体を軽々と動かせたが今は無理だそうです。



ある日息が苦しいと感じたらもう手遅れで、少ない酸素で活動できる小さな生き物だけになるでしょう。

著作物のコピーは90年代には完全に自由で2000年代に規制され、2010年代にはコピー自体が犯罪になりました。

80年代にテレビ番組やCDを録画や録音する技術が生まれ、低価格な日本製品によって世界に広まった。


テレビ番組や音楽は個人個人の所有物になり、何度複製しようと友人と交換しようと完全に自由でした。

これに危機感を覚えたのが著作権者たちで、レコード会社やテレビ局や映画会社、著作権管理団体などが多い。

2010年代になるとネット上に著作物がアップロードされ、人々は無料で無限に視聴できるようになった。


著作権を持つ企業は政府に働きかけて違法化し、ネットに上げてみんなで見るのは違法になりました。

この過程で登場し消滅したのが『物理メディア』で、レコード盤・CD・VHS・DVDなどが存在した。

VHSは80年代から90年代の20年以上映像メディアとして主流で、簡単にコピーできたので映像は個人の所有物になった。



大手メディアは人々から作品を取り上げた

スターウォーズもインディジョーンズもVHSテープにコピーすればそれはもう「自分の物」でどうしようが自分の自由だった。

DVDになってコピーが違法化され面倒になり、ネットとハードディスクに変わってこうした文化は無くなりつつある。

これを政府と著作権者は健全化と言っているが、別な言葉でいうと映像や音楽は権利者に取り上げられた。


VHSやカセットテープ、録音用CDが登場するまで、映像や音楽は権利者が管理し客は金を払って1回だけ見たり聞いたりした。

レコードは買うことが出来たがかなり高価で、映像は買う手段が無く映画館で見るしかなかった。

映像や音楽が個人の手に渡ったのは振り返ると30年ほどの間で、再び権利者に取り上げられネットで管理されるようになった。


VHSやCDの功績でネット配信は非常に安くなり、自分で録画や録音するより作品当たりのコストは安い。

アマゾンやネットフリックスに月額料金を払った方が、自分でテープにコピーするより安いので人々はネット配信に移行した。

もしネットフリックスの料金が1作品視聴3千円だったら、人々はまだテープやDVDに録画して見ていたでしょう。


ならそれで良いのではないかと思うが、ネットで配信するのはどこも同じ作品で、有名作家のメジャー作品だけです。

アマゾンやネットフリックスは巨大ビジネスをしているので、個人や弱小レーベルの作品など相手にしません。

VHS時代にはアメリカや日本でVシネマと呼ばれる低予算作品が大量に作られ、多くの映像監督がそこから育ちました。


どれも低予算で質が低かったが独創性で勝負していて、西部開拓時代のようなにぎやかさがあった。

今ネット配信している作品は大手作品ばかりで、映像品質は良いがどれも同じで区別がつかない。

俳優は顔を整形している上に画像処理しているのでみんな同じ顔、演技もみんな同じで独創性のかけらもない。


大量のゴミだと思っていた物たちが無くなってから、実はそれが大事だったのに人々は気づくのでした

文化が花開くにはバカバカしい自由が必要で、今は大手企業独占の時代に戻った