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ニュースリリース

銀増幅イムノクロマト法を用いた高感度な迅速診断技術の開発で
第66回(平成29年度)日本化学会「化学技術賞」を受賞

2018年1月15日

富士フイルム株式会社

富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、公益社団法人日本化学会(会長:山本 尚)の平成29年度各賞表彰において、銀増幅イムノクロマト法を用いた高感度な迅速診断技術の開発に関する功績で、第66回化学技術賞を受賞いたしました。化学技術賞は、日本の化学工業の技術に関して特に顕著な業績のあった者に贈られる賞です。受賞内容は以下のとおりです。

なお、「化学技術賞」の表彰式は、3月21日に日本大学理工学部 船橋キャンパスで行われる予定です。

【受賞者】

小山田 孝嘉 医薬品事業部 技術マネージャー
森 幹永 R&D統括本部 医薬品・ヘルスケア研究所 研究マネージャー
片田 順一 R&D統括本部 医薬品・ヘルスケア研究所
和田 淳彦 R&D統括本部 医薬品・ヘルスケア研究所

【開発の背景】

医療の現場では、インフルエンザなどの感染症の重症化や二次感染を防ぐために、発症初期における迅速で正確な診断が求められています。現在、外来診療で広く使用されている「イムノクロマト法による診断薬」は、患者の鼻や喉から採取した検体と試薬の抗原抗体反応によって試薬上に現れる判定ラインを目視で確認し、陽性/陰性を判定します。この診断方法は、短時間で判定結果が得られる一方で、発熱などの症状が現れてから半日前後を経過し、ウイルスが一定量に増えないと陽性判定が困難でした。また、ウイルスの目印となる金コロイド標識(*1)が検出ライン以外の場所に吸着してしまい、判定ラインが視認しにくくなるという課題がありました。

【開発技術の概要】

今回受賞した「銀増幅イムノクロマト法を用いた高感度な迅速診断技術」は、写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術を応用し、感染症を迅速かつ簡便に、高感度に検出できる技術です。試薬中の金コロイド標識の周りで銀を増幅させて、大きな銀粒子にすることで、検体と試薬の抗原抗体反応によってできる試薬上の判定ラインの視認性を飛躍的に向上させました。さらに、検出ライン以外の場所に吸着した金コロイド標識を十分に除去するための洗浄工程を加えたことなどにより、従来法に比べて約100倍(*2)の高感度でのウイルス検出が可能になりました。製品化にあたっては、操作の簡便さにもこだわり、銀増幅工程と洗浄工程に用いる薬液を内蔵したオールインワン設計の試薬カートリッジとしました。

また、当社が生化学自動分析装置やデジタルカメラなどで培った画像認識技術を応用した読み取り機能搭載のデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1(イムノ エージーワン)」(*3)で、試薬カートリッジに示された測定結果を自動判定することで、判定誤差を格段に低減させました。

装置と専用試薬カートリッジを組み合わせた「診断システム」にすることで、発症初期などウイルスや菌が少ない状態であっても迅速かつ簡便な高感度検査を実現しました。

<写真の現像プロセスを応用した「銀増幅イムノクロマト法」とは>

[図]

【社会・環境への貢献】

本技術は、現在インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、肺炎マイコプラズマ向けの診断薬に応用されています。当社は、今後さらにさまざまな感染症項目への展開を目指していきます。本診断システムを導入する国内の小児科や内科は年々増加しており、当社は、高感度検出による臨床上の有用性が認知され、臨床現場を変えつつあることを実感しています。

また、本技術は、途上国など電源インフラが無い環境でも検査ができるように、機器を使わず、検体を滴下するだけで、簡単に高精度の判定が可能な検査試薬への応用も可能です。これらの応用技術を用いて、結核などの診断薬開発を進めており、グローバルヘルスへの貢献も目指しています。

富士フイルムは、社会課題の解決を事業成長の機会と捉え、今後も研究開発を積極的に推進して事業展開を図るとともに、革新的な製品の提供を通じて世界の医療の発展と、人々の健康の維持増進に貢献していきます。

*1 インフルエンザウイルス(抗原)と結びついた抗体の目視能を高めるために、抗体をマーキングする赤色の標識。

*2 標識の増幅処理を行わない金コロイド標識や、着色ラテックス標識を用いた一般的な迅速診断試薬との比較で、検体中のインフルエンザウイルス量が約100分の1の場合でも、ウイルスを検出。

*3 販売名:富士ドライケム IMMUNO AG1/届出番号:14B2X10002000104。

本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。

  • 報道関係 コーポレートコミュニケーション部
  • TEL 03-6271-2000

記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。

富士フイルム広報 公式アカウント twitter

 
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