#10、スーパーバカな会話
山崎と合流する。
「なぜ褒めてるのに謝らなきゃ、いかんのだ。百足ほど美しい生き物はいねぇよ。毒があるのが蠱惑的で、あぁ、ハグされたいっ。………………ってよ!山崎、覚悟!ウルァ!」
「ぐはぁ」
通りすがりの巨大生物が吐息に似た悲鳴を上げる。
安田専属の秘書がいたら、間違いなく余白にWOW、と書くであろう、意味不明な供述は、前を通りかかった、いや、かかってしまった巨漢の背中に、ラムアタックを仕掛けるという、理解不能な形で突然終わりを迎えたのだった。
「いてぇな、お゛い。誰だお前、ってよ!って安田か」
安田と知って納得する山崎。
「誰だよって、俺だよ」
開き直る安田。
とてつもなくアホな会話が、まさに今、始まろうとしていた。馬鹿三人衆、ここに集結!
「おいぃ、山崎。紙川に彼女が出来たらしいぜ」
「な゛ぁ~に゛ぃ~、っておまっ、それは確かな情報か!?おいおいおい、嘘だろ」
無論、嘘である。ほらな、馬鹿だろ。真面目なんだが。
ゆっくりと、ほっぺたをプルプル言わせながら、俺を睨んでくる。目はプチトマトみたいに血走り、今にも掴みかかってきて、俺の首を絞めそうだった。日頃、映画研究部で演出を学んでるからだろう、コイツの茶番はプロレベル(よよっ)。下らんことに才能を使うな。
「………………俺達、友達?………………だよな、」
点の数だけ震えてたと考えてくれても差し支えない。それほどまでに怒が振動してたのだ。友達ねぇ。山崎とはWYHNで知り合った、仲だっけか。
【WYHM? なんじゃそら、ってか? 学校から存在価値、実体、共に疑問視されてる、広域安田人間情報網。その頭文字である。通称、Why-network.。あまり深く詮索しないように、個人情報が筒抜けになるぞ。(情報元・安田)】
要約すると、山崎は安田経由で知り合った、ってことだ。だから安田が休むと、俺は真面目君や自転車オタクと、山崎は山崎の友達とつるむことになる。そんな距離感。今、俺と山崎で、安田をサンドウィッチする陣形を組んでるのは、そこら辺の無意識が関係してるのかもな。
本音を言うと、友達かどうかは不明だった。
「その下り、さっき聞いた。…………ってか、違う。馬鹿の安田の勘違いだ」
二人して真ん中を見る。そこでは当人が、腰に手を当て、アキンボポーズ。おいおい、そこ、自信持つとこじゃないぞ。
「そうか、馬鹿の安田の勘違いだったか。紙川君。こりゃ失礼」
言った後、山崎は安田に触発されてか、帽子をクルリと取るしぐさをした。
俺もなんかしよ。胸の前で適当な三角形を描く。アーメン。
前回の続き。
改めて計算したところ、どうやら十二万文字には届きそうにないです。
なんとか捻出したいところ。